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2018-05-27

2018年5月26日 哈勘尼山-加里山縱走 再び台湾富士山に登る

哈勘尼山から風美溪への下り途中 (標高約1900m)で見る加里山
地方の名前を冠したいわゆる何とか富士山というのは、台湾はいくつかある。日本以外では一番多い。そこへ行くと、加里山は台湾富士と、名前だけ見ると親分的な存在に思える。なぜ、南庄富士山などでなく台湾富士山なのか、その由来はよくわからない。富士山に似ているということだが、どの角度からみると富士山に似ているのか。外見は別として、加里山は一等三角点を抱く、実に眺めのよい山頂を有する。四年前に訪れた時は、雨で全く見えなかった。今回は午後三時近くに登頂したが、まだ広い範囲にわたって眺めることができた。周囲の山々より高くそびえる山頂の眺めは、まさに富士山と呼ぶにふさわしい。

加里山山頂のメンバー
もちろんルートによるが、登山道はしっかり整備され、鹿場登山口からのルートであれば初心者でも体力さえOKならば、まったく問題ない。休日の今回は、多くの登山者と出会った。登山口近くの駐車場も、車であふれていた。人気の山でもある。標高2220mの山は、いわゆる中級山になる。多くは樹木の下を歩くが、風も吹き抜け実に快適だ。下山のころは、風が涼しく感じた。台北は5月としてはまれにみる37,8度の高温に襲われたが、ここは別世界だ。

登山口から時計回りに回遊
二つのピークを越す
南東に雪山山脈がある
苗21号県道の走行中から見る加里山
車窓越しに見る崩壊中の羊頭山
今回は、シェアカー二台の活動だ。それぞれ出発点が異なるので、8時過ぎ高速道路頭份インターチェンジ近くで落ち合い、124号道路で南庄へ向かう。南庄の街を過ぎ、左に苗21号県道を進む。南に方向を換え、大東河の谷を進む。谷が狭まり、前方に加里山のピークが見えてまもなく、道は登りが始まる。左に山全体ががけ崩れを起こしている羊頭山がある。今も土砂が煙をたてて崩壊している。9時過ぎ鹿場集落を過ぎる。猶も高度をあげ9時半前に登山口の駐車場に到着する。四年前に比べ、駐車場は下方に追加され、それらもすでに多くの車が駐車している。

登山口にて
哈勘尼山と加里山との分岐
9時35分、メンバー9人で山道を歩き始める。立派な登山道入口の木柱や、案内板がたっている。まだ新しいので、最近付設されたのだろう。太い水道パイプわきの平らな道を二、三分歩くと、哈勘尼山と加里山との分岐に来る。前回も、実は哈勘尼山との縦走を考えたが、雨なので加里山を単独登山した。今回は、天気がよいのでその時の無念が晴らせる。左に哈勘尼山への道を取り、登り始める。はじめは緩やかな道が杉人工林の間を進む。そのうちに勾配がきつくなる。

杉林を登る
大岩わきを過ぎる
途中一度休憩し、10時すぎ左に大きな岩が登山道の上に覆いかぶさる。雨宿りができそうな場所だ。そのうち杉林は広葉樹の原生林に換わる。道脇にテープがながく結んである。ルートをはっきりさせるためのものだ。10時半、救助用4号札があるちょっと平らで休憩に使える場所を過ぎる。道は緩やかになり、尾根上を進む。最後にまた少し勾配がきつくなり、背が低いヤタケが道端に現れる。まもなく11時に平たい林の中の哈勘尼山山頂(標高1990m)に着く。展望はない。1時間半の登りであった。少し休憩する。
哈勘尼山山頂
急坂を下る
11時15分、下り始める。下りはじめてしばらく、枝尾根がはっきりする。数分で高山杜鵑の林に入る。地面は腐食土で柔らかい。11時25分、樹木のあいだから三角ピークの加里山が見える。道は尾根から山腹を急坂で下り始める。ジグザグの道には、ロープが取り付けられている。11時46分、10号札をみて間もなく道は下り切る。近くには大勢の登山者が休憩している。我々の出発は遅めだったが、先行のパーティに追いついた。11時50分風美溪の沢際で昼食休憩を取る。

風美溪を越す、対岸に黄色い救難用番号札がある
森林鉄道軌道あとに上る
急坂を登る
最近は雨が少ないので、水量は多くない。12時20分、加里山に向けて登り始める。すぐに急坂が始まる。数分で、加里山の山腹を横切っていく森林鉄道の軌道に上がる。森林鉄道は、廃棄されて久しいが軌道はそのまま残っている。もちろん手入れはされていないので、車両が走れるような状態ではない。左に少し行き、また山腹の急坂道を登る。標高差約300mの道は、途切れることのない急坂だ。12時54分、東線9号の札を見ると同時に、枝尾根に上がる。尾根上の道も急坂だ。ヤタケが現れる。13時6分、小ピークにのる。標高は約1960mだ。休憩をとる。登ってきた反対側樹木の間から、加里山が見える。前方に小ピークを挟んで、加里山はまだ遠い。

小ピークから加里山を望む
急なのぼりが続く
10分ほどの休憩後、少しくだりまた登り返して加里山東南峰への分岐を過ぎる。メンバーの一人LSさんが足をつる。少し休んで様子を見るが、きついようだ。LSさんは、この先登らず、今登ってきた道を森林鉄道軌道へ下り、そこから軌道沿いに山腹を避難小屋へ行き、そこで落ち合うことにする。もう一人のメンバーLさんが一緒に行動すると申し出る。二人で移動するので安心だ。残り7名で加里山へ向かう。先に下っていく。尾根筋がはっきりしてきて、小ピークを越えていく。ピークを越えると前方に見える加里山が近くなってくる。

枝尾根上から虎山(中央下方の尖った山)を見る
岩壁セクションが近づく
岩壁を登る
14時35分、N番札(なぜNなのか疑問だが)をすぎると、岩登りセクションが始まる。大岩には、ロープがつけてあるので、それを頼りに登る。岩の上からは、軍事施設が頂上にある樂山(鹿場大山)と、その手前に午前中に登頂した哈勘尼山が見える。やってきた尾根筋や加里山東南峰も判別できる。岩場セクションはその上も続き、ピークをこえてまた少し下がる。風美溪で追いつき、そのあと我々より20分ほど先に登っていったパーティにまた追いつく。最後の岩場を登り切り、14時55分加里山山頂(標高2220m)に到着する。山頂には10数人の登山者がいる。今日はとても賑やかだ。

岩壁上から見る樂山とその左手前に哈勘尼山
頂上直下の岩場を登る
山頂は東側の展望が広がる。デンと腰を据えている大きな山容の樂山(もともとは鹿場大山と呼ばれた)の右遠くには雪山山脈の聖稜線になる北峰から北稜角主峰をこえ、さらに右に長い西稜が伸びている。雲に見え隠れしているが、西稜ごしに大劍山への稜線もすこし望める。大霸尖山などは樂山に遮られて見えない。南には北坑山や東洗水山の山並みが見える。その先は雲海の下だ。15時21分、まだ多くの登山者がとどまる山頂を後に下り始める。

山頂から東方向を見る、遠くに雪山山脈
ツツジの咲く下り道から雲海の西側を遠望
ここからは、多くの登山者が歩いているので、道の状態はすこぶる良い。岩場が数か所現れるが、しっかり補助ロープなどが取り付けられ問題ない。稜線上の西側は、すでに雲に埋め尽くされ地上の様子は見えない。先ほどの登りの途中でも見かけたが、こちらはさらに多くのツバキの花が咲いている。下り続け、15時56分紅檜の巨木がある岩場を過ぎて、左に大坪への道を分ける。分岐に重装備の登山パーティが休んでいる。尋ねると負荷訓練中だそうだ。

紅檜大木の岩場を下る
新しくなった橋を渡る
分岐を右にとり進む。すぐに大岩の重なるセクションを過ぎる。ここを渡る橋は、新しいものに取り換えられている。下り休憩用ベンチのある8番札を過ぎると、道は尾根筋を離れて山腹のジグザグ道になる。人工杉美林の間を下り、16時10分2.5Kのキロポストを過ぎる。子供ずれの登山者を追い越し、16時36分避難小屋に着く。先ほど分かれた二人は、見あたらない。小屋前のベンチで小休憩し、さらに下る。森林鉄道の軌道を少し進み、また左に山道を下る。その途中で、Lさんたち二人と出会った。

杉の美林
避難小屋
軌道跡を外れて左に山道を下る
整備され新しい階段や桟道が取り付けれられた山道をさらに下る。17時20分、風美溪に降りる。少し登り返し、午前中に通り過ぎた分岐を哈勘尼山に来る。17時38分、登山口に戻る。ちょうど8時間で一回りしてきた。出発が少し遅めであったので、少し急いだが日暮れ前に下ってこれた。18時に車で下り始める。途中南庄の桂花樓で夕食をとり帰京した。

遊楽客も来る風美溪を渡る
南庄桂花樓、遠くに加里山が見える
今年は、空梅雨のため天気がとてもよい。都市部はそのため、かなり早く夏のような陽気になっているが、山登りには助かる。前回全くの展望がなかった加里山は、じつはとてもよい展望台である。気温も20度代ですがすがしい。登山客でなく、多くの遊楽客がこの涼気をも求めてやってくるのはわかる。風美溪で水遊びだけに、キャンプも兼ねてくる遊楽客も多いようだ。今回は水平移動距離約10㎞、累計登坂約1300mであった。道はレベル2、体力的にはレベル4だ。加里山は、鹿場登山口以外にも大坪や泰安虎山方向からの道もある。いずれまた、別の機会に訪れることもあると思う。

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