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2024-11-29

台湾登山ルートガイド:台北 南港山の静かな道


台北市の東に盛り上がる南港山は、そのふもとに101ビルをはじめとする高層ビル群が立ち並び、一番近い象山は観光スポットにもなっている。すでにコースガイドで紹介している象山からさらに東に延びる稜線縦走路も、時期を問わず多くの人が歩く。他人に出会わずに歩くのが困難である。しかし、その南港山にもあまり人が入らない、静かな道がある。このガイドは、そうした道をいくルートを紹介する。このルートも半日で歩き終えることができる。

当ルートは、南港山を二回横断する。上昇高度も縦走路に比べれば少し多いが、南港山はもともと高くなく、また最高点は通らないので、そう大きな差はない。縦走路や北側の石畳道、あるいは四獸山あたりの道を歩き、ちょっと別の南港山を体験するというには、よいルートである。もちろんほかのルートと合わせて歩くバリエーションもよい。一部は、人気ルートを経るので、多くの登山者とでくわせるが、樹梅古道などに入るとほぼ他人とは会わない可能性が高い。

登山対象:

ルート

吳興街バス停→(7分)→信義路五段150巷拇指山登山口→(20分)→和興炭坑遺跡→(25分)→忍字碑→(12分)→馬蹄形平台→(10分)→拇指山→(樹梅古道35分)→坑頭土地公研究院路四段→(35分)→麗山橋口→(25分)→麗山峰→(25分)→縱走路分岐→(7分)→山神廟→(虎山步道25分)→福壽街251巷登山口

3時間35分(休憩時間を含まず)7.4㎞、上昇下降各490m、コース定数14

和興炭坑遺跡

その昔、南港山付近には多くの炭鉱があった。南港山で採掘され松山駅から各地に運送された石炭は、無煙炭でありその高品質から松山炭と総称され歓迎されていた。和興炭坑は、その松山炭を産出する南港山山麓のいくつかの炭鉱の一つであった。開坑は1939年とこの地の炭鉱としては、比較的遅い。1975年に閉鎖廃棄された。ほかの周辺の多くの炭鉱が打ち捨てられたが、当炭鉱は整備され、歴史遺跡として復活している。ビルが立ち並ぶ同じ行政区画の信義区に、このような炭鉱があったことは、興味を惹かれる。

和興炭坑入口
拇指山

上記の南港山縦走路のルートガイドで紹介しているので、そちらを参照してください。

樹梅古道

南港山の後方、後山と呼ばれた地区と台北市街地を結び、農作物や生活必要品の運搬に供された道である。200年の歴史を有し、当時は保甲路としての位置づけであった。保甲路とは、その由来は中国本土の各地区ごとの保安目的の制度保甲組織に供された道であり、日本統治時代も地方各地の保安のため引き続き活用された。樹梅とは、別名楊梅とも呼ばれ、5,6月に結実する果物樹木である。昔はこの地区に多くの樹梅が栽培されていたことから、当古道はそこから命名されている。樹梅古道上には、その途中に観音像が安置された洞窟、また麓には歴史200年とされる坑頭土地公廟がある。

樹梅古道終点の坑頭土地公廟
麗山橋口

麗山橋口から始まる歩道は、今では台北親山歩道とされているが、その前身は上記の樹梅古道と同じように、南港山の暗部を超えて後山と松山とを結ぶ歴史100年の古道である。後山に対し前山という呼称もある。両者は、南港山連山の稜線の北側と南側で分かれる。

麗山橋口步道口
麗山峰

樹木に囲まれた標高155mの山頂を有する、麗山橋口歩道の中ほどからちょっと外れた場所にある小山である。台北市の基準石が埋置されている。山に興味がない人には、まったく知られていない山であり、登山者がつけた道が山頂へとつながる。

麗山峰山頂
虎山步道

南港山の前衛の小山、いわゆる四獸山のうちの一座である虎山を関した台北市親山歩道である。全行程が石畳の道で、多くの市民が訪れる。このルートガイドでは、その一部を歩くことになるが、全長は2.5㎞ある。初夏には、蛍生態観察の催しが行われている。

虎の石像がある虎山歩道

コース概要:

吳興街バス停から松仁路281巷を経て信義路5段150巷を山の方向に進む。多くの登山者は、象山から入るので、この辺りでは登山者多くない。住宅が切れ沢沿いに行くと、左に塀で囲まれた大きな施設(陸軍後勤訓練中心)を見る。この塀が切れたところの曲角を左に曲がり、山へと進む。

吳興街バス停付近のビル、遠くに101ビル

松仁路281巷を山方向へ歩く
この塀の切れた前方ビルのある角を左に曲がる、左奥は南港山
曲がり角には和興炭坑への道しるべがあるので確認できる。はじめは緩やかな道も、石頭公廟のわきから高速道路高架橋の下をくぐると、急勾配になる。上り詰めると、橋を渡り和興炭坑の遺跡へとたどり着く。看板や炭鉱夫がトロッコを押しているモニュメントがある。

和興炭坑への道しるべ
高架橋の下をくぐり進む
急坂を上る
合興炭坑案内図
炭鉱夫がトロッコを押すモニュメント
炭鉱遺跡は、その坑道入口から少し中へと続き、整備された内部には関連記事や炭鉱夫の等身大人形が作業の様子を復元している。ちょっと覗いてみるだけの価値がある。炭鉱遺跡のすぐ上は、北台慈惠宮の境内である。こちらも等身大の像や神仏像がたくさん置いてある。急な階段を数分登ることで、象山方向からやってくる縦走路(四獸山步道)に合流する。

廃棄坑内は展示場になっている

当廟のわきの階段を上る
長い石段

縦走路との分岐
右に曲がって、石畳道を登っていく。このセクションは、多くの人が往来する。分岐から約10分ほどで、石畳の縦走路は左に急坂で登っていく。ここはそのまま縦走路を行ってもよいが、右の土の道をとる。すぐ左に大きく忍の字が刻まれた大石がある。土の道を進むと次第に高度が上がり、数分で大台北縦走路に合流する。左に曲がって進み、間もなく馬蹄形平台の分岐に来る。さきほど忍字碑から縦走路を登ってきても、ここにつく。

縦走路は左の石段道
忍字碑

大台北縱走路に合流
馬蹄形平台
馬蹄形平台から登ることわずかで、拇指山の入口に来るので、それを入り拇指山山頂へ登る。樹梅古道の入口は、山頂の岩が始まる付け根の部分にある。最近ここには、淡蘭古道の道しるべ石柱が取り付けられたので、迷うことはないだろう。樹梅古道は、ここ数年間新北支政府によって整備された淡蘭古道の支線の一部という位置づけだ。古道はすぐに山を下っていく。灌木やシダ類などの乾燥した場所が過ぎると、谷間に回り込み、分岐から約10分ほどで観音像が立つ洞窟への分岐に来る。ちょっと分岐から往復してみるのもよい。

縦走路から右に拇指山へ
左の道が樹梅古道
古道上部は乾いて見晴らしがよい
観音洞
道は谷間を下り、沢底を渡って反対側からまた乾いた斜面を下っていく。そこそこ急な坂が終わると、平らな道の端に坑頭土地公が現れる。境内全体が大きな屋根で覆われ、椅子机があるので、小休憩によい。またすぐ近くの沢を超える橋のわきにはトイレがある。橋を越え研究院路へと上がる。研究院路は左に曲がり、進んでいく。あまり目立たないが、下り坂である。道路のわきには、休憩できる涼亭が二か所あるので、そこで休みをとるのもよいだろう。研究院路を行く車両は少なく、あまり気にならない。サイクリストはそこそこいる。

小沢を渡る
急坂を下る
坑頭土地公
橋の向こうにお手洗い
研究院路四段を行く
涼亭
麗山農業廣場の涼亭
研究院路上の民家は多くないが、左に町工場を見ると間もなく麗山橋口である。道しるべ看板があるのですぐわかる。わきには移動トイレも設置されている。麗山橋口歩道自体も歩く人は少ない。いわゆる後山側を歩くハイカーはもともと多くない。枕木階段などもあるが、縦走路や前山側の石畳道とは差がある。登山口から登ること約15分、道しるべのあるすぐ上の右側に麗山峰への入口がある。わきの樹木には小さな道しるべが取り付けられている。ほんの2,3分で山頂につく。

麗山橋口
枕木階段の道



道しるべのすぐ先に麗山峰への道が開く
麗山峰への道

 麗山橋口步道へ戻る、枝の道しるべに注意
往路を戻り、道しるべわきに分岐する道(研究院路四段80巷)をとる。麗山橋歩道をそのまま縦走路の鞍部へ上がっていくこともできるが、静かな道という意味では、細い道をとり、少し水平に進んで産業道路を右に曲がって登る。進むこと数分で産業道路は終わり、そこから始まる山道を行く。2,3分で右に上る道をとる。この道は、縦走路へと続き、その対面に山神廟へと下る道が開く。後山側には、多くの細い道があるので地図を確認しながら進むことを進める。ただ、万一別に道になってしまっても、山側へと登れば縦走路にでる。

道しるべの研究院路四段80巷(右)へ進む
産業道路を進む
右にとって進む
縦走路についた
縦走路分岐からは、人が多くなる。石畳の道を下り間もなく山神廟に入る。さらに下り、右にトイレの建物をみて間もなく虎山歩道へと合流する。石畳歩道を下っていく。途中虎の石像を見る。石畳歩道を下りきれば登山口だ。

山神廟へ石段を下る
山神廟内
虎山歩道の分岐
虎山歩道を下る
虎山歩道登山口の小虎
アクセス:

出発点の吳興街バス停へは、大都會客運の22番、32番、37番、藍5番などのバスが行く。近くの松仁路バス停も近く、こちらへやってきて歩き始めるのでもOKだ。上記のバス以外に、1番、226番、288番、承德幹線などがやってくる。

下山後は、登山口から福德街福德國小バス停へ数分で行き、そこから多くのバスを利用できる。さらに15分北に歩けば、MRT後山埤駅へと行ける。

福德街福德國小バス停へ来た88番バス

装備:

一般の日帰り登山装備で十分である。ただ、あまり多く人が歩かないということは、道しるべなどがそれほど完備されていないことでもある。オフライン地図などを持参し、照らし合わせて歩くことを、強くお勧めする。靴は、雨が多く降った後などは、ぬかるみもあるので、その点を考慮するとよい。

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