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2025-02-27

2025年2月25日 樟之細路大湖西線後半 十份崠老茶亭~出關古道(十份崠古道)~薑麻園~關刀山~鯉魚潭

薑麻園瞭望台から望む關刀山
四日前に、大湖を訪れ樟之細路大湖西線の前半を歩いた。当日は東北季節風で寒く、また天気も曇りであり、高度が高いところは濃霧の中であった。今回は、残りの後半部分を好天気のもと歩いた。温度も相対的に高く、気分的に楽で前半とは対照的だった。樟之細路大湖西線については、前半記事中に記載しているので、繰り返さない。今回のルートは、RSA49から51のセクションである。

引き続き北から南へ歩く
前半(赤)後半(青)
@關刀山山頂
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三台のタクシー
前回同様、大湖からの出発である。アクセスも同じで、自強号急行列車と5656番バスは同じだ。同一時刻に家を出て同じMRTに乗ると、何か通勤しているような錯覚が起きる。毎日の通勤は、もう十数年前の話だが。10時少し前に大湖公所前バス停に到着する。予約していた三台のタクシーが待っていた。今回は都合11名である。

目的地の峠が見えてきた


はじめに、西線前半(RSA48)終了点である十份崠老茶亭へタクシーで向かう。前回は歩いて苗60県道を下ったが、これを登り返すとおそらく1時間半から2時間はかかるだろう。すでに出発が遅いので、時間節約も今回タクシー利用の理由だ。一台500元である。台三線の南湖から苗60‐1と60県道を登ること、10数分で峠の十份崠老茶亭についた。

十份崠老茶亭の峠についた
出關古道の説明板
支度をして10時半過ぎに歩き始める。すぐ右側に出關古道の看板がある。前半の部分とちがいこちらは多くのハイカーが歩く道である。舗装路を登っていき、尾根上にでる。おとぎ話にでも出てきそうな、白い塀で囲まれ、フロントポーチのある一軒家が建っている。周りの桜も満開で、晴れた空のもと実に美しい。個人の別荘だろう。さらに道を登っていくと、十份崠涼亭につく。古道の説明看板もある。

山の上の別荘
十份崠涼亭
山道入口
さらに急坂の道を行く。10時58分、出關歩道の文字が刻まれた石のわきから始まる階段道入口についた。ここから山道歩きである。道脇は開墾されて開けているので、振り返ると前回超えてきた山並みや、その右下方谷間には大湖の街が望める。ただ、今日は晴れだが遠くはぼんやりしている。春のおぼろ、ということなのだろう。急な坂道が終わり、前方には東波肉岩と称される大岩がある。東波肉とは、中国宋朝時代の有名な詩人蘇東坡が好んだ豚肉脂身角煮のことである。

登り途中から見る、遠く谷間に大湖の街
東坡肉岩
桟道を下る
稜線上の道は、小さな起伏が続く稜線を忠実に追っていく。かなり急な坂で、階段や桟橋などが設けられている。木製階段は、腐食しているものもあるが、おおむねよい状態だ。また、里程石が200mごとに取り付けられている。樟之細路の里程表示もあるが、数字が少しずれている。急坂を登り返し11時22分、今日の第一座鹿仔望峰(標高796m)についた。途中で、逆方向に歩くハイカーとすれ違った。前回の前半セクションは全く出会わなかったが、平日でもこのルートは人気ルートだ。

稜線上の起伏を超えていく
登り返し

鹿仔望峰山頂

稜線上の水タンク
山道は、さらに小さな起伏を超えていく。こうした上り下りは、気持ちが滅入るので足も疲れを感じる。廃棄された小屋や、大きな廃棄水槽が道脇にある。11時48分、稜線が広くなってきた小山の上で小休憩をする。竹林を下ると、開墾地に近づいたので、樹木が少なく開けてきた。道が少し平らになり、廃棄された小屋とその脇に十份崠古道の文字が刻まれた石を見ると、新百二份山(薑壽凸山)への上りが始まる。約100mほどの落差だ。美しい竹林を抜け、12時18分大きな石とコンクリの台座が設けられた、山頂(標高847m)に登りついた。

階段を下る、下に 1.8K里程石
竹林から出る
尾根幅が広がった
十份崠古道の石と背後の廃棄小屋
新百二分山への登り
新百二分山山頂
コンクリ階段石の下り
薑麻園はあと少しだ。コンクリ階段石の道を下り、また土の道を進む。道幅も広くなり、観光地が近いことを感じる。公園の中の散策道のような分岐も現れる。12時39分、高くそびえる瞭望台に到着する。最上階に上がってみる。360度の視界があるが、遠くの雪山山脈などは霞の中で判別できない。説明板の写真で見るしかない。のちに歩いていく關刀山や、少し離れているが火炎山三員縱走の山並みなどは判別できる。下って塔の下で昼食をとる。

薑麻園近くの分岐
瞭望台
遠くはかすんでいる
苗130県道に出る
13時25分、瞭望台をあとに下る。關刀山登山口までの道は、二、三あるが一旦苗130県道の薑麻園遊客中心へとでる。道路を少し西側に行き、駐車場の先から入る。角に説明表示があるが、文字が薄れて判読できない。少し下っていくと、出關古道の説明板があり、山道が始まる。筆者は、数年前に關刀山を訪れている。その時は登頂後往路を戻った。

樟之細路の表示と説明板、右の山は關刀山
古道説明板
最低鞍部に降りる
山道は、一度大きく下る。すでに登頂して帰路上のグループや小人数パーティとすれ違う。この山も人気ルートである。最近の雨で、道はけっこうぬかっているところがある。道脇には、自然工法によるボランティアの山道整備の説明板がある。下り切った鞍部から、落差200m弱の上りが始まる。はじめはかなり急な坂をジグザグに登り、尾根に上がった後稜線を追っていく。稜線上もそれなりの上り下りがある。15時少し前、山頂(889m)に登りついた。

急坂を登り返す
路面は結構ぬかっている
關刀山山頂
2016年の山頂
山頂はかなり広く、数年前登頂時に比べて整備されている。三角点は同じだが、国旗や地震に関する説明石碑などが新しく据えられている。山頂端部から、薑麻園方向を望む。すでにかなり遠い。15時18分、山頂をあとに下り始める。石段の急坂が続く。右に關刀山西北峰やさらに下って勝興駅へと下る道を分岐する。山道は数分で終了する。出口には、やはり古道の説明板がある。

別角度からの山頂
關刀山西北峰(右)への分岐
山道出口
苗56県道出口
舗装された道を下っていく。15時38分、苗56県道上の十字路に出る。樟之細路RSA50セクションは、ここで終了しRSA51が始まる。左は大湖、右は三義方向、そして直進する道が鯉魚潭へと下っていく新鯉農路である。これから長い下り道だ。下っていくと、ミツバチの箱が置かれた場所や、農作業中の老夫婦を通り過ぎる。遠くに鯉魚潭ダムの湖水が見え始める。

農作業中のわきを下る
鯉魚潭ダム湖面が見えた
果樹園のわきを下る
道はほぼ平らになるあたりでダムを望む
最後の上り坂
16時半ごろになると、道幅が広がり勾配もほぼなくなる。ダムに沿った道を進んでいく。17時10分ごろに、迎えのタクシーを台三線公路の交差点で待ち合わせだ。計画時には、時間が早ければそのまま卓蘭へと行くことを考えたが、この時間ではちょっと難しいので、タクシーで大湖へ戻ることにした。最後の少しの登り返しがつらい。下って回り込み、橋を越えて17時10分に到着した。間もなくタクシーがやってきて、大湖に戻り前回と同じ17時50分発のバスで苗栗駅へ、そして今回は18時50分発の自強號にぎりぎり間に合い、帰京した。

遠くに關刀山
迎えのタクシーで大湖に戻る
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關刀山山頂の筆者
大湖西線前半に比べると、距離や登攀高度は少ない。それぞれ、15.3㎞、780mである。一方下りは1000m近くと、そこそこ多い。山道が全体のうちの約4割ほどで、こちらは前よりも多い。休憩込み行動時間6時間40分、コース定数25である。

ちなみに大湖という地名は、大きな湖があるかのようだが、実は湖などはない。この湖は、台湾の地名でよく使われる平たい場所を表す。つまりは、谷間の平地、他と比べて大きな盆地ということだ。

2025-02-24

2025年2月21日 樟之細路大湖西線前半 法雲寺~十份崠老茶亭

RSA48 法雲禪寺→十份崠老茶亭セクション表示
樟之細路は、桃園市龍潭から台中市東勢までの230㎞に及ぶ長距離トレールである。筆者は、3年前に全行程を歩き終えている。実は、苗栗縣大湖の前後で樟之細路は二つのルートに別れ、また合わさって一本になっている。筆者は、この二つのルートのうちの老官道を含む東線を経由して歩いた。もう一つのルートは、大湖の谷間西側の稜線上を行くもので、出關古道や小百岳關刀山を越えていく。今回の山行は、当西線を歩くものである。西線は、樟之細路のルートセクション番号でいくと、RSA48~51が相当する。この四セクションで合計32㎞になる。32㎞を一日で歩くことは不可能ではないが、台北からの往復交通の時間と、またその出発と終点までの交通機関からのアクセスを考えると、まず無理である。そこで、西線を二つに分け、二度訪れることで歩くことにした。今回は、その前半である。

北から南へ縦走
前半の行程は、3年前に歩いた出雲古道(RSA47)との分岐である法雲禪寺から、十份崠老茶亭までである。そして、そこまでのアクセスとして台三線公路上の法雲禪寺バス停から歩き、また十份崠からは苗60県道を大湖へと徒歩で下った。それぞれは、当然距離があるので、全体として20.5㎞ほどの行程となった。また、途上かなりの上下があり、登攀も都合で1100mほどとそこそこの登山となっている。樟之細路には含まれないが、ルートの近くにある二座、雞隆山(727m)、黃麻園山(653m)をついでに訪れた。山桜がちょうど開花時期で、満開の桜を多く見た。またスモモ(李子)畑では、白い花が満開であった。寒風が吹く曇りの天気とは裏腹に春の訪れを告げていた。

樟之細路全行程と大湖東∕西線の位置
法雲禪寺山門(Gさん撮影)
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5656番バスを下車
苗栗縣大湖は、谷あいにある街である。台湾を縦貫する非高速道路幹線である台三線公路を経由すると台北から130数キロである。高速道路経由で行っても2時間以上かかる。つまりは、そこそこ遠い。今回は、公共交通機関でのアクセスで、台北駅を7時発の自強号急行で出発する。苗栗駅で5656番バスに乗り換え、出発点の法雲禪寺バス停には10時少し前に到着した。約3時間である。バスの乗り換えに20分ほど要したので、実質は2時間40分である。

道路わきは観光イチゴ園、前方に法雲寺山門
彼岸吊橋
東北季節風が訪れたので、台北出発時は雨、ここまで南下してもすっきりしない。バスを降りると曇り空。昨晩は雨だったようだ。道脇はイチゴ畑、大湖はイチゴの産地である。法雲寺山門をくぐる。彼岸橋と名付けられた吊橋を渡り、山上のお寺へ坂道を登り始める。九十九折の車道に対し、近道の階段がある。そのあとは、道なりに登っていく。3年前にくぐった山門を通り、10時半前に法雲寺の境内についた。

法雲寺へ登る
法雲寺下のRSA47と52の接点表示
前回訪問時と同じに桜が満開だ。ただ空は曇り空、近くに見える玉女山は少し雲がかかっている。境内を通り過ぎ、山道を進む。その先に分岐がある。案内板には法雲寺古道とあるが、別名出雲古道である。出雲は日本人には「いずも」だが、麓の出礦坑と法雲寺の文字を合わせたものだ。三年前は右の道からやってきた。今日は、左にとって樟之細路RSA48セクションを歩く。

山門
玉女山は雲をかぶっている


桜が満開

出雲古道との分岐
法雲寺
道は未舗装だが広い。山腹を進み、少しのぼっていくと10時58分玉女山への登山口に来る。今日は先が長いので、そのまま進む。その先の分岐で左にとりさらに高度を上げていく。先に送電鉄塔がある前に、左に尾根を登っていく細い道がある。樟之細路のプレートとロープが取り付けられている。細くなった道を登る。送電鉄塔脇を過ぎると道は緩やかになり、また別の鉄塔をくぐると道は広くなる。あたりの霧は濃くなった。道も少しぬかるみがある。

玉女山の分岐部

細い山道に入る
鉄塔脇を進む


もう一つの鉄塔をくぐる

ぬかるみと左の標識

この道は送電線の保線路である。ところどころにある樟之細路標識を確認し、最後の鉄塔から歩を進めること約25分で、道は下り始める。11時56分、土の道はコンクリ舗装に換わる。分岐の部分で数本の桜が満開だ。道が平らで乾いているので、食事休憩をとる。

桜の下で食事休憩
龍潭起点から140㎞の表示
約30分の休憩後、先を急ぐ。今日の行程の三分の一もまだ来ていない。急な坂道を下っていく。先ほどはほぼ稜線上を歩いてきたが、谷に下る。稜線はずっと南下するが、稜線上を行く道がないのだ。桜がちょうど満開で、すでに散った花が道を赤く染める。ゲートを通り、さらに下っていく。イチゴ畑や人家が現れ、12時56分銘忠橋と表示の橋で沢を渡り、登り返しが始まる。上部まで標高差250メートルである。


檳榔園のわきを下る


民家とわきのイチゴ畑

橋を渡り上りが始まる
ガス田のわきを行く
ほとんど車の往来のない道を登っていく。谷間を進み、方向を変えると左に天然ガスの採取場所を過ぎる。出礦坑は、台湾で初めての石油ガス田であるが、同じ地層なのでここでもガスが採れるのだろう。道をさらに登り、13時33分峠部分につく。登ってくるメンバー全員を待ち、下っていく。左に大きなスモモ畑の斜面が広がり、白い花が咲き誇っている。その先の分岐で左に大きく曲がり、山腹の道を追っていく。

スモモの白い花が一面に咲く
左の道から鋭角に分岐を曲がる
山腹の道を進む
分岐とトレール標識
霧の境界はおそらく標高530mぐらいのあたりのようだ。割合と平坦な道が終わり、勾配を登り始めると霧が濃くなってきた。2,3の分岐を過ぎ進む。分岐には、樟之細路標識がある。小さいのでちょっと気を付ける必要があるが。14時26分、濃霧の中の福勇祠土地公の前を過ぎる。さらに登って道脇の石頭公を過ぎ、間もなく左に雞隆山への道が分岐する。

霧の中の福勇祠
石頭公
作業小屋
草や枯れ枝が覆う道を登り、右に作業小屋を見る。その先は、背丈より高いカヤが一面に繁り、道がわからない。今日は鎌を持っていない。ほとんど訪れる人のない不人気山は、道が完全にふさがっている。草をかき分け登ってみる。石積みの段があるので、以前は農地だったのだろうが、放棄されカヤに占領された。20分ほど見当をつけて藪漕ぎするが、地図上では山頂まで数十メートルある。時刻はすでに15時近く、20メートルほどの落差で20分のペースだとかなり時間を要するので、登頂をあきらめ引き返す。

藪漕ぎ

この地点で引き返す

登山口に藍腹
道脇の老犬
舗装路に戻る。ちょうどオスの藍腹鷴が出口近くで歩いている。近づくと、やはり逃げてしまった。さらに少し登り、ガス田のわきを行く。その先分岐で、一匹年老いた台湾犬が寒空にたたずんでいる。霧の中に赤い寒緋桜が浮かぶ。その先の民家で、樟之細路は右に曲がるようだったが、気づかずそのまま直進する。霧が薄くなり遠くが見える。農夫がショウガ畑で収穫中だ。こうした風景も、実は樟之細路歩きの一コマだ。先ほどの雞隆山が雲をかぶって、向こうに立つ。少しの上り下りを行き、16時樟之細路に再度出る。

霧中の桜

ショウガ畑
雲をかぶる雞隆山
高度が下がり霧のない景色が広がる
トレールの分岐に合流
分岐を右にとり、坂を登る。イチゴ畑を過ぎ、民家のすぐ先で左に道をとる。地元民がバイクでやってきてその先道はないというが、行ってみると右に黃麻園山への道がづづいている。当座も不人気山である。それでもところどころにマーカーが残っている。道は竹林に入り、水槽を左に見て少し登る。竹林が切れ雑木林に入り、16時20分黃麻園山山頂についた。霧の森の山頂は、そこそこに往路を戻る
竹林を進む


黃麻園山山頂の筆者
分岐へ戻る
分岐で待っていた4名と合流し、さらに下る。16時50分、樟之細路RSA48の最終点十份崠老茶亭についた。今回の西線前半はこれで終了だ。小休憩のあと、苗60県道を下り始める。残りは4キロほどだ。下って谷が開けると、イチゴ畑が現れる。その先苗60県道7Kの地点で分岐を左にとる。道はまた少し上り坂だ。峠を越え、急な坂を下り、17時35分台三線公路に出る。さすがに主要幹線なので、車両の往来は多い。北に向かって進み、17時47分大湖鄉公所バス停にたどり着いた。

十份崠老茶亭
大湖へ下り始める
苗60県道7K地点の分岐
途上の標識



大湖街の入口、左遠くの稜線を歩いた

苗栗駅で19:30発自強號にて帰京
待つこと数分で、5656番バスがやってきた。乗車すると間もなく日が暮れ、約55分ほどで苗栗駅に着く。多くのメンバーは少し遅れ気味の自強号急行へと急ぐ。筆者は、そのあとの19時30分発の自強号急行で帰京した。




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スモモの花
アクセスが遠いので、歩き始めが10時と遅い。距離は20.5㎞である。RSA48セクションは13.4㎞なので、前後のアクセスで約7㎞ということになる。ただ、道の状態は悪くなく、法雲寺からの3㎞強ぐらいが土の道で、その他は舗装路である。そのため、歩行速度も速く、休憩込みで7時間45分(平均速度2.6㎞)で歩き終えている。普通の山道では頑張っても2㎞なので、距離は稼げる。累計登攀1170m、下降1140m、コース定数は33となる。


西線前半は完了したので、近いうちにまた後半を歩くつもりだ。暑い時期にはこのようなルートは大変だからだ。