このブログを検索:山名などキーワードを入れてください

2020-10-31

2020年10月31日 新竹尖石鄉外鳥嘴山 秋晴れの展望台の山に登る

登りの途中から外鳥嘴山を望む

台湾は山が多い島である。平野部と山岳部の境に位置する山は、天気がよいと平野部と山岳部を共に展望できるところがある。今回の目的地外鳥嘴山は、まさにその展望台の山で、尚且つ快晴の日に訪れることができたのは、実に幸いだ。青空のもと、牛の背のような砂岩が露出する山頂に立つと、北側は桃園や中壢の平地が広く広がり、様々な建物も見える、南西方向には新竹へと連なる低山の間に關西の盆地が佇む。すぐ足元には石門水庫の全容が望める。北側は、遠く小霸尖山が指呼でき、その前には多くの山々が重なりあっている。標高1350mの山頂は、実によい展望をくれた。

南側の水田林道から回遊
歩行高度表
桃園市と新竹縣との境界上に立つ外鳥嘴山は、北側桃園市の方からあるいは南側新竹縣尖石鄉からも登頂できる。北側はかなり上部まで車でアクセスでき、また登山路も短い。このルートだと半日で終了してしまう。確かに楽だが、登山の面白みが少ない。先月內鳥嘴山と那結山を結んで縦走したときは、水田林道を経由した。今回も同じく水田林道からのアクセスである。前回と比べると、登坂高度も距離も短くまた天気も良かったので、楽ちんな山行であった。

石門水庫の南に位置する
@外鳥嘴山山頂
快晴の朝、第三高速から大霸尖山が見える
今回は人数が6人と少なめだ。朝6時半、台北市を一台の車で出発する。途中新竹に住むメンバーの車が一台合流、120縣道から油羅溪を赤い鉄橋で渡り竹58鄉道に入る。集落の間を登り、8時20分水田林道入口脇の駐車場につく。車が7,8台駐車できるスペースはすでにいっぱいだ。道脇に車を停める。9月に內鳥嘴山登山で訪れたときは、行動時間が長く台北出発も速かったので、6時40分には到着した。その時は十分にスペースがあった。今日は天気が良いことも関係している。

水田林道入口
杉林の坂道を稜線へ登る
8時半前に林道入口から歩きはじめる。林道を3,4分ほど登り、二つ目のヘアピンカーブのところで第一登山口を見る。ここから山道に入る。山道は、以前の造林道だろう。周囲はすべて杉人造林だ。上り坂が始まり、10分ほどで左から道を合わせ、そのすぐ上でまた第二登山口からの道を合わせる。杉林の中の坂道は勾配がきつくなる。四人組の若い登山グループが坂を登っている。補助ロープの部分や倒木も少しあるが、道筋ははっきりした良い道だ。9時ごろ、道は尾根に取りつく。坂は相変わらずきついが、少し風を感じる。道が緩やかになり、間もなく9時10に稜線上の分岐に着く。40分ほどで林道入口から落差約400mほどを登ってきた。

杉林の稜線道
稜線上から石牛山(右)の山並みを望む
馬武督山山頂
右に尾根道を行けば蓮包山をへて外鳥嘴山へ続く。時間が早いので、予定していた馬武督山へ往復することにする。割合と平らな片道2Km足らずの稜線道である。小休憩後、数十メートル急坂を鞍部に下り登り返す。その後は小ピークを巻いて進む。9時45分、右に森がきれて遠望ができる場所がある。立ち止まり展望する。手前の谷間の向こうに、岩壁が目立つ石牛山へとつらなる山並みが屏風のようにある。そのすぐ左には關西の街、山並みの向こうには龍潭や中壢が広がる。道に戻り、少し下って岩が目立つ急坂を登りきる。9時57分、樹木に囲まれた馬武督山山頂が現れる。分岐から約40分ほどであった。


稜線上の分岐点
蓮包山へ急坂を登る
秋の陽光の山頂は、実に平穏だ。メンバーの一人が思わずピクニックに最適だという。10数分過ごしていると、反対方向から声が聞こえ数名の登山者が登ってくる。20数名のパーティだという。小さな山頂は混雑するので、我々は山頂を後に往路を進む。10時35分、来るときに気づかなかった分岐の標識を見る。見るからに古ぼけて、分岐が示す道も草に埋もれている。ほとんど歩く登山者がいないのだろう。道端に大菁の紫の花を見る。10時48分、分岐にもどりそのまま前進する。鞍部へ下り、急坂を登り返す。11時、總統府基石のある蓮包山山頂に着く。杉林の中の山頂だ。

蓮包山山頂

松葉絨毯のアカマツ林を行く
丸太に腰かけて休んでいると、スズメバチが一匹飛び回っているのに気づく。刺激を与えないように注意し、早々に立ち去る。今年は台風など大風がないので、山はスズメバチの巣が壊されずとても多いという。小さな下り登りがあるが、おおむね緩やかな道を進む。大き目のピークは巻いていく。稜線の道は杉林から雑木林、そしてアカマツ林に林相を換えていく。11時17分、樹木の切れた場所から左に石門水庫が見える。水位は確かに低いようだ。また雑木林から杉林に換わり、11時35分第二登山口からの道との分岐点に着く。食事休憩をとる。

石門水庫が見える
分岐点で食事休憩
30分ほどの食事休憩後、12時過ぎ今日の主要目的外鳥嘴山へと歩きはじめる。道は鞍部へ下り始める。下り道の始まりの場所で、前方に外鳥嘴山が特異な山容を表す。鳥嘴といわれる由縁か。石が目立つ狭い尾根の下りを過ぎ、登りが始まる。板根の樹木を見て間もなく、12時20分、左桃園側馬武督探索森林公園からの道をあわせる。ここから山頂へは、登山者が多いようで、道もはるかに往来されている様子が見られる。

桃園側からの道の分岐点
山頂前の急坂を登る
先ほど見た山容のように、道は坂がきつくなる。最後150mほどの落差だ。登る途中、二カ所ほど左側に展望できるスポットがある。砂岩が露出した部分もあらわれる。12時45分、青空のもとの山頂に出る。十数名からの登山者が山頂にいる。それぞれ手に地図とコンパスを持っている。地図判読法の教授が進行中のようだ。

よく歩かれた山道
石門水庫全景
外鳥嘴山山頂の筆者
山頂は、実に雄大な展望ができる。天気のよい高山山頂も素晴らしい展望があるが、この山のように近くに家屋などの人造物を見ることはできない。また別の素晴らしい展望だ。冒頭に触れたように、桃園中壢の平地や石門水庫だけでなく、逐鹿山、卡保山樂佩山北插天山そして南插天山へと連なる插天山脈が、そして東眼山などの山々がすべて指呼できる。視線を南側に向ければ一番遠くに小霸尖山が、そしてその前に幾重にも連なる山並みには、島田山石麻達山など、今年歩いた山々が判別できる。先月の內鳥嘴山は、近くに堂々と巨体を示す。那結山は両側を峻嶮な壁で囲まれ山頂を樹木の上に見せる。

插天山脈を望む

南側をの望む、左に內鳥嘴山

往路を下る
山頂は日差しが強いので、少し下がったところで休憩をとる。13時半山頂を後にして往路を下る。知らず知らずのうちに45分もいたことになる。途中、まだ山頂を目指す登山者と数回すれ違う。13時50分、錦仙樂園の道標がある馬武督探索森林公園へくだる道の分岐を通過、さらに下る。鞍部から登り返し、14時過ぎ分岐に来る。小休憩をとる。

急な尾根道を下る

林道登山口が下に見えた
第二(三)登山口への道は、枝尾根を進む。道はあまり下らず、14時22分、第二、第三登山口の分岐点に来る。左に第三登山口をめざす。水田林道に下った後、近くにある鴛鴦瀑布へ立ち寄るためだ。分岐後、尾根はかなり急な狭い尾根を下っていく。下ること数分、道は尾根から離れ山腹をジグザグに下り始める。こちらもかなり急だ。この道も杉人造林の中を行く造林道だったのだろう。14時40分、林道の登山口に着く。高度差約550M、1時間10分ほどで下った。坂が急なので下りは速い。
滝へ向けて進む

鴛鴦谷瀑布

林道を左に少し登っていく。前回は通り過ぎただけの瀑布入口から沢筋に向かって入る。整備された遊歩道は、少し登っていく。立派な木製桟道がある。入口から数分で滝見展望台に着く。水量も落差もあり、かなり立派な滝だ。20分ほど過ごし、往路を林道に戻る。ここは観光地なので遊楽客とすれ違う。林道を道なりに下り、第一登山口を過ぎて、15時35分林道登山口に戻る。

林道を入口へ下る


往路とは異なる竹29鄉道と羅馬公路(118縣道)経由で關西に戻り、17時前早めの夕食をとり帰途に就いた。今回は休憩込み行動時間7時間10分、距離11.3㎞、登坂1055ḿ、下降1052ḿである。コース定数27.1、先月の內鳥嘴山-那結山縦走は38.1だったから、確かに体感的に楽であった。

外鳥嘴山山頂からの大パノラマ


2020-10-28

2020年10月25日 魚寮山 - 新路尾古道 - 新路尾山 - 大竹林山 長雨の後の近郊登山

新路尾山山頂
今年の10月は、季節風である東北風の吹き出しで北部や東部は雨が多い。そのために、1週間前の高山縦走馬博橫斷山行は、はじめの二日だけで中断し下山した。過去の経験では10月は台湾高山の天候が一番安定しているときだが、最近の地球規模の温暖化でそれに影響が出ているのかもしれない。本来、今日はその下山日であった。10月19日に退却下山した後台北の天気はすぐれなかった。週末やっと良くなった。今回の登山は、そうした状況で急遽計画した。

西から東へ歩く

歩行高度
今回登山周辺の山域は、過去そこそこ歩いているが新路尾山は未踏だった。数年前に同じく新路尾古道の途中から分かれて大平林山と内平林山へ苦労して歩いた。その稜線を東に進むと新路尾山に着く。標高300mあまりの小山で、人気があるわけでもない。つい最近この領域の道整備がボランティアによって行われた。そうしたことで今回立ち入ることにした。当初は、新路尾山を登ったあと頂坑山へ足を伸ばす予定であった。ところが、地図上にある稜線上の道は草に埋もれ、入口すらはっきりしない状態であった。そこで頂坑山への縦走はあきらめて下山し、途中つい最近道整備された大竹林山を訪れた。

ハイカーでにぎわう三貂嶺駅
台北を7時34分発の区間列車で出発する。途中駅で車両はすぐに満員になる。台北をはじめ台湾北部はしばらく雨模様の天気が続いた。この週末は、閉じ込められた陰鬱を発散するかのように、多くのハイカーが山へ向かう。8時40分過ぎに三貂嶺駅につくと、狭いホームはハイカーであふれる。こんな盛況は、いままで見たことがない。参加者の一人が、指定の列車に乗れず30分ほど後の列車で来るので、待合室で待つ。9時過ぎ、十名全員がそろい出発する。空は曇りだ。

対岸に舊三貂嶺隧道口
線路わきの休み処
線路沿いに進む。基隆河の対岸には、旧三貂嶺隧道のトンネル入口がある。以前は草に埋もれた入口は、トンネルをサイクリング道路にするための工事が進行中だ。本線下をくぐり、右に平溪線の線路沿いに歩く。線路を渡った廃棄小学校には大勢のハイカーがいる。三貂嶺駅で下車したハイカーの多くは三貂嶺瀑布歩道を行くようだ。この周辺には休み処などもできて、だいぶにぎやかになってきている。基隆河を渡り、すぐに右に線路を渡って幼坑古道を歩きはじめる。

ロープ手すりが取り付けらた幼坑古道
魚寮山山頂
幼坑古道を訪れるのは久しぶりだ。その間に行政によって手入れがされたようで、ロープ手すりや説明看板など、だいぶ観光歩道の様子になってきている。それはそれで歓迎だ。9時41分、峠の分岐に来る。左は尾根を頂坑山へ進む道、右は魚寮山へと続く。ここも別のパーティが休んでいる。今日の古道はにぎやかだ。右に魚寮山へと登る。急坂を過ぎ、5分足らずで登頂する。標高210mの山頂は、最近草が刈られ基石の周りはきれいだ。樹木に囲まれた山頂には展望がない。すぐに折り返し分岐へと戻る。

新路尾古道の分岐点、左は又坑古道
平らで道幅のある新路尾古道
分岐からさらに幼坑古道を進む。少し上り下りのある道を進むこと数分、10時3分新路尾古道の分岐に着く。幼坑古道は大きく右に曲がり進み、新路尾古道は直進になる。間違って入らないようにするためか、こちらの道には柵で塞いである。もともと奥にあった炭鉱からの石炭運搬のためにトロッコ線路があったと思われる古道は、平らで道幅もそこそこある。一か月前日付の道標が新しい。沢を右下に見て進むこと約10分、右下の平らな場所に土地公祠を見る。

新路尾古道から見る土地公

阿媽之家民家跡
六年前同じく新路尾古道を歩いて土地公まで来た。その時は、右に分かれる沢沿いの道を進み、幼坑山から延びる尾根に取りついて大平林山を登った。当時すでに道の状態はあまりお良くなかったが、その後ほとんど歩かれることがなかったようで、今は土地公脇から入る道の入口すらわからない。土地公は、その前に様々な祭器がおかれ焼香されている。古道をさらに進む。10時25分、「阿媽之家(おばあちゃんの家)」と道標がある石壁が残る民家跡に来る。けっこう大きな家屋跡だ。今は竹などに囲まれた、古道でよく見かける民家跡だが、ここは新路尾5號という住所があったようで、移住していったのは比較的新しいのかもしれない。

はじめの渡渉点

胡超群農場の建物
右下の沢はだいぶ近づき、渡渉点に来る。ここからは頻繁に沢を渡っていく。メンバー中一人は登山靴なので、長雨で増水気味の渡渉は大変だ。長靴のメンバーが渡渉の手助けをする。2回の渡渉後、10時41分左岸の開けた場所に2階建ての家屋を見る。一階はオープンだが二階は住居できるようだ。胡超群農場と記してある。広場のはしからまた古道が続く。左岸から右岸、そして右岸から左岸へと渡渉点が途絶えることなく現れる。道脇には多くの棚田跡が現れる。この沢沿い道は、谷が深くなく両岸が緩やかでそこそこ幅もあるので、棚田が多くできたようだ。先ほど見た阿媽之家の住人が、これら棚田を開墾し作物を作っていたのだろう。

上流方向をのぞむ、右の平たいところは棚田跡
枝沢を越す

二俣、雙溪口
源流が近づき沢は細くなってきた
十数回の渡渉を繰り返し、11時23分雙溪口につく。ここで沢は大きく左右に分かれる。左は詰めると頂坑山への稜線に上がる。新路尾古道は右の沢沿いに進む。二俣のすぐ上の棚田跡で小休をとり、古道をさらに進む。ここにもまだ多くの棚田が現れる。これだけ多くの棚田跡が残るのは、珍しい。二俣から八回目の沢を渡る。沢もだいぶ水が少なくなる。左岸に渡ったあと、道は沢から離れ登っていく。最近多くの登山者が歩いた道は、草刈はしっかりされているが、ドロドロの部分もあり滑りやすい。

沢を離れ最後の登りを行く
峠近くの民家跡
新路尾山への急登
12時2分、竹林の中に石積民家跡を見る。この位置は少し沢から離れているが、周囲の竹や樹木を刈り取ればかなり乾いた状態にできる場所だ。すぐ上には大きな綠竹が密生して生え壮観だ。台湾の低山にはこのような竹林が多くみられる。竹の脇は分岐だ。右にとって急坂を登り、12時9分新路尾山(標高315m)に着く。最近草が刈られた山頂は、まばらな竹林に囲まれ、それを通して遠望できる。北側瑞芳の山々や平溪五分山、同じ稜線上の大平林山などが、曇り空に連なっている。昼食休憩をとる。

@新路尾山山頂
新路尾山下の緑竹
知らず知らずのうちに40数分が過ぎ、頂上を後にする。前方の燦光寮山や牡丹山が少しかすんできた。どうやら雨が降り始めたようだ。分岐の鞍部に下り、稜線道を進む。ちょっとした上り下りを行く。地図上で頂坑山への道が分岐する地点に来るが、道らしい道がない。この部分の道は、最近の整備対象ではないようだ。小雨もぱらつき、藪漕ぎしていくのも大変だ。そこで頂坑山への予定を変更してそのまま良い道を下っていく。そのうち道は廃棄されたコンクリ舗装道になる。檳榔林が間もなく現れる。

檳榔林の脇を行く
大竹林山登山口
緩やかな道を下り、峠越えの産業道路(下坑路)に出る。左に折れて少し進み、13時35分大竹林山登山口に来る。小雨が降り、大竹林山へ行くべきか迷うが、そう遠くないので登頂する。廃棄舗装路を少し進み、右に折れて山道に入る。稜線に上がると、まだ新しいロープが取り付けてある急坂を登る。14時、広く草が刈られた大竹林山(標高303m)山頂に着く。新路尾山で出会った、二人パーティがちょうど立ち去るところだ。

@大竹林山山頂

牡丹老街の奥に燦光寮山
メンバー中の三人は山道を雙溪へ下るので、ここで分かれる。他の七名は往路を下り、下坑路を進む。緩やかな下り道は、雨でも大丈夫だ。そのうち雨も上がる。14時51分、102縣道を横切り牡丹老街を進む。両側の家屋のちょうど間に燦光寮山の三角ピラミッドがのぞく。15時4分前、牡丹駅に到着、数分遅れの15時19分発区間列車で台北に帰った。

区間電車で帰京
距離約10㎞、登坂570m、下降594m、休憩込み活動時間は約6時間だ。天気予報では降雨確率20%ほどと低かったが、少し小雨に見舞われた。大降りにはならず、幸いだ。ここずっとぐづつきき気味の天気、その合間の登山となった。コース定数19.5で、今日は楽な登山であった。