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2012-08-27

台北近郊登山についての簡単ガイド - 番外記事

台北市街を囲む山々(台北市南港山から望む)
(2024年3月最終更新)

台湾の3000m高峰登山簡単ガイドを記載しました。台湾の高山登山に興味のあるかたはこちらもどうぞ。

日本登山研修所の機関誌登山研修38号に台湾山岳登山一般の筆者の記事があります

台北近郊のコースタイムなどを含む具体的なコースガイドへのリンクを記事中に追加しました。

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八月半ばに鶯歌石へ行った時、左のふくらはぎが少し痛かった。これは肉離れの前兆だったようで、その後病院に行くと痛みが収まるまでは、山に登らないほうがよい、との診断だった。素人判断で治ったかと思って、少し走ったら痛みがぶり返し、まだまだ登山はしばらくできない状態。あと二、三週間は登れないようなので、今回は台北付近に在住、或いは観光に来て台北付近の山でも登ることを考えている人のことを想定して、今までの経験をもとに台北付近の山登り全般について、簡単ガイドを書きます。


場所やコースについて

台北は周囲を山に囲まれている盆地であり、南北に流れる主流の淡水河に基隆河、新店渓などの河川が流れこむ水系がある。海からもそう遠くないので、台北の北側や北東側にある山頂から海が望める場所も結構ある。一方、南側は台湾の背骨を構成する雪山山系の末端となる山塊があり、ここは標高も高く山も深い。人里も遠くなる。

この地図の範囲の山が大体台北近郊の山々だ























山道は、国家公園となっている台北北側に位置する陽明山山系は、石畳の立派な山道がある。Aクラスだ。同じ山域にそれ以外にも歩かれている道があるが、公園事務所の管理外になるので、程度は落ちるし、道標などもない。そこを歩く場合は、道の知識と準備が必要だ。

陽明山国家公園七星山の石畳登山道
つぎに台北市、新北市区役所(旧台北県の各行政単位)の管理する山道がある。これらは石畳やセメント道の部分もあるが、枕木歩道や道標、安全のための手すり、ロープなどの整備をして、歩きやすい道を提供している。Bクラスというべきか。この中でも、台北市南港親山歩道など、全区間が石畳でAクラスの道もある。
海の見える新北市瑞芳区半屏山登山道
行政組織が予算を使い、管理メンテしている山道以外にも、もちろん山道がある。例えば中華民国山岳協会の一部である藍天登山隊は、ボランティアとして自ら道を切り開いたり、その後草刈りなどを含むメンテをしている。Cクラスとしておこう。その中でも多く歩かれている人気のコースは、踏み跡もしっかりしているが、不人気なところは獣道より少し良いかなと、いうところもある。日本の中部山岳や東京に近い山々の山道と比べると、藍天登山隊による山道は、より自然に近い状態だ。もし、台北近郊の山を初めて登るときは、こうしたところだと面食らうかもしれない。GPSや等高線地図を読める力が必要だ。

あまり歩かれていないCクラスの山道
藍天隊の道標や登山クラブの標識リボン


初めて台北付近の山を登るのであれば、上記のABクラスの山道コースからはじめるのが良いだろう。下記のWebサイトなどが参考になる。過去のブログ記事では、51回目に載せたリストで、難易度を「軽」としているところであれば、道もよく歩行時間も少ない。(12/31更新:2012年山行のまとめにも一部上記リストと重なるが、7月以降の山行も含めたリストを載せている)




台北近郊登山ルートガイド (2024/03更新)


装備について

一般的な登山靴
台北近郊の山は日帰りコースなので、大掛かりな装備はいらない。場所やコースによって当然差があるが、靴は運動靴や登山靴が望ましい。もしCクラスの道であれば、登山靴を勧める。台湾の登山者は長靴利用も多い。日本の山より湿潤なので、泥濘も多く沢越えもあるので、長靴は便利だ。筆者も長靴で行くことが多い。夏は暑く汗を大量にかくので、水分を十分補給出来るだけの分量は必要だ。一日歩くのであれば、1リットルでも足りない。

補助ロープの下がる岩壁の道
服装は、夏は引っかき傷や日焼けに対応出来るほうが良いだろう。冬でもそれほど厚着は要らない。歩き始めると、風が当たらないルートであれば、下着にシャツ一枚でも十分だ。草深いCクラスの山道だと、ヤマビルがスネに付いて血を吸われることがある。ズボンの裾から入り込むので、時々注意したほうが良い。もし完全にシャットアウトするのであれば、スパッツを着用すればヒルからは免れる。こうしたルートでは半ズボンはお勧めしない。夏は、ズボンの下半分が取り外せる登山ズボンは、山道が終わり舗装された道を歩くときなどに半ズボンにできるので、おすすめだ。

岩や樹木の根を登るような、急な坂道はCクラスの山道でも補助ロープがある場所が多い。この時は、手袋があったほうが良い。軍手や手のひら側にゴムの補強があるような手袋が重宝する。
滑り止めゴム付手袋

台北の冬は雨が多く、夏でも夕立など、山で雨に降られる可能性は高い。雨具は忘れないように。雨具も様々だが、歩きやすい道以外では、傘は役にたたないので、カッパは必要、上下分離の上着ズボン雨具があればさらに良い。懐中電灯(ヘッドランプ)なども万一のために、あったほうが良い。

幸いにして今まで遭遇していないが、山には毒蛇やスズメバチなど危害を与える動物昆虫が生息している。山歩きのときは、ニュースなど情報に注意し、これらの存在を認識して歩くことが必要だ。草深い山を登るときは、登山ステッキはあったほうが良いだろう。


同行者、パーティについて

いままで、八割方自分は単独行である。奥深い山でなく、それなりに地図を見て事前にルートを把握していれば、問題ない。ただし、初めて登る場合は、やはり台北の山々に慣れるため、歩きやすく道標も完備されているABクラスの山道から始めたほうが良いだろう。自分はそうしてきた。

台湾には、様々な登山クラブがある。そうしたクラブは会員以外、一般にも山行の参加を募集しているので、コミュニケーションに問題がなければ、そのパーティに参加するのも方法だ。台北近郊の山は必要ないが、台湾中央の高山の場合は、入山許可が必要になる。こうした山の場合は当然パーティに参加することになる。

自分は、幾つか登山候補をプールしておき、その時の天候や自分の好みに合わせてその中から、選んで登っている。もし、読者のうちで興味があれば、事前に山行予定を紹介し、一緒に登ることも可能です。(2014/8追記:Facebook上でTaipei Hiker Clubを主催しています。もし、参加希望の場合は、ご連絡下さい。)

私は、学生時代に奥多摩、奥秩父、丹沢などの山々や、北、南アルプス、八ヶ岳などを四季を通じて登っていた。それから三十数年経ってはいるが、過去の山登りの経験は、台北付近の山々でも当然役立つ。それは地図の見方や、歩き方の基本、コース選定や装備の知識などである。東京の近郊でも雲取山など2000mを越える山があるのに比べると、台北周辺の山は低い。しかし、基本は同じだ。十分な時間的、装備上の余裕を以て、天候に注意し、安全に登山することが大切だ。台北近郊の山でも、死亡事故を含む遭難が発生していることは、忘れてはならないでしょう。

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