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2020-04-21

2020年4月19日 虎加龍縱走 虎山-加里山-騰龍山 2000m登坂の長時間縦走

下り道から夕陽に佇む加里山への尾根上 2054峰(左)と虎山を遠望する
台灣富士と呼ばれる小百岳加里山は、苗栗縣の名山である。今までに二回登っているが、北側からと東側からの登頂だった。西側の大坪からの登山道もあるが、南側からのルートが一番長く高度差も大きい。加里山から南西に延びる稜線は、杜鵑嶺を越えた後、緩やかに下り 2054峰で西と南に稜線を分ける。南の稜線上には虎山が、西の稜線上には騰龍山(橫龍山北峰)がある。今回の歩きは、南側の虎山の稜線から登り、 2054峰から加里山を往復、その後騰龍山の稜線を下って、ぐるっと回遊する歩きだ。

東側の駐車場から時計回りに回遊
歩行高度
橫龍山の稜線上には橫龍古道が行く。この古道の前身は、タイヤル族部落間の連絡路であり、その後日本統治時代の隘勇線である。タイヤル族は、北部の主要原住民でその勇猛なことが知られていた。現在は台中市に属する北港溪の始祖地から台湾北部山地の各地に散開していったとされる。加里山の麓の部落と、汶水溪の部落との間をつなぐ道があった。日本統治時代 1908年には、理蕃政策のもとタイヤル族の反抗を抑えるために、隘勇線が橫龍山稜上に設けられる。そして隘勇線の人員が駐在する監督所なども設けられた。古道上に残る石段は、この時期に設けられたのだろう。今は、地元政府によって橫龍古道として整備されている。
橫龍古道に残る隘勇線監督所遺跡(周りの石壁)
まだ暗い中を出発、前方に尖った虎山が頭をみせる
前日の洗水山は、ウォームアップ的な登山であった。今日の登山は、今回のメインイベントである。3時半前に起床、簡単に朝食をすませ4時半には出発する。5時に泰安溫泉の駐車場に到着する。夜明け前でまだ暗い。支度をして5時7分にヘッドランプを点け、歩きはじめる。汶水溪を挟んで前方左には尖った虎山が頭を出している。三日月がまだ空に掛かっている。少し空が白んできた5時19分、水雲吊橋に着く。橋を渡りすぐに階段道が始まる。

水雲吊橋
最初の階段道
5分ほどで階段道が終わり、虎山救助標識1号の標識を見る。この標識は主要なルートに取り付けられていて、ここは虎山山頂まで番号が増えていく。森の中はまだ薄暗いが、ヘッドラップはいらない。5時55分、第4号標識のところで休憩をとる。道は山腹を緩やかな勾配で横切っていく。6時半第7号標識を通り過ぎ、勾配がきつくなる。ロープセクションも出てくる。6時48分、ちょっと平らな場所に来る。景觀平台と書かれた板が取り付けられている。標高1198mと記してある。虎山頂上まで残り約300mだ。休憩をとる。

森の中を登る
8番救助標識脇の急坂を登る
展望台で休憩
急坂が続く
急な坂が続く。7時42分、最後の登りが終わり尾根上の分岐に着く。左が虎山山頂だ。3,4分尾根上の道を行く。虎山山頂(標高1492m)の三角点と標識が現れる。今日の第一目的地到着だ。山頂の一部は樹木がなく、南方向が展望ができる。すぐ手前には汶水溪対岸の上島山の特徴ある山頂が、そのちょうど後方には昨日登った洗水山の平たい山頂が望める。

虎山山頂直前の尾根道
虎山山頂のメンバー
分岐部、右が登山口、ここは直進
尾根上の小さな上り下りがつづく
約20分ほどの休憩後、往路を戻り分岐を直進する。加里山から下ってくる尾根上を進む。ここから先は、虎山ほど歩かれていないので、道筋は明らかに差がある。マーカーリボンは、適宜あるので落ち葉が隠す道筋も、問題がない。尾根上の小さなこぶを越していく比較的平らなセクションが終わると、坂は急になる。8時42分、左に虎山西南峰を経由して下る道を分ける。ただこちらの道はテープでふさがれている。経験のない登山者が入らないようにとの対応なのだろうか。

虎山西南峰への分岐、右の道がふさがれている
大石の間を登る
尾根にしがみつく樹木に道標
雑木林の中を登っていく。9時、少し開けた場所で休憩する。かなり太く高い樹木も現れる。休憩後少し行くと、巨石がごろごろする場所を通過、ロープのある急坂を登りきると、狭い尾根上を行く。やせた土地にしがみつくように根をはった樹木には、虎山まで90分と記された20年近く前の道しるべた取り付けられている。9時50分、再度休憩をとり、2054峰近くの分岐に向け、最後の登りを行く。10時7分、フライシートが残る平らな場所を過ぎ、道脇にはヤタケが現れ始める。高度がだいぶ上がってきた。10時35分、橫龍山への分岐部に着く。
ヤタケの間を登る
尾根上の分岐点
尾根上を杜鵑嶺へ向かう
ここから加里山へは往復するので、メンバーの一人は登らずここで待つ。加里山への尾根上の道は、上り下りの3,4カ所小ピークが現れる。10時52分、休憩をとりさらに尾根上をすすむ。風がけっこう強く吹き抜けていく。最後に大きく登り、11時半、杜鵑嶺につく。その名のように、ちょうどツツジが咲いている。このピークから先は、大坪から比較的楽に登ってくる道が合わさり、人気ルートなので、登山者が多くなる。面識のある登山者にも出会う。

樂山から北坑山,東洗水山へと続く山並みを望む
杜鵑嶺のツツジ
先にツツジの灌木の間を下る。右が開けて、周囲の山々が望める。山頂に軍事レーダー施設を頂く樂山(鹿場大山)から北坑山、東洗水山への山並みが続く。手前の谷は深い。加里山へは遠くないが、上り下りが繰り返しあり面倒だ。11時44分、岩場の登りの前で食事休憩をとる。行きかう登山者の数をみると、加里山山頂はかなりの人出があることが予想される。人ごみを避けて先に食事をとる。

加里山山頂へ向けて登る
仙山の山並みを西側に見る
加里山山頂にて
12時10分、加里山への最後のセクションを歩きはじめる。標高差は100メートルと少しだ。樹林から抜けてヤタケの道に出ると日差しが強く感じる。左(西)側の展望が開ける。こちらは低い山並みが続いている。以前登った仙山を含む山並みだ。12時40分、筆者にとって三度目の加里山山頂(標高2220m)に到着する。思ったように狭い山頂は大勢の登山者で踏み場もないぐらいだ。最近の武漢肺炎のため、休日には戸外活動が活発になっているようだが、ここもその結果になっている。密接接触は避けたほうが良いので、写真を写し早々に山頂を後にする。

加里山山頂より樂山から洗水山の山並みを見える、右の尾根上途中のコブは虎山
杜鵑嶺を望む
加里山から下る
往路を杜鵑嶺へ、さらに小ピークを越えて14時12分、2054峰分岐に着く。分岐で小休憩中に、虎山へと下るパーティが通り過ぎる。加里山付近を除き、このルートで出会った唯一の登山者だ。2054峰の印を見てすぐに急な下り道が始まる。何段かの岩壁セクションを下り、数十メートルの高度が下がる。全員が難所を通過するのを待ち、また下っていく。坂は次第に緩くなり、そのうちほぼ平らに尾根上を進んでいく。15時35分、雑木林から杉人造林に換わる。少し登りが始まり、15時51分橫龍古道救援標識5号のサインがある分岐に来る。左に折れ騰龍山(橫龍山北峰、標高1655m)に着く。今日最後のピークだ。
2054峰下の岩壁を下る
杉林の中を行く
騰龍山山頂にて
南側が開けている山頂からは、これから下っていく方向の尾根と、谷を挟んだ対岸の山々が見える。すぐ近くには朝登った虎山、そしてそれから2054峰へと登っていく尾根も見える。先ほどの分岐に戻り下る。しかしこの道は、大湳林道へと下るものであることに気づき、道を折り返す。地図上に大湳林道への道の表示がなく、なお橫龍古道救援標識があるので、思い違いをしたようだ。時間はすでに16時半近く、先を急ぐ。

騰龍山から橫龍山へ下っていく方向を見る、対岸は洗水山
橫龍古道1.5Kキロポストと救助標識3号
大岩のわきを下る
尾根上を下る橫龍古道は、メンテがされ程度がよい。すぐに2Kのキロポストが現れる。急な坂に取り付けられている手すりは、ワイヤーである。それも数が多い。16時43分、救助標識3号がある1.5Kを過ぎる。そのすぐ下で、大きな露出した岩壁の下を下る。古道に関する説明板も現れる。しかし、少し傷んでいる。16時55分、1Kを通過。雑木林に差し込んでくる陽光は、黄金色だ。17時8分、隘勇線監督所の遺跡につく。説明では100数十坪の土地で、周囲は50センチぐらいの石壁がぐるっと残っている。その昔、地元原住民による隘勇への襲撃など戦いがあった。

橫龍古道入り口
舗装路を下る
古道も残りわずかだ。すぐに天候観測設備の脇を過ぎ、左に階段道が始まる。17時17分、涼亭も設けられている古道入口に着く。山道歩きは終わりだ。小休憩後、車を停めてある駐車場まで、約7㎞の舗装路歩きが始まる。車道だが道は狭くかなり急だ。ローギヤでないと登れないだろう。果物畑やキャンプ場で開けた場所から望む、沈み行く夕陽に映える2054峰から虎山への稜線や対岸の北坑山から洗水山への山並みが、高度が下がるにつれて姿を変えていく。今日の歩きのフィナーレとしては最高だ。よく歩いたものだと、つくづく思う。

キャンプ場越しに洗水山の山並みを望む
虎山が高い
18時46分、橫龍古道の表示がある民宿脇の分岐を左に取り、さらに民家脇を下っていく。早朝に車で通り過ぎた苗62号県道(上島公路)に下り、陽はすっかり暮れた中、駐車場へ向かう。19時、駐車場が見えた。暗がりには蛍が光っている。全員がそろい19時40分帰途に就く。龍山の飲食店で夕食をとり、台北へ帰った。

集落のところまで降りてきた、道脇に橫龍古道の文字
歩行距離22㎞、累計登坂2037m、休憩込み活動時間は14時間だ。正直ハードなルートである。それなりの体力と準備が必要だ。道そのものは、落ち葉でちょっと不明な道筋や2054峰直下の岩壁などの難所もあるが、草でふさがれたような場所はなく、大きな問題はない。

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