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2024-02-16

台湾登山ルートガイド :台北 南港山縦走 101ビル背後の山塊縦走コース

MRT象山駅と中華科技大学との間の縦走路
台北市の東には、有名な101ビルが聳える。その背後の象山は、手軽に101ビルを含む台北市を眺めることができる景観ポイントであり、観光案内にも紹介されている。その象山を含むいわゆる四獸山は、実は南港山の一部であり、その後ろには標高375mで三角点がある南港山主峰を含む縦走路が稜線を行く。台北市親山歩道として、整備されほとんどが花崗岩石畳の良好な登山道である。半日で訪れることができる、台北にもっとも近い縦走路としてお勧めである。

台北市信義区奥の南港山
筆者は13年前に台湾の山をほとんど毎週のように登り始めたとき、まず歩いたのが当ルートであった。それから時間が過ぎ、台湾各地の山を登ってきたが、このルートを含む南港山は筆者にとってはホームグランドでもある。初回の記録からかなり時間が過ぎたので、再度全行程を歩き、登山ガイドとして紹介する。

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登山対象:

ルート
台北MRT象山駅→(15分)→象山公園経由信義路五段50巷342弄象山登山口→(15分)→第一景観台→(5分)→六巨石→(8分)→象山山頂→(30分)→妙高台分岐→(10分)→拇指山山頂→(20分)→南港山山頂三角點→(5分)→九五峰→(30分)→北興宮/麗山橋分岐→(40分)→中華科技大學登山口

約3時間(休憩を含まず)6.5km 上昇約400m、下降約370m コース定数13

南港山

三角点がある主峰(標高374m)を指すと同時に、北東から南西へと長く続く山塊全体を指す。後者としては、主峰以外に九五峰,南港山南峰,拇指山さらに台北大縦走のルート上にある妙高台から中坑山・福州山までの数座を含む。それ以外にも官製ルートにはない四分里山などの山峰もある。台北側に面した斜面は急峻であるが、反対側は緩やかな斜面となっている。

市街地の縁に長く続く南港山山塊(2017/10撮影)
象山(標高184m)

南港山の台北市街側にある四座の動物の名を冠した山(四獸山)の一つ。その他は、虎山,豹山そして獅山で、この四つを巡るのも面白い。縦走よりはるかに短時間で回れる。また象山だけ永春側に下るのもよい。

寝そべった象のように見える象山(2014/10撮影)
拇指山(標高320m)

縦走路からちょっと離れる岩峰で、簡単に往復できる。遮るもののない360度の展望が可能で、天気が良ければスカイランタンで知られる平溪の山々から坪林、さらに烏來や三峽,さらに大棟山や觀音山そして陽明山まで望める。入口に拇指山への小さな道しるべがあるので、見落とさないように。

砂岩岩峰の拇指山山頂
台北市街地方向のパノラマ

九五峰
(標高375m)

主峰から一度下って登り返したところが九五峰で、山頂の岩には大きく九五峰と記してある。主峰はあまり山頂という感じがないが、こちらは明らかに山頂である。ここを越すと、縦走は残りほぼ下り一本調子になる。

九五峰山頂の大石(2011/4攝影)

縦走路上には、適宜休憩できる椅子やあずま屋がたくさんあるので、そうした場所で休憩をとるとよい。トイレは象山、南港山主峰と九五峰との間、また九五峰から下って右側にある福徳山荘にある。

コース概要:

MRT象山駅の第二出口を出ると、眼前には象山公園が広がる。公園内には運動場や子供の遊び場もある、そこそこ大きな公園だ。この公園を突っ切り、信義路五段50巷342弄の通りにでる。公園から出て左に坂を登り、道なりにちょっと下ると大きな看板のある、象山登山口に来る。

MRT象山駅二番出口

出口前の公園入口モチーフ


公園内を突っ切る
象山登山口

登山口からいきなり急な階段が始まる。少し行くと分岐がある。ここは右にとって登る。左の道は象山の山腹を永春方向へ巻いていく。上りの途中には、土の道がその入口を開くが、この親山歩道は、基本すべて石畳の道なのでこれらの土の道はすべて入らないように。 左に第一展望台を見ると、道は直進していくが道しるべに従い、分岐は右にとって登っていく。

初めの分岐は右
第一展望台

階段をひきつづき登ると、上部に大きな象山の文字が描かれた岩壁がある。ここが六巨石で、大石の間を登る。その少し上で左に第二の展望台がある。象山山頂からの展望はあまりないので、ここに立ち寄りパノラマを楽しむとよい。眼前には101ビルだけでなく、その後新築された高層ビルが数棟並ぶ。

階段の上に象山の大文字
六巨石の間を登る
第二展望台は左
第二展望台
展望台からのパノラマ
更に階段道を登っていくと、右に鉄棒などがある広場を見てすぐに象山山頂だ。象をかたどったモチーフがあるが、101ビルが見えるだけで他は樹木に視界を遮られている。すぐ上には屋根付きベンチがある。トイレは山頂のもう一方の斜面側にある。

更に階段道を登る



象のモチーフがある山頂

象山を下るとすぐ左に、永春方向への道が分岐する。縦走路は直進だ。今までは象山自然歩道と歩道上に刻まれていたが、ここから先は四獸山步道に換わる。しかし、この道は四獸山の他の峰を通らないので、この名称はちょっと不正確だ。道は稜線上を下っていき、左下に大きな観音像を見るとまた登り返していく。

象山山頂下の分岐、左は永春方向
四獸山步道の下り
観音像の背中を見る


左も石段だが、ここは右の道

左に土地公祠をみて間もなく、足元の石段は砂岩に換わり、かなり削らているものもある。しばらく進むと、また丈夫な硬い花崗岩に換わる。右に土の道を分けると、しばらく急な階段が続く。登り切ったところは、右に妙高台へと続く縦走路の分岐だ。樹木を中心にサークル状の石囲いがあり、腰掛けて一息つける。眼前には象山が下に横たわり、その向こうに高層ビルが並ぶ。登ってきたことを実感できる。

左に土地公祠
一部砂岩の石段

ここから左に急階段

長い急坂



休憩のベンチ


一息後少し登ると、右に細い道が登っていく。すぐ左上に涼亭がある。これが拇指山への道だ。道を追って、ちょっと急な岩の露出した坂を登りきると、樹木がきれて拇指山の岩峰が現れる。周囲には遮るものがないが、風が強いと狭い山頂の上に立つときには注意が必要だ。往路を縦走路に戻る。

拇指山山頂への入口

ここを登り詰める

拇指山山頂から南方向を見る
縦走路を少し進むと、たくさん小さな仏像が所狭しと並べられている祭壇前を通り過ぎる。坂を登りきると、また分岐がある。ここは十字路で、親山縦走路は左の石段道だ。坂を登り切ったところが南港山南峰である。下っていくと、ベンチがある休憩点がある。左側が開けて展望ができる。高度が上がり、象山が下の方に、頭を左にして寝そべっているかのようだ。

拇指山直下の祭壇
十字路分岐、左に九五峰方向をとる

南港山南峰基石


南峰から下る

展望できる休憩場所

パノラマ、象山がすでに下方に低い
坂道をまた登っていくと、前方に赤く塗られた運搬用リフトのデッキがある。その手前右の奥まったところに南港山三角点がある。その背後は金網で囲われた通信鉄塔などがある。一度下った鞍部には、トイレがある。また登り返すと九五峰山頂だ。縦走路中の最高点である。

右に入ったところが南港山山頂
三角点
作業リフトデッキ
九五峰は人が絶えない
九五峰から下ると、左に涼亭、右に通信施設がある。さらに下っていく。所々左側が開けて、台北市街の展望ができる。九五峰から十数分下ると、道脇にお茶を提供している金属容器を見る。福徳山荘と記したアーチもある。このアーチをくぐり少し行くと、非常に広い福徳山荘がある。普段は無人で椅子テーブルなどを利用できる。昼食休憩などによいだろう。すぐ下にはトイレもある。ちょっと奥まっているので、知らないと通り過ぎてしまうが、良い場所である。

九五峰直下の涼亭と右に通信施設
このようなベンチが所々にある
福徳山荘入口
福徳山荘内
山荘直下のお手洗い
更に下っていくと、二カ所の分岐、そして道脇に大きな涼亭を過ぎる。その下は稜線を越していく峠道との分岐だ。ここで左に下れば、北興宮経由で下山できる。縦走路は直進だ。すぐに土地公祠の前を通り過ぎる。道はここからは稜線上ではなく山腹を縫っていく。

一つ目の分岐
右に大きな涼亭
二つ目の分岐
北興宮/麗山橋への分岐
分岐脇の土地公祠
基本下りの道を進み、北興宮/麗山橋への分岐から約20分で右に土地公祠とその手前の涼亭を見る。ここで最後の休憩も良いかもしれない。道は大きく下りはじめ、沢沿いを少し行く。また沢から離れ畑の脇を行き、最後に大きく下ると中華科技大学登山口だ。登山口から左に、学生相手の店を二、三軒通り過ぎていくと、大学正門のバス停がある。逆方向に歩いても、問題ない。

長く緩い下り道
縦走路最後の涼亭
沢沿いの道
浸食作用でできた壺穴
畑の間を行く
中華科技大學登山口
ここはバスの始発になる。270番や藍5番などのバスは、MRT南港展覽館駅や昆陽駅などを通っていくので、ここでMRTに乗り換えれば台北市内に帰るのが早い。昆陽駅まで、道路混雑状況で変わるが、空いていれば20分ほどである。

中華科技大學正門バス停
MRT昆陽バス停

アクセス:

象山から登る場合はMRTブルーライン象山駅、中華科技大学からバスでMRT駅へ出る。バスの便数も多く、MRT駅を通過していく270番など、目的地を確認して乗車するとよい。逆コースの場合は、MRT昆陽駅でバスに乗り換えるとよい。

装備:

一般の日帰り装備で十分である。靴もほぼ全行程が石畳や舗装路なので、ハイキングシューズなどで十分だ。5~10月は結構暑いので、飲料水はそれなりに準備が必要。無料のお茶を提供するところがあるが、基本は行程中水場はない。トイレの水は飲用には適さない。夏は特に雷雨などがあるので、基本装備である雨具は必要だ。縦走路中街灯があるところもあるが、もし暗くなったあと歩くのであれば、ヘッドランプは必要である。


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