このブログを検索

2013-09-30

2013年9月29日 台北劍潭山-金面山縱走 再度台北市街展望稜線道を訪れる

金面山(剪刀石山)頂上から見る内湖、汐止方向の風景
松山空港の出発待合室から望む、手前の低い山並みが今回縦走の尾根、背後は陽明山山系
台北は山に囲まれている街だ。すぐそばにある山に登れば、市街を眺めることができる。台北市中心と北にある士林や天母とを分ける劍潭山は、台北の景観を眺めるには手頃で絶好な場所だ。一方、内湖区の北にある金面山(剪刀石山)は、内湖から東の基隆方向に向けた山々や谷を眺めることができる展望台だ。今回は、この二座を中間に文間山をはさんで縦走した。

西の劍潭山から東の金面山まで尾根を縦走
高度プロファイル
このルートは、実は2年半前に台北近郊登山をはじめて間もない頃、金面山の尾根末端から登りはじめ、同じく文間山を越え劍潭山へ歩いた。今回は、逆方向に歩いたわけだ。下りは、金面山から南に内湖環山路へ降りたので、ここの部分は異なるが、ほぼ同じコースである。この2年半の間、山道が変わっていた部分もある。大きくは、劍潭山から老地方への土の道が、コンクリ製の立派な幅広の道になっていた。それに伴い、案内板や展望台の設置など、一般行楽客にも歩きやすい環境になっている。

台北市中心の北部にある劍潭山
登山口山門
今回の山行きは、友人5名と都合6人のパーティである。出発点のMRT劍潭駅に9時に集合し、早速出発だ。メンバーの一人Yさんは、愛犬カイを連れての参加だ。今回の行程は、単方向に縦走で、出発点と終點が異なるので、先にバイクで終點に近くに犬と一緒に向かい、反対側に歩いて途中で合流するとのこと。そこで5名で歩き始める。中山北路を渡り、南に進む。人家のすぐわきにある劍潭山は、多くの登山道があるが、我々は山門がある石段道の登山口からスタートだ。数分で山門に到着、急な階段道を登りはじめる。この道は台北市親山歩道でもある。一番下の階段に起点0mの里程プレートが取り付けられている。

展望台への木製階段、わきには沢山施設がある

二、三分登ると分岐がある。この山には多くの寺院があり、そちらに行ける道だ。緩い道になり、山腹を登っていく。十数分で長寿公園に着く。高度差で100mぐらい登って来た。山に慣れていないメンバーも一緒なので、一休みする。再び、石段を登るとまた分岐だ。右が親山歩道でスタンプ台へと続く。この道を取り、しばらく平な道を進む。左に木製の階段が登っていく。展望台へと続く道だ。5分ほどの登りで木製展望台に着く。目の前には、基隆河を挟んで台北の市街が広がっている。最近の不動産ブームで、建設中のビルもけっこう多い。天気もよく、遠くまで見渡せる。2年半の間に登った山々が、街の遠くに並んでいる。

展望台からの台北市街
老地方への道
木枠に砂利が敷いてある緩やかな坂道が続く。劍潭山(標高153m)の端から下り道が始まる。使われていないトーチカが道端にある。下りきると、先ほどのスタンプ台からの道と合流する。ここは、もともと土の道で、置き石がずっと続いていたが、幅の広いコンクリの道になっている。この2年間に、整備がされたのだろう。雨でも滑らずに歩くことができる。子ども連れの家族、若者グループ、老夫婦、さまざまな人達が道を歩いている。尾根上を行く道は、登り下りがあるがどれも緩い坂だ。新しい展望台が、道の右側に設けられている。展望台前の草木が高く、それほど景色が望めない。その先、七美という看板のある場所にくる。椅子が設けられている。ここからは、士林天母方面が望める。陽明山山系の大屯山や、淡水河の対岸に観音山が背後に控えている。すぐ手前では、大きな高級マンションが建設中だ。

2年前のほぼ同じ場所の道
10時22分、尾根道を進むこと約30分、老地方についた。老地方というのは、中国語ではいつもの場所という意味である。休憩のあずま屋や、尾根から南側に大きく突き出たテラスが設けられている。テラス上からは、眼下に松山飛行場が望める。テラスの尖端には、プロペラのようなモチーフが付けられているが、それは飛行場展望台の意味合いだ。

老地方の展望テラスから空港方向を眺める
劍南方向の眺め
休憩後、文間山へ向かう。それまでの人出が嘘のように、静かになる。通北街への道を分岐し、墓地の上を進む。舗装の産業道路につながる。道は下っていく。大勢の登山者が列をなして登って来る。山岳クラブの活動のようだ。数十名はいるだろう。大きなヘアピンカーブで下り、少林寺と記してあるあずま屋を過ぎる。人家のわきを通り登り返して東呉大学キャンパスの上を過ぎていく。分岐を左にとり、ゆっくり登っていく。右側が開けて風景が望める。ここからは、すでに内湖が近い。観覧車のある、MRT劍南駅付近の繁華街が眼下にある。

文間山への土の山道
道は曲がって登る。その部分から土の文間山登山道が始まる。標識リボンがかかっているので判る。ちょうどこの部分で、バイクをとめ反対側から歩いてきたYさんと愛犬に出会った。山道は、今日の行程中もっとも自然に近い状態だ。細い山道が、森のなかを行く。このような山道は、ほかでは珍しくないが、街のすぐ近くのこの場所では特徴的だ。森の中を登っていくと、尾根に取り付き、左側が開けた展望スポットに着く。11時15分、すこし休憩する。ちょうど自強トンネルの上部に当たるここからは、北側に故宮博物院が望める。その背後は陽明山の山々だ。右には尾根続きの大崙尾山が望める。山腹の黄色の大きな建物は、鄭成功廟だ。

文間山への途中、展望点からの展望、遠くに陽明山山系、右の山は大崙尾山
金面山への分岐休憩所
文間山(標高184m)は、一度下って登り返したところだ。基石が埋められている、比較的広い頂上は樹木に囲まれ、展望はない。下り道には、石やスレート状コンクリ板が敷かれている。トーチカのわきを下り、劍南路に出る。車道を外雙溪方向に下っていく。しばらくすると、右に土の道が登っていく。これを登って行くと、大崙尾山歩道の上の方につながる近道となる。そのまま更に車道を下り、鄭成功廟の入口を過ぎてまもなく、大崙尾山歩道登山口に来る。休みの今日は、入口に出店が出ている。入口からは、石段の道が登っていく。円通寺からの道が合流し、道はさらに登る。右から先ほどの近道が合流する。ステンレス椅子も設けられている。12時半、大崙尾山と金面山の分岐部にやってくる。左上のあずま屋では、カラオケが進行中だ。この分岐部は、露天も出ていてとても賑やかだ。近くの広場では、子どもたちがフラフープを回している。あずま屋でしばし休憩する。

金面山はもうすぐだ
15分ほどの休憩後、縦走の目的地金面山(剪刀石山)に向けて歩き始める。内湖への分岐を二ヶ所過ぎ、途中気象観測計器の設置されている小ピークを乗り越える。分岐から約20分の尾根道歩きで、13時5分金面山(標高252m)に到着した。今日最後のピークであると同時に、最高地点でもある。今回で三回目の来訪だが、いずれも良い天気に恵まれた。今日も瑞芳の山々をまで眺めることができる。大石が露出しているこの頂上は、標高が低い割には荒々しい印象で、特徴がある。並行して走るすぐ隣の尾根上の忠勇山が樹木の中であるのと比べると、対照的だ。陽射しはまだ強いが、風が吹いているのですがすがしい。

露出した岩の道を下る
途中展望台からの眺め
Yさん夫婦は、バイクを停めてある場所に戻るため、ここで別れ残り4名で内湖へ下り始める。論劍亭歩道は、岩が露出した道である。金面山から尾根上を下る道も岩が露出しているが、こちらの方が長く続く。晴天の太陽に照らされた岩肌は、熱いが全く滑らず歩きやすい。竹月寺への急坂を左に分け、十数分下る。展望台が設けられている。ここからも内湖の街が広く眺められる。真正面は101ビルだ。夜景を眺めるには良い場所だろう。更に十数分下る。石の道が終わり、まもなく登山道入口に着いた。13時55分、約5時間の歩きであった。台北付近で、このように岩が露出した場所は少なく、ここはその昔台北の城壁用の採石場であった。近くの基隆河へ運び、船で持っていった。住宅が登山口まで建てられている。路地を環山路へ進み、右に折れて西湖方向へ歩く。途中、遅い昼食を路上の小吃店でビールとともに取り、それぞれ帰途に着いた。

登山道入口
歩行距離は9.8km、登攀累計約600mである。最高地点でも252mと、標高は高くないが、台北の街を見て歩けるこのルートは、ハイキングに最適だ。難度としては、道のレベルはクラス1~2、体力要求度は2~3というところだ。台北に観光で訪れた際に、半日旅行で劍潭山 - 老地方、或いは金面山をそれぞれ登るなど、台北を知るにはとてもよいルートである。是非お勧めする。今回のように縦走しても、それほど難しいところもない。ただ、文間山の辺りは土の道で、道標が少ないので、台北の山の初めて登るような場合には、事前に地図を確認するなど準備が必要だ。

2013年9月28日 宜蘭太平山 翠峰湖 山毛櫸步道 かつての林業中心地を訪ねる

翠峰湖
台湾の北東に位置する宜蘭県の太平山は、日本統治時代から林業で有名な山域だ。20世紀初頭、政府に反抗する原住民泰雅族が帰順し、山林の資源開発が可能になると、南部の阿里山などについで開発が始まった。その後材木搬出のために、森林鉄道やロープウェイが設置され、産出量が高まり阿里山を抜いて台湾第一の林業中心地となった。しかし、70年代以降林業の衰退とともに縮小され、1989年には林業から観光の国家森林遊楽区として生まれ変わった。

苔の密生した森の中を歩く(翠峰湖遊歩道)
太平山は、単独のピークとしてあるのではなく、標高2000mを越える幾つかの山々をまとめた総称として使われている。台湾島を構成する背骨となる中央の山脈は、北側にある雪山山脈と並行し中央山脈が東側を走っている。この二つの山脈は、大平山への登口がある蘭陽溪を挟んで対峙している。台湾の南端まで続く中央山脈の北端に太平山がある。太平洋に近いこの山域は、雨も多く降雨量は台湾でも一,二を競う、水分が豊富な山でもある。そのため、山は鬱蒼とした樹木に覆われている。

台湾の北東に位置する宜蘭県蘭陽平野の南から中央山脈が始まる、太平山はその北端に位置する
地図では水が表示されていないが、翠峰湖をめぐり、その後山毛欅歩道を往復
歩行高度プロファイル
国家遊楽区としての太平山は、観光資源として整備開発がされている。標高1854mにある翠峰湖は、台湾最大の高山湖としてその周りに遊歩道が整備されている。その他以前の森林鉄道軌道跡や林道などが整備され、それぞれ特徴ある歩道となっている。今回の山行は、登山グループ慢集団の企画で、台北から日帰りで翠峰湖歩道と山毛欅歩道を歩いた。山毛欅とは、欅という字があるがケヤキではなくブナである。

平元林道を翠峰湖へ向かう
今回の活動は参加人員が四十数人と多いが、翠峰湖への道はバスが入れないため、参加者は自家用車に分乗して目的地を往復した。筆者は、友人Lさんが運転する車にMRT木柵駅前から便乗した。第5号高速道路から羅東まで向かい、7時半過ぎに集合場所であるファミリーマートで他のメンバーと落ち合う。そこから更に、7号国道で太平山遊楽区の入口、以前の木材出荷地土場へ向かう。途中、他のメンバーの車から離れるが、無事また落ち合い遊楽区入口を過ぎ、25キロの山道を登る。10時半、太平山山荘と翠峰湖へとの分岐に到着する。標高はすでに1900mを越え、車外に出ると半袖では涼しい。大きな木材を載せた台車があり、木材には翠峰湖観光道路と記してある。

翠峰湖遊歩道の入口
ここから16キロの平元林道(翠峰湖観光道路)を行く。走ってまもなく、左側に三星山への登山口を見る。三星山は標高2351m、太平山山域中の最高峰で、小百岳の一つでもある。今回は登ることはないが、いずれは登ってみたいものだ。更に平元林道を進む。山腹を進んで行く道は、最後に峠を越え翠峰湖へ下っていく。左に翠峰湖歩道の入口を見たあと、もう一つの入口近くの駐車場へ車を停める。時刻は11時を少し回ったところだ。ここで、昼食をとる。多くのメンバーは、コンロを持ってきていろいろな温かい食べ物を用意し、皆に振る舞う。慢集団の昼食はこうした方法が多い。

展望台から望む翠峰湖、遊歩道は右側の低い山を越え、正面の山の中腹を進む
平元自然道の分岐近く
ゆっくり食事を済ませ、12時に行動開始だ。駐車場から少し車道を戻る。入口には大きな標識がある。集合写真を写したあと、出発だ。国家森林遊楽区なので、歩道も立派だ。木製桟道が続く。入ってまもなく、右に望洋山への道を分岐する。その先に湖の展望台がある。翠峰湖は、水量が変化する。1月~4月が渇水期だそうだが、今日は満々と水を湛えている。霧に隠れることも多いが、今日は時々青空がのぞき、湖水は穏やかだ。周辺の木々は、青々とした針葉樹だ。展望台には大勢の遊楽客が休んでいる。

材木を使った桟道が苔の密生した林床をまたいで行く
森の中を進む
太平山は雨量の多い説明
道は、ここから土の道になる。砂利が敷いてあり歩きやすい。約10分ほどで平元自然歩道の分岐にくる。左にとり、登り始める。道は湖を囲む一つのピークへ登っていく。まもなく、森の中の道になる。材木を二本並べ、鉄の金具で留めて桟道にしてある。濡れていて滑りやすが、地面への影響を少なくするための対応だろう。森の地面は緑の苔で覆われている。京都に有名な苔寺西芳寺があるが、その庭が森全体に広がっているような感じだ。雨が降っていなくても、霧に包まれることが多く、大平山の森は苔が生えるにはとてもよい環境だ。伐採も行われていないこの森は、自然の営みが進んでいる。

丸太を輪切りにした階段道
幹のトンネル
分岐から10数分歩いてくると、展望台がある。樹木の間を通して、湖面がのぞく。その先には、白木森という、立枯れの木が目立つ森のわきを過ぎる。翠峰湖遊歩道の約半分ぐらいの位置だ。一度下り、また登り返す。立枯れの幹のトンネルをくぐる。また道は下り、檜林の中を進む。幾つかの細い沢を、木製橋で越える。山腹を進むと、また湖面が望める。遊歩道入口に近い展望台から、湖の対岸に見えていた山の中腹にいるわけだ。一番奥の山は、望洋山か。霧が反対側の山肌をつたって登り、山の半分を隠している。13時56分、見晴峰説明小屋にやってくる。小屋の前には、昔使用されていた森林鉄道見晴線の軌道が残されている。小屋の中では、林業が盛んなころの説明が壁に架けられている。この小屋は、もともとディーゼル機関車の燃料小屋のあったところだそうだ。この小屋の脇から、上に登る道がある。上方に展望台が設けられており、湖の全貌が望める。霧がだいぶ出てきたが、まだ湖畔が見える。

見晴峰休憩所付近から望む湖、霧がだいぶ出てきた
山毛欅歩道入口
更に三ヶ所橋を越え、14時25分に3.8kmの翠峰湖遊歩道のもう一つの入口についた。約2時間ほどの歩きだった。この入口は、午前中に駐車場へ行く途中に通りすぎた場所にある。車道を戻り、駐車場へ帰る。14時40分過ぎに、駐車場へ戻ってきた。時間がまだ早いので、別の歩道を歩くことになる。近くには山毛欅歩道と望洋山歩道があるが、山毛欅歩道へ行く。この道は、途中土砂崩れで道が途切れているが、行けるところまで行き引き返すことで出発だ。

里程2.4km付近を行く
入口で集合写真をとり、15時に歩き始める。この歩道も、もともと森林鉄道の軌道跡なので、望洋山山腹を横切って行く。100mごとに路程表が道端に設けられている。パーティの先頭はとても早足で檜林の中を進む。ちょうど道の整備工事が進行中で、人夫が木材を担いで運んでいる。2.4km地点から、道は下り始める。2.8kmキロポストからまもなく、道は終わりになる。15時40分、約40分の歩きだ。もともと、3.8kmの山毛欅歩道の終わりあたりは、その名の通り、ブナの原生林がある。霧が出てきて遠くが望めないが、最終点あたりには細いブナの木があった。

帰り道、鉄の輪の踏み石が苔にうもれている
帰りは同じ道を引き返す。高度差100mほど下ってきたので、先に登り返し平な歩道を帰る。霧がだいぶ濃くなり、森の中は薄暗い。16時20分、歩道入口に戻ってきた。往復合計で約6kmを1時間20分で歩いた。他のメンバーが戻ったが、もう時間も遅いので望洋山への行動は無理だ。今日は、これで帰ることになる。翠峰湖遊歩道の入口は濃霧の中だ。我々が歩いた時は湖水全面が見えたが、今は望むべくもない。天候が変わりやすい太平山、運が良かったというべきだろう。17時、山を下り始める。平元林道を戻り、さらに太平山道路を下る。途中、羅東への途中で食事をとり、台北へ帰った。土曜日の5号高速道路は、入口で制限があり、1時間ほど待たされた。台北の自宅へ帰り着いたのは22時過ぎであった。

二つの歩道合わせて、合計約11km歩いた。行動時間は約4時間、登攀は累計で約500mであった。第5高速が開通し交通が高速化されたとはいえ、太平山は台北からは遠い。日帰りで登るには、このように歩道を歩こことが精一杯だろう。山荘に泊まれば、1回ですべての歩道を歩く、或いはそこから更に山道を歩いていくことも可能だ。あるいた歩道の難度は、それぞれ道の整備度はクラス2、体力要求度も2だ。誰でも歩ける遊歩道である。

森林鉄道で使われていた蒸機と木材運搬車 (2013/1羅東の公園にて撮影)

2013-09-15

2013年9月14日 平溪薯榔尖-盤石嶺-石筍尖縱走 高困難度尾根道を経て登る

石筍尖から望む薯榔尖と右に伸びる北稜
薯榔尖の登りから望む石筍尖と左に伸びる北稜(日陰の部分)
平渓の薯榔尖(平渓富士山)と石筍尖は、ともに所謂平渓三尖の内の二座で、人気のある山だ。頂上からの良好な展望に加え、後者は登山道上半分に補助ロープを使用する岩場も適度に現れ、そこそこスリルもある。麓の菁桐からは、整備された登山道があり、薯榔尖について言えば石階段道を往復する限りでは、とても安全な登山ができる。一日で二座とも登ることも多く、その場合は一方を登った後一度谷に降りて、もう一つの山に登ることが多いようだ。

南側の菁桐から反時計回りに縦走する
ギザギザの尾根上歩行高度プロファイル
実は、この二座はその後ろ側に、経験者向けの尾根道がある。ともに北稜と呼ばれ、四分尾山 - 耳空龜山 - 姜子寮山の主稜線につながっている。北稜は、高低差の大きな小ピークが続き、急な登り降りがあるだけでなく、岩場も現れる。特に石筍尖北稜は、垂直の岩壁が二ヶ所あり補助ロープが付けられているが、かなりの高度がある。岩場に慣れていないと、苦労するだろう。今回は、遠回りになるが、この北稜を経由して二座を縦走した。薯榔尖と石筍尖は、谷を挟んで双立しているが、ぐるっと回って歩いたわけだ。二座の頂上もそうだが、この北稜を歩くことが今回山行の目的である。

二坑口の集落付近から望む薯榔尖(左)と石筍尖
九月になって、朝は少し涼しくなってきた。MRT文山內湖線で木柵駅へ向かう。7時10分にMRT木柵駅バス停に着く。ここで、同行のZさんと落ち合う。15分ほど待ち、795番バスに乗る。今日は土曜日だが、次週の中秋節休日の振替で出勤のところが多い。そのため、登山者はあまり多くない。約45分の乗車で、二坑口バス停に到着した。谷あいから見上げる空は青く、好天の登山が期待できる。

二坑口の集落民家前を進む
支度を済ませ出発する。バス停待合所のわきにある、登山案内板のところの階段が登り口だ。これを登るとすぐ、菁桐からの道に合流する。道脇にある数件の民家を通り過ぎる。家の前では、老齢の住人が世間話をしている。正面には、左に薯榔尖と右に石筍尖がそびえている。石筍尖頂上の赤い中華民国国旗が判別できる。そのまま進み、右へ石筍尖への階段道が分岐する。左にとり、沢を渡り登り返すと分岐が現れる。直進は菁桐古道である。左にとり、薯榔尖へ向かう。また分岐が現れる。実は、左の道は、二坑口から登ってくる別の登山道である。こちらを歩いてきてもOKだ。

薯榔尖登山道から中央尖が望める
石段の道は、よく歩かれているようだ。二、三度つづら折りを曲がると、階段からフラットな石畳道になる。それが終わると、また石段が続く。木々の下の道なので、汗はもちろん流れるが、陽射しが遮られ、助かる。木々の切れ目から、平渓の山々が見えるが、登るにつれ相対的に低くなる。長く続く直線的な登りを過ぎ、急なつづら折り階段の前に来た。時刻は9時、頂上まで遠くないが歩き始めて約45分、一休みする。

ロープ手すりのある登山道頂上近く








急坂部分は、階段の幅が狭く登りにくい場所もある。ロープ手すりが取り付けられている。もともとあったコンクリ製の手すりは、壊れてしまったので取り替えられたようだ。少し登ると、樹木も少なくなり展望が利くようになる。後ほど歩く、薯榔尖北稜が望める。休憩場所から約10分、9時15分に頂上(標高622m)に着いた。

薯榔尖から東側を望む
西側遠くには台北が望める
天気が良いので、とてもよい展望だ。東は遠くに瑞芳の山々、手前には石筍尖とそれから伸びる北稜が見える。岩が露出した、鋭いピークが並んでいる。その奥には、姜子寮山、五分山が控えている。西側は、台北市まで望める。その手前の尾根筋は、石底觀音山と刀石崙の稜線が、581峰へと伸びている。基隆河の谷を挟んだ南側は平渓三尖の一つ、峰頭尖だ。2011年秋に来た時に増して、よく見える頂上からのパノラマを満喫する。

北稜上から薯榔尖を望む
北稜から二坑口の民家が望める
北稜は、その名の通り、北側に伸びる尾根だ。細い道に入ると、すぐ急な下りが始まる。その後、少し登り返し痩せた尾根上を進む。ここからは展望がよい。振り返れば、薯榔尖が控えている。岩の先から、急な下りが始まる。この先は絶壁のため、山道は大きく下り、この岩壁の下を巻いて進む。一本橋を越え、急坂を登り返し、稜線に戻る。もうひとつピークを乗り越える。その後、またもう一度登っていく。大岩を巻いて最後に少し登ると、主稜線の分岐に出た。途中で、一度休んでいるが、薯榔尖から1時間15分かかっている。距離は1km位だが、登り下りが激しいので、時間を要している。

一坑口の谷を挟んで石底観音山から主稜線への枝尾根
一本橋を渡る
主稜線の分岐部
主稜線の耳空龜山歩道
主稜線の道は耳空龜山歩道として、地元行政により整備がされている。北稜に比べれば、格段によい道である。十数分歩き、風が吹いているピーク上で休む。暑いこともあるが、少し疲れ気味だ。握り飯などで腹ごしらえをする。しばらく休むと、元気が出てきた。更に主稜線を進み、11時40分に福興宮のある汐平公路の登山口に着いた。行動予定の半分を歩いた。ここから、幅の広い菁桐古道を進む。少し登り肉板峠を越える。その先、右に菁桐古道の右側の道を分け、そのまま三坑山への分岐へ向け下る。最低部を過ぎ、少し登り返すと三坑山の分岐だ。道を右に取り、坂を登っていく。最高部を過ぎ少し下ると、石筍尖北稜の入口がある。道案内看板もあるが、幹に付けられている藍天隊の道標には、危険、急峻な尾根に注意と、記してある。12時20分、時間はまだ早い。北稜に挑む前に入口で一休みする。

石筍尖北稜のはじめのピークから2番めのピークを望む、左に中央尖などが望める
垂直な岩壁を登る
北稜の道は、すぐに急坂になる。そこそこ歩かれているようで、道筋はしっかりしている。はじめのピークを越えると、前方に次のピークが見える。上部は岩が露出している。ここからは、石筍尖は後ろに隠れて見えない。ピークの左側には、平渓の谷を挟んで中央尖、さらに遠くには内平林山の山塊が望める。急坂道を降り、鞍部からまた登り返す。急な坂を登りつめ、岩壁の下部に着く。先のピークから見えていた岩の部分だ。二段ある岩壁の上部は、数メートルの垂直の岩壁に数本のロープがかかってハシゴ状なっている。ロープ梯子はぶらぶらするだけでなく、上下の間隔も一定でなく、登りにくい。岩の足場を選んで登るほうが楽だ。登りつめた後、ピーク上で一休みする。この場所は、下るほうが楽だろう。

石筍尖が見えた、こちら側は切り立った岩壁だ
急坂を登り返す
少し進むと、今度は目標の石筍尖が見えた。こちら側は切り立った岩壁である。頂上の国旗も確認できる。直線距離は大したことがないが、一旦下ってまた登り返す。登って行くと、左に岩壁の下を巻いていく。その先を登りつめると、今度は右に岩壁の下をトラバースする。いよいよ岩登りだ。下の部分は、ちょうど樹木の枝が走っており、これがよい補助になっている。その先は、オーバーハングした岩だ。ここにもロープ梯子が架かっている。これを登りつめ、さらに少し進むと石筍尖の頂上少し下に着いた。時刻は14時、石筍尖北稜は、直線距離では500m位だが、とても手ごわい山道だ。こんなに短いのに、1時間20分ほど要した。これで、今日の行程の主要部分は過ぎた。ゆっくりと休んだ後、頂上へ登り写真を撮る。残りは、菁桐へ下るだけだ。

ふもと菁桐の対岸は峰頭尖
頂上の国旗と薯榔尖北稜のシルエット
石階段道は歩きやすい
頂上(標高520m)から見ると、薯榔尖北稜もギザギザの鋸形状だ。薯榔尖に近いピークは、北側が岩で切れ落ちている。大きく下って、登り返したことがよく判る。14時半、下り始める。上部は、補助ロープも架かっている急な土の坂道が続く。途中、三坑山への分岐を分け、十数分で石階段の道になる。北稜を歩いて行きた後は、こうした良い道はありがたく感じる。15時7分、菁桐駅に辿り着いた。約30数分の下りである。駅のトイレの水道で、顔や手を洗い、シャツを着替える。近くの雑貨店で、Zさんとビールを飲む。いつものことだが、これが止められない。そのうち15時30分の795番バスが、店の手前の停留所にやって来た。タイミングよく乗車し、木柵へ帰った。

歩行距離は、約7.6kmと少ない。休憩込みの所要時間は約6時間50分を要した。登攀累計は、709mである。距離や高度の割には、苦労した。それは、まさに両座の北稜が手ごわかったことが、理由である。困難度は、山道は2~4+(北稜部分)、体力要求度は4というところだ。経験を積んでいる登山者は問題なく通過できるが、特に石筍尖北稜は途中逃げ場もなく、それなりの心構えで歩くことを勧める。初心者は、腕力や脚力に自信があり、尚且つ経験者の同行が必要だ。