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西から東へ縦走 |
台北市街近くの南港山は、筆者はいままで三回登山ガイドを記してきた。台北市最高峰七星山を有する陽明山よりさらに手軽に山登りができる。アクセスがとても簡単便利であり、山容規模が小さいので所要時間も少ない。筆者は、東京生まれであるが、丹沢が登山経験のホームグランドであった。登山者数がとても多い高尾山も登っているが、距離感覚からすると丹沢は陽明山であり、高尾山が南港山といえるかもしれない。実際、台北は盆地で周囲が山であるので、東京よりも登山ができる場所がはるかに近い。
今回の縦走は、前回紹介した台北市がメンテする石畳が敷かれた親山歩道の縦走路とは違い、それとほぼ並行する土の道を経由して、同じく南港山を縦走するルートである。このルートは、道標などもあまりなく、また行政がメンテする道でもないので、状況が必ずしもよいとは言えず、すでに親山歩道などを歩きそれで飽き足らない登山者向けともいえる。しかし、山はいろいろな風貌を呈するので、また別の南港山に接するにはよいルートである。
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登山対象:
ルート
台北MRT昆陽駅→(小12バス 乗車約40分)→研究院路四段162巷口→(15分)→南港聖德宮→(40分)→彩虹風口(四獸親山步道分岐)→後山腰步道(20分)→九五峰往復(40分)→後山步道(30分)→福德山莊→(20分)→親山歩道山神廟分岐→(10分)→麗山步道分岐(土地公廟分岐)→(15分)→四份里山→(60分)→茅草埔山→(25分)→茅草埔山北峰→(10分)→研究院敷地裏登山口→(5分)→研究院路二段
4時間50分(乗車時間や休憩時間を含まず) 約7㎞、上昇430m、下降500m コース定数16
後山腰步道(裏側山腹トラバース道)
以前のガイドで紹介しているので、そちらを参照
九五峰
以前のガイドで紹介しているので、そちらを参照
福德山莊
民間の建てた施設で、一般に開放されている。建物前のテラスには、椅子やテーブルが設けられており、休憩やピクニックに適している。2024年10月末~11月初の大型台風で、テラスにあった大樹は根こそぎ倒れてしまい、また屋根などもかなり被害を受けているが、使用できる。テラスからは、対岸の土庫岳や三腳木山などからその背後の坪林や貓空などの山々が見える。
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福德山莊 台風のため前庭の樹木が倒された |
四分里山標高251mの山頂である。市街地側が開けて、台北盆地やそれを取り囲む山々が望める。当座から茅草埔山へと続く稜線は、九五峰がいったん下がったあと、また隆起しこの山頂を越えていく。親山歩道は、稜線を行かず麗山步道分岐から稜線の東側山腹を平行に行き、谷に下って中華科技大學へと続いている。
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四分里山山頂 |
茅草埔山(獅形山)
南港山稜線の北東端に位置し、標高140mに過ぎない山頂だが、独立状の山頂からは市街地が広く見渡せることができる。すぐ東側には軍人墓地がその山腹に大きく広がっている。南港山は、東側がなだらかで西側が切り立ついわゆる単面山であるが、ここも同様で山頂の西側は崖である。
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茅草埔山山頂 |
コース概要:後山と総称される南港山の東側谷間は、その反対側の大都会とは打って変わったひなびた場所である。研究院路も二段ぐらいまでは住宅地や研究院の大きな施設があるが、同三段の中華科技大學を過ぎると山の中に来た感がある。研究院路をさらに行くと、台北の大きな墓地になり、それを越して下ると木柵の動物園へと続く。ここを通うバスが小12番バスである。MRT昆陽駅わきのバス停から小12番バスに乗車する。小12番バスは中華科技大學を過ぎた後は、バス停を2つほど過ぎていくが、この区間はどこでも上下車できるので、研究院路四段162巷口で止めてもらう。ここには、南港聖德宮の山門があるのですぐわかる。
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小12バス、道路対面がMRT昆陽駅 |
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南港聖德宮の山門 (研究院路四段161巷)
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山門をくぐり、車道はすぐに急坂になる。それを登っていき大きな規模で山腹に展開する南港聖德宮の境内に入る。山道は、この境内の向かって左側建物の裏側から始まる。境内にはトイレがある。山道は、草がかぶさるような道ではあるが、そこそこ登山者が歩いているので、道筋ははっきりしている。マーカーもそこそこ取り付けられている。しばらく進むとロープが出てきて、坂が急になり谷からでて枝尾根にとりつく。それを少し登っていくと親山歩道との分岐にひょっこりでる。
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かなり大きな南港聖德宮(山道入口は境内左の奥) |
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境内裏側から山道が始まる |
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ロープのある急坂 |
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尾根にとりつき進む |
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彩虹風口分岐(正面階段は親山歩道) |
彩虹風口と呼ばれる四獸親山歩道との分岐は、後山腰歩道との十字路である。先に進む階段道は親山縦走路、右の土の道をとり進んでいく。南港山の東側は、なだらかな斜面である。道はこの斜面を横切って進む。土道だが常に歩かれていて、幅も広く状態もよい。ちょっとした上り下りはあるが、約20分ほどで左に九五峰への道が分岐する。ここには道標もあるので確認できる。
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なだらかな斜面を行く |
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階段などがつけられた後山腰歩道 |
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九五峰への分岐 |
九五峰への道をしばらく登っていく。コンクリのテラスや小屋、ベンチなどが現れるとそのすぐ上が九五峰山頂である。大きな岩に九五峰と刻まれている。山頂には石畳の親山歩道が左右続いているが、往路を下り後山腰歩道へと戻る。おおむね下り気味のトラバース道を行き、右に家屋をみて数分で左に登っていく階段がある。この階段を上り詰めたところが福德山莊である。階段途中にはトイレがある。全行程のほぼ中間地点なので、立ち寄って休憩するとよい。
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九五峰への道 |
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九五峰へ山頂 |
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濃霧中の山頂 |
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後山腰歩道をさらに進む |
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家屋わきを過ぎる |
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左に福德山莊へ登る |
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山荘下のトイレ |
福德山莊から階段を下って後山腰歩道を進む。そのまま分岐を左へといくと土地公の前を過ぎ、親山縦走路と合流する。そこは山神廟への道の上の分岐である。しかし親山歩道を歩くのでなく、その分岐のすぐ前に右に下っていく道をとる。途中に家屋や小庭園、菜園などが現れる。それを下っていき、左に山方向へ登り返す道をとる。この道は、山神廟分岐へと続く。この辺りはいくつかの道が交錯するので、地図と照らし合わせることを勧める。特に道標はない。
南港山の静かな道記事でもこの短いセクションを通過している
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涼亭や小花壇などのある道を下る、対面は三腳木山の山並み |
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この分岐を左に、南港山の静かな道ガイドでは向側から来て同じ道 |
山神廟への分岐は、親山縦走路との十字路である。ここから先少しは、並行する土の道がないので、このセクションだけは官製親山歩道を下る。右に
麗山歩道を分岐する十字路を直進した少し先に土地公廟がある。そのすぐ先で左に登っていく土の道が分岐する。この道をとって登っていく。この部分は上部にある送電鉄塔の保線路である。
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山神廟分岐からは少し左の親山歩道を下る |
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左の赤い建物が山神廟 |
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麗山橋步道分岐 |
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ここから土の稜線道に入る |
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倒木が残る稜線道 |
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鉄塔下を行く |
先の台風で稜線上には、まだその傷跡である倒木などもあるが、ボランティアのメンテもあり道筋ははっきりしている。送電鉄塔を過ぎると道幅は狭くなるが、それでも問題がない。まもなく小さな基準石が埋まる四分里山山頂に着く。稜線道は、ここから基本下りである。途中、右に親山縦走へと下る道を分岐する。稜線道をそのまま追っていくと、また右に道が分岐する。この右の道も中華科技大學へ下ることがでができる。
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四分里山山頂 |
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基本下りの稜線道 |
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右に親山縦走路への分岐道しるべ |
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黃藤のトンネル |
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二番目の親山縦走路(右)への分岐 |
左にとると、すぐにロープがかかる急坂が現れる。慎重に下り、細い桂竹林などを抜けていく。またもう一つの短いロープ急坂を下り、道なり進んで石やプラスチックの瓶ラックなどを利用した階段を下る。下りきると道標があり、それに従って右に折れ進む。右側には軍人墓地との境界の金網が現れ、それにそってしばらく行く。左にロープ急坂が下る分岐のすぐ先が、茅草埔山山頂である。草がかられた山頂は、その先は絶壁なので足元に注意が必要だ。
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急坂を下る |
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細い桂竹林の間を進む |
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二つ目の急坂 |
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左の階段を下ったところの分岐 |
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茅草埔山山頂 |
先ほど通り過ぎた分岐に戻り、急坂を下る。下ったその先は、最近起きた山崩れの場所がある。注意深く通り過ぎ、さらに道なりに竹林や雑木林の中を下っていく。その先に茅草埔山北峰(標高90m)がある。山頂のすぐ手前右に下る道を少し下ると、廃棄された民家の脇にでて、山道は終わる。コンクリ舗装の道をくだることわずかで、菜園が現れ研究院敷地の裏手にでる。広大な敷地を横切って出ると、研究院路二段である。近くにはバス停があり、MRTの駅を通過するバスが通っているので、それに乗車して台北に戻るとよい。
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ロープの急坂を下る |
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急坂を慎重に下る |
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竹林の下り |
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茅草埔山北峰山頂 |
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この無人民家で山道は終わり |
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研究院施設の裏手に降りる |
アクセス:登山口である南港聖德宮山門や研究院へのアクセスは、バスである。前者は小12番バスになる。この山間を行く小型バスは、便数が多くないので事前に時刻表を確認しておくことを勧める。逃すと二時間ほど待たなければならない。
もう一つのバス停である研究院バス停は、バス路線が多く270番205番やその他多くの路線がMRT駅を通過するので、バス停で確認して乗車するとよい。便数も多いので便利である。
装備:
一般の日帰り登山装備で十分である。ただ、道しるべなどがそれほど完備されていないので、オフライン地図などを持参し照らし合わせて歩くことを、強くお勧めする。靴は、雨が多く降った後などは、ぬかるみもあるので、その点を考慮するとよい。