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2022-10-17

台湾登山ルートガイド:台北近郊登山 大棟山 - 青龍嶺 - 三角埔頂山縱走 台北盆地西側俯瞰ルート

縦走対象の稜線は新北市と桃園市との境界
前回四回の台北盆地を俯瞰するルート案内で、盆地中ほどそして東側から望むルートガイドを記述した。今回は、東西南北で残っている西側から台北盆地を望むルートガイドである。訪れた当日は、曇りで盆地は十分に望めたが、北側にある山々は雲の中で判別はできなかった。天気が良ければ、陽明山連山や五指山山塊が盆地の北側を画しているのを望むことができる。

当ルート登山対象は、行政区画でいうと新北市樹林區と桃園市龜山區との境界地帯である。樹林區の山佳から登り、県境の稜線を進み最後は新北市新莊區の迴龍へと下るものである。山佳は台湾国鉄(台鐵)の駅、迴龍はMRTの駅があり、ともに登山口のアクセスが良い。標高は405mの大棟山が最高で、200m~300m台の山地であるが、台北盆地の西端に盛り上がるので、展望がよい。

対象ルートは台北盆地に西側
ルートは、山佳と迴龍とのどちらから歩いても良い。このガイドでは山佳からまず標高227mの牛埔山に登り、一度下って大棟山へ登り、その後は稜線を追って青龍嶺、三角埔頂山、そして三福山を経て下るルートである。牛埔山はあまり多く歩かれている山ではなく、道もはっきりしないところもある。露岩や岩を囲うガジュマル大樹があるなど、面白場所もあるが、経験がすくない登山者は省いてしまってもよい。この部分は寄り道的なセクションである。


登山対象:

ルート 山佳站 -  (3分) - 吉祥街5弄聖元宮 - (3分) - 牛埔山登山口 - (35分) - 牛埔山山頂 - (30分) - 登山口 - (德福街17巷 50分)  - 五路財神廟 - (10分) - 大棟山 - (10分) - 秋壇山 - (55分) - 青龍嶺 - (10分) - 觀景台 - (12分) - 三角埔頂山 - (15分) - 三福山 - (20分) - 新北市軍人忠烈祠 - (20分) - MRT迴龍站  5時間(休憩含まず)  約11㎞、昇降各約600m、コース定数20 

牛埔山 標高227m、訪れる登山者があまりいない、一見何の特徴もないような山佳站の後ろにひかえる山である。山道には大きな露岩、ガジュマル大樹や、千年石亀と称する根が岩を抱きかかえたガジュマルがある。途中にはロープが取り付けてある急坂もある。山頂には、三角点基石以外に玉鳳山玉西夫と記された石碑(由来は不明)がある。樹木に囲まれ展望はない。

牛埔山山頂
大棟山 標高405m、一等三角点を有する小百岳である。山頂には高い通信塔も建っており、遠くからでも判別しやすい。山頂の涼亭脇からは、台北側も桃園側も見通しがきく、よい展望台でもある。すぐ近くに自動車道が来ており、歩かなくても登頂できる。

大棟山山頂、左の涼亭脇に一等三角点がある
青龍嶺 標高256m、すぐ近くまで自動車道があるので、わずかな歩きで登頂できる。すぐ下には土地公などがあり、割とにぎやかな場所でもある。山頂は、三角点の東側が開けていて台北盆地やその周辺にたちがある山々を望むことができる。

青龍嶺山頂
三角埔頂山 標高285m、山頂周囲はほぼ全域がススキで、秋も深まる11月ごろには山全体がススキの穂で覆われる。見晴らしも良く、ススキの時期には登山者以外も多く訪れる。山道の土は、オフロードバイクなどが入ってくるため、削られている場所もある。山頂近くには送電鉄塔も立ち、遠くからでも判別しやすい。当座の真下を台湾高鐵(台湾高速鉄道=新幹線)のトンネルが貫いている。

白い気象レーダー搭と送電鉄塔の三角埔頂山
新北市軍人忠烈祠 その名の通り忠烈碑がある公園である。長い階段を下る途中には、退役した戦車や戦闘機、重火器の実物展示がある。

丘の上の軍人忠烈祠

ルート概要

台北から区間電車で30分足らずで山佳駅に着く。今は改札口が二階にある新駅舎だが、筆者が 2011年前に初めて訪れたときは、日本時代にたてられた駅舎がが現役であった。駅舎は壊されずに保存され、今は新北市の文化遺跡として新駅の脇に建っている。旧駅舎のある反対側出口(北側口)から駅を出る。

山佳站旧駅舎(右)の背後に牛埔山
駅を桃園方向に出て右に曲がる。中和街に新しい住宅ビルが目立つ。ここもベッドタウンになりつつあるようだ。大棟山への道標があるのでそれに従い德福街を登る。まもなく前方に右に曲がる道がある。聖元宮と記されたサインが建物の壁に記してあるのでそちらに曲がっていく。家具工場をみて、すぐ左に分岐する道をとり、牛埔山登山口に着く。もし牛埔山をスキップする場合は、德福街をそのまま進めばよい。

駅からすぐ近くの中和街、手前に茶色の道標が大棟山方向を示す
牛埔山へは聖元宮とある道をとる、スキップするには左をそのまま登る
家具工場脇で左の道をとる
草に埋もれた牛埔山登山口(マーカーリボンに注意)
草に覆われた登山口を入ると、森の中は割合とはっきりした道が続く。山腹を登っていくと尾根に取りつく。マーカーがほどほどあるので、それに従っていくとよい。尾根の形状がはっきりしてくるころロープの急坂、そして大きな露岩が目立つ。露岩の脇を行くと大きく八方に枝を伸ばしたガジュマルが現れる。大樹の左側を進み、尾根の左脇を行くと今度はガジュマルの根が岩を抱きかかえるように伸びている。この岩は千年石亀という札が取り付けてある。ロープの急坂を登りきると、分岐がある。右にとってわずかに登ると山頂だ。

ロープが付けられた尾根道
露岩のセクション
八方に枝を伸ばすガジュマル
千年石龜
山頂下分岐前最後の登り
下山は、分岐に戻り右へ下る。途中にはつたが絡まり、ちょっと道がわかりにくいところもあるので、注意が必要だ。数か所ロープが付けられた急坂を下り、犬が激しく吠える民家脇の登山口にでる。右に進み別の民家の前を通って、德福街に出る。もし牛埔山に立ち寄らず舗装を直接登ってくれば、ここに着く。

つたをくぐる
ロープのつけられている坂を下る
最後の下り坂
民家脇の登山口
分岐は右にとり、別の家具工場を右にみてその先の分岐は左へ福德街17巷を登っていく。すぐ左に土地公を見て、そのすぐ上に左側の尾根を登る山道がある。この山道を登ってもいける。車の往来はほとんどないので舗装路でも問題ない。距離的にもほとんど同じだ。登りきると十字路に出る。右上の細くなった福德街17巷をさらに進む。勾配は緩やかになり、樹頂山咖啡の脇を通る。少し下り登り返して右から道を合わせる。その先、道しるべが大棟山方向を示す路地を登る。左に霖cafeの板フェンス脇を見て少し行くと五路財神廟の山門がある。山門をくぐって登ると、五路財神廟だ。

左に德福街17巷を登る
背後に牛埔山をみて舗装路を行く
登り坂上の十字路
樹頂上咖啡の脇を行く
道標に従い進む
五路財神廟の山門、右の舗装路経由でも大棟山山頂へ行ける
五路財神廟脇の階段道を登る。フェンスで画された道を少し行くと、前方に急な坂がある。登り切り道なりに進む。平らになると左から龜山方面からの道を合わせ、さらに少し行くと右に先ほど五路財神廟の山門で分かれた舗装と合流する。五路財神廟を通らず、舗装路をそのまま登ってきてもここまでくる。すぐ前には通信鉄塔が高く聳える。大棟山山頂はそのすぐ左だ。大きな表示や一等三角点、涼亭がある。

五路財神廟の右の階段道を登る
財神廟からは桃園方向が望める
フェンス脇を進み背後の小高い丘を登る
大棟山の通信タワー
山頂から台北方向を見る、陽明山山系が背後に見える
稜線道は、鉄塔の脇から始まる。山道はとても良い状態だ。すぐに下りはじめ、地元民が建てた涼亭を過ぎる。下っていくと道の真ん中に秋壇山と刻まれた石碑を見る。尾根を行く道は基本下り基調だが、起伏がある。しばらく行って登り切った丘の左のちょっと入ったところに、地元山岳会の涼亭がある。広くとても状態が良い。誰でも使えるので、休憩や昼食をとるには都合がよい。これ以外にも稜線道上には民間の建てた涼亭があるが、この山岳会の涼亭が一番程度がよい。

稜線道入口
秋壇山
稜線道は登り下りがある
地元山岳会の涼亭
山道は上り下りを繰り返す。左にトイレへを見て少し行くと、土道に石が敷かれている。公共墓地の上を行く部分になる。左に特異な形状の寺院を見る。道は下りまた少し登って、右へ舗装路へ降りる。駐車場や建物が舗装路脇に現れ、黄色く塗られた青德宮を見る。廟脇を右に曲がり、広場から左へ赤と白に塗られた通信鉄塔に向け少し登る。鉄塔脇の道を登りきると青龍嶺だ。

登り返しもある
縦走路から三角埔頂山を望む、左奥に觀音山
道脇のお手洗い
公共墓地の上を行く
三峽方向を望む
舗装路へ降りる
突き当りに青德宮その上の赤白通信タワーの向こうが青龍嶺
青龍嶺からの台北盆地パノラマ
台北中心部のクローズアップ、101ビルが見える。手前に台灣高鐵の高架橋
青龍嶺の三角点山頂から少し行くと、急な坂が現れる。これを下り舗装路に降りる。右に進み道なりに行くと、右に展望台への道が分岐する。まだ新しい道を少し行くと、展望台にでる。樹木が少し邪魔になってきているが、台北盆地が眼下に広がる。道をもどり舗装路を道なりに進む。分岐を左にとり、前方左の気象レーダー脇へ登る。レーダー脇から土の山道が始まる。道なりに進み、送電鉄塔近く一本の樹木のもとに三角埔頂山の三角点を見る。

展望台への道
展望台の説明板
左に気象レーダー方向へ登る
気象レーダー搭
背後右に赤白鉄塔のある青龍嶺が見える
三角埔頂山山頂
三角埔頂山山頂付近送電鉄塔脇からのパノラマ
そのまま下っていく道もあるが、三福山方向へは右の広い土の道である。オフロードバイクなどが上がってくるためだろう、赤土の表面が削られちょと歩きにくい。周囲はすべてススキだ。しばらく下るとコンクリ舗装の道になる。尾根上の道を引き続き下っていくと、右に樹木に囲まれた三福山(標高233m)がある。ちょっと広場のようは頂上の片隅に三角点基石がある。また涼亭もある。

ススキの間の道を下る

路面はバイクのタイヤで削られている
台灣高鐵のトンネルが真下を貫いている
三福山山頂
涼亭脇に階段道が始まる。枝尾根上を結構勾配のきつい階段道で高度を下げていく。階段道が切れると道脇にトイレと涼亭がある。道は緩やかになり、軍人忠烈祠の一角に着く。涼亭脇で道が終り、忠烈石碑が高くたつ前から長い幅広階段が下っていく。下り切ったところで左右どちらでも行けるが、左に少し行くと戦車や飛行機の野外展示がある。事務建物の前をさらに階段で下り、山門を出ると一般道路となる。工場などの脇を行き、広い中正路にでる。左に進んで縱貫公路を右に行くと、MRT迴龍站だ。

階段道を下る
途中の涼亭
山道は残り僅か
幅広階段を祠へ下る
戦車や火器の展示
MRT洄龍駅入口

アクセス:

台北からは台湾国鉄の区間電車(各駅停車)で山佳駅、或いはMRT橙線で迴龍駅へ行ける。橙線は迴龍行と蘆洲行があるので、間違わないように注意が必要。国鉄もMRTともに本数はそこそこある。

装備:

牛埔山はロープをつかんでの坂があるので、手袋があったほうがよい。それ以外は、一般的なハイキング装備、水や食事、そして寒い時期には風を防げるジャケットは必要だ。夏は暑いので十分な水を持参することを勧める。

羅氏鹽膚花

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