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2012-07-28

2012年7月27日 木柵猴山岳から茶山古道を経て深坑へ

茶山古道の林家草厝、茶葉の天日乾し作業
木柵の猴山岳は、ズバンと切れた斜面を前面に持つので、遠くからみても判別しやすい。平溪や石碇への行き返りに車窓から見ることもしばしばだ。去年、まだ台北周辺の山登り経験が浅い頃、二格山からの縦走で猴山岳を通り、猴山岳前峰の急な岩壁を下って猴山坑へ出た。その時は、この急な下りはかなり大変という印象だった。それから一年、こうした岩壁登り下りの経験を重ねてきて、今回は逆に登ってみた。慣れてきた、ということのなのだろう、前回のような困難は感じなかった。猴山岳からは、茶山古道を下り、時間が早いので途中炮子崙瀑布に立ち寄り、深坑へ出た。
木柵の山々(以前の山行も表示、クリックで拡大)
西の指南宮から出発、深坑へ茶山古道を下る
今回は、故障したカメラの代わりに新たに入手したカメラのチェックの意味も含めて行った。猴山岳前峰は展望台、台北の街や周辺の山々がよく眺められる。どこまで写るかを確かめるには、好都合の場所だ。猴山岳の稜線や茶山古道は、風が吹いていて思ったほど暑くなく、快適だった。茶山古道の途中には林家草厝がある。茅葺きの農家だが、時がここだけ何十年も止まったままの感じだ。近くの段々畑では、収穫をまつ稲穂が頭を垂れていた。平日だが、何人もの登山者に出会い、やはり人里近い山であることを改めて感じた。


指南宮陵霄寶殿
陵霄寶殿から台北方向を眺める
指南宮駅近くから見る、背後は猫空の山々
猴山岳の登山は二度目だ。今回は、指南宮からスタートした。530番バスは、公館から指南宮まで乗り換えなしでいける。猫空ケーブルカーはちょうどメンテ中で運転していないので、公共交通手段としてはこれだけだ。7時半に台大バス停で乗車したバスは、木柵でほとんどの乗客をおろし、山道を登っていく。去年猴山岳から下ってきて乗車した猴山坑のバス停を過ぎてすぐ、終点指南宮バス停に着いた。40分のバス乗車だった。ケーブルカーが出来る前は、ここが指南宮詣の出発点だったので、参道の両側にはお店が軒を並べている。指南宮まではあと、標高差100mぐらいの登りがある。


猴山岳步道の入口
支度をして8時10分過ぎ出発、お店のアーケードを過ぎ、すぐ左に台北市親山歩道の道標がある。それに従い階段を登っていく。登るに従い、台北の街が見えてくる。獅子亭の脇には親山歩道のスタンプ台がある。ここからは、観音山や陽明山、南港山なども見え始める。更に進むと指南宮の山門をくぐる。十数年前にやって来た記憶がある。さすが台北を代表する廟である、境内の規模が大きい。陵霄寶殿の前からも、更に広い範囲の景観が望める。


土の登山道
陵霄寶殿を通り過ぎ、ケーブルカー駅へ進む。駅の改札口は、シャッターが半分閉じられ、営業していない。ただ、整備目的なのだろう、ケーブルカーは動いたり、止まったりしている。駅わきの展望台からは、猫空側の山が見える。3月に登った猫空尖や三玄宮山などの山並みが谷の向こうに連なっている。駅から道なりに行き、山門をくぐると左に猴山岳歩道の入口がある。階段の道は高度を上げていき、尾根に取り付く。ここまでくると、猫空の山々の向こう側に、先週登った獅仔頭山の山並みが見える。昨日の午後雨が降ったので、コンクリート階段の道はまだ濡れている。森の中を行くと、人家が左に現れこの歩道は終わり、車道に出る。道の真中に犬が二匹堂々と寝そべっている。


猴山岳前峰直下の岩壁登り
車道からは、前面に猴山岳前峰の急斜面が見える。道なりに下がっていくと、去年6月に猴山岳から下ってきた登山道の入口に着く。ここからは土の登山道だ。はじめから急坂だ。登って十数分、例の岩壁登りの場所に着いた。しっかりとした補助ロープが張られている。木の根やロープを掴んで登れば、問題ない。他の岩壁登りに比べて特に危険や困難は無い。土の登山道を登ること25分、10時少し前に猴山岳前峰(標高514m)に到着した。大勢の人声が聞こえると思ったら、十数名の年配登山客の団体が休んでいた。そのうち団体は出発し、頂上はまた静かになった。
猴山月前峰(背後に獅仔頭山)
前峰から台北方向を見る(クリックで拡大)
南港山と背後の陽明山山系
石碇、平渓方向を見る
二格山方面へ縦走路を歩く
前回来た時は、夕立がやってくる少し前だったので、遠くまで見えなかった。今日は昨日の雨のせいも有るのだろう、遠くまで展望できる。南側は熊空山や獅仔頭山、その右奥に白雞山の山塊、更に右に目を移せば天上山系がある。台北の街の向こうには観音山と陽明山、さらに東を見ていくと汐止や平溪の山々が見える。薯榔尖峰頭尖それに皇帝殿山の鋸歯稜線が目立つ。皇帝殿山の右側は今月上旬に行った獅公髻尾山がある。それにしても、多くの山の裾野や斜面に住宅群が造られているものだ。写真を写していると、登山者が一人やって来た。彼もいろいろな場所を歩いているようで、皇帝殿山では日本人の登山者と出会ったといっていた。

茶山古道との分岐鞍部
今日は先を急がないので、ゆっくり30分ほど食事も含めて休んだ後、茶山古道の分岐へ向け尾根道を歩く。左に深坑へ下る道を分け、稜線道を登って行くと、基石のある猴山岳頂上(標高551m)だ。ここは景観も無い林の中なので通過する。今回行程の最高点でもある。この稜線道はよく歩かれている。ところどころ枕木階段もある。茶畑が左に現れ、下って行くと茶山古道の峠となる鞍部に11時についた。ベンチが設けられている。右に行けば草楠へ下っていく。直進すれば二格山へ続く。ここは左にとり、深坑へ下る。


苔むした廃屋の脇を行く


はじめは枕木階段の急な下り、苔むした岩の部分も現れる。上から登山者が下りてきた。足が速く道を譲る。下ること10分ほど、斜面が緩くなりコケに覆われた廃屋があらわれた。屋根もなく、壁だけが残っているが、以前はここまで人が住んでいたのだろう。更に10分ほどで茶畑が現れた、林家草厝だ。ここはまだ通常に生活している。ちょうどお茶の葉を天日で干す作業をしていた。草葺の農家の脇を下ると、段々畑だ。収穫を前にした黄金の稲穂が一面に広がる。台北の大都会からそれほど離れていないが、ここは時間がゆっくり流れるかのようだ。車では来れないので、古道が唯一の交通手段だ。数名の登山客が登ってきてすれ違う。


草葺屋根の林家草厝
刈り取りを待つ稲穂
古道の石段
斜面がまた急になる。道に置かれた階段の石は、コケも少なくよく歩かれていることを示している。この古道は、まだ生活用に日々使われている、生きている山道だ。小沢の脇に新北市の道標がある。よく見ると、表示はないが細い道が草の中に伸びている、これが阿柔洋産道へ続く Jenifer Road だろう。この先で左に指南宮へ続く道を分ける。雑木林の中の道は広く、木漏れ日のまだらを踏んでいく。右に王軍寮への道を分岐する。素朴は古道は、コンクリートで手すりのある道に変わるとまもなく、人家が現れる。このあたりから炮子崙瀑布へ行く道があるはずだが、分岐がわからずそのまま下った。12時10分に炮子崙産道に出た。ここは深坑社区バスのバス停がある。他には道標はない。


滝への道
産道を少し下ると、電柱の脇に細い道がのびている。炮子崙瀑布へ続く道だ。時間も早いので、立ち寄ることにする。この道はおそらく行政単位ではなく、有志が行なっているのだろうが、肥料などの空袋にセメントを詰めたもので、道を整備している。このおかげで、本来ならば湿って滑りやすい道が、歩きやすくなっている。沢沿いに道は進み、入口から約10分ほどで滝に着いた。落差十数メートルの滝は、後ろの山がそれほど深くないので、水量は多くないが、それなりに見応えがある。脇に休憩小屋が造られ、中には更衣室や炊飯所もある。ちょうど十名ぐらいの人たちが中で休んでいた。滝に打たれたり、水遊びもできるようだ。土地の人達がよく訪れるのだろう。


炮子崙瀑布
深坑の野良猫
やって来た道を戻る。舗装路を深坑へ下っていく。炮子崙歩道へ続く産道の支線と合流し、沢の脇を下る。ここからは、振り返ると猴山岳が見える。交通量の多い106乙バイパス路を横ぎり、中正橋をわたって、深坑に1時25分に着いた。中正橋の袂にあるあずま屋で休んでいると、野良猫が一匹やって来た。腹をすかしているようだ。猫もいろいろな顔があるようで、この猫は餌をねだるにしては、偉そうな鳴き方をする。残っていた握り飯を分け与えた。シャツを着替え、106公路のバス停に行く。やって来た660番のバスでMRT木柵駅を経て帰宅した。


今回の行程、歩行距離9.3km、歩行時間は5時間10分、合計登攀高度637mだ。急がず、ゆっくりと写真なども撮りながら歩いたので、あまり疲れを感じなかった。一人の登山も、人里近い木柵などの山では、とても気楽だ。

高度プロフィル


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使用しているカメラの話

自分は、山行記録として要所だけでなく、山道を歩いている際もどんどん写真を撮っている。そのため、カメラをリュックなどに入れず常に首から下げたり、ポーチからすぐ取り出せるようにしている。こうしたカメラは、一眼ではなく、ズーム範囲の広いレンズ沈胴式のコンデジのほうが適している。画質の点も考慮して、以前はCanonのG9そしてG12を使ってきたが、G12は使ってちょうど一年、撮影枚数19000枚ぐらいで故障した。保証期限がちょうど切れ、修理代もかさむのでNikonのP7100に切り替えた。G12も性能的には問題なかったが、比較する意味でかなり安くなったP7100にした。今回は、CanonのS90とこのP7100で写している。慣れたらP7100一台を使用するつもりだ。

2012-07-22

2012年7月21日 新店獅仔頭山-三峽熊空山縱走

天上山から望む獅仔頭山-熊空山の山並み(2012/5撮影)
去年11月に獅仔頭山を訪れたとき、防番古碑から更に尾根上を行く道があった。道標に行く先は三峽熊空山となっている。この獅仔頭山から熊空山へ連なる山並みは、土城天上山から見た時、安坑の谷の反対側に長く続いている山だ。天上山から見ると、枝尾根の竹崙山が竹坑山から手前に伸びているので、かなり大きな山塊の印象だ。いずれは歩くことを考えていた。
天上山系の南にある縦走の山並み(マウスクリックで拡大)
北の獅子頭山から南へ歩く
実際の山行をするについては、歩行距離と帰路熊空からの交通機関の絡みで不安があったので、ずっと実行には移さなかった。その後、三峡の山々を登るようになり、他の山での長距離縦走も重ねてきたので、将来熊空や滿月圓の山を登る事前チェックの意味も含めて、行ってきた。


出発点獅仔頭山登山口
歩いてみると、獅仔頭山隘勇線登山口からスタートしたので、出発点の標高が高く、縦走路上の登り下りもそれほどでなく、思ったより苦労なく熊空山に着いた。ただ、下りに熊空山から山猴洞経由の沢道を取ったが、これは急坂とコケむした石がゴロゴロする道で、かなり神経を使う下りだった。獅仔頭山と熊空山の下りを除いて景観はほとんどなく、森の中を行く道だったが、尾根上ではずっと風が吹いていたので、快適だった。


最近の三回は友人との登山であったが、今回は単独行だ。新店区公所から6時40分発の獅仔頭山線無料バスに乗る。乗客は三名だけだ。登山客は自分以外に一人、去年11月の時に比べて少ない。この次の8時20分発のバスは乗客が多いと、運転手が言っていた。先月の集中豪雨で流され修復工事中の道を過ぎる。ここからは、浄水場の向こうに直潭山とその右に大桶山が見える。バスは、新店渓を離れ谷あいを登り、ジグザクの登りを繰り返すと登山口に着いた。新店区公所から約30分だ。去年11月も同じバスでやって来た。その時は、まだ太陽もそれほど上がっておらず、台北101ビルが雲の上に頭を出していて感動した。夏は光線も異なり、もうひとつだ。
觀獅坪からみる獅仔頭山、梯子が見える
防番古碑わきの道標、縦走開始点
支度を済ませ7時20分に出発する。バイクでやって来た二人の若い登山客が先を行く。よく整備された枕木道は20分ほどで觀獅坪に着く。觀獅坪から見る獅仔頭山は、まさに眼前に聳え立つ。先に登っていった二人が、梯子登りに取り掛かっている。梯子は新しいものに交換されている。彼らを追越し更にのぼると、今度は外人の登山客が下りてきた。結構早くから登山に来ているものだ。二ヶ所の梯子登りと急坂を登りきり、最高点(標高864m)の展望台に着く。犬が一匹休んでいる。昨日から風が強く吹いているので、夏山にしては台北方面がはっきり見える。
一つ目の鹿母潭への分岐点
杉林の中の道
尾根道を行くとまもなく、直進して三角点に行く道と防番古碑への分岐がある。三角点は前回すでに行っているので、ここは左に折れ防番古碑へ向かう。このあたりはツツジで有名だそうだ。花の時期にまた来たいものだ。防番古碑を過ぎ、縦走路が始まる。ここからは、初めて歩く山道だ。縦走路は、最近の坪林獅公髻尾山平溪峰頭尖などに比べてはるかに状態がよい。汐止耳空龜山の縦走路程度か。分岐後すぐの道は、尾根幅も広くあまり高くない雑木林の中を行く。暫く行くと、道が途切れてしまった。どうもおかしい、右に谷あいに降りていくような感じだが、踏み跡が無い。戻ってみると、先ほど気が付かなかったが、右に道が折れていくところにたくさんの標識リボンと藍天の道標があった。どうやら、この部分で気づかずに直進してしまう登山者が多く、このような誤った踏み跡ができてしまったのか。帰宅後軌跡を見ると、そのまま直進では谷に下りてしまう。


尾根脇の杉
明るい雑木林の道を行く。基調は下り、左側の谷から風が吹いおり、快適な道だ。右に鹿母潭への道を分岐する。さらに下って行くと、雑木林が杉林に変わる。まだ若い杉だ。樹齢は20年ぐらいか。シダの下草が道の両脇にびっしり茂っている。雑木林と杉が入り交じる中を更に進んでいく。谷側に近い杉は風の影響で、幹が根本で曲がっている。途中、南獅仔頭山を気づかないうちに通りすぎた。このあたりの道は下草が多く、注意して道筋を確認する必要がある。
鞍部から少し道を登ると、歩き始めて2時間、9時20分に右に鹿母潭へ左に平廣へ下りていく分岐についた。特に平廣への道は広い。ここから竹坑山北峰までは、20分とあるのでそのまま進み竹坑山北峰を目指す。それまでの縦走路に比べると、ここはまた広く良い道だ。登りの途中で木々が切れ、送電線塔の下をくぐる。道がよいのはこの送電線塔の保線路だからだろうか。木々の切れ目から、観音山が見える。また雑木林に入り、登って行くと分岐がある。直進すると竹坑山、右に取ると竹坑山北峰である。右の道を行き少し登ると9時41分、北峰頂上(標高803m)に着いた。


竹坑山北峰への登り
頂上は周囲樹木があるが、北側は開けている。縦走路上で唯一の展望点だ。そこから台北の街、その右奥に陽明山系、左奥にに觀音山が見える。近くには天上山系が走っている。文筆山やそのすぐ麓の綠野香坡の住宅群がある。獅仔頭山と今歩いてきた尾根筋も見える。三角点基石に座って食事をとり、しばし休憩する。ここで今日の行程の三分の一強だ。
竹坑山北峰頂上
北峰から見る台北の街、手前には天上山系
獅子頭山とそれから続く尾根
竹坑山頂上
先ほどの分岐に戻り、竹坑山へ進む。道はまた幅が狭くなり、両脇は草で覆われるようになる。一旦下り、登り返す。左に加九嶺山への道を分岐すると、すぐ竹坑山山頂に着いた。竹坑山(標高935m)も雑木林の中の山頂で、展望はない。広いので、大勢が休憩するには適している。時刻は10時30分、出発して3時間強、距離的に全行程の半分だ。ここでは休憩せず、そのまま進む。話し声が聞こえたかと思うと、三人のパーティに出会った。熊空から山猴洞経由で登ってきて、加九嶺山を目指すそうだ。
熊空山へ岩壁の登り
杉林の中を登る
少し先で、右に竹崙山への道を分岐する。更に下り鞍部に着いた後、行程最後になる、熊空山へ約100mの登りが始まる。杉も混じる林の中を登ると、急な坂が現れる。その上には岩壁の登りがある。補助ロープを使い岩壁を登る。この登りのあと、ゆるやかな坂が続き、11時36分、竹坑山から約1時間で熊空山(標高972m)についた。三角点のある広い頂上は、やはり木々に囲まれ展望はない。今日の縦走行程も、あと僅かだ。


右に紅龜面山への道を分ける。直進するとすぐ自動車が通れる、広い道にでる。もう麓に着いたか、の感覚だが、熊空の集落まではまだ600mぐらいの標高差がある。この幅広道を進むと、果樹園の上にでる。ここは木々がなく、眼前に熊空の山々が見える。谷を西側に見ていくと、先月登った五寮尖がある。台北付近の山に比べると、懐が深い。ここからは一つ上のクラスの山が始まる。道なりに果樹園を下って行くと、作業小屋がある。犬が二匹勢いよく吠え出した。犬の主人がなだめるが、いうことを聞かず吠え掛かる。そのうちの一匹は、後をつけてきて更に吠える。もし、果物泥棒などがくれば、この犬はよい忠犬として活躍するだろうが、ただ通過するだけの登山客にとっては迷惑千万だ。

熊空山頂上
熊空の山々、谷のつきあたりに五寮尖が見える、その右側は桃園
果樹園からの下り
山猴洞
車道を下って行くと、鉄製の門がある。そのすぐ先で左に山猴洞への道が別れる。さらに少し行くと、蚋仔尖と火燒寮山を経由していく尾根道がある。今回は、山猴洞への道を取った。道は山の斜面を急な角度で下っていく。補助ロープも現れ、コケの生えた滑りやすい岩も出てくる。分岐から15分ぐらいで、12時27分大岩の山猴洞についた。ここは大岩がオーバーハングして、その下が雨をしのげる洞となっている。登山者が二人、ここで休憩している。ここの標高はまだ850mぐらいあり、下り道はまだ長い。

コケ岩の下り道
薄暗い谷あいの道は、風もなく汗が滴り落ちる。道は急坂なだけでなく、涸沢の中を行ったり、倒木を乗り越えたりで、一筋縄ではいかない。道の程度も今日の全行程中一番低い。幸いにして、ヒルはいないようだが、湿っている道はコケもあるのでとても滑りやすく、神経を使う。沢を3度ほど越す。沢を越す度に、水量がだんだん多くなってくる。かなり下って来た時、人の話し声が聞こえてきた。最後の沢越えの時、そこでくつろいでいた六人のパーティに出会った。自分が一人で獅仔頭山からやってきたことを知ると、健脚だと感心した。沢を越え、山腹を横切っていく道を進むと、人家が現れた。時刻は13時42分、山道もこれで終わりだ。
下草がびっしり茂る登山道
熊空溪にかかる猴洞橋を渡る。沢には多くの老若男女が水遊びをしている。夏の熊空は、水遊びによいところだ。ここからは、舗装された産業道路を下るだけだ。午後の太陽のもと、産業道路を下ること30分、14時10分過ぎに熊空のバス停に着いた。この沢の周囲は、たくさんの観光客が来ている。次のバスは15時40分過ぎなので、まだかなり時間がある。角の雑貨屋でビールを買い飲む。実にうまい。
猴洞橋

熊空バス停
熊空からは、烏來方向や逐鹿山などの山々へ登れる。こうした山々へまた来ることが有るだろう。15時45分発バスは、滿月圓へ立ち寄る。途中乗車する乗客も多く、満員のバスは16時30分過ぎに三峡に到着した。ここから永寧を経由し帰宅した。

今回の行程は、距離13.7km、休憩を含む所要時間7時間、登攀高度合計620mだ。最後の2kmぐらいは舗装路なので、山道は11kmぐらいだ。距離としては、耳空龜山の時と同じぐらいだ。一部わかりにくいところもあるが、リボンもたくさん付けられているので、それを忠実に追っていけば迷うことは無い。道そのものも、山猴洞の沢筋道以外は、歩きやすいよい道だ。

高度プロファイル

2012-07-15

2012年7月14日 平溪石筍尖 plus 過去50回登山のまとめリスト

東勢格古道から見る石筍尖
最近は平渓の山を多く登っている。今回は、平渓三尖の一つで未登だった石筍尖を登った。歩いていない道や登っていない山もまだあるが、これで平渓の谷を見下ろすピークの大部分は登ったことになる。昨年4月末から始めた山登りは、この石筍尖登山で、51回目だ。過去50回の登山は、この登山記録の後に整理して載せた。


平渓の三尖と中央尖(マウスクリックで拡大)
薯榔尖から見る石筍尖(右の三角ピーク)と左にのびる北稜
今回の登山は、単一ピークだけの登山で、過去数回の強行軍に比べると短時間で、それほど労力が要らない登山だ。登山道も整備されていて、下半分石段の登山道は歩きやすい。上半分は、岩を補助ロープの助けを得て登る部分もあり、歩行距離は短いが刺激的で面白い登山だ。足元の菁桐は、休日で多くの観光客で溢れかえっていたが、山では他の登山客にも出会わず、自分たちだけの頂上で風景を満喫できた。石筍尖は、近くを過去数回通っているが、時間やルートの都合で登っていなかった。今回は同行のSさんの登山経験も踏まえ、石筍尖を菁桐から三坑側から登り、二坑側へ下ってまた菁桐へ戻るルートを歩いた。


菁桐から鉄道線路沿いに歩く(奥の山は薯榔尖)
今回の平渓行きも、MRT木柵駅バス停から1076番のバスで向かう。木柵8時20分発のバスは、8時30分少し前にやって来た。今日は登山客よりも一般の乗客が多い。途中で結構乗り降りがあり、ほぼ満席の状態で9時15分過ぎ、菁桐に着いた。周囲は観光バスが数台停まっており、観光客が下車している。一度寂れた炭鉱の街、菁桐がここまでまた賑やかになるとは、二、三十年前は思わなかっただろう。広東語も多く聞こえてくる、香港からの観光客も結構多い。村おこしの成功例といえる。


舗装路を石筍尖に向けて歩く
駅前を通り過ぎ、線路沿いに道を行く。晴天の空のもと、右側には基隆河の谷の向こうに中央尖が高い。頂上直下の岩壁が顕著だ。線路をディーゼル列車がやってくる。10分ほど歩くと踏切があり、渡ると石筍尖、三坑山への道案内がある。この道を進む。正面には石筍尖が見える。歩くこと数分で、舗装路が終わり山道が始まる。道脇の家の犬がいきよいよく吠えたてる。花崗岩石畳の道を進むと、右に土地公がある。もともと汐止へ続く古道だった名残だ。もう一つの土地公がある分岐で右に道を分け、沢を橋で越す。道の両端は草に覆われ、ところどころ野薑花の白い花が目立つ。


登山道脇の野薑花
道は石段が始まる。落ち葉が多く、下りに歩いた二坑側の登山道に比べると、歩かれている程度が低いように思える。雑木林の中を行き、右に汐平公路へ続く草深い道を分ける。踊り場で三坑山への道が分岐する。ところどころに石造りの立派なベンチが道脇に設けられている。ジグザグの道を登り切ると、石段の道が終わり大岩が左にある、急な岩の補助ロープ道となる。木々の切れ間から中央尖が見える。登山口から約30分の登り、すでに全身汗まみれだ。


石段の山道
補助ロープのある土の山道
かなり急坂だが、両側に補助ロープが設けられているので、安心だ。ロープ自身は黒ずんで、かなり前に設置されたようだ。手袋をはめて登る。Sさんにとっては、初体験だが、問題は無さそうだ。道は、緩くなり林の中を行き、また同じような手足を使った登りを繰り返す。岩が露出した部分を通り過ぎると、10時半ごろ二坑側から登ってくる登山道と合流する。頂上はもうあとわずかだ。階段に刻んだ石段などを登って行き、最後の大岩をロープでよじ登ると、分岐から10分弱、10時42分に石筍尖頂上に着いた。菁桐から約1時間20分の登りだった。


岩を登る
狭い頂上は、皇帝椅子と呼ばれる、中が凹んで肘掛け椅子のような岩が座っている。国旗掲揚のポールがあるが、国旗そのものはちぎれて原型をとどめていない。周囲遮るもののない展望台だ。平渓の谷の反対側は、中央尖峰頭尖が並んでいる。先週登った獅公髻尾山や伏獅山峰頭尖から頭を出している。峰頭尖の右奥は皇帝殿山だ。薯榔尖から盤石嶺の方向へ伸びる尾根が、二坑の谷の対岸にある。目を反対側に移せば、姜子寮山五分山へ連なる稜線がある。すべて登った山々だ。去年9月、五分山山行が平渓の山々への最初の訪問だったが、それから結構登ったものだ、と感慨する。


皇帝椅子と呼ばれる石のある頂上、東方向を望む
南側を望む:平渓の谷とその向こうの中央尖、峰頭尖、その奥は獅公髻尾山、右奥は皇帝殿山
薯榔尖と右にのびる稜線
頂上登頂途中の石階段
風が吹いているので、盛夏の太陽が照り付けているものの、暑さはあまり感じない。ただ、陽射しが強いので頂上から降り、大岩の脇にある少し開けた場所で食事をとり、休憩する。ここから北側の稜線をつたっていく道があるが、結構危険なルートということだ。機会があれば、このルートを歩いてみよう。頂上での写真撮りや、休憩など45分ぐらい過ごし、下山を開始する。


三坑側からの道との分岐をすぎ、やはり急な道をロープの助けを得て下る。青苔の生えた岩は滑りやすい。約20分ほど注意深く下ると、石段の道になった。ここからは、気楽な下り道となる。途中倒木などもある、石段の道を下って行くと、樹相が変わり杉林の中を行く。台北は連日37度を越える高温で記録を更新している。緑に囲まれたここは、林の中に入ればところどころやってくる微風で、涼感もある別世界だ。


杉林の中を下る
観光客で賑わう菁桐駅
12時20分、薯榔尖や菁桐古道への道と合流する。ここは以前通ったところだ。二坑に向けて舗装路を下る。12時30分過ぎ、菁桐へ戻り今回の石筍尖山行を終えた。駅の周辺は、多くの観光客であふれている。不思議な事に3時間の行程中、比較的に人気コースであるはずだが、他の登山者とは出会わなかった。時間が早いので、途中十分に立ち寄り、鉄道で台北に帰った。十分では日本人観光客ともすれ違った。


今回の山行は、歩行距離4km、歩行時間は休憩を含め約3時間、高低差約300mである。これで、いわゆる平溪三尖はすべて登ったことになるが、歩きやすさやチャレンジ性という点からすると、石筍尖は三者の中間だ。薯榔尖や石筍尖はともに展望台の山で、登山道も整備されている。峰頭山はそれに比べると、道の程度が落ち、取るルートにもよるがずっと体力が要求される一方、得られる景色は限定される。不遇な理由もここにある。この三尖を一日で完登する猛者もいるようだが、一般的には薯榔尖と石筍尖とをペアで登ることも多いようだ。自分はそれぞれ別々に登ったが、今日のように観光もあわせて薯榔尖や石筍尖を単独で登るのもおすすめだ。


平渓、石碇地区の登山済みの山々登山道軌跡

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過去50回登山リスト

いままで、場所的には飛び飛びに登山をしているので、それをまとめて下記にリストした。タイトル部分をクリックすると、それぞれの記事ページにジャンプします。


# 日付 山名・行程 山系・地域 難易度 歩行距離 所要時間
1 2011/4/28 南港山縦走路を歩く 台北市南港 6.8km 3時間
2 2011/5/4 內湖金面山-劍潭山縦走 台北市内湖 11km 4時間30分
3 2011/5/10 大崙頭山 - 內湖鯉魚山 を歩く 台北市内湖 11km 5時間
4 2011/5/30 七星山 - 擎天崗 - 風櫃口縦走 台北市陽明山 16.7km 6時間
5 2011/6/6 面天山 - 大屯山(西,南,主峰)- 中正山 を歩く 台北市陽明山 13km 6時間
6 2011/6/13 草湳 - 二格山 - 猴山岳 縦走 台北市木柵 11km 5時間
7 2011/6/17 觀音山 凌雲禪寺 - 八里渡船頭を歩く 新北市八里 7.2km 2時間40分
8 2011/6/23 土城 火焔山 - 天上山 - 五城山 を歩く 新北市土城 9.5km 3時間
9 2011/6/30 更寮古道から土庫岳を登る 台北市南港 6km 3時間
10 2011/7/6 汐止大尖山 - 四分尾山 - 秀峰瀑布 を歩く 新北市汐止 12.7km 5時間
11 2011/7/15 霧の菜公坑山 二子坪 面天山 - 貴子坑步道から復興崗站 台北市陽明山 17km 5時間
12 2011/7/23 日本丹澤塔之岳登山記 塔ノ岳を数十年ぶりに登る 日本神奈川県丹沢 15km 7時間
13 2011/9/2 樹林 から大同山-大棟山を縦走 新北市樹林 11km 4時間20分
14 2011/9/8 陽明山 絹絲瀑布 - 竹篙山 - 七星山 を歩く 台北市陽明山 17km 7時間
15 2011/9/16 平渓 五分山 展望台の山 新北市平溪 11km 4時間30分
16 2011/9/22 南港山を虎山経由で岩壁ルートから登る 台北市南港 7.1km 5時間
17 2011/9/27 石碇皇帝殿山 岩尾根を歩く 新北市石碇 11km 5時間40分
18 2011/9/29 金瓜石步道-燦光寮山-貂山古道 海と山の道 新北市瑞芳 13.8km 5時間20分
19 2011/10/11 銀河洞越嶺步道から指南茶路步道を歩く 台北市木柵 11km 5時間30分
20 2011/10/14 薯榔尖 - 菁桐古道 展望台の山と古色の山道 新北市平溪 11.5km 5時間10分
21 2011/10/21 日本東京奥多摩之山 鷹之巢山登山記 - 鷹ノ巣山から石尾根縦走 日本東京都奥多摩 20km 7時間
22 2011/10/29 坪林 獅公髻尾山から九芎坑山経由雙青公路へ 新北市坪林 10km 3時間30分
23 2011/11/3 観音山 牛港稜山から硬漢嶺、占山縦走 新北市八里 12km 6時間15分
24 2011/11/5 獅仔頭山 - 粽串尖 - 大丘田山(未登) 新北市新店 8km 5時間
25 2011/11/29 宜蘭桃源谷 海が見える草原の山 宜蘭県 13km 6時間
26 2011/12/7 三峽白雞山-雞罩山 雨の中休み快晴に登る 新北市三峽 8km 4時間40分
27 2011/12/28 筆架山縱走:二格山から石碇へ 新北市深坑-石碇 10.8km 7時間
28 2012/1/19 汐止新山-五指山古道 新北市汐止 11km 5時間45分
29 2012/2/5 內湖大崙尾山-大崙頭山-白石湖山-龍船岩縱走 台北市内湖 11.5km 6時間30分
30 2012/2/12 新店直潭山 四分子産業道路経由で下る 新北市新店 10km 5時間30分
31 2012/3/1 烏來山-大桶山縱走 新北市烏來 7km 6時間
32 2012/3/5 耳空龜山縱走 汐止から菁桐へ稜線を歩く 新北市汐止-平溪 11.5km 7時間
33 2012/3/17 二格山-三玄宮山縱走 台北市木柵 11.6km 5時間30分
34 2012/3/22 平溪孝子山-普陀山-中央尖-臭頭山 新北市平溪 7.3km 7時間
35 2012/3/26 大屯山-七星山縱走 台北市陽明山 15km 7時間25分
36 2012/4/1 台北市民の憩いの山 象山 - 拇指山 を歩く 台北市南港 5.5km 3時間
37 2012/4/9 日本奥多摩川苔山 - 遇到日本羚羊 日本東京都奥多摩 16.5km 7時間
38 2012/4/23 油桐花の三峽鳶山を登る 新北市三峽 10.2km 5時間
39 2012/5/1 基隆山 - 大粗坑古道 九份の山を歩く 新北市瑞芳 10.6km 5時間
40 2012/5/6 桐花の土城天上山から中和牛埔山へ縦走 新北市土城-中和 16km 6時間50分
41 2012/5/14 草嶺古道から桃源谷を歩く 宜蘭県-新北市雙溪 20.5km 7時間30分
42 2012/5/23 朝の七星山 - 多くの蝶が舞う霧の山道 台北市陽明山 4.6km 2時間40分
43 2012/5/29 觀音山 - 気楽な山登り 新北市八里 7.3km 3時間30分
44 2012/6/5 南港山樹梅古道 - 大都会わきの素朴な山道 台北市南港 4.6km 3時間
45 2012/6/8 泰山崎頭步道-尖凍山 台北盆地西側の山 新北市泰山 8.9km 3時間50分
46 2012/6/10 三峽五寮尖 - 北部三大岩尾根の第一位 新北市三峽 8.3km 5時間30分
47 2012/6/18 石碇皇帝殿山北峰 - 西峰縱走 新北市石碇 8.3km 6時間15分
48 2012/6/26 基隆七堵姜子寮山 - 拔西猴山の尾根道から登る 基隆市七堵 14km 6時間45分
49 2012/7/1 平溪峰頭尖 - 平溪三尖中の不遇な山 新北市平溪 7.6km 6時間50分
50 2012/7/8 坪林獅公髻尾山から平溪へ歩く 新北市坪林-平溪 12km 6時間30分