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2013-06-30

2013年6月30日 陽明山系大屯溪古道 - 小觀音山 - 陽明公園

大屯山登山道から見る小観音山(2012/3撮影)
陽明山の北側も、実は魅力あるコースが存在する。ただ、台北市内から行く場合は淡水や萬里などを経由して回りこまなければならない。当然アクセスも時間がかかる。そんなことで、なかなか行っていない。昨年10月に、淡水天元宮から山子頂古道を歩いて以来、また北側からの陽明山山系登山に行ってきた。大屯溪古道から小觀音山へ登った。天候が曇り、頂上は霧の中で展望がなかったのが、残念だった。

北側の北新荘から小観音山を越えて陽明山へ
大屯溪古道は、小観音山から北に流れる大屯溪にそって行く古道である。この古道は、十数年前に発行された陽明山公園内の古道研究書では、古道という認定ではない。古道とされる要件の一つとして、二つの集落の間の往来に使われたという事がある。大屯溪古道は、最後に急な斜面を登り小観音山に続く。北新荘から竹子湖に行くには、このような経路は、決して楽ではない。したがって、二点間の往来に使われたのではない、という判定である。実際に歩くと、途中に石積の廃屋や、道わきに石を積み上げ棚田状になっているところなど、古人がここで生活の糧を得ていたことは確かだが、往来に使われたのではなく、作業道であったということだろう。登山活動として、沢の最奥から急斜面を登り、小観音山頂上へいくようになった、ということのようだ。

陽明山の北から南へ歩いた軌跡
小観音山は、頂上に民放の電波塔などが多く造られている。大屯山との鞍部からこれら施設に続く車道が設けられている。西峰はそうした設備はなく、登山道が稜線を行く。この稜線が主峰への車道につながっている。大屯渓古道から 小観音山へ登った後、この車道で鞍部に下りる。そこから、百拉卡人車分道、さらに水尾巴拉卡歩道を下る。竹子湖路、青春嶺路、湖山道を経て陽明山公園、そして陽明山バスターミナルへ歩いた。

三板橋
今回の行程は、かなりキツイ歩きになる。筆者とよく一緒に登る、HさんとWさんが同行する。淡水駅前の淡水客運バス停で落ち合う。7時40分発の875番バスで出発。 ソメイヨシノ桜で有名な天元宮を通り過ぎ、8時に北新荘に到着する。101号北新路を進む。歩き始めてすぐ右に三板橋古道の看板アーチがかかっている。田園風景がひろがる。左に廃棄された陶器工場の建物と煙突が目立つ。前方の山は雲がかかって頂上が見えない。龜子小橋を越してすぐ、右に行く道をとる。ゆっくりした登りが続く。棚田が広がる。三板橋を示す道標が現れる。道は方向を換え、谷に向かって進む。犬が吠える民家の先に、石碑がある。三板橋だ。清朝末期1871年に地元の郷士が建てたもの。今は左の車道橋が使われ、遺跡として残っている。もちろん通り過ぎることはできる。渡るとお手洗いなど、遊楽客に対応できる施設も設けられている。ここまで約2km、30数分の道のりである。

産業道路の登りから見る、山は霧の中
産業道路終點の石の廃屋
橋を渡り右に道を採る。最近メンテがされたようで、舗装が新しい。登って行くと、右に水牛が一匹たたずんでいる。サギも二、三羽いて、昔の田園風景だ。 数分登ると、右に折れる道が分岐する。大屯渓古道へ続く。右側に谷が広がる。その向こうには、山とその間の谷が見えるが、頂上は相変わらず雲の中。入っていく谷は羅厝坑溪だろう。民家のわきを過ぎ、道は迫ってきた谷の間を進む。勾配がキツくなってくる。陽明山国家公園の黄色い警告看板が建っている。ここから先は、危険で一般に開放された道ではない、となっている。左に大きな石積の廃屋がある。時刻は8時56分、北新荘から約1時間であった。

大屯渓古道入口
沢山認識リボンが付いている古道の入口を進む。しばらくは、古ぼけたコンクリ道が続くが、そのうち土の道に換わる。沢を越える。ロープが掛けてあり、飛び石を超すには助かる。大屯溪古道は、とても程度のよい道だ。石段なども現れる。左岸から右岸、また左岸へと沢を越え、高度を上げていく。9時25分、沢沿いに開けたよい休憩地がある。ここでしばし休憩する。先ほど産業道路を歩いていた時、バイクで登っていった単独登山者は、写真を写している。同じく小観音山へ登るつもりだそうだ。今日、この古道上で出会った、唯一の登山者だ。

静かな良い道が続く
迷い防止標識
休憩地から10分ほどで、また右岸に渡る。岸に陽明山公園が設けた、大屯溪古道防迷標誌という、標識がある。公園管理当局は、不用意な遊楽客がこうした道に入ってくるのを警告で防ぐと同時に、本当に歩いてくる登山者に対し、迷わないように対策をしているということだ。この防迷標誌は、そのあと小観音山の稜線道まで合計7本設けられている。沢を渡ると、けっこう登っていく。道が水平になると沢を越す。登りが急になってきたということだ。こうして右岸から左岸にに渡り、また左岸から右岸、そして左岸を行く。ここの渡渉の際には、少し遠いが立派な三段滝が見える。渡渉後大きく登り山腹の道を進む。谷底に、落差数メートルの滝が望める。10時9分、沢の水もほとんどなくなり、大きな二俣についた。標高約700mのここから、道は急な登りになっていく。ひと休みして登りに備える。

補助ロープのある沢渡渉部分
美しい三段滝
滝を下に見ながら進む
沢の二俣部分
熊笹のトンネル内急坂を登る
二つの沢の間の尾根状道を登る。右に石積で囲った棚田状のものがある。草が生い茂っているが、以前は何かの目的に使用されていたはずだ。藍染料を採るために加工した場所だったのか。小觀音山主峰への道を左に分け、右に曲がって行く。しばらく山腹を横切って行き、熊笹の中を急坂で登るようになる。標高差200数十メートルの登りだ。笹のトンネルを進むので、道の上方がどうなのか全くわからない。今日は、霧のなかでそれほど気温が高くないが、夏の晴れの日ではこの道は、とても暑くてさらに大変だろう。補助ロープの急坂も二、三箇所現れる。ひたすら登るだけだ。笹の高さが低くなり、トンネルから出るようになると、しばらくして1056峰に到着した。11時13分、主峰への分岐から40分あまりの急坂登攀だった。同行者二人にも、キツかったようだ。今まで登った中でトップ5に入る。

最後のひと踏ん張り
1056峰から西峰への稜線を見る
笹薮の稜線道、笹が刈られている
大石のある1056峰からは、本来よい展望があるはずだが、今日は残念ながら霧の中。ときどき西峰への稜線が、現れては消える。第5防迷標誌には、真新しい藍天隊の道標が付けられている。それから先道は無しの公園管理極の標柱があるが、その先尾根を辿って下る道があるようだ。二十数分ゆっくり休憩した後、西峰へ向けて進む。また笹の中をかき分けて進む。大石が現れ乗り越える。道は笹薮のなかだが、稜線を忠実に追っていく。10分ほどで小觀音山西峰(標高1043 m)につく。三角点基石わきに、藍天隊の山名カードが置いてある。日付は2013年6月22日、先週のものだ。笹薮の道は、両わきの笹が刈り取られている部分があったが、つい最近藍天隊が刈ったものだろう。とても助かる、感謝したい。

真新しい山名カード
霧の中の小観音山の車道
また、笹をかき分け進む。 道は下り気味だ。第7防迷標誌を見てまもなく、笹薮から飛び出し杉林の中の道になり、気持ちがはれる。密集した笹薮の道は、楽しいものではない。 下りきると、鞍部からの車道に下り立つ。ジグザグの車道を十数分下る。大屯山との鞍部に着く。自家用車が多く停まっている。百拉卡公路を小8バスが行く。ここからバスで帰ることも可能だが、今日は歩いて陽明山バスターミナルへ歩く予定だ。鞍部気象台のわきでひと休みする。時刻は12時22分。のこりは、基本下り道だ。

12時半出発、人車分離道を進む。数分で竹子湖への分岐に来る。右にとり下る。石畳の道はそれなりに歩かれているようだ。緑の苔に埋まった陽金公路人車分道に比べると、状態はよい。蝉の声がとても大きい、上から降ってくるような感じだ。杉林を抜けると、前方が開ける。七星山が見えるが、頂上は霧の中だ。12時50分、水尾巴拉卡步道入口に着く。ここも人や車が多い。竹子湖路を進む。三、四月であれば海芋が咲き、もっと人出が多いだろう。バス停で小休憩をとる。

人車分道から竹子湖路へ下る
バス停わきから枝道に入る。車道は人家で終わりになるが、わきの山道をとり進む。山道は人家の間(竹子湖路49号)で、竹子湖路に合流する。先に右に下ったが、この道は間違いと気づいて戻る。しかし、降りたとこから里公所のわきを更に進んだ道をゆけば、そのままあとで歩いた青春嶺路に出れたようだ。登り返して先ほどの民家を過ぎ、竹子湖路から青春嶺路へ進む。車道の良い道だが、あまり車が通らない。つづら折りの道を進むと、玉龍谷へ着く。小吃店があり、多くの遊楽客が食事をしている。また、急な坂を下り、湖山路へ下りる。左に進み、陽明公園の裏門をくぐる。大屯瀑布とあるが、道路から見える人工の堰をそう呼称しているのだろうか。

竹子湖路から小観音山を振返り見る
玉龍谷の下りから大屯山を見る
湖山路の陽明公園正門を過ぎる。 大屯山方向は、霧が晴れ山容が望める。公園歩道をさらに進み14時半過ぎに陽明山バスターミナルに到着した。大屯山鞍部から2時間の下りであった。本日の行程、歩行距離は約15.4km、休憩込みで6時間半の行動である。累計で1194mの登りだ。下りは、バスターミナルの位置が高いので、登りほど多くない。

大屯溪古道は、二ヶ所を結ぶ古道ではないが、古人の営みが偲ばれる優良山道だ。よく歩かれている上、沢の渡渉は数箇所あるがすべて補助ロープがかけられている。先月末の消墾壁古道などに比べれば、雲泥の差がある。消墾壁古道を行くのは、冒険に近い。大屯溪古道の山道レベルは3というところだ。一方、体力要求度は、小観音山西峰への登りがとてもキツく4となる。山道や体力のレベルの基準については、前回記事を参照してください。

2013-06-27

2013年6月26日 石碇南勢坑大尖 - 人頭面山 - 鑽石峰 - 華梵大學

華梵大學から見る南勢坑大尖から人頭面山、鑽石峰への山並み
平渓五分山から見る伏獅山(左)、獅公髻尾山、人頭面山の山塊(奥の大きな山塊)
石碇、平溪或いは瑞芳の山々から望むと、それぞれ方向は異なるが、大きな山容で他より高い山が目立つ。その山の片方は鋭く切れ落ちているので、容易に認識できる。この山は、伏獅山,獅公髻尾山から人頭面山までの頂上などがまとまって見えているものだ。伏獅山,獅公髻尾山はすでに訪れているが、その他はまだであった。以前から、訪れることを考えていた。今回は、この山塊でまさにその特徴を付けている、急な斜面をもつ人頭面山の尾根から登り、皇帝殿山へ続く尾根を下り華梵大學へ歩いた。

北側の藤寮坑からスタート、華梵大學のキャンパスで終了
登りが多い登山パターン
2011年に獅公髻尾山に初めて訪れた時、九芎坑山へ下り雙菁公路の藤寮坑へ歩いた。今回は、藤寮坑からスタートして南勢坑へつづく産業道路を登り、聖山神農殿へ。ここから山道を南勢坑大尖へ登り、稜線を人頭面山へ登る。822峰を過ぎると左に獅公髻尾山方面へ道を分けるが、そのまま尾根を鑽石峰へ進む。南勢坑と坪林を結ぶ古道の峠を過ぎた後、石碇大崙への尾根を歩き、その突端にある華梵大學へ下った。華梵大學からはバスでそのまま台北へ帰った。

周辺の登山と位置関係
道わきに群生する蜘蛛百合
通常の平渓行きと同じに、MRT木柵駅から7時少し前に795番バスに乗車する。今日は、十数名の高齢者登山グループが乗る。台湾のお年寄りは、こうして山登りを楽しむ人が多い。約30分の乗車で、藤寮坑バス停に到着、身支度をして7時28分に出発する。雙菁公路を左にみて進み、永定溪を渡る。産業道路は、永定溪にそって登っていく。それほど勾配もなく、楽な歩きだ。左に東勢坑方面への道を分けたあと、玉桂嶺へ向けて進む。集落を抜けしばらく進むと右側沢の対岸に、大きな岩が露出した壁がある。 土地公が左に現れる。ここは玉桂嶺二橋で沢を越える。直進していく土の産業道路は、九芎坑山へと続く。ここまで約35分の道のりだ。

陳家花園の入口にあるモニュメント
更に産業道路を歩く。車両はあまり通らない。沢のわきに大きな別荘がある。変わった花びらの蜘蛛百合の白い花が沢山みちばたに咲いている。登るにつれ、谷は開けてくる。8時20分、西勢坑への道を分ける。ここまで3.8kmだ。坂道が急になってくる。更に10分ほど登ると、土地公がある。南勢坑小尖へ続く山道が始まるが、そのまま産業道路を進む。陳家花園と刻まれた石碑がある。その先左側には大きな別荘を見る。入口には、面白い彫刻が置かれている。都会の雑踏から遠く離れ、この静かな山間は桃源郷のような雰囲気だ。対岸の尾根筋は、華梵大學へ続く部分だ。

養殖池のある谷あい、奥に皇帝殿山
聖山神農殿の入口
稜線上の分岐と山道の様子
舗装の程度が悪くなる。右に建築中の別荘群がある。振り返ると、大分高度が上がっている。遠くに見える、皇帝殿山一番東側のピーク烏嘴尖と同じぐらいの高さだ。右に私道が折れるところで直進する道は、聖山神農殿へ続く。勾配が更に増してくる。山も大分迫ってきた。上部に岩が露出している。人頭面山の名前は、聖山神農殿辺りからみると岩が鼻のように見えるからということだ。この岩のことを指しているのだろうか。9時、聖山神農殿の入口に着く。出発点から6.2km、1時間半の歩きだった。舗装路を歩いてきたので、あまり実感がないが、すでに標高550mぐらいまで登っている。犬が数匹吠え出す。山道は、すぐ左に折れ登っていく道の先だ。左奥にあずま屋と祠がある。祠には念仏がスピーから流れている。ここでしばし休憩し、食事を取る。

人頭面山への登りで振返る、南勢坑大尖が向こうに見える
密生したシダの中を行く、ロープが見える
道に戻り登る。つづら折りを登り切ると、舗装が終わる。ここから山道が始まる。道は、踏跡程度ではっきりしないところもある。蜘蛛の巣がとても多い。しばらく歩かれていないようだ。石積みの低い壁がある。この辺りは、以前何かの目的で使用されていたのだろう。岩が多く露出する道が山腹を登っていく。山道を十数分登る。稜線の分岐が現れる。左に小尖からの道が登ってくる。右にとり稜線道を進む。15分ほどの登りで分岐に着く。左は南勢坑大尖の頂上へ続く。左へ頂上へ行ってみる。わずかの歩きで頂上(標高727m)に着く。周囲は樹木で、展望はきかない。

手袋についたシダの胞子


分岐へ戻り、尾根を進む。狭い尾根を数分進むと、補助ロープが現れ急坂が始まる。道はびっしり茂った大きなシダの葉の下で、よく見えない。シダは背が低いので、稜線から周囲を展望できる。獅公髻尾山から九芎坑山へ下る尾根の向こうに、峰頭尖とその右に中央尖が望める。その奥には、姜子寮山五分山ものぞいている。ちょうどシダの繁殖期なのだろうか、かき分けて進むと茶色の胞子が沢山飛び散る。黒い手袋は、胞子がいっぱいこびりついている。ロープのある急な登りと、緩やかな部分を二、三回すぎると、大岩の左を回りこみ、突き当りの急坂を登る。平な部分に出る。右に少し進んだところが、人頭面山頂上(標高810m)だ。先ほど回り込んだ岩は、遠くから見ると顕著な切り立った部分だろう。10時33分、人頭面山の頂上に着く。

人頭面山頂上
人頭面山からのパノラマ(マウスクリックで拡大)
人頭面山から見る華梵大學のキャンパス
稜線の道を下る
頂上は北から東方向がとても良く見える。下方には先程登った南勢坑大尖が大きい。その左奥には、今日行程の目的地、華梵大學のキャンパスがある。台北方向に101ビルが霞んでいる。同じぐらいの高さに、獅公髻尾山の頂上あずま屋が見える。15分ほど景色を見た後、陽射しも強く暑いので次に進む。分岐へ戻り820峰へ歩く。数分で左に獅公髻尾山への尾根道が分岐する。右にとり下る。このあたりが、今日の行程中の最高点だ。またシダの密生した道を進み、10分ほどで鑽石峰(標高783m)に着く。雙石峰とも言われるこの山は、大きな岩が二つ並んでいる。狭い二つの岩の間に、ステンレス梯子がある。固定されていないが、注意深く登ることができる。立つと少し怖いが、岩の上からはよい眺めが得られる。二格山やその左には筆架山連峰が望める。その下を行く第三号高速道路が見える。まだ11時10分で昼前だが、夏は遠景がかすんでしまう。

鑽石峰の二つの大岩の上
大岩の上から石碇大崙から華梵大學への稜線を見る
二つの大石の基部から上を見る
杉林を抜けていく
数分過ごした後、岩を下りる。道はずっと下っていく。杉林を抜け鑽石峰から10分ほどで、竹林にでる。ほかの竹林もそうだが、枯れた竹の葉が沢山落ちていて、踏跡が判りにくい。左に降りていく道がある。違うかもしれないが、他に道が見つからないので降りてみる。しかし登山クラブの標識リボンがない。果たして下ると茶畑の上に出てしまった。この道は、地元の人がタケノコを採るために通う道のようだ。登り返し、竹林に戻る。山道は尾根上のはずなので、とりあえず森に入ると、標識リボンがあった。山道に戻り、ほんの二、三分で分岐につく。ここは北側の南勢坑から坪林へ抜ける古道の峠の十字路だ。石碇大崙への道を進む。

密生した草の中を行く
道は山腹にそって進む。左から道が合流する。これは獵貍尖からの道だろう。あまり歩かれていないようだ。その先に、また左から道が合流する。これもあまり歩かれていないようだが、磨石坑への道だろう。シダの中を抜けていく。その後、今度は草むらの中を進む。かなり密生して、足元がよく見えない。本来ならば、右に尾根を石碇大崙へ進む道への分岐があるはずだが、気づかずにそのまま下ってしまった。そのうちに沢の様相になる。道には標識リボンもあるので、山道は間違いない。沢を越え山腹を回りこむ。下りきると竹林になる。農夫が一人仕事をしている。挨拶をすると、一人なのか尋ねられた。華梵大學方向を確認し、茶畑の中を進む。時間は12時半、鑽石峰から1時間以上歩いたので、畑の端の木陰で休憩する。幸いに風も吹いている。

沢沿いの道を下る
大学キャンパス上部に着いた
休憩後下っていくと、人家が現れる。前の産業道路を少し行くと、道標が稜線方向の行き先を示している。セメントの小道をを進む。左に石碇大崙と華梵大學への道が分岐する。これを進む。そのうち右に石碇大崙への道を分け、さらに山腹を巻いていくと稜線にでた。右から石碇大崙の山道が合流する。稜線ではなく、山腹を行く道を歩いてきたことになる。この道は地図になかったので、認識がなかった。左におれて、稜線を進む。13時、前方に木々を間からキャンパスが見えてきた。更に尾根を進むと、コンクリ階段の上部にきた。ここからはキャンパスになる。階段を下り、キャンパス最上部の松崗の広場がある。前方にアーチ橋がかかっている。橋から見ると、歩いてきた南勢坑大尖や人頭面山、 鑽石峰が控えている。 橋を渡り、百丈懐海禅師の庭園にあるあずま屋で一休みする。今日の行程は、これでほぼ終わりだ。次のバスはしばらく待ち時間がある。持ってきたアイスコーヒーはまだ冷えている。うまい。

大学キャンパス内
シャツを着替えて、キャンパスを下っていく。夏休みになっているので、人気がない。対岸には二格山から筆架山連山が続いている。正門わきのバス停に13時55分に着いた。666番バスは、休日時刻表で運転している。次の便14時30分までゆっくり休む。バスは14時25分ごろに到着、4,5人の乗客が乗り定刻14時30に発車した。終點景美まで乗り、MRTに乗り換えて帰宅した。

今回は合計12.4km歩いている。そのうちの半分は舗装産業道路だ。時間は休憩込みで6時間20分、累計966mを登っている。華梵大學は標高500mぐらいあるので、登りが多く下りが少ない高度プロファイルだ。逆に取って、華梵大學から歩き始めれば、登りが少ない歩きができる。この山域は、バスなど公共交通機関がないので、華梵大學を除いてアクセスは少し遠い。 しかし、今日のように産業道路を歩いていけば、十分対応できる。

ちなみに、今回の山のうち人頭面山は、読んで文字通りだが鑽石峰は、ダイアモンドピークの意味である。それでは、ダイアモンドのように輝いていたか、というと名前負けかもしれない。ただ、あまり歩かれている人気のある山でないので、自然に近いといえばそうだが。

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最近、筆者のブログアクセスが増え、尚且つ台北郊外登山の一般ガイドを多くみてもらっています。そうしたことを考慮し、今回から登山記録には、過去の経験、比較にもとづいて、その登山道や要求される体力についてのランク付けを行なっていきます。

山道のレベルとコース全体で要求される体力について、別々にランクを付けます。山道レベルと体力は必ずしも比例しないためです。

今回は、山道レベル4、要求体力4です。

ランク付けは次の基準で行います。レベルは1~5とし、5が最高です。

山道レベル
1: 舗装路、或いは石畳敷かそれに準ずる道、道標なども完備されている
2: 地元行政により整備されている土の道
3: 上記2で程度が悪いもの、或いは行政整備対象以外の道でも人気があり、
  道標も付けられてよく歩かれているもの

4: 踏跡程度で草深い山道、地図を判読できる能力が求められる道
5: 非常に困難な道、例えば鎌で草木を刈り開いていく、或いは非常に危険
  な岩登りなどが連続する道


体力の要求度
1: 普段運動していなくてもOKな軽い程度
2: 登りがある程度あり、心拍数も上昇する
3: 普段運動していれば少しキツイがOK、普段運動していない場合はチャレンジ
 となる

4: 登り下りがかなりある チャレンジコース、時間も数時間以上で平均心拍数

  120~130ぐらい(筆者の場合)の要求度、体力のある経験者向け
5: 訓練など、非常に体力を要求される

2013-06-24

2013年6月23日 基隆紅淡山 台灣小百岳の朝の散歩

紅淡山展望台から望む基隆の街と港
基隆は港の街、現在も多くの国際貿易貨物が通過し、台湾の重要な港であることに変わりはない。日本の神戸や長崎のように山が迫っている港でもある。港を囲む山に登れば港や街の様子が眺められる。紅淡山は、基隆市街の南東側にある210mのピークだ。清朝末期にフランス軍が基隆に攻め入ったが、その時には港を俯瞰できるこの場所は軍事的に重要な場所でもあった。その後、日本統治時代には重要港湾の基隆は、日本人も多く住みこの山にサカキを多く植えたそうだ。サカキは紅淡比というが、紅淡山は紅淡比から命名されている。眺めのよいこの山は、台湾の小百岳(小百名山)の一つに数えられている。基隆市民に親しまれているので、基隆の陽明山とも言われているそうだ。

紅淡山は基隆の南東に位置する(前半は軌跡なし)
台北から基隆への谷の突端に位置する
寶明寺の二番目の山門
基隆は、すでに台北のベッドタウン化しているので、交通の便はとてもよい。バスも鉄道も多くある。今回は、鉄道で三坑駅に向かい、そこから登山した。もともとは、北側劉銘傳路に下り、基隆駅へと考えていた。今回一緒に登山したメンバーの一人Yさんは、基隆地元の人で下山後特徴ある食事場所へ案内していくれたので、変更して三坑駅方向へ下山した。山道は四方八方から登っている。山中も縦横無尽に道がある。今回は、初めての訪問で、南栄路から寶明寺のルートで登り、展望台と三角点に行った後、南天宮への道を下って南栄路へ降りた。

寶明寺




今日は、初めて参加するYさんとLさんを含む全員6名だ。基隆行きの区間電車で行き、9時少し前三坑駅で全員集合した。三坑駅から出て、南榮路を南に進む。道の右側を進んだあと、信号を渡り左側を歩く。トンネルを抜けてすぐ、寶明寺の山門がある。ここが登山口だ。駅から10分ぐらいの道のりである。住宅の間の道を進む。階段を登り二番目の山門をくぐる。右斜面に築夢池という名前の小さい池がある。辺りにはいろいろな物が置いてある。地元の人が作っているようだ。住宅を抜けると、車道と合流し右に急坂を登る。登りつめたところは駐車場になっている。その奥に石造りの山門がある。山門を抜けところが、寶明寺だ。かなりの規模のあるお寺だ。振り返れば、遠くに汐止の大尖山から四分尾山の稜線が望める。高度が上がってきた。

あずま屋と蝶の説明板、道にはプレート
寶明寺の前を通り、コンクリ階段の道を登る。毎年春に、途中のあずま屋の近くで台湾酒灰蝶が多く蛹になるが、登山客に排除されたりして危機に面しているという説明がある。その少し上に駱駝山荘があるが、その入口でWさんがトカゲを見つけた。この山には多くの自然がある。十字路に来る。ここは左に折れて進む。小渓頭山荘の右わきの道を登っていく。山荘があちらこちらにある感じだ。小さい広場の奥に国旗掲揚台がある。その脇から基隆市街方向が望める。

山道にもどり、觀景台への分岐をとる。9時48分、觀景台に着いた。三階建てぐらいの塔に登る。遮るものがなく、360度の展望ができる。基隆港や市街の様子はもちろん、瑞芳方向、台北方向の景色が望める。瑞芳方向は、基隆山から始まり、半平山,燦光寮山の山塊、三爪子坑山から始まり五分山姜子寮山を経て四分尾山への山脈など、今まで登った山々が全て見える。台北へと続く谷あいには高速道路や鉄道が見える。101ビルやその左には、南港山がある。谷を挟んだ対岸は、五指山の山並み、その奥は陽明山の山塊だ。出発点の三坑駅から1時間もかからず、これだけの展望ができるのはすごい。小百名山に数えられるだけの物はある。

展望台からの基隆方向パノラマ(クリックで拡大)
三爪子坑山-五分山-姜子寮山-四分尾山の山脈
台北方向を望む
三角点
20分ほど塔の上で景色を堪能した後、塔をくだり三角点へ向けて歩く。左に劉銘傳路へ下る道を分け、直進する。三角点へは尾根上の道を取る。觀景台から数分、10時17分三角点に着く。基石が埋められている。北側に開け、港や街の様子がよく見える。ここが紅淡山の最高点だ。今日の登りはこれで終了。頂上のすぐ下には、壽階という階段とその両わきに狐の像がある。白く塗られた狐の像は、日本の神社にあるお稲荷さんみたいに見える。頂上の少し下に、あずま屋がある。そこで休憩する。

お稲荷さんのような壽階の像
下山するとちょうど昼時なので、皆で食事をすることにする。場所は、今回参加のYさんが地元なので、観光客がよく行く廟口ではなく別の場所のお店へ連れて行ってくれることになった。場所は、三坑駅の近くなので、予定の劉銘傳路ではなく、南天宮への道でくだることに変更する。 劉銘傳路への枝尾根道を少し下り、梅花亭で左に南天宮への道を取る。階段道を下がっていく。展望ができる自強広場や協安宮などを通り過ぎる。車道にでて下がっていく。十字路を過ぎると、基隆市畫眉鳥飼養協會という小鳥の愛好メンバーの小屋脇を過ぎる。多くの鳥かごが藤棚ぐらいの高さの棒に多く掛けられ、中の鳥が鳴き声を競っている。この山は、基隆市民にとって憩いの場所である。

鳥かごのかかる飼養協会
その少し先の階段道を下り、右におれて南天宮にいく。大きな廟宇がある。手前にある参道を下りきると南榮路に下り立つ。11時35分、これで登山は終了。Yさんに連れられて、三坑駅の前を通り過ぎ、龍安街の甜不辣(日本で言うさつま揚げのような魚スリミ料理)のお店に着いた。この老舗は、確かに地元の人でないとわからない。昔ながらのカマドを使って料理を準備している。外でビールを買ってきて、皆で乾杯する。食事後三坑駅へ戻り、12時半過ぎの電車で台北に帰った。

今回は、とても楽な山行である。朝の散歩というところだ。距離は5km足らず、時間は休憩も含み3時間もない。春には山桜が咲くそうだ。また時期を換え、別のルートから登るのも良いだろう。お薦めのお手頃ハイキングコースだ。基隆の別のスポットとあわせて基隆旅行というのも良い。