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前回の台北近郊登山ガイドにつぎ、この記事も台北盆地を取り囲む山々の内、南に位置する山の登山ルートガイドである。訪れた日はあいにく雨模様であったが、ルートは良い道なので傘をさして歩くこともできた。別のいい方をすれば、歩きやすいルートである。
この山域は、行政区画でいうと新北市中和區になる。台北市とは新店溪を隔てた南にあり、さしずめベットタウン的な存在でもある。その町並みの末端にこれらの山々が立ち上がる。当ルート上の最高点、標高302mの南勢角山は小百岳に選定されている。南西から北東に伸びる、
天上山山脈の北側末端に位置する。行政機関が整備する登山道や地元民が生活のため、或いは余暇の目的で歩く道もある。
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当ルートは台北盆地の南端に位置する |
台湾の近郊山には、多くの宗教関連施設がたてられている。このルート上には、圓通禪寺と烘爐地福德宮と、二つの著名な仏教寺院と道教廟がある。それぞれ眼下に台北盆地を望む絶好の位置に建立されている。前者は、日本時代の1927年にこの地に建造が決まり、多くの支持者を得て寺院が建造された。時代的な背景もあり、台湾の他の寺院に比べるとその建築には、日本的な要素も見られる。一方、烘爐地土地公廟は、中国本土からの移民家族がこの地で茶業を営んでいたが、戦後に家族廟の性格から一般大衆向けの廟として栄えていった。財運にもご利益があるということで、参拝者が多い。
登山対象:
ルート 台北MRT景安站-(12 分) - 復興路301巷入口 - (2分) - 復興國小登山口 - (10分) - 迎日石 - (5分) - 國勝嶺 - (8分) -國旗嶺 (外南勢角山) - (2分) - 300年老榕樹(ガジュマル) - (25分) - 圓通寺 - (3分) 一線天 - (15分) 雙子星 - (25分) 興南路三段 - (25分) - 紫竹寺 - (20分) - 稜線涼亭 - (12分) - 南勢角山 - (10分) - 烘爐地土地公 - (35分) - 烘爐地バス停 (或いはさらに徒歩でMRT南勢角站) 休憩無しで約3時間半 距離8km 上昇540m 下降470m コース定数 15
迎日石 朝陽が登って来るのを見れる岩という意味だが、今は樹木が茂り朝陽を望むことはできない。昔を知っている人は、確かに朝陽を望めたということだが。すぐわきに涼亭があり、登山口からひと登りのあとの休みによい。
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迎日石脇の涼亭、石は左先の小高いところ |
國旗嶺 文字とおり国旗を掲げる場所で、国旗のポールが山頂に建つ涼亭の脇にある。涼亭のすぐそばに三角点基石(標高172m)がある。
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石段上の頂上が國旗嶺 |
老榕樹 推定樹齢300年を超えるガジュマル樹を中心に広場となっている。すぐわきには近くの住民がカラオケや体操を行うような集会用あずま屋もある。日本では南西諸島など南方で見られるガジュマルは、台湾ではとても一般的な樹木である。生命力がとても強く枝から髭のような根が降り、地中に入って太く育ち枝を支える柱のようになってる。ちなみに、千昌夫の「北国の春」は、台湾大衆が好きなメロディーだが、台湾では北国とは関係のない、「榕樹下」という歌詞が付けられて親しまれている。
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老榕樹 |
圓通寺 冒頭で述べたように、とても有名な寺院である。尼姑の修行などで知られている。寺院脇には涼亭やトイレなどもあり、そこで休憩ができる。すぐ近くに石壁湖と呼ばれる露出した岩がちょっとした庭園のような景観を呈している。当寺院はまさにこのためにこの地が選ばれた。湖とい文字があるが、これは「みずうみ」とは関係なく、窪んだ場所という意味である。この岩壁の一部は、上部へと抜けることができる細い通り道(洞窟)となっている。下から見上げると天が線のように見えるので、一線天と呼ばれている。
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圓通寺 |
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一線天内部 |
紫竹寺 当山域の寺院はとても多く、当寺もそのうちの一つだが、山の中腹にあり登山道がすぐわきから登っていくので、その前の休憩にちょうど良い。台湾の寺院仏閣は特別なものを除いて、一般大衆が境内に入りお参りや休憩などができる。ここも屋根の下で休憩することができる。
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紫竹寺 |
南勢角山 台湾の小百岳の一座、山頂脇に涼亭があり、その展望台からは天気が良ければ中和の町並みなどが望める。
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南勢角山山頂(2013年撮影) |
烘爐地福德廟(土地公) 遠くからでも容易に判別できる、土地公巨像が廟の中間位置にたてられている。下部にある建物から階段を伝い上部の廟まで山腹に大きく広がっている。ふもとからつづら折りで登っていく車道が、下部駐車場まで続き、それより短い登山参道もある。駐車場近くには、新北市の新巴士も毎日数便通っているので、時間があえば利用できる。
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烘爐地土地公大像 |
縦走路 コンクリート舗装、石畳、土道、一般車道など様々な路面を通過していく。土道の部分は、雨が続いた後はぬかるみもできる。道しるべは多く、また途中には地図もあるので、参考にできる。但し、地元民が歩く脇道もあるので、注意が必要。間違っても戻れば問題ない。
コース概要
景安駅から登山口まで街中を抜ける。この部分は必ずしも道しるべがないので、グーグルマップなどを利用して、進むのが良いだろう。主要な道路を通じて復興路301巷の路地入口に行くことを勧める。路地に入り左小高いところに小学校をみるとすぐに登山口だ。
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復興路301巷入口 |
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登山口 |
登山口からすぐに階段道で高度を上げていく。途中に分岐があるが、道標に従い迎日石方向へと進む。登山道は稜線へと上がり涼亭がある。迎日岩は、露出した岩で少し小高くなっている。舗装した稜線道を登っていくと、右に涼亭がある。國勝嶺である。涼亭の中にはベンチもあるので、休憩できる。さらに稜線道を進み、右に下っていく道を分岐する。さらに登り、左へ國旗嶺への階段を登る。
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老榕樹の広場 |
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稜線道から対岸に烘爐地土地公とその右に南勢角山が見える |
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玉ねぎ岩 |
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稜線上の展望台から見る雨雲下の台北盆地 |
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尾根上の小廟 |
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この分岐を右へ圓通寺へ下る |
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圓通寺の山門(左)と本堂 |
圓通寺からすぐ左に稜線へと登り返す道があるが、さらに少し山腹を進み一線天から登り返すことを勧める。稜線道は、カラオケなどがある地元民の小屋などを通過し、下っていく。車も通れる道をそのまま進むと、玉皇廟へと続く。こちらを進んでもよい。すぐ左に細い土の道が分岐する。これを追っていくと雙子星と称される岩塔へと続く。こちらは玉皇廟の南側下方を行くので、玉皇廟はスキップするかたちになる。玉皇廟からの道を合わせ、稜線の土道をしばらくいくと、舗装された車道にでる。反対側に続く土道を追えば、
五尖山、天上山方向へと続く。
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一線天洞窟入口 |
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一線天出口 |
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一線天出口から圓通寺方向を見る |
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左の小屋でカラオケ進行中 |
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雙子星岩塔 |
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土の稜線道を進む |
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車道に出る、左に折れて谷に下る |
車道は左に谷へと下る。下るにつれ土地公や家屋などが現れてくる。下りきって興南路三段へ降り、左に曲がって沢沿いに下る。道沿いにも廟がある。前方に紫竹寺の看板を見ると、右におれて車道を登っていく。次第に勾配がきつくなり、大きなテラスが左に見える。紫竹寺である。
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興南路三段に合流、沢沿いに下る |
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紫竹寺の看板を見て右に曲がる |
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左上のテラスが紫竹寺 |
登山道は、紫竹寺の右(西)側から始まる。石階段はかなり急で、途中で方向を換えて登っていく。登り切ったところは、狭い鞍部に涼亭が建てられている稜線だ。左にとって、稜線道を進む。新樂園と名付けられた、地元民の涼亭を過ぎ、急坂を登る。登り切ったところに南勢角山の涼亭展望台がある。そのすぐ先が三角点のある山頂だ。
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石階段の急坂を登る |
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鞍部分岐に建つ涼亭 |
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新樂園 |
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南勢角山山頂涼亭 |
山頂から道は急な坂で下っていく。道が緩くなると、右に道を分ける。道しるべに従い、左にとって階段道を下りきる。開けた場所は、烘爐地土地公廟のちょうど上になる。廟へと下り一休みする。
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山頂から急坂を下る |
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分岐は左へ烘爐地土地公 |
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すぐ下は烘爐地土地公廟 |
稜線をさらに進めば、
外挖子山を越えて南勢角へと行くことができる。烘爐地から直接下山する場合は、廟宇の中を通り参道を下っていく。右に大きな土地公像を見ると、駐車場はすぐ下だ。新巴士もあるが、自分の足で下る場合は車道脇から階段の参道があるのでそちらを下っていく。下りきって車道を進み、烘爐地バス停へと着く。そのまま興南路を進み、MRT南勢角駅へと歩くこともできる。
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土地公からの眺め |
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階段参道を駐車場へ下る |
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烘爐地バス停、橋の上は第三高速道路 |
アクセス:
MRT景安站 南勢角站が最寄りのMRT駅となる。バス利用の場合は、上記烘爐地バス停(249, 670, 859番バス) 或いはF512番新巴士が利用できる。
装備:
天気が良ければ、時間も短いので十分な水や行動食で十分である。雨が降ってもこのガイドのように風がなければ傘でも問題ない。木陰を行く部分が多いが、5月から10月ごろまでの熱い時期の好天下では、昼間は結構暑い。午前早くか午後遅くがよい。寺院や廟がたくさんあり、また登山道脇の涼亭も多い。休憩場所には事欠かない。トイレは、寺院などで利用できる。
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