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2013-01-28

2013年1月27日 新竹五指山 - 霧中の小百岳

五指山路から見る五指山、鉄塔のあるピークが中指峰
今回は、初めて新竹県の山に登った。台湾小百岳になっている五指山だ。遠くから見ると、その名の通り五つのピークが並んでいる特徴のある山だ。霊山として廟宇が山腹に建てられ、信者の参拝が絶えない。台北からは距離があるので、友人の登山クラブの山行に参加させてもらっての登山である。朝9時半過ぎに登山口に到着したときは、雨は止んだが山の上では霧に包まれ展望はなかった。山を下るころになると天気が回復し、午前霧に包まれていた山容が、はっきり眺められたのは幸いだった。

山道わきに咲くサツマイナモリの群生
日本では深田久弥が選んだ百名山が、日本各地にある著名な山を代表している。この百名山全部を踏破することを目指している登山者も多いと聞く。台湾も選ばれた山として百岳と小百岳がある。百岳は3000m以上の高山(全部で260座以上ある)が対象で、台湾の山岳登山活動振興が目的だ。日本百名山とは少し性格が異なる。一方小百岳は、台湾各地の一般的に登り易く、その土地の人文歴史を代表するような性格の山が選ばれている。標高数百メートルの低い山も含むところは、日本百名山の基本条件1500m以上と違うが、こちらのほうがその趣旨に近いかもしれない。筆者のブログには、今まで特に記していないが小百岳として認定されている山の登山も含まれている。例えば七星山獅仔頭山等、全部で17座ある。

玉皇宮から稜線に直接登り、中指峰往復後稜線道経由で帰る(クリックで拡大)
高度プロファイル
台北市内から約90kmにある五指山
山の上半分は霧の中
五指山の登山口である玉皇宮まで、台北市内から高速道路経由で約90km、約1時間半の距離である。登山クラブメンバー5名と都合6名で、クラブ名誉会長の車で向かう。指定された会社建物に集合し8時頃出発する。昨日(26日)晩から降り始めた雨が、まだ降り続いている。台湾南部は天気が良いが、台北より南の新竹も雨のようだ。天気が好転することを願い、一路向かう。竹東から河沿いの道を進み山道を登って、9時半過ぎに玉皇宮に到着した。雨は小降りだ。山腹に並ぶいくつかの廟宇の上にそびえる五指山は、上半分が霧の中だ。

急な登りが続く
さすが霊山というだけに、廟が並んでいる。身支度を済ませ、9時少し前に出発する。登山道は、登山口から見て一番右側(南側)にある拇指峰(親指)から登っていく道と、急坂を直接中指峰と食指峰(人差指)の鞍部に向けて登る道の二つがある。登りは、この急坂を行く。玉皇宮とその左の建築中の建物の間の道から入る。登ると盤古廟がある。大勢の信者が話を聞いている。登山口は右側のあずま屋のわきだ。廟の裏側を登ると、すぐに急な土の坂道が始まる。登るにつれ、霧が濃くなってくる。補助ロープがかかる一枚岩も現れる。濡れた岩は滑りやすい。登り始めて20分ほどで、山腹をトラバースしていく五指山横向歩道に出る。

霧の山道を歩く




急坂は、この歩道からまだ続く。最近道わきの草が刈られたようだ。ほぼ直線的な登りが十数分続くと、道は左に平らになって進む。濡れた赤土の部分は滑りやすい。また急坂が始まる。大きな倒木は、越えるのが大変だ。長く補助ロープが崖側に張ってある部分を過ぎると、枝尾根に取り付き登る。霧の中の登りだが、雨が振っていないだけ助かる。11時7分、玉皇宮から約1時間の登りで稜線上の鞍部に着いた。登ってきた道は、このような天候の時は、下りに取るとかなり苦労するだろう。

ツツジの咲く中指峰頂上
晴れていれば見える景色、説明板
稜線上の道は、左にとり中指峰を目指す。少しの登りのあと、一旦下り登り返す。稜線上には、木製のりっぱな階段が設けられている。登り返すと、右に杉林が広がっている。霧の中で幻想的だ。幅広の土の道が右に登ってきている。その先ほどなく、11時27分に中指峰(標高1061m)に到着した。頂上のそばには通信用鉄塔、その下には網で囲まれた設備がある。中指峰には三角点があり、五指山連山の最高点だ。説明板には写真があり、晴れていれば新竹市方向が眺められるようだが、残念なことに霧の中だ。集合写真を撮り、食事休憩する。休んでいると、無名指(薬指)峰方向から次々と登山者が登ってくる。三匹の野良犬もやって来きて、頂上はにわかに賑やかになる。赤のツツジも咲いている。随分と早い開花だ。

尾根上の木製階段をのぼる
頂上で20数分の休憩後、やって来た道を引き返す。途中、杉林の中で左側に、先ほど頂上で出会った大勢の登山客が食事をしている。汐止山岳クラブの登山活動だそうだ。吹き上げてくる風がとても冷たい。登りでは脱いだウィンドブレーカーを着ける。十数分で、急坂道の分岐の鞍部に着く。ここからは、稜線上の道を進む。長い木製階段が続く。五指山の登山道はよく整備されている。階段の登りが終わり土の道を進むと、まもなく食指(人差指)峰(標高1040m)に着く。鞍部からほんの数分だ。下りは石の階段が現れる。長く続く石段を下りきると、今度は木製階段の登りが始まる。12時37分に拇指峰(標高1024m)につく。食指から15分だ。頂上にはベンチが設けられている。少し霧が晴れてきたのか、食指峰のピークが見える。

食指峰から拇指峰への途中
拇指峰頂上
杉美林の中、尾根道を下る
稜線沿いに道が下っていく。長い木製梯子の下り途中に、踏板が外れている箇所がある。こちらの道のほうが、登りにとった急坂道よりはるかに歩きやすい。尾根から外れ山腹をくだる。道わきにサツマイナモリの花が沢山咲いている。涸沢を橋で越える。その少し先にベンチが設けてある場所で、すこし休憩する。ブナ林が杉の美林に換わる。右に五指山横方歩道が分岐する。13時40分、山道が終わり林禪苑に着いた。拇指峰から約1時間の下りだ。この間に霧が晴れ、林禪苑からは拇指峰の山容が望める。前庭の片隅には日本式の石灯籠が建っている。野薑花も咲いている。

林禪苑と背後の親指峰、霧が晴れた
山桜と背後の食指峰
舗装された五指山路を下る。二、三分進むと左に仙洞と記された山道が杉林の中に入っていく。この道を進む。森の中を数分歩くと、朝出発した廟がたくさんある場所にでた。時刻は14時少し前だ。玉皇宮の前庭では、十数名の同じ礼服の信者と「悟空」を扮していると思われる一人が何か儀式をしている。やはり、ここは霊山なのだ。朝にくらべ観光バスも多く駐車している。売店も多く店開きしている。登山前は上半分が霧の中だった中指峰、食指峰、拇指峰の三峰が高くそびえている。

玉皇宮の前で儀式が進行中、背後は五指山
駐車場近くの売店
登山後の服装整理などを済ませ、14時20分頃帰京の途に着く。車が五指山路を下って行くと、五指山の全容が見える。ここからだと、ピークは全部で六つに見える。霧の中だった中指峰の鉄塔も判別できる。今頂上にいたら、かなり広範囲の展望ができたろう。でも姿全体を見れたことで、満足すべきだ。また来ることもあるだろう。往路と同じ道を戻り、16時20分に台北の出発点に帰りついた。

今日の行程は短い。距離は4.6km、所要時間4時間、登攀高度475mである。出発点が600数十メートルあるので、五指山自体は1000mを越えた山だが、実際の登りはそれほどでもない。雪山山脈の末端で、晴れていれば雪山も望めるそうだ。また、チャンスがあれば是非この目で確かめたいものだ。最後に、気持よく山行に誘っていただいたことに感謝の意を申し上げます。

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