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2012-08-14

2012年8月13日 鶯歌石-牛灶坑山-碧龍宮 展望良好のハイキング路

展望台脇の桶に咲く蓮の花、人里近い山ならではのもの
台北市街の南西方向は、あまり高い山はない。淡水河の西側は、標高も200mクラスでどちらかというと、丘という感じだ。それはそれで、取り付き易い山でもある。今回は、最近数回に比べると距離も短い半日の行程で、鶯歌の鶯歌石とその裏山になる牛灶坑山へ行き、碧龍宮へ下りてまた鶯歌駅に戻る回遊ルートを歩いた。鶯歌石は、鄭成功の伝説がある名所だが、それだけではすぐに終わってしまう。鶯歌石から登ると尾根道になる。この尾根道は去年九月に訪れた、大棟山へもつながっていく。実際、鶯歌石からこの山並みを縦走、大棟山や大同山を越えて樹林まで歩く登山者もいるようだ。

台北市街の南西方向の山々、以前の登山軌跡も表示(クリックで拡大)
鶯歌駅から回遊式に歩く、先に尾根道をゆく
鶯歌は、伝説によるともともとこの地には大鳥が棲んでいた。瘴気を吐き人を食らう魔物であった。鄭成功が軍を引き連れてこの地に来た時、この鳥に行く手を妨げられたので、矢を放ち鳥を退治した。そのとき首が地に落ち、鶯歌石になったという。淡水河を挟んで対岸にある鳶山も魔物がいて、鶯歌石の鳥とともに、人々を苦しめていたが、同時に討ち取られたという話だ。もちろん、これは伝説だが、鶯歌石は独立した岩で目立ち、鶯歌の街の名前の由来である。

鶯歌石へは左の階段をのぼる
今回は、Sさんが同行する。台北駅で落ち合い、台鉄の電車で鶯歌へ向かう。7時40分過ぎに到着、駅から歩き始める。鶯歌駅は出口が二つある。建国路側にでて、鶯歌石歩道の始まる宏德宮へ向かう。途中、山の中腹に立つ鶯歌石が見える。宏德宮は戦国時代の兵法家孫臏を祭った、台湾唯一の廟とのこと。建物の上に立つ、孫臏像が大きく目立つ。孫臏は日本でも有名な兵法書を著した孫武の子孫で、斉国にて軍師を務め兵法書を残している。

鶯歌石展望台と説明看板
宏德宮の塀にそって進むと鶯歌石登山歩道の入口がある。コンクリ製の樹木を模した手すりがずっと続く。登山道といっても、ずっと平な道が続く。数分歩くと鶯歌石へ登る階段の分岐に着いた。脇には鶯歌石の由来を説明した大きな案内板がある。ここから登り開始だ。赤いタイルを貼った階段はとても立派だ。登って行くと、右にあづま屋がある。鶯歌石の基部で、壁面に開いている洞には、神像が納めてある。更に登ると、鶯歌の街側に展望が開ける鶯歌石展望台の踊り場に着く。駅から約30分の道のりだ。ここにも、同じく鶯歌石の由来や歩道の説明板が設けられている。鶯歌の街の向こう側には、淡水河を挟んで鳶山の山並みが鎮座している。

鶯歌石からは土の道を登る
鶯歌石だけでは、すぐ終わってしまう。更に登っていく枝尾根を行き、主稜線を東に進む予定だ。ここからは、土の山道だ。最初から岩が現れる結構急坂な道だが、よく歩かれている。ロープ手すりも設けられている。急坂が終わり、林の中の道を行くと、尾根上のピークに展望台がある。三峽の新台北城の住宅群が対岸に広がる。その後ろは白雞山の山並みだ。白雞山の稜線の上に頭を見せている高い山は、卡保山や北插天山か。犬が一匹やって来た。首輪をしているが飼い主はいない。展望台の脇に、蓮の花が咲いている水桶が二つある。

枝尾根上の展望台から見る三峽
苔に覆われた大石の間を登る
枝尾根上の道は、林の中を進む。小さな登り下りがある。コケに覆われ緑色になっている大岩の脇も歩く。8時50分、鶯歌石の登り口から45分で、主稜線の分岐に着いた。左に行けば、忠義宮へ続く。幅広い尾根道には、木製のベンチやテーブルが造られている。送電線塔の下を通り、小さな登り下りが続く。主稜線上を歩くこと30分で、千年榕樹へ続く主稜線から別れ、枝尾根上の牛灶坑山へ向かう。枕木が現れ登ると展望台がある。牛灶坑山(標高243m)の頂上だ。時刻は9時半。周囲は樹木に覆われているので、展望台が造られているが展望はあまり望めない。樹林や土城方向は、樹木に遮られていない。案内板には台北101ビルが見える説明があるが、逆光だったので判別できない。桃園方向にも少し展望がある。展望台わきから、右に紫玄宮へ下がる道があるが、直進して碧龍宮へ向かう。

岩の露出する龜崙山への下り道
岩も現れる道を10分ほど下るとあづま屋がある。本日行程の最後のピーク、龜崙山だ。あづま屋でしばし休憩する。下り道は、コンクリの階段で手すりもある。まもなく碧龍宮へ着いた。碧龍宮はとても立派で大きな廟宇である。主廟の後ろにある八掛祖師宮の建物からは、遮るもののない展望が眼前に広がる。三峽から桃園の街まで、また背後の山々もすべてはっきり見える。五寮尖の鋸状尾根、熊空の谷合い、左にずっと追っていくと獅仔頭山から熊空山への尾根筋も見える。

碧龍宮からのパノラマ(クリックで拡大)
碧龍宮、背後は龜崙山
歩道の下りでみた奇妙石
碧龍宮からは鶯歌石歩道を歩き、鶯歌駅へ戻るつもりで廟宇の前庭から下る階段を下った。下って行くと舗装路にでたが、期待していたルートと違う。右に舗装路を登っていく。道は碧龍宮の下をぐるっと回って、碧龍宮の左端から下ってくる階段と合う。先ほど、これを下りてくるべきだった。遠回りをしてしまった。駐車場の脇から鶯歌石歩道が始まる。階段の上り道をしばらく登り鞍部に着く。左右に道が分岐する。そのまま峠部分から下る。道半ばに木が生えている、コケに覆われた大石が鎮座している。奇妙石というそうだ。更に下り廃屋の脇を行く。一般の舗装路と合流し、更に下るとまた右に手すりのある歩道が始まる。平坦な道は、すぐに岩を掘り抜いたトンネルをくぐる。四十数年前までは、ここに炭鉱があり、この歩道は石炭を運ぶためのトロッコ道だった。トンネルもそのために掘られた。

旧炭鉱トロッコ道=現在の鶯歌石歩道のトンネル
樹木の下を行く歩道は、麓を行く車道に比べると、クネクネと曲がって道のりは長いが快適だ。農林禪寺までくると、鶯歌の街がすくそこだ。駅も見える。ここからも車道に下れるが、さらに歩道を進む。小沢を越える橋を過ぎ、まもなく鶯歌石の登り口まで戻ってきた。ここで左に下る階段を降り、中正一路に出る。踏切を渡り、文化路を経て11時半に駅に戻った。ちょうどやって来た11時33分発の電車で台北に帰った。

農林禪寺から見る鶯歌の街と鳶山
今回の行程は、歩行距離7.7km、休憩を含めた所要時間3時間45分、登攀高度合計481mである。山は低いが尾根上の登り降りがあったので、知らず知らずに登っていたのだろう。時間も短いので、疲れはない。天気が良ければ、登山道の展望台や碧龍宮から素晴らしい展望が望める。半日で済むので、気楽に来れるハイキング道だ。

高度プロファイル

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