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2024-10-29

2024年10月23日 4年ぶりにテームズ歩道を歩く WeybridgeからKingstonへ

テームズ河にそって伸びるテームズ歩道
コロナ疫病前の2019年にロンドンを訪れた時、テームズ河にそって歩く長距離ハイキングルートのテームズ歩道(Thames Path)のロンドン付近を、二回に分けて歩いた。そのセクションは、イギリスの西南部Cotswoldsから始まりロンドン郊外Woolworthまでの全長298㎞に及ぶ国家歩道の最終河口付近地点である。今回の歩きは、その上流部分になるWeybridgeからKingstonへのセクションになる。Kingstonは初めてテームズ歩道を歩いた時の始点Richmondの少し上流地点となる。

Thames Pathが示された道しるべ
テームズ河は、ロンドン市街を流れその代表的な河川であるのは言うまでもない。遠く源流から東へと流れ、ロンドン付近ではかなりの蛇行をして市街を流れる。またその河岸脇には、大きな池塘もある。主要河川であり、物資を輸送するための重要な運搬路でもあった。今まで何度か歩いた、Wey River NavigationやBasingstoke運河などは、テームズ河へとつながりその運搬路の支脈でもあった。船で有効に航行するための水門なども建築され、いまでも使用されている。

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西のWeybridgeから東へ歩く
公園の樹木は紅葉が盛り
今回のイギリス滞在中初めてのハイキングは、9月4日にWey River Navigation水路をその終点であるテームズ河の合流点があるWeybridgeへと歩いた。今日は、このWeybridgeの街からスタートである。8時に滞在地を436番バスに乗るため、ウォーキング駅わきのバス停へと向かう。秋もだいぶ深まり公園や街路樹の広葉樹はかなり色づき、落ち葉も多くなっている。8時25分にバス停に到着、少し待つと436番バスがやってきた。

ウォーキング駅のバスターミナルに436番がやってきた
Weybridgeの街
朝の通勤時間帯に、ここで駅で乗り換えをする乗客を降ろしたバスに乗る客は少ない。9月の時は、Weybridgeから乗ったが今日は逆方向である。約50分ほどの乗車で終点Weybridgeのバス停に着いた。街の主要な通りから前回歩いたThames Streetを進む。住宅街を抜け、9時45分テームズ河のほとりに着く。十数分歩いたので、体が温まり服装を調整する。

テームズ河のほとりに到着
テームズ河歩道を歩き始める
テームズ河のこの辺りは本来かなり蛇行しているが、分流としてDesborough Cutが直線状に切り開かれている。テームズ歩道はその本流とこの分流のどちらもある。今の場所は分流の河岸なのでそのまままっすぐ進んでいく。公園を右に見ていくと、河岸には次々の係留中の船が並んでいる。中にはほぼ廃棄状態の船もある。二か所の橋の下をくぐり、歩くこと約20分で、本流との合流点に来る。

公園の脇を進む
水鳥が泳ぐ、対岸は住宅地
水鳥が多くたむろする
開けた河岸には、多くの水鳥がたむろしている。対岸は住宅地で、多くの住宅が河岸に連なる。合流点を過ぎたテームズ河は川幅がずっと広くなった。アーチ形の車道橋の下をくぐり、ボートハーバーの脇を過ぎてさらに進む。10時38分、Walton埠頭に来る。その昔は、ここで荷扱いがあったわけだが、今はもちろんない。今まであるいた、Wey NavigationやBasingstoke運河などは、農地や森を抜けていく場所がメインであまり人に会わないが、ロンドンからそれほど遠くないここは、川岸の歩道を歩く人がそこそこ多い。

アーチ橋の下を行く
Walton埠頭と右にパブ
ベンチで一休み
Walton埠頭から少し進むと、右の小高いところに公園がある。ちょっと中に入りベンチで休憩する。ベンチはまだ新しく、花束が添えられている。十分ほどの休憩後、川岸にもどり進む。ボートクラブの前を通り、しばらくまた住宅地区からはなれて進む。公園脇のパブの前をいく。前方からリュックを担いだハイカーとすれ違う。テント泊でテームズ歩道を走破する予定なのか。11時18分、Sunbury Lockという名前が付けられた家屋を見るとすぐに、水門が現れる。水門は二つ並んで、規模も大きい。

大型リュックを担ぐハイカーとすれちがう
Sunbury水門、二つ並んでいる
貯水池の壁、文字が見える
水門から少し行くと、渡し船着場の案内看板がある。週末のみのサービスのようだ。その先、右に高い塀が続き始める。年代物に見える塀にはMETROPORITANANという文字が刻まれている。ここは、ロンドンの水瓶の一部のようで、立ち入りは禁止となっている。塀は長く、20分ほどあるくと終わりになった。その先は、住宅が現れまもなくHurst公園の端部に入ってくる。12時、公園の端住宅の塀の前のベンチで休憩し、昼食をとる。曇り空で、気温は15度、風はないので寒くない。

多くの船が係留中
ベンチで昼食休憩
Hurst公園内を行く
Hurst公園内のモニュメント
20分ほどの休憩後、公園の川岸道を進んでいく。水鳥がたむろする岸辺を過ぎ、12時26分公園を出てその先にMolsey水門が現れる。この水門も大きなものだ。下流からやってきた船が水門に入っていく。水門の下流は、Hampton Courtの橋である。Hampton Court駅を対面に見て、左におれて橋を渡る。

Molsey水門に入る船、向こうにHampton Court橋
水鳥が餌を求め集まってくる
橋を対岸へ渡る
ハンプトン宮殿正門
テームズ歩道は、ここから左岸を進む。しかし歩道から離れ、ハンプトン宮殿方向へ進む。宮殿の前を通り、隣のBushy Parkへと歩く。ハンプトン宮殿を得たヘンリー八世は、そのすぐ隣のこの広大な土地を狩猟の土地として利用した、という。今でも園内にはシカが生息している。ロンドンの皇室公園としては二番目に大きい。Hampton Court Roadの正門から中に入る。

Bushy公園の正門
正門近くから望むDiana噴水
公園内の鹿
児童遊園区
前面にDiana噴水へと一直線の道が伸びる。その左の歩道を進んで噴水の脇へと行く。噴水の周囲を回り、13時半児童公園へと入る。ベンチで休憩する。休憩後、方向を北にとり池へと向かう。当公園は本当に大きい。枯れたシダ類の間を行き、池脇にくる。そこから東に向かって進む。池で釣りを楽しむ人もいる。14時15分、公園東側のHampton Wick門からPark Roadへ出る。正門から入り、約50分近く歩いているが、それでも公園の半分も歩いていない。ハンプトン宮殿も含めぐるりと回ると、10数キロになるので、やはり広大だ。

大樹の下に牡鹿
枯れたシダ草の間を行く
小川のほとりの釣り人
池には水鳥
Hampton Wick門
Kingston橋上から上流方向を望む
公園の塀沿いに進み、Kingston橋を越える。14時半対岸の川岸道におり、今度は上流方向へ歩く。対岸はハンプトン宮殿で、こちら側は住宅地、コーヒーショップなどもあり人通りが多い。河沿いに歩くこと20数分で、河岸を離れ市街地内に入る。公園の地面は落ち葉ですっかり覆われ、秋も深い。15時11分、Surbiton駅に歩きついた。この駅はHampton Court支線やGuildfordへの支線の乗換駅でもある。この時間帯は、まだ非通勤隊時間なのでウォーキング駅まで料金は6ポンド30ペンスであった。15時30分過ぎの電車でウォーキングへ帰った。

Kingston橋
テームズ歩道は対岸を進む
Surbitonの街に入る
Surbiton駅

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晴天の秋の一日で、よいハイキングであった。距離は17.2㎞、約5時間45分の活動時間である。都会に近いこのセクションは、さすがに道の状態もよく、ぬかるみなども少ない。歩く人も多く、脇の公園ではベンチなどがあり休憩にも便利だ。観光でハンプトン宮殿などを訪れた時に、時間に余裕があれば近くのテームズ歩道を歩いてみるのも良いと思う。中心地とは違ったロンドンの一面を体験できる。(下のビデオは別の日に訪れたハロウィーンのハンプトン宮殿内部)


2024-10-20

2024年10月11日 Basingstoke Canal 運河の西端セクションハイキング

運河わきのオディハム城遺跡入口
18世紀末に完工したBasingstoke(ベイジンストーク)運河は、現在滞在しているウォーキングの近くを流れているので、今まで何度がその運河に沿った船曳路ハイキングコースを歩いている。先月半ばには、全長55㎞に及ぶ運河の、ちょうど中ほどを歩いた。その部分は、運河が十数か所の連続する水門で高度を上げる場所だ。この水門群を過ぎると、終点Basingstokeまでの運河の半分近くのセクションは、途中に水門が一か所あるのみで、ほぼ水平である。

運河にかかる跳橋
当初運河の建設にあたり、Basingstoke近くの丘をさけてルートが計画されたが大地主の同意が得られず、丘をトンネル(Greywell Tunnel)で抜けるように変更された。このトンネルは現有するが、中は蝙蝠の保護生息地的な対象になり、廃棄されている。そのため、現在船が運行できるのは、当トンネルの東口までである。トンネルの西側Basingstokeに近い場所は、都市発展に伴い埋め立てられ、現在はUp Natelyまでが残ってる。とはいっても、この2,3㎞の短セクションは、池のようになってしまい、運河という感じはあまりない。今回は、このUp Natelyから東に、トンネルの丘を越えて進み、13世紀に建設されたというOdiham城遺跡の脇を進んだ。最終的には、運河43Kキロポスト付近まで運河沿いに歩いた。運河の両脇は、大部分が牧場の草原や森である。

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運河で出て東に歩く
イギリス滞在も二か月以上過ぎ、晩夏から秋への移り変わりを体験してきた。雨天の日が多くなり、すっきりしない時もある。9月末のハイキング後、天気の良い日もあったが、ちょうどMid Hants保存鉄道の特別活動日で、それを訪れたりしてハイキングはしばらくしていなかった。そうしたことで、また天気が回復した今日、9時少し前に出発する。昨晩も晴れていたので、輔車冷却効果で朝は気温4度である。しかし青空が広がり、気持ちは高まる。

今年歩いた運河三か所の位置関係
電車でHook駅に到着

今日は、鉄道で出発点まで行く。ウォーキング駅を9時18分発のBasingstoke行各駅停車に乗る。この時間帯は各駅停車一時間に二本である。もちろん急行列車も頻繁にあるが、目的地Hookには止まらない。約30分の乗車で5つつめのHook駅に着く。無人駅である。運賃は、11 .1ポンドだ 。

Hook駅から住宅地を抜け進む
送電線際の公衆歩道を行く

駅前は、Tescoがありその前は大きな駐車場となっている。駐車場を横切り、車道を渡って住宅区に入る。運河へは、森や草原そしてM3高速道路を越えた3㎞ほど先まで歩く必要がある。住宅地の端から、森の中の公衆歩道を行き、その先森の中に入る。放牧地の一部になるここは、牛が歩いた足跡などでかなり深い水たまりやぬかるみがある。A30 London Roadに出て少し進み、10時16分Hoggetのパブ脇でまた土の道に入る。この道は、M3高速道路を陸橋で超えていく。橋の上から西方向に、ビルがいくつか見える。Basingstokenoの街だ。

ぬかるみのある放牧地
Hoggetパブ
M3高速道路、遠くのビルはBasingstokeの街
Bridgeway Mansion 左に運河の橋が見える

道なりに進み、右に入る歩道から住宅区に入る。その先右に大きなBridgeway Mansionの邸宅を見ると、10時57分運河についた。運河の左岸に船引道が続く。先に上流方向にしばらく歩いてみる。過去に歩いた同運河のセクションに比べると、ここは船の往来もないので水草も生え、運河というよりは池といった感覚だ。道筋は細く、歩くひとも多くないのか。橋を越えて200mほど進んだところで、折り返し下流方向に歩き始める。

橋の上から運河上流方向を見る、水草が生える
水が流れない運河は池のようだ
新しいベンチ

先ほど運河に降りた橋の下をくぐり、進んでいく。新しいベンチも道脇にあり、道幅も心持広くなる。気温は8度とまだ低い。もう一つ橋をくぐり、11時23分、51Kキロポストを見る。その先まもなく、Greywellトンネルの西側入口がある。その手前には、トンネルの説明板がある。トンネルはしっかり囲いが設けられ、立ち入り禁止となっている。

トンネル前の説明板
封鎖されたトンネル西口
トンネル内の人力移動の写真

元来トンネル内は船曳路はなく、馬など引くことはできない。まだエンジンなどがない時代である。推進には、人が船の上に寝そべり、トンネルを壁を押しながら済んだようだ。説明版には、そうした写真が載せられている。船曳路は、トンネル入り口のすぐ上を通り、この丘を越えていく。上り詰めると草原になり、そこが最高点である。下ってHook Roadに出る。

大木が経つ丘の最高点
丘の草原を下る

Hook Roadの入口
Old Wharf House
Hook Roadから右に曲がって少し下り、Old Wharf Houseの脇を曲がって公衆歩道に入る。トンネル東口の上を越えて左岸の船曳路が始まる。トンネル東口まで運河は航行できるようだが、ここまでやってくる船はほとんどないようだ。トンネルから、広くなった運河沿い道を行くこと約20分、Odiham Castleの遺跡に着く。

トンネル東口
道は広くなったが、運河は水草が生えて船の往来はないようだ
Odiham Castle遺跡
13世紀King Johnによって建設されたこの城(砦)は、今では石積みの壁が残るのみだ。当地Hampshire政府によって保護策などが設けられ、一般に公開されている。城の周辺には堀があったということだが、今は一部が残っている。この位置は、皇室の地ウィンザーと宗教聖地ウィンチェスターとの中間位置にある。遺跡に入り、ぐるっとひと巡りする。時間も12時を少し回り、運河わきの入口のベンチで昼食をとる。

遺跡内部から残っている壁を見る

外部説明

跳橋

12時50分過ぎ、運河沿いに歩き始める。数分進むと、運河をまたぐ跳橋に来る。船が通るときには、この橋が上に跳ね上がる。近くに家屋があるが、ここを過ぎると運河は草原や森など、牧歌的な風景の中を行く。13時22分、橋を見る。そのわきにある説明板には、この付近は現在のような開発が進む前は、Odiham Castleの皇室狩猟公園(Royal Deer Park)で森が広がりその木材は、有名なEton Collegeやロンドン・ウェストミンスターホールの梁に使われたとのことだ。また近くにはローマ時代遺跡も発見されている。

牧歌的な風景が広がる
牛が草をはむ
説明板のある橋
対岸に船が係留
しばらく直線的に進んでいき、車道橋と対岸に船が停泊しているのを見る。13時3分、車道橋に上がり、また運河わきに降りる。ここはもともと埠頭だったようで、運河の幅が広くなっている。その手前は公園で、ピクニックテーブルなどもある。ちょっと休憩する。

公園脇から上流方向を見る
前方にA3道路の橋、左に46Kキロポスト
しばらく直線的にきた運河は、ここから地形にそって曲がっていく。13時45分、A3道路の橋をくぐる。さらに進んで2,3の歩道橋下をくぐる。これらレンガ造の端は、つけられているプレートを見ると運河建設時の1790年代に造られその後手直しされているようだ。切通しのような場所を行き、二つの橋をくぐる。ちょうど船がゆっくりと橋をくぐってやってきた。

古いレンガ橋が前方に現れる
対岸にまた船
1790年築のプレートが橋につけられている

ここの入口から運河を離れる
14時40分、42.5Kキロポストを見る。さらに5分ほど進み運河を離れて、草原の中へと延びる公衆歩道へと入る。草原の道は、運河から離れるように進み、途中別の道と合流する。右に曲がっていき、14時56分 St. Mary's Chuarchの裏に出る。墓石に囲まれた、田舎の小さな教会である。

草原の道を行く
St.Mary's Churchの裏門
前方の鉄道橋前で左折
教会から車道を進み鉄道橋を見て、左にWinchfiled駅わきの住宅地の中を進む。住宅地が切れたところが駅である。当駅も無人駅である。15時9分駅構内に入り、線路を越える橋を渡って反対側のホームへ降りる。駅舎前の自動販売機で切符を購入する。ウォーキングまでは8.4ポンドだ。待つこと13,4分、電車がやってきた。

Winchfileeki駅わきの住宅街を抜ける
Winchfield駅
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Odiham Castle遺跡前の筆者
運河へのアプローチ往復で少し距離があったので、トータルで16.3㎞、5時間半の歩きだった。途中に丘を越えているので、記録では300mほどの累計上昇となっている。終日良い天気で、遺跡なども訪れることができ、よいハイキングができた。秋も進み、広葉樹はその葉が色づき始め、季節の移り変わりを示している。