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2026-08-31

2026年8月30~31日 奇萊山行 強い風雨のため撤退

奇萊山登山口,壁の上に虎杖(イタドリ)の花

今年の台湾は台風の影響がとても大きい。3,4年ほど前はほとんど台風がなく、水不足に悩まされたのがうそのようだ。台湾へ直接上陸がなくても、その影響は現れ、特に山では大きい。本来、二泊三日で奇萊山主北峰の予定であった。第一日の8月30日は登山口である松雪樓近くまで着いた時には、太陽が照りすがすがしい高原の様子であった。登山道を歩き始め、途中で雨が降り始めたが、それほど大きな問題はなく成功山屋に着いた。しかし、当初見ていた天気予報は悪い方向になり、翌日は早朝に起きて稜線を目指そうとしたが、下ってくる太魯閣公園ボランティアや登山者から、かなり風雨が強いとのことで、安全を考量して撤退を決めた。同行の日本から訪れた二名は、先に参加した國家公園署の登山活動でも雨模様であったので、さらに残念だったと思う。

登山口から成功山屋の往復

今回の予定ルートは、筆者がちょうど10年前に訪れた時と同じである。二泊目の予定は稜線上の奇萊山屋であり、この山小屋は改修されちょうど一般に公開されたばかりで、結局泊まることができなかったのは、残念である。しかし、山を甘く見ることを避け、二人も同意し撤退を決めた。筆者は、高山縦走で撤退を迫られたことは、他にもあるが、全体では天気に恵まれたことが多かった。それはいかに幸運なことなのかを、再認識させられた。山はいつでもあるのは確かだが、年齢を重ねる筆者にとっては、再度訪れるのは体力的にきつくなっていく。しかし、それも運命だと思う。

8/30出発前に撮影
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8月30日(日)台北→埔里→松雪樓→登山口→黑水潭山屋→成功山屋(宿)

台北轉運站で切符を購入

今回は、日本からの二名との合計3名である。以前は、台北から登山用送迎サービスを使用したが、三人ではコストが大きい(8人乗客車で15000元)。また、公共交通機関も以前より便利になっているので、台北からバスで向かう。台北轉運站6時40分発の國光客運1833番バスで、一路埔里に向かう。このバスは、終点が日月潭なので玉山方面へも利用できる。ただし日月潭から阿里山へ通う6739番バスは、日月潭を8時と9時半発車なので、接続は難しく日月潭などに一泊が必要であるが。我々のバスは台中を過ぎ、第6号高速道路で埔里へと進む。一路天気がよく、山々も見える。9時25分、埔里轉運站に到着した。

埔里轉運站

埔里から登山口までは、台灣好行(6664番)バスと6658A番バスを乗り継ぎ、松雪樓で下車すれば近くまで行ける。ただし、1833番バスでは、埔里8:35発への乗り換えは間に合わず、12:35発のバスで行き、途中6658A番バスに乗り換え、松雪樓は15時20分である。それから歩き始めると、成功山屋は暗くなってからの到着となるので不便だ。台北駅6:30発の新幹線で台中へ行き、そこから7:35発の6670Hバスで埔里にいけば、8:35発の清竟農場方面への台湾好バスに間に合い、6658Aに乗り換えて、昼には到着できる。いずれにしても、一般交通機関で登山口に行けるようになったのは、少人数のパーティにとっては歓迎だ。

我々は、事前の天気や筆者自身の都合もあり当山行に行くことを直前に最終的に決めたため、予約が必要な6658Aバスの予約締切(四日前)に間に合わず、埔里から送迎サービスを利用した。利用したサービスはTripoolというものだが、予約前に見積が出るものの曜日やちょっとした変更などが割高で、あまりお勧めしない。それならば、余裕をみて観光をかねて埔里に前泊し、翌朝バスで出発するのもよいだろう。

武陵展望台に立ち寄る、背後は合歡山東峰

9時半前に到着し、近くに待っていた送迎サービスの車に乗車する。1時間40分ほどで、武陵の峠に到着する。ちょっと立ち寄り、これから登る奇萊連峰を望む。目的の奇萊北峰や奇萊主峰の稜線は、雲の中で見えない。ただ、太陽が燦燦と輝き、高原の清涼さを感じる。その後松雪樓への道の分岐点で下車する。以前は、ここからさらに滑雪山莊へと車で行けたが、今は一般車両進入禁止となっている。

武陵から奇萊山連峰を望む、稜線は雲の中
松雪樓と背後の奇萊山

支度をして11時52分、歩き始める。滑雪山莊わきの登山口から山道に入る。約10㎏のザックは久しぶりだ。近くには虎杖(イタドリ)の群生がピンクや白の花をつけている。緩やかに下る道を追っていくと、黃苑(キオン)や一枝黃花(アキノキリンソウ)などの黄色い花が咲いている。0.6Kキロポストを見ると道は森に入り、しばらく上りが続く。左の草藪に、小鳥が飛んできた。金翼白眉だ。高山でよく見かける鳥だが、この一羽は逃げるどころか近づいてくる。いかにも餌を求めているかのようだ。人間が危害を加えないどころか、餌をくれるものと学習してしまったのだろう。

道端に黃苑(キオン)の花


梯子を超えていく
三カ所の梯子をすぎ、12時48分峠部分を越すと、小奇萊の草原が広がる。前方の屏風山~奇萊山の稜線は下の方まで雲が下がっている。天気予報は、午後は雨になるという。残りはまだ3.5Kmほど。これから先は黑水潭山屋まで、ずっと下りである。先を急ぐ。2.1Kキロポストを過ぎると、草原は終わり山腹をトラバースしていく。13時半、2.5Kを過ぎたあたりで小雨が降り出した。傘をだしてさらに下る。ヤタケが密生する部分では、濡れた葉がズボンをぬらす。小雨はそのうち止み、14時半黑水潭山屋についた。中に入り休憩する。

小奇萊の草原

草原を下る
山腹を下り気味に巻いていく
黑水潭山屋
急坂にとりつく

鞍部である小屋からは、約百数十メートルの上りである。小屋からちょっと下って坂に取り付く。かなり急な坂が続く。梯子をいくつか登り、約1時間ほどで最高点を過ぎる。少し下って15時半、成功山屋に到着した。小屋には、途中で追い越していった単独の若者が一人であった。荷物を降ろし、小休憩のあと、4時半ごろから食事準備をする。できるだけ軽量を求め、今回はドライフードがメインである。そのうち雨が降り出し、雨脚が強まる。天気予報は、悪い方向に向かっている。当初は、明日午前中は晴れもあるような予報だったが、今は一日雨である。




アルミ梯子
急坂がづづく

沢脇の成功山屋
小屋で食事

食事をしていると、10名ほどのパーティーが雨の中下ってきて、小屋に入ってきた。ここ成功山屋から奇萊主峰と北峰を往復してきたという。彼らに聞くと天気は、昼間合歡山側から見ていたように、稜線付近は雲の中で、不安定だったようだ。明日はどうなるのか、天気が良ければ4時ごろ出発という方針で、19時頃までに就寝した。



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8月30日(月)成功山屋→黑水潭→松雪樓→公車接駁處→埔里→台北

3時過ぎに起床

昨晩、夜中に目が覚めると屋根を打つ雨音が大きかった。予定通り3時ごろに起床する。昨日のパーティーは、同じ頃起床し、朝食もそこそこに下山していった。大勢がいなくなると、小屋は単独者を入れて四人だけがガランとした中に残された。とりあえず朝食をとり、今日の予定を考える。もし、稜線の風雨が強く北峰や主峰への登頂ができなくても、新しい奇萊山屋までいってみようと、明るくなった6時過ぎに歩き始める。

4時半頃に朝食
6時過ぎに一度稜線に向けて出発
歩き始めてすぐに、一人登山者が下山してくる。稜線は風雨が強いという。さらに昨日は奇萊山屋に泊まったが、15時半までには小屋に入れず、長い時間外で待たされたという。小屋には管理人がこのように対応しているようだ。避難小屋的な性格があるのに、外で待たされるとは、ちょっと意外だ。今出発して3時間ほどで着いたとしても、風雨の中待つのでは大変だ。小屋に引き返し様子を見る。そのうち、太魯閣公園のボランティアが奇萊山屋から降りてきた。やはり、15時半までは入れず、風雨はかなり強く登ることを勧めない、という。

天気予報は、非情にも降雨確率はとても高い。台北への帰途は、明日の15:55発の6658Aバスを予約している。もし、今日下山したとして、最初の足をどう確保するのか、悩んだ。すぐに追って下ってきたもう一人のボランティアがいうには、予約がなくてもわけを話せば乗れるだろうという。特に天気が悪いので、利用客が少ないはずだ。

そうしたことから、残念ながら一日予定を切り上げ、下山することに決めた。7時半ごろに、雨具に身を固め、帰路に就く。途中、黑水潭山屋で休憩し、約420mほどの高度差を登っていく。気持ちは沈んでいるが、ひたすら歩を進める。途中電波が良いところで、6658Aバスを運航している南投客運に電話を入れ事情を話す。すると、現場で運転手に話せば乗れるという。10時半ごろ、1.8K地点ほど登ってくると、一瞬青空が見えた。しかし、すぐにまた霧に隠れた。今日の天気は望めない。


登山口に戻りついた、背後は滑雪山莊
10時42分、小奇萊を過ぎ少し下る。その後は、まただらだらとした登りが続き、11時半に登山口を見る。滑雪山莊わきから松雪樓へと登る。11時45分、松雪樓の入口に着き、歩き終えた。濡れた衣服を着替え、12時20分ごろ14甲公路上にある、バス停へと向かう。吹きさらしのバス停近くで待ち、しばらくしてバスがやって来た。事情説明する必要もなく、そのまま乗車できた。

松雪樓入口
吹きさらしのバス停
バス乗り換え場所、背後は6658Aバス

バスが下っていくと、雲の中から抜け出て陽光を見る。清竟農場に着く頃は、天気は良くなっていた。ただ、振り返ると山は雲の中だ。後ろ髪をひかれる思いだが、仕方がない。13時30分、6658Aバスの終点である公車接駁處に到着。待つこと10分と少しで、埔里へ下るバスに乗り換え、14時40分過ぎに埔里轉運站に到着した。轉運站近くの食事処で簡単に昼食をとり、15時10分過ぎの1833番バスで帰京した。


埔里行台灣好行(6664番)バスがやって来た
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帰路上小奇萊の筆者

筆者は、今まで二度奇萊山を訪れている。一度目は上記に述べた奇萊主峰と北峰の二泊三日の時、二度目は奇萊東稜縦走の時である。ともに天気は良好で、雄大な山景を楽しむことができた。今回初めて訪れた日本からの山友達は、このように撤退で終了することになり、残念である。これに懲りずに台湾の高山に来るときは、良い天気で登ることができることを祈る。

2026-08-28

2026年8月26日 麟趾山~鹿林山~鹿林前山 雨の再訪 (台灣國家公園署國際交流活動の一環)

霧の鹿林前山山頂、左に天文台

2018年5月に訪れた玉山の前衛峰になる麟趾山や鹿林山を再度訪れた。この山行は、台灣政府國家公園署が8月24日~28日にわたり海外から関係者を招き、台北市内での講演パネルディスカッションの後に行事一環として準備された屋外プログラムであった。そして、当初の目的地は八通關古道を昨年に新設された觀高山屋まで往復する予定だった。ところが、沙德爾(18号)台風の接近に伴う悪天で、このルートに変更された。ルート変更はされたが、天気は同じで筆者が再び訪れた山は雨の中のハイキングとなった。

東埔のホテル屋上から温泉街を見る、左に東埔小学校
今回の山行は、数年前の麟趾山と鹿林山だけではなく、鹿林前山をも含み、その山頂にある天文台を訪れた。したがって前回より多く歩いたことになる。参加人数も40人近く、大所帯のハイキングであった。前日8月25日午前中の室内プログラムが終了し、来賓を含めた100数十名の参加者は用意された三カ所へ、それぞれ分かれて向かった。我々のグループは、貸切バスで八通關古道の西側入口である東埔溫泉に向かい、温泉ホテルで一泊した。そして翌日朝7時半にバスで出発、塔塔加の登山口に向かい、三山を歩いた。

東に玉山主峰などの高峰が続く前衛の三山

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11時半ごろに歩き始める。2018年の時と同じように、麟趾山と鹿林山との鞍部から山道に入る。朝7時半に東埔を出発した時、霧が晴れ青空も少しのぞいたので期待したが、鞍部は真っ白だった。晴れていれば、ここから玉山や中央山脈の雄大な山々が鎮座しいている様子が眺められる。早速、左に麟趾山へ向かう。山腹を塔塔加鞍部へと巻いていく道を分け、稜線の道を進む。この登山道はよく整備されている。三山は玉山国家公園内であるが、入園許可はいらない。天候が悪いが、他の登山者と出会う。

麟趾山と鹿林山との鞍部
好天であれば、このように展望が広がる(2018/5撮影)
林先生の説明

今回の山行は景観はまったく望めないが、それとは別に特別なことがある。国立台湾大学森林環境及資源学科の林先生がメンバーの一人で、とこどころで立ち止まり植物についていろいろと説明してくれる。非常に貴重な野外学習である。おかげで筆者も、いろいろと学ばせてもらった。水鹿などにより樹皮がはがされている樹幹を見ると、水鹿がなぜこのような行為をするのかの説明があった。その一つには、樹皮にはタンニンがありそれを食べることで、鹿体内の寄生虫を抑えられる、という仮説があるとのこと。実際に、タンニンを与える実験をしたところ、樹皮がはがされることが減ったという、結果があったそうだ。日本の野生鹿は個体数が増えて問題となっている。水鹿も個体数が大きく増えている、とういことだ。

ヌタ場と山羌の足跡
他の遊楽客とすれ違う

鞍部から登ること10分ほど、尾根上のヌタ場には新しい山羌(キョン)の足跡がある。このころからいよいよ雨が降り出した。幸い風が強くないので、傘を出して対応する。尾根上の登り下りをすぎ、12時15分麟趾山山頂(標高2845m)に到着した。もちろん霧のため、景観はない。往路を鞍部へと引き返す。鞍部から、尾根上を登っていく。13時半大きな樹木の下で、休憩となる。ここは、筆者が前回訪れた時も休憩した場所だ。さらに進み14時過ぎに鹿林山山頂(標高2881m)についた。

麟趾山山頂
晴れていれば玉山連峰が広がる(2018/5撮影)
大樹のもとで小休憩
濃霧の稜線道を行く
鹿林山山頂

尾根上をさらに進む。ここから先は筆者は初めて足を踏み入れる場所である。落差約80メートルほど下り、鞍部から鹿林前山へ同じぐらいの高度を登り返す。鞍部からの道は、山頂に天文台があるために、とてもよく整備されている。天文台の電源用として、登山道の側溝には緑色の蓋の下に電源ケーブルが走っている。

鹿林前山へ向かい下る、左にかすかに前山のシルエット
前山鞍部から道が良くなる
前山へ登り返す
鹿林前山山頂の筆者
14時40分、前山山頂(2862m)に到着した。なだらかな山頂の北西側に天文台が設置されている。施設は台湾国立中央大学のものである。今回は特別の計らいで、天文台の中に入れてもらい、施設の建設経歴や天体望遠鏡などの機器の説明を受けた。これも、この山行の特別な部分だ。16時半、天文台から帰途に就く。鞍部からは木製階段を下り、山腹を行く舗装路に降りて下山した。

天文台に入る

天文台職員の望遠鏡説明
濡れて滑りやすい木階段を下る

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距離約5㎞、累計の登攀は500mほどだ。人数が多く、また天文台などで時間を過ごしたので、全体の行動時間は5時間半であった。国家公園署の行事に招かれた日本からの来客(山と渓谷社五十嵐さんと川上さん、ユーチューバー山下舞弓さん、歩く東北の後藤さん、東京大学山本先生)対応や現場での通訳として参加させてもらった。来客を含め多くの人との交流ができ、筆者にとって貴重な体験であった。ここに深く感謝の意を述べます。

8月25日、台北市内講演会場での終了場面
8月25日東埔ホテルの布農族によるダンス後記念写真