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反時計回りに回遊 |
日本はここ数年異常気象ということで、夏はかなり暑い。台湾は40度まで上がることはないが、それでも最高気温38度ということも報道される。台北市内も37度ということがしばしばある。台北市街を囲む山々は、七星山が1100m代でそこそこ高いが、その他の山はそこまで高くなく、夏の登山はかなり暑い。台北から少し離れるが、桃園市にある東眼山は、一般交通機関で訪れることができる、平均標高1000mの登山ルートがある。800数十メートルまでバスで登るので、その後は平均すると1000mの登山道をずっと歩くことができる。気軽に日帰りであまり暑さに悩まされずに回遊できる場所である。 数年前に訪れたころに比べ、台灣好行バスが往復するようになり、アクセスがぐっと良くなった。今回再度訪れたので、ルートガイドとして記述する。
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台北中心から道伝いに最短で約60㎞ほどの位置にある |
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登山対象:
ルート
東眼山森林遊樂區入口→(15分)→森林知性步道 20分→地質走廊 30分→東滿步道 55分→拉卡山分岐(東滿步道3.2K付近)→(30分)→拉卡山山頂→(20分)→拉卡山分岐→(7分)→東眼山分岐(東滿步道2.9K付近)→(55分)→ 1200高地→(35分)→東眼山山頂→自導式步道 40分→遊客中心(ビジターセンター)→(3分)→駐車場バス停 約5時間10分(休憩を含まず) 約12㎞、累計登攀700m、下降660m、コース定数22
東眼山及び國家森林遊樂區
標高1212mで三角点基石を有する山頂の山である。小百岳の一座でもある。名前の由来は、遠くから見ると目が東を向いているように見えるという説と、近くのタイヤル族原住民の部落名トンガンからいう説がある。後者であれば、その音を日本語読みの漢字をあてたことになる。
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拉卡山山頂から望む東眼山(左端の山峰,手前は1200高地) |
当座山腹には大きな杉の人造林が広がる。日本時代に始まる林業地である。ほかの台湾の林業地と同じに、本来の林業業務はすでに停止し、現在はその森林生態を利用した
遊樂區となっている。政府の林業保育署により管理運営されている。園区の入口ゲートで入場料を支払う。一般成人は平日80元、休日100元である。内部には駐車場、レストラン、また整備された歩道が網羅されている。現在自導式步道の一部が(2025年8月10日から)整備中である。予定では2025年12月末に作業完了となっている。具体的な場所は、上記のリンクでオフィシャルサイトを参照。
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東眼山國家森林遊樂區のゲート |
当ブログの東眼山関連過去掲載記事はこちら。
https://taipeihiker.blogspot.com/2017/01/2017122.htmlhttps://taipeihiker.blogspot.com/2019/09/201991.html東滿步道
東眼山森林遊樂區と滿月圓森林遊樂區との間を結ぶ7.8Kの官製歩道である。昔日の造林作業路を整備したものと推測する。東眼山~拉卡山の稜線斜面をトラーバース、あるいは稜線上を進み、北插天山方向へと延びる稜線から東側谷間の滿月圓へと下る。しっかり整備されているので、この歩道を全行程歩くのも面白い。
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東漫步道0K起點 |
拉卡(ラカ)山標高1195mの山頂で、三角点がある。樹木に囲まれているが、北側が開けており、近くは熊空山,組合山をはじめ逐鹿山,卡保山,樂佩山そして北插天山の插天山脈、遠く台北盆地やその背後の八里觀音山,陽明山などまで展望できる。天気が良く空気が澄んで入れば、平溪方面まで見える。とてもよい展望台である。
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拉卡山山頂 |
コース概要:大溪から台灣好行506番バスで約1時間10分で、東眼山森林遊樂區のゲートに着く。そこで下車し、入場券を購入する。もし車でやってくる場合は、車両代金も支払い園区内にある駐車場に駐車できる。ゲートから道が二つに分かれる。左の坂を登れば駐車場、またその上にビジターセンターがある。一方、右の道はほぼ平らに進んだ後、登ってレストラン脇駐車場から森林知性步道が始まる。
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ゲートから入り、右の道を直進、左は駐車場とビジターセンターへ |
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ここでは左に登りレストラン脇の森林知性步道へ向かう |
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レストラン後の駐車場から森林知性歩道が始まる |
森林知性步道を少し行くと、左上にトイレがありその脇から頂上へと回遊式の自導式步道が始まる。現在(2025/9)は、ちょうどメンテ工事のために入口がふさがれている。年末には作業が終了し再開放されるはずだ。森林知性歩道は、砂利や小石などで舗装されたよい道で、杉林の間をしばらく登り気味に進む。そのうち、右に台車(トロッコ)や左に木馬(材木運搬具)の展示や説明がある。左に親子峰歩道を分け、右に少し下ると1Km強の森林知性步道が終了し、地質走廊セクションとなる。分岐の脇には、林業時代に使用されたウィンチが展示されている。
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左建物の脇から始まる自導式步道の山頂までの部分は2025年末まで工事閉鎖中 |
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杉林中の良い歩道、しばらく登り気味に進む |
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木馬の展示 |
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地質走廊との分岐、左にウィンチの展示 |
地質走廊は、幅広の道で以前は林道であったはずだ。右にトイレをみて少し行くと木柵ゲートがある、それを通り越し右に化石展示家屋を見る。屋根の下には採取された化石を含む岩が展示され、その脇にトイレと休憩所がある。道は下り気味に、山腹を縫って進む。道脇には、説明板にあるように地質的に特徴のある個所が現れる。前方に親子峰が高くそびえる。
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道脇の地質説明板、後方に午後歩く稜線 |
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化石展示館、後方にトイレ |
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化石を含む石塊 |
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親子峰 |
造林紀念石へと下る分岐を過ぎると、 2.6Kmの地質走廊が終わり東滿步道に置き換わる。今までの道は森林遊楽園区内だが、ここから先は別の管理下である。道幅も狭まり、山道の様相を呈する。0.2㎞ごとのキロポストが進捗を教えてくれる。ほとんど上下がない道は、山腹をトラバースしていく。途中に新たなトイレも設けられている。道が少し登り気味になり、觀瀑橋で沢を渡る。橋のたもとにはベンチもあり、また沢際でもあるので、一休みによい。
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造林紀念石への分岐 |
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東滿步道 |
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岩を切り開いた部分 |
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東滿步道上のトイレ |
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觀瀑橋 |
橋を渡り山ひだを回り込むと、しばらく上りが始まる。坂を登り切ったところ付近で、左に東眼山方向への道が分岐する。この道は非官製道なので、特に道標がない。先に東滿步道を進んで、3.2K近くの分岐で左に拉卡山への道をとる。拉卡山へは、東滿步道をさらに進んだところからも左に分岐するが、山頂への往復であるのなら、この道が最短だ。この道も勿論非官製道である。
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橋からしばらく平らな道 |
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杉林の上り道 |
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階段部分 |
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ここを登りきると左に東眼山への分岐 |
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東眼山への分岐 |
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左に拉卡山へ登る |
尾根上を行く道は、雑木林の中を緩やかに登っていく。そのうち急坂が現れると、周囲はシャクナゲ林となる。4月~5月のころは多くのシャクナゲが見られるはずだ。上り詰めると、右からの道を合わせ、さらに方向を換えた稜線を行く。前方に拉卡山山頂が現れる。山頂のすぐ右には、滿月圓からの直登ルートが合流する。山頂は、天気が良ければ、絶好の展望台だ。  |
藍天隊の道標 |
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分岐に戻る、前方は東滿步道 |
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ベンチのすぐ先が東眼山への分岐 |
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平らな道を行く |
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鞍部の分岐、左にとる |
鞍部からは、しばらくの急登が続く。坂がゆるくなってくると1200高地に着く。ここから右に尾根を滿月圓方向へ下る道が分岐する。左に進み、右に雙溪山へ続く道を分岐する。東眼山との高度差は小さいが、途中に大きく下り登り返さなければならない。途中、右に開けた場所があり、そこからも展望ができる。拉卡山山頂からとは、すこし距離があるので別の山々が望め、遠くは瑞芳方向の山や基隆の方まで見えるので、天気が良ければちょと立ち止まって見ることを勧める。このあたりもシャクナゲ林である。
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急登の尾根道 |
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しばらくの急登 |
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1200高地 |
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雙溪山方向への分岐 |
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展望点から台北方向の眺め |
展望点から下り切り、今度はかなりの勾配があるロープセクションなどをよじ登る。登りきると、深いギャップを簡易桟道で超える。その先間もなく東眼山山頂となる。通信設備のある山頂は、現在(2025/9)展望台の改築工事中だ。その先は、工事のための塀で仕切られている。三角点のある場所は、その塀の向こう側なので塀の脇の隙間から回り込む。来年訪れれば、その塀は取り外してあるはずだ。
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大きく下る |
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ロープの急坂を登る |
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ギャップを桟橋で渡る |
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展望台工事中の山頂、三角点はトタン板塀の向こう |
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東眼山三角點 |
ベンチもある山頂からは、自導式步道を下る。ここは園区内で整備されているよい道だ。また多くの遊楽客も登るので、状態はすこぶるよい。途中に二か所ほど休憩場所も設けられている。道を下りきると、右にビジターセンターを見る。現在はこのビジターセンターも改修中で、臨時の案内事務所が設けられている。センターからは車道わきの道を下ると駐車場に着く。506番バスは、この駐車場から発車する。午後の便は乗客が多いので早めについて並ぶ方がよい。
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石階段の良い道 |
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一部坂が緩む |
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だいぶ下って来た |
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臨時インフォメーションセンター、右の塀の中が工事中のビジターセンター |
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駐車場のバス乗り場 |
アクセス:台北から大溪へはバスや台湾鉄道の桃園駅からバスなどで向かう。もし台北市内からであれば、MRT永寧駅わきの永寧轉運站(バスターミナル)から発車する710番バスが便利である。大溪バス停で下車し、そのまま506番バスを待つこともできるが、5分ほどちょっと歩いて始発乗り場の桃園客運大溪公車總站(ターミナル)へ行き、そこから乗車した方がよい。休日はかなり大勢の乗客が乗車する。数年前は、東眼山は車で行くか、午前6時過ぎの新巴士しかなかった。台灣好行東眼山506番バスは、平日3往復、休日5往復あるので、とても便利である。時刻表と料金はこちらを参照。
装備:
一般の日帰り登山装備で十分である。ただ、交通時間や休みも含めると一日行程なので、季節や天候を考慮し水や行動食などもそれに合わせて持ってくことを勧める。夏は、午後夕立があることが多い。雨具は忘れずに。
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夏に咲く根節蘭 |
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別の根節蘭 |