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2013-12-18

2013年12月15日 雨の縦走 平溪一坑口 - 耳空龜山 - 汐止大尖山

コース半ばの双石塔の前で、皆元気だ
今回は、台北の登山クラブ慢集団の道案内で山行である。コースは以前歩いているが、だいぶ時間が開いたので2週間前、事前に歩いて確認した。もともとの予定出発点は、平渓のニ坑口から薯榔尖へ登り北稜をへて耳空龜山縦走路へつなぐ予定であった。しかし雨が降り続いており、北稜はキツイ登り下りや岩の露出した部分があり、危険度が高いので2週間前の調査で歩いた、一坑口から一坑古道を登り稜線縦走路へつないだ。

一坑口から汐止大尖山までの歩行軌跡
上図ルートの高度プロファイル
雨のため、一坑古道は渡渉部分の水量がかなり増加しており、前回とはだいぶ様子が違っていた。また、沢を離れたあと別の石造り廃屋のわきを通り過ぎるコース経由で登った。主稜線上の道は前回と同様だが、晴れの森のなかを行くのと比べると、雨が降り続き周囲は霧で全く遠望がきかない山道とでは、感じがずいぶんと異なっていた。出発から下山まで、ずっと雨が降っていたので、雨具はつけていたがかなり濡れた。気温は低くないので、それでも問題はなかったが。また、晴れた時にはほとんどなかった、山蛭もかなりおり、下山したあとメンバーはかなりの数を見つけた。

一坑口の集落、雨で背後の山は霞んでる
MRT木柵駅バス停に7時25分頃やってくる795番バスで平渓に向かう。SNS上での参加申し込みは20名を超えていたが、この雨である。最終的に参加者は、自分も入れて12名だ。通常休日は、ハイカーが多い795番バスも、リュックを持ち山登り姿のメンバーは他にはいない。8時過ぎに一坑口バス停に到着する。雨は休むこと無く降っている。バス停前で雨具を取り付け、支度をする。8時20分前に、歩きはじめる。

小沢も水があふれている
2週間前は、住居脇から稜線がみえていたが、今日はすべてガスの中だ。沢沿いに歩く。水量が多く、音をたてて流れていく。コンクリ製欄干の道を進み、古道の入口にくる。欄干沿い道の石は滑りやすかったが、土の道は水たまり以外では歩きやすい。踏み跡両わきの草の間を行くと、瞬く間にズボンがぬれる。土地公の祠を通り過ぎ、出発から約30分ほどで沢に降りる。今日は水かさが多く、かろうじて踏み石が水面から頭を出している。注意深く渡り、少し進んだあと右岸に登り返す。こうした場所は、長靴のほうが楽だ。今日は、メンバーが12名なので、こうした時間がかかるところでも、比較的短時間に全員通過できる。

二又部分の渡渉、水が多い
左に石底観音山からの稜線鞍部への古道を分け、沢の二又部分をまた渡渉する。ここも水量が多い。その後、三、四箇所また渡渉をする。沢を離れ急坂を登る。雨の中で休むに適当な場所もない。途中、二週間前とは違う、右の小沢脇の道を行き、倒木を乗り越える。上方は、開けた場所が現れ、灌木の中に積み上げた石がある。そのすぐ近くには石造りの廃屋が数軒雨の中にたたずんでいる。壁だけ、あるいはそれも倒れて門枠だけのものもあるが、かなりの規模である。集落とも言える感じだが、こうした山の中でどのような営みをしていたのだろうか。更に10分ほどのぼり、10時10分頃に摸乳巷鞍部の峠に着く。一坑口から約2時間の登りである。別の眺めのルートを歩いたことや、人数が多いこともあり、単独行に比べると30分多く時間を要している。

森の中の廃屋
霧の中の摸乳巷鞍部
稜線にでると、越えていく風を感じる。ただ、それほど強く吹いていなく幸いだ。晴れの稜線道は、周囲の山容が木々の間を通し見える。自分の位置がどこなのかを判断しやすい。雨の稜線は、すべてが霧の中で、そうした判断はできない。晴れの森は、明暗がはっきりするが、雨の森は全てが灰色のモノトーンだ。それはそれで風情があるが。約30分ほどの尾根歩き、小ピークを幾つか越し10時44分に581峰に到着する。立ったまま、少し休憩する。

雨の581峰頂上
双石塔での休憩、傘をかざしてスープを作る
急な坂を下っていく。山腹を巻いていくようになると、雙石塔はすぐだ。11時20分過ぎに、右に作埤內古道を分ける鞍部のすぐ上にある雙石塔に着く。出発から約3時間、けっこうよいペースだ。世話役メンバーは、コンロや鍋を取り出し、スープを調理し始める。傘を上にかざしての調理だ。メンバーは、各自の昼食を取り出し食べる。熱いスープは雨のなかで、とてもありがたい。12時少し前、再出発する。ここからは、標高差約100mの耳空龜山の急坂が待っている。30分足らで耳空龜山頂上を通り過ぎ、少し急坂を過ぎたあとは比較的ゆるやかな尾根道が始まる。尾根の幅も広くなっていくる。雨は相変わらず降り、草原を通り過ぎる部分でも周囲の景色は望めない。13時15分、四分尾山へ到着する。途中で休みを取っていないこともあるが、今日のメンバーは足が速い。

雨の四分尾山頂上説明板、今日は全く展望がきかない
雨の中の大尖山頂上
雨の四分尾山は、全く展望がない。すべてが白い霧のなかである。最後の大尖山への尾根歩きを始める。基本は下りで、今までの縦走路よりもさらに程度がよい道だが、赤土の下り坂は注意が必要だ。枕木の長い下り坂を降り切ると、のこりはわずかだ。14時9分、大尖山のあずま屋が霧の中に見えた。四分尾山から50分の歩きである。あずま屋の柱にある寒暖計は16度を示している。

天秀宮から下る
最後の下りが始まる。石段は雨で濡れているので、急な部分は注意深く下る。14時34分、天秀宮登山口に降り立つ。15時15分発F911無料バスまで、時間がある。雨具を取りはずし、濡れた衣服を着替える。メンバーの一人は、廟の付設温水機でドリップコーヒーを作り、皆に振る舞う。おいしいアラビカコーヒーである。廟前の庭から精進路に降り、バス停に向かう。15時15分を過ぎてもバスが来ない。バス停の表示を注意してみると、週末は別時刻のようだ。次は18時なので、歩いて汐止駅へ下る。16時10分ごろ、駅東口の近くにあるレストランに到着する。今日は、ここで皆と食事をして帰宅だ。

今日の行程は、一坑口から天秀宮までは10.6km、約6時間の歩きである。このうち休憩は、昼食時の40分ぐらいだから、全行程を5時間強で歩ききっている。その後、天秀宮から汐止駅へは、約2.9km、50分の歩きである。終日雨で、まったく遠景は望めなかった。しかし、案内したメンバーは、雨の山はまた別の魅力があるという反応でホッとした。健脚のみで歩けた、この慢集団の活動は、少しも「慢」ではなかった。

2013-12-11

2013年12月8日 新店猴洞尖-鹿鵠崙-平廣山 台北を眺めながらの気楽な山歩き

中央の山が鹿鵠崙と猴洞尖。右は獅仔頭山(新店小獅山から 2013/11撮影)
新店の獅仔頭山は、小百岳にも選ばれ老若男女のハイカーに親しまれている。新潭路が通り越していく峠を挟んで、東側にも同じぐらいの高さの山が続き、新店溪の谷に下る。東獅頭山とも呼ばれる猴洞尖と鹿鵠崙である。こちら側は、登山道がそれほど良くなく、獅仔頭山と同じく車で峠にあがってそこから歩き始めることができ、尚且つ素晴らしい展望があるが登山者は少ない。先月に訪れた小獅山から南に望むと、これらの山々が獅仔頭山から連なり、更に尾根上に平廣山が一度盛り上がって、谷に下って行くのが見えていた。

西の鞍部から東へ歩く
下り中心の歩行プロファイル
今回は、週末に運転される新北市の無料観光用バスで新潭路の登山口まで行き、稜線道を歩いて、猴洞尖と鹿鵠崙を縦走、大きく下って鞍部から平廣山を登りかえす。その後産業道路から小坑一路46巷を経て新店溪の岸辺に降りる。そこから河沿いに廣興路を行き廣興橋を渡って新烏道の廣興路口バス停へ歩いた。一週間以上続いた好天で、この時期にしては山道は乾いて歩きやすかった。冬の透明度の高い好天で、尾根上や頂上から素晴らしい景色を見て歩くことができた。一方、出発点は標高650m近くあり、稜線上での登りはあるが、全体としては下りメインのルートで、楽な山行でもあった。

新店の山々登山軌跡
新北市無料バス、獅子頭山登山口、樹木の間に獅子頭山
新店区公所(区役所)前からバスが発車する。このバスは、前二度利用させてもらっている。バス停で、今日の同行者KさんとLさんと落ち合う。6時40分発のバスは、朝が早いこともあり他に老夫婦ハイカー二人と、合計5名の乗客である。新店溪のわきを走る窓から、登る予定の猴洞尖と鹿鵠崙が望める。新潭路の上り坂を行き、区役所から約30分で終點の登山口に到着する。わきの展望台から朝陽の台北が遠くに望める。山陰はまだ暗い。獅仔頭山の斜面が朝陽に輝いている。

猴洞尖登山口
新潭路を獅仔頭山登山口を過ぎて進行方向に進む。まもなく、左側に土の道の登山口がある。標識リボンが掛かっているのですぐ判る。稜線上を進む。概ねなだらかな上り坂が続く。登山口から10分ほどで、左から廃棄産業道路が合流する。右に進み下り始めるところのすぐ左側に登山道が続いている。急坂が現れ、尾根も幅が狭くなる。岩が露出した場所もあり、注意深く歩く。7時56分、登山口より35分ぐらいの登りで猴洞尖前峰(標高781m)に着く。石の露出した狭い頂上だが、樹木に囲まれていないので周囲の展望ができる。獅仔頭山からも台北方向にはとても良い展望があるが、ここは同様に台北方向の展望だけでなく、反対側の烏來や三峡の山々も同時に望める。素晴らしい展望台だ。今日はとても空気が澄んでいるので、八里の観音山や陽明山の連山がくっきり見える。もちろん手前の台北盆地は眼下に広がる。烏來方向では拔刀爾山逐鹿山から加九嶺山への尾根筋がなどが見える。

猴洞尖から台北方向を望む、右の山は鹿鵠尖
烏來や三峡の山々
谷間に翡翠水庫ダムが見える、左の山は直潭山
展望を満喫したあと、猴洞尖主峰へ向かう。岩の急坂を下り、痩せ尾根を過ぎ、ゆるやかな登りを行く。前峰から十数分で主峰頂上に着く。ここは中央に基石があるが、周囲は樹木で展望はない。まだ新しい国旗がわきの枝にくくりつけられている。また緩やかな坂を進む。左に坂が急になる前の場所に踏跡が草の中に入っていく。行ってみると、そこから翡翠水庫が谷に望める。左に見える鹿鵠崙へは、一旦くだって登り返す。補助ロープもある、けっこうな急坂だ。途中、左に谷を挟んで大丘田山が望める。さらにその尾根の向こう遠くには、亀山、桃園が見えている、

小坑山方向へ下る尾根道の分岐、鹿鵠崙へは直進
尾根上の展望点から望む、小坑山の向こうに新店の街が見える
手前に直潭浄水場、中央の山は小獅山、右奥に南港山が望める
杉林を通り過ぎ下りきった鞍部には、産業道路が合流する。紅葉した葉が、朝陽に美しい。山道を追っていく。ステンレスタンクが道のわきに転がっている。さらに進むと左から登山道が合流する。左に取れば、小坑山方向へ下っていく。分岐を右にとり進む。尾根道から左に展望が望める。角度が替わってきたので、二格山など木柵の山々がよく望める。草むらが現れ、中を進む。9時11分、鹿鵠崙(標高781m)の頂上に到着する。

鹿鵠崙の頂上から望む
雑木林の急坂を下る
野牛基石のある頂上は、草の生えている方向はかろうじて展望があるが、反対側は樹木で望めない。歩き始めて1時間半なので、しばし休憩する。休んでいると、一人の登山者がやって来た。15分の休憩後、出発する。平廣山へ向かうために鞍部へ下る。少し道を戻り、分岐を左に取る。ここまでの道と比べると、程度が落ち踏跡レベルになる。はじめの緩やかな部分を過ぎると、かなり急な坂が続く。木々の枝や幹を頼りに下っていく。一度ゆるやかになったあと、また急坂が現れる。下ること約50分、産業道路に出る。道路を少し下り、その先の分岐を右に曲がる。少し登り、左に尾根上を行く登山道の入口に来る。樹木を通して、対岸には拔刀爾山が近い。しばし休憩する。





基石のある平廣山頂上
平廣山(標高560m)は、標高差約50mの登りだ。尾根道をゆくと、ビニールがしいてある開けた場所にでる。それを過ぎ、平な道を進んで行った先に、基石の埋まっている頂上がある。基石がなければ頂上とは判らない。10時46分、産業道路の登山口から十数分である。尾根上の道を下り始める。そのうちに左に大きく折れ山腹を下るようになる。道は廃棄された産業道路の様子になる。左に下っていく道が分かれ、右におれて山腹をまた進む。そのうちに道には高い壁が設けられた場所に来る。ドアは太い針金で固定している。道幅いっぱいに造られた壁は、まくこともできないのでドアを乗り越えていく。なぜこうしているのは、不思議だったが、その先を下って行くと理由がわかった。そこは、実がたわわに実ったみかんの畑だった。みかん泥棒がいるので、そのための対応だろう。高圧線に注意など、札が掛かっている。しかし、入口には何の仕切りもなく、どれだけ効果があるのだろうか。山岳クラブの標識リボンは、かなり新しく最近付けたもののように見える。

みかん畑の間を下る、背後は鹿鵠崙
小坑一路46巷からの展望、左の尾根は小坑山
みかん畑を過ぎ下る。民家のわきで小坑一路46巷に通じる車道へ出る。ここは、まだけっこう高度が高く、谷の対岸の小坑山が同じぐらいの高さだ。前面は、かなり遠くまで見える。車道歩きなので、気楽な下りだ。この道を通うのは、住人ぐらいだろうから、ほとんど車は通らない。下るに従い、遠くの景色も見える範囲が段々少なくなる。新店溪対岸の直潭山が高くなっていく。振り返ると、先ほど同じぐらいの高さだった小坑山がすでに高い。12時7分、岸辺に下りてくる。わきの廣興長福宮では、活動が進行中でとても賑やかだ。空は晴れ陽射しは暑いぐらいだ。新店溪がせき止められてできている濛濛糊湖面の向こうには、直潭山がそびえている。あずま屋で休憩する。

廣興路のあずま屋から望む濛濛湖と背後の直潭山
休日には、この道を行く新北市の観光バスがあるが、次の便まではかなりの時間がある。廣興路を歩き、849番バスの通う新烏路まで行く。この道は、休日の遊楽客でそこそこの交通量がある。平廣路と合流し、その少し先で岸辺の公園に来る。説明板によればここはバードウオッチングによい場所のようだ。川の向こうに見える平廣山が高い。道は、小学校分校を過ぎ、少し登り川から離れた山腹を進む。13時過ぎ、南勢溪を廣興橋で越え、対岸の新烏路のバス停に着く。10分ほど待つと、満員の849番バスがやって来た。

岸辺の公園から望む、左は平廣山
今日は5時間半の行程で、約10.3kmを歩いた。登攀累計は430mしかない。出発点が高く、稜線上でもそれほどの登りがなかったためである。登山道は4kmぐらいであり、残りは車道なので楽な歩きであった。逆に歩けば、それなりの登りが続くコースとなる。困難度は、山道でクラス4があるがその他はクラス3、体力的にもクラス3である。天気の良い日には、遠くまで展望ができる、お薦めルートだ。

2013-12-06

2013年12月4日 平溪一坑古道-耳空龜山-汐止四分尾山縱走 初冬の尾根道歩き

ススキの向こうに歩いた稜線、中央の山は耳空龜山(四分尾山から望む)
晩秋以降は、台北近郊の山からかなり遠くまで望むことができる。天気が良ければ気温も十数度で、山登りには最適な時期だ。乾いた寒気団が訪れて気温は低いが、天気のよい日が続いている。12月半ばに登山クラブの活動で道案内をする予定がある。予定コースは以前歩いているが、だいぶ時間が過ぎている部分もあるので、確認の意味も含めて耳空龜山から四分尾山、さらに大尖山を縦走した。

南の一坑口から汐止へ歩く(汐止市街部分は表示外)
出発点の高度が高い、鋸形状の稜線歩き
出発点は、平渓区菁桐一坑口だ。石炭産業が盛んなころは、ここも炭鉱があった。それから数十年の年月が過ぎ、当時のにぎわいはない。一坑口からは、盤石嶺から耳空龜山へ続く尾根を摸乳巷鞍部で越え、汐止側に続く古道がある。また、石底觀音山から581峰へ続く尾根を越えていく古道もある。後者は一坑古道と呼ばれている。前者の摸乳巷鞍部を越えていく古道は、峠から先汐止側は、作埤內古道の支線とされている。この峠越道は、それまでは忘れさられ、ほんの数年前に手入れされ歩き始めている。盤石嶺から耳空龜山を経て、四分尾山へ続く主稜線上の道は耳空龜山登山道として、新北市の管理対象になっている。けっこう歩かれている道だ。四分尾山から先大尖山へは、更によい道だ。今回は、大尖山から天秀宮へ、さらに汐止駅へ歩いた。

最近の登山軌跡と付近の山々
一坑口の住居群、背後は石底観音山と右にこれから歩く一坑古道の谷間
日なたで暖をとる猫
木柵を6時50分発の795番バスは、MRT木柵駅へは7時少し前にやってくる。約40分の乗車で一坑口バス的に着く。ここは通り過ぎることはしばしばだが、下車するのは2年前に薯榔尖に登りに来て以来だ。朝陽がまだ射さず日陰になっている谷あいは、肌寒い。古い住宅が並ぶ前を歩く。猫が三匹朝陽を浴びてひなたぼっこしている。猫も寒いのだ。住宅が切れるところから、沢沿いにコンクリ製欄干の道がつづく。沢から引いている水管が何本も走っている。案内板がある。ここは、薯榔尖への登山口だ。更に二、三分で良い欄干道は終わる。わきに土の道が沢沿いに雑木林の中に入っていく。古道の入口だ。

福徳宮土地公の祠
数分歩くと、石壁だけが残る廃屋がある。炭鉱時代のものだろう。トロッコレールがある。道脇の草が深くなる。8時10分、福徳宮土地公の祠にきた。バス停から約20分だ。祠の中は神像も残り、お参りされている。生活のために古道を歩く地元住人は、もういないだろう。登山者が残したのか、缶コーヒーがお供えされている。沢は細くなり、一度沢に降りて対岸に渡る。ここから道は二つに別れるが、どちらもまた合流する。右の沢沿いの道を進む。8時23分、左に一坑古道が分岐してゆく。右に摸乳巷鞍部への道を取る。水量の少ない沢を二、三度越し、高度が上がっていく。まだ、陽がささず、周囲は薄暗い。途中、左に石造廃屋への道が分岐する。この道もあとで合流するようだ。沢を離れ、大岩が見える急斜面の道を登る。登り切ったところで、もうひとつの道に合流する。朝日も差し込んできた。山腹を行く道を登りきり、9時7分に摸乳巷鞍部に着く。一坑口から約1時間20分の登りである。

沢をこえて古道は進む
雑木林の中の尾根道
この鞍部は、ちょっと凹んだ形でそのくぼみが狭い。そのために摸乳巷と呼ばれている。すれ違うときに胸が触ってしまうとう意味である。倒木をくぐって、作埤內古道が谷へ下っていく。ここからは、主稜線上の登山道を進む。新北市管理の登山道でもあるので、谷からやってくる古道より程度はだいぶ良い。風が峠を吹き抜けていくのを感じる。主稜線道を登っていく。急坂部分には補助ロープが張ってある。稜線上には、小ピークが現れるので、登り下りが続く。左の石底観音山からの稜線が近くづいてくると、581峰はすぐだ。9時35分に石底観音山への分岐になる581峰に到着、しばし休憩する。歩きはじめて約2時間だ。頂上の樹木の枝には、これでもかというほど山岳クラブの標識リボンが結んである。踏み跡のかすかな道ではありがたい標識リボンも、これだけあると美観を損ねる。

581峰の説明板
双石塔への道
10分ほどの休憩後、下り始める。坂道を10分くだる。左から、石底観音山と581峰の支稜を峠で越してきた、草深い一坑古道(というべきだろう)が合流する。分岐から山腹を進む。露出した岩に階段が刻んである。古道の頃からのものだろう。10時9分、鞍部に降りる。作埤內古道支線が右に下っていく。その少し上は双石塔だ。左(西)側の塔の壁に、この塔の説明が取り付けられている。以前来た時は、なかった。この説明文には小学生が文字を習うときに発音を表すための注音符号がふってあるが、小学校低学年の子供がここへやってくることを想定しているのか。

説明プレートの着いた双石塔
耳空龜山頂上
姑娘廟への分岐
耳空龜山(標高588m)へは、急坂で始まる。補助ロープが長く張ってある坂を登っていく。登ること約10分、10時21分頂上に到着する。基石のわきに、上部分を切り取った青いポリタンクが三つ置いてあり、尚且つ基石にロープで結んである。何の目的なのかわからない。頂上は樹木中で展望がないが、少し休憩する。ここから、山容は幅の広い尾根が続く。緩やかな下り道を数分歩く。左に姑娘廟への道が分岐する。更に行くこと3,4分、右に展望峰への道が別れる。こちらはそれほど歩かれていないようで、草が深い。雑木林のなかの道は、ゆるやかな登り下りが続く。

稜線縦走路から望む平渓方向の山、正面は刀石崙(左)と石底觀音山、背後は鋸状の峰頭尖
ススキの中を行く稜線縦走路
四分尾山へあと1kmぐらいのところから、枕木階段とロープ手すりが現れ始める。二、三年前に整備された部分だ。耳空龜山登山道は都合5.7kmあるが、こうした良い部分は両入口の夫々1km
ぐらいまでのところだ。途中は、せいぜい樹木の幹に張り渡したロープだけだ。森がきれてススキの草原が現れる。ちょっとした登り下りのピークを越していく。右に四分尾山が見える。振り返れば、姜子寮山、主稜線の右側、ススキの穂の向こうに石底観音山や刀石崙、谷の対岸は峰頭尖の青い山々が望める。上鹿窟崙への分岐をすぎ、まもなく四分尾山産業道路に出る。対面の道を少し登りかえし、11時43分、四分尾山頂上(標高641m)に到着する。

四分尾山頂上、遠くに南港山と台北101ビル
頂上からみる基隆方向の大パノラマ、左に陽明山山系、右には姜子寮山。正面の山は四分尾山枝支稜上の槓尾山
基隆嶼が海に浮かぶ
頂上の説明板には、「東西南北観山海-四分尾山」というタイトルがある。これで五回目の登頂だが、今回初めてこの文字通りの景色を眺めることができた。春や夏は、晴れていても遠くは霞んで見えない。ススキの向こうに遠く海に浮かぶ基隆嶼や五分山、その後ろに基隆山の三角ピークまではっきり見える。西側は台北101ビル、そのわきの南港山、台北市街を挟んで陽明山の山塊がある。歩いてきた方向には、薯榔尖のピークからずっとこちらに耳空龜山を越えてやってくる稜線が続いている。休んでいると、登山者が大尖山方向から登ってきた。今日出会う初めての登山者だ。

枕木の良い道が大尖山へ続く
大尖山へは、幅の広いよく歩かれている登山道である。概ね下りの道だが、ところどころ小ピークへの登り返しもある。茄苳古道和尚頭山への分岐をそれぞれ通り過ぎる。枕木階段を下って行く時、前方に景色が広がる。国旗の掲揚されている、大尖山頂上のあずま屋も見える。以前は、遠くまで見えない天気であったこともあり、気付かなかった。左に天道清修院への分岐を見ると、大尖山はすぐだ。現れた石段道を登り返すと、小広場を過ぎあずま屋のある頂上へ12時53分に着く。四分尾山から40数分である。ここも今日は、いままで数回の訪問のうち一番の展望ができる。やはり空気の透明度が高いのだ。春にはサクラが見れるが、この時期はこの風景を見るだけでも、やってくる価値がある。あずま屋の柱に取り付けられている寒暖計は18度を示している。のこりは、下るだけなので食事をとりゆっくりと休憩する。

大尖山からのパノラマ
大尖山頂上
20分ほどの休憩後、石段を下り始める。大尖山もこれで四回目だが、この道を下るのは初めてだ。下りだと、前下方の景色を見て歩くので、また違った感じである。10数分で天秀宮へ着く。新北市無料バスサービスがあるが、次の便まで時間もあるので、今日はそのまま歩く。14時5分、汐止駅に到着、区間電車にて台北に帰った。

天秀宮へ下る





歩行距離約11.7km、所要時間は6時間20分(休憩込み)である。登攀累計高度は711mと、割合に少ない。稜線上での上下はあるが、一坑口の高度が高いので、はじめの登りも多くない。山道のレベルは全体で見た場合はクラス3、一坑古道はクラス4だ。体力的にはクラス3~4というところだろう。少し山慣れた登山者の稜線歩きとしては、最適なコースである。