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2024-09-30

2024年9月28日 Hascombe - Winkworth ハイキング イギリス南部の丘歩き

St. Peter's Church, Hascombe
今月は月初からイギリスでの3回のハイキングをした。それはみな運河にそってのものであった。今回は運河とは関係ない、丘を越えていくルートである。丘といっても、イギリス南部はそれほど高いものはなく、せいぜい200~300m程度のものだが、それでも人口密度がアジアに比べて低い国土上には多くの森林が残され、それらの間を行くので、また台湾や日本でのハイキングとは違う趣がある。もちろん集落など文化建築様式が異なるので、そうしたものもまた魅力である。
Stone Circle
今回は、一週間ほどのすぐれない天気が続いたあとの歩きである。実はこの数日前に天気予報で決めて、一度準備して出かけようとしたが、戸外の雨にやはりくじかれて取りやめた。そしてついに快晴が訪れ、期を決して出かけた。終日天気が良く、気温は低かったが、楽しい歩きができた。ルートは、ギルフォードの南に連なる丘陵地帯の南東側にあるSmithbrookから歩き始めた。Hascombe Hillのふもとにあるストーンサークルを見た後、丘を越えHascombe集落の古いSt. Peter's教会を訪れ、その後Winkworth樹木公園をへて、丘陵の西北にあるCatteshallへと下った。

南から北へ歩く
ロンドンやギルフォードとの位置関係
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34番バスがやってきた
今朝は快晴だ。しかしその分気温も下がり5度である。ハイキング出発点のSmithbrook Kilnsバス停にかよう24番バスは、本数が少ない。特に土曜日の今日は終日で5本だけ、Guildfordを9時35分発のバスを逃すと11時半過ぎまでない。乗り遅れないように、8時半前に滞在地を出る。8時39分に34番バスがやってきた。平日は20分間隔の34番バスも、土曜日は30分間隔、Guildfordでの乗り継ぎに時間があるが、次の便では間に合わないので、仕方がない。

ネット情報で気温は六度
24番バスはほかに乗客一人だけ
34番バスは、9時4分にFrailyバスターミナルに到着。まだ半時間あるが、ターミナルわきのモールがすでに開業しているので、中に入り待つ。時刻表通り9時35分に発車した24番バスは、筆者以外は乗客一人、途中上下車する人が全くなく、15分ほどでSmithbrookへ到着した。
Smithbrook Kilinsバス停の時刻表
Telegraph Hill Road入口

Public Footpath入口
交通量のあるA281国道を少し進み、右にTelegraph Hill Roadにはいる。この道は私有道であるが、Public Bridlewayなので歩行者や乗馬者は通行できる。自動車は制限されているようだ。両側は牧場の舗装道を進んでいく。緩やかな登り勾配の道を行くこと15分、右にPublic Footpath表示のある道が分岐する。

溝のそこに白いチョーク地



雨水流水でかなり彫り込まれ、白いチョーク地が見える道は、すぐに左に家屋を見て分岐に来る。左にとってすぐ右上にテニスコートをみて、森の中に入る。数分で森を抜け、牧草地斜面に入る。高度が上がったので、牧草地からは南に大地が広がっているのを見る。ほぼ水平に斜面を横切り、10時39分右へ登っていく道の分岐に来る。

テニスコート脇を進む

ストーンサークルは前方樹々の後ろ
この近くにストーンサークルがあるはずで、少し南に行く。すると大樹に隠れていたストーンサークルがある。中心に一つ、それを取り囲む18の巨石がサークルを構成する。石は平均で六トンという。有名なストーンヘンジとは違い、ここは1998年から2年の歳月を要し、すべて人力で建てたものである。もちろん古代のそれに倣い、太陽など天空の位置関係を反映しているそうだ。

ストーンサークル
牧草地最上部から見る
ストーンサークルからまた歩道にもどり、牧草地の上までいって森の中の道に入る。Hascombe Hillは古代にその上に砦があり、電信が発明される前19世紀初頭に、ロンドンからポーツマスまでの海軍通信のための目視信号中継所が設けられたところである。先ほど歩いたTehegraph Hillはその当時の名残でもあるようだ。

丘への道、倒木を利用した障害物
方向を変えさらに登っていく
丘の上に上がる道は二、三あるようだが、ゆっくりと上る道をとる。はじめは東に進み、ヘアピンカーブで西へと上っていく。土曜日であることもあるのだろう、二組のハイカーグループと出会う。11時28分、その昔の砦の塀あたりと思われる地点を過ぎ、丘の先端を回り込んで、その先の分岐から左にとって下り始める。11時55分、舗装路にでて下り、右にWhitehouse Pubがある道に出る。

樹木の間から見て、だいぶ登ってきたことがわかる
ここから下る
Whitehouseパブ
パブのすぐ前を行き、分岐から右の道を集落方向へ進む。まもなく左にSt. Peter's教会を見る。典型的なイギリスのいなかの教会だ。建物の周辺は、墓地である。樹木の門をくぐり中に入る。当教会は、その歴史起源は1220年まで遡るという。もちろん、その後拡張や修繕がなされ今日の姿がある。内装はとても立派である。外に出て建物わきの椅子で腰掛け、昼食をとる。時刻は12時を20分回ったところだ。

聖ピーター教会
主礼拝堂内
サイド礼拝堂の祭壇
小池の公園、右に教会の塔が見える
12時40分、次の目的地向かって歩き始める。教会をでて左に進み、小さな池の公園脇から細い道に入る。二軒のCottageを通り過ぎ、道は細い土の道になり、牧場のヘリを進む。しばらくの雨で土の路面はかなり水たまりがある。Winkworth樹木公園へまでは、B2130国道などがあるが車通りが少ない道を行きたい。そこで地図で見て、公衆歩道を行く。地図では本来そこから左に折れて進む道があるが、その分岐には私有地、アクセスお断りの表示がある。そこで、やってきた道を戻り、B2130国道へと出る。

Cottageの脇を行く
ぬかった道と背後の牧場
B2130国道から右にThorncombe Roadへ入る
国道を500mほど進み、右にThorncombe Streetを下る。下りきって谷間の道を行き、‘13時25分左に樹木公園に入る。休日の今日は多くの家族ずれなどで、公園には多くの人が訪れている。池脇の草地を巡る道を行く。草地にはとても大きなキノコがいくつか生えているのが珍しい。公園は池の対岸にも多くの遊歩道があるが、そちらにはいかず15分ほどで、またThorncombe Streetに戻る。

National Trustの入口標識
Winkworth樹木公園内
公園の草地に生える大きなキノコ
Philmore Cottage
さらに進んで、左に公衆歩道へと入る。最奥のPhilmore Cottageの建物をみて、また牧草地に入る。牧草地の斜面を登り、また森の中に入る。森の中の道は、台湾の山道を思い出させる。14時4分、登りきったところで右に牧草地を見る。白馬がその端までやってきて筆者を見ている。

山道のような歩道

白馬がこちらを見ている
塀の間から車道に出る
いったん舗装路にでて、対面の道に入る。歩道は左に長い塀の脇を行き、Munstead Heath Roadを渡ってまた公衆歩道を行く。ここからはずっとくだりだ。左に羊が放牧されている谷間の長細い放牧地の脇を行き、Catteshall農場入口わきで車道にでる。下りきるとCatteshallの住宅地に入る。14時47分、Catteshall Laneのバス停について、2,3分で72番バスがやってきた。休日午後でにぎわうGuildfordで乗り継ぎ、帰宅した。



塀の間の公衆歩道
左の牧場を見て下る
72番バスがやってきた

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St. Peter's Church入口の筆者
GPSの記録は距離12.5㎞、累計上昇312m、下降334mである。休憩込みの活動時間約5時間だ。天気も良く、程よい上り下りでよいハイキングであった、イギリス滞在予定はあと一か月、秋が深まっていく中のロンドン郊外でのハイキングを続けていくつもりだ。

2024-09-26

2024年9月20日 Basingstoke Canal: Brookwood - Mytchett 間を歩く

運河第27番水門を出て下る船
イギリス滞在中は大体一週間に一回の頻度でハイキングをしている。先週に続き、今回も運河と近くの丘を巡る歩きだ。今回のBasingstoke(ベイジンストーク)運河は、今までウォーキング付近の部分は歩いている。去年にも、そして今年9月にも訪れているが、全長50キロに及ぶ運河はまだ未踏の部分が多い。そこで今回は上流方向に歩き、当運河の公立維持管理組織センターまで行った後、その後方にある丘を横切り運河に戻って、出発点まで帰った。

東から反時計回りに巡る
当運河については、以前も一度説明しているが、1794年に完成したWey Navigation運河にウォーキング近くで合流して、それを利用してテームズ河へ、さらにロンドンへとつながる。ハンプシャーの農業製品や木材などを市場に出すために企画建設された。自然の河川であるWey Riverをもとに、水門や一部新設運河などで形成するNavigationとは違い、当運河は全部人工である。商業的にはあまり成功はしなかったようが、廃棄された後ボランティアによって1970年代復活され、その後この運河があるハンプシャー州とサリー州政府とにより、維持管理組織が設けられ今に至っている。運河の終点Basingstokeの近くには、運河のトンネルがある。不通になっているので、現在の運河はトンネルの前までが航行可能である。

今月3回の運河沿い歩きの位置関係
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ウォーキング駅のバス停から28番バスに乗車
8時半、滞在場所を出発する。歩いてウォーキング駅わきのバス乗り場へ向かう。空は曇り空。天気予報では、午後には太陽が顔を出すという。8時55分発の28番バスに乗車する。このバスは平日のみの運行で一時間に一本の頻度である。バスは、鉄道に並行する形で西に向かい、鉄道線路の両脇にある住宅地を抜けていく。35分ほどの乗車で、Brookwood Archバス停で下車する。

第15番水門
15番水門脇の13.5Kmキロポスト
当バス停から運河はすぐだ。運河を渡る橋のすぐわきには第15番水門がある。運河右岸の船引道は広く良い道だ。ここはWey Navigationとの合流点起算で13.5㎞である。近くにキロポストが取り付けられている。この15番水門から28番水門までは次々と設けられ、高度上げていく。一連の水門はDeepcut Flightとして総称される。Deepcutは、その名の通り丘を切り開いてできた切通しの部分であり、一連の水門の上にある。

運河わきの軍隊基地関連の説明
運河にかかる歩道橋
16番と17番水門との間に横切る橋がある。道を行く自転車、マラソン、あるいは散歩する人とすれ違う。この一帯の運河両脇は、イギリス軍隊の訓練などのための土地である。時々遠くから銃声が聞こえる。20番水門まではほぼ直線に進んでいく。左に並行する鉄道線路は、もともとかなり高い土盛上であったが、次第に高度をさげ25番水門付近ではほぼ同じ高さだ。それだけ運河は高度を上げてきている。


18番水門の脇を行く散歩の人々
第25番水門、帰路ここへ戻る、橋の右側は軍事基地

第26水門

運河は右に曲がっていき26番水門に来る。ここではちょうど上流からやってきた船が下の水門を出てくるところに遭遇した。釣り人も運河に糸を垂れている。また上流側の水門では、作業者が水面にたまっている落ち葉や雑草を書き上げている。

水門で作業中
第28水門脇の休憩所
10時39分、第28番水門につく。対岸にはピクニック木製机が二つ置かれた小休憩所がある。対岸に渡り、腰掛けて一息つく。歩き始めて約1時間だ。距離はここまでで3㎞ほど、この間で約40mの高度を稼いでいる。勾配は1.3%相当となる。運河なので、もちろん各水門間は水平である。天気は相変わらず曇りだが、休むことなく歩いてきたので熱くなり、衣服を調整する。今日は気温は20度ぐらいだ。

第28水門を上流側から見る、水門の脇にDeepcut Flight表示
Deepcut橋から見る切通セクション
28番水門から先の運河の両脇は、斜面が迫ってくる。切通し(Deepcut)セクションの始まりである。途中で上を横切るDeepcut橋をくぐる。11時8分、18㎞のキロポストを見ると、そろそろ切通しが終わり、両側に家屋が現れてくる。その先運河は大きく左に曲がり、方向を南へと進む。鉄道線路の上を運河は橋で超える。

切通が終わり住居地区に入る
Guildford橋の標識
1790年に架設されたGuildfor Bridgeを超え、船曳路は左岸へと渡る。この一帯はFrimley公園である。かなり大きな公園で、一部にはミニチュア鉄道がつくられいる。特定の休日に運行されるようだ。魚釣りをしている釣り人の脇を通り、11時35分に運河わきベンチで昼食をとる。遠くで雷が聞こえてきた。

Frimleyミニチュア鉄道の駅
運河わきの道を進む
強い雨が降ってきた
雨が降るといけないので、食事を早々に済ませ歩き始める。歩き始めてまもなく、かなり強い雨が降り始めた。傘を差しちょっと木の下で立ち止まる。地図で見ると、2、300m先には運河管理センターがある。そこで、雨の中を進む。数分歩くと、対岸に管理センターがある。橋を渡り、センター建物内に入る。ここは、ビジターセンターでもあり、中には資料が展示されている。しばらく雨宿りをする。

対岸が運河管理センター
管理センター入口内部
センター家屋外観
保護地区入口
30数分経つと雨が止んだ。外に出てみると、空はまだ雲が厚いが雨は降らないようだ。雷雨雲は東から西へと移動している。センターの裏側を行くと、その後ろに自然保護・軍事訓練区の丘が広がる。軍事訓練に供されるが、このエリアは一般にも公開されているので、立ち入り歩くことができる。またそのような目的のため、大きな樹木が生える自然区になっている。

丘を越えて進む
簡易トイレもある丘の上
丘を登っていく。道が縦横に走り、地図がないと迷うかもしれない。方向を見定め、丘を越えていく。移動式トイレなども設けられている。一時雨宿りなどのための、簡易屋根の小屋もある。天気も回復し、青空もでてきた。先ほどの大雨のためか、くぼみはかなり水が溜まっているところもある。一番高いところでも登り始めてからの高度差は50mぐらいである。

簡易家屋
森の中はまだぬかるみが残る
上り下りのある道を進んでいく。だいぶ自然保護区の東端に近づいたところで、前方から声がきこえてくる。兵士たちが隊列を組んで訓練中である。その方向に行く間に、去っていった。13時36分、鉄道線路をくぐる橋の前にでて、方向を変え線路にそって進む。入口の門を出て、そこそこ往来のあるGapemouth Roadからまた車両通行禁止の道に入る。線路をまたぐ橋の向こうは第25番水門である。運河に戻ってきた。

訓練中の兵士
軍隊訓練区の入口
第25水門近くの橋から過ぎ去る列車を見る
第25番水門へ戻る
運河沿いの道を出発点へと歩く。28番バスは、一時間に一回の頻度である。乗り遅れるとかなり待たなければいけない。次のバスは 14時30分過ぎ、まだ45分ほどある。道のりは3㎞強なので、十分行けそうだ。今度は水門を左側に次々と見ながら進み、14時12分に15番水門の入口に戻った。

第15水門へ戻った
28番バスがやってきた
Brookwood方向へConnaght Roadを歩く。対面の朝下車したBrookwood Archのバス停のこちら側にはバス停表示がない。さらに東に向かって進む。14時15分、バス停に着き、ハイキングを終えた。約20分ほど待ち、28番バスがやってきた。





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運河で優雅に泳ぐ白鳥
歩行距離約14㎞、4時間40分である。今回は運河だけでなく、丘を越えたので登攀も累計で338mとの記録になっている。運河は、住居近くを行くセクションでもでもひっそりとしていて、また森の中などを突っ切っていくので、自然がかなり残るハイキングルートである。台湾や日本ではほぼ見かけない種類のルートでもあるので、面白い。