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五分山中腹から見る三爪子坑山と八分寮山への稜線、背後には基隆山と粗坑山や燦光寮山等(2013/5撮影) |
5月上旬にこの瑞芳の
三爪子坑山を訪れた。その後、
天上山に一緒に登った板橋区のWさんから彼が世話役の登山クラブでこの山を登りたいとのことで、道案内を頼まれまた登ってきた。もともとは、三爪子坑山から足を伸ばし八分寮頂砲台遺跡を見た後、
八分寮古道経由でまた三爪子坑山から八分寮山への稜線に戻ることを予定していた。実際に行動を始めると、参加者が31名と多く体力的にもかなりバラつくため、予定のコースは難しいと判断して、この部分は取りやめた。八分寮山からは萬壽山方面へは行かず、そのまま瑞芳の東和里へ下った。
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北側の瑞芳から回遊式に歩く(マウスクリックで拡大) |
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歩行高度プロファイル |
外国人の自分が台湾の人達に台北近郊の山を案内することは、光栄なことだ。この山々を今まで歩き親しんできたことが、認められたということだ。今年は、台湾人の友人たちとの登山もしばしば行なっているが、このような大きな団体の道案内は初めてだ。人数が多いと、数人で行く場合とは様子が異なる。コース選定もそうだが、所要時間は自分で行く場合の1.5倍ぐらいを見ておく必要があるようだ。もちろん、人数が多くても兵隊の部隊のように、体力的に高いレベルで均一化されていれば、時間が多くかかることは無いだろうが、民間のクラブ活動では必要な考慮だ。
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出発・終了点の瑞芳駅 |
瑞芳へは、台北市内から1062番バスで向かう。1062番バスは休日は瑞芳駅前でなく、それを更に行ったバス停に停車する。ここは、郵便局の近くだが建物の奥には三爪子坑山が見えている。瑞芳駅で電車でやってくるクラブ参加メンバーと落ち合う。8時半過ぎにWさんなど顔見知りのメンバーと会う。8時45分駅前で集合写真を写し、今日の行動予定の説明したあと出発する。歩行中パーティ主要メンバー間で通信する無線機を受け取り、歩き始める。駅前の明燈路を東に進み、瑞芳橋で基隆河を渡る。橋から前方に三爪子坑山が見える。三爪子坑路106巷に入り、坂を登る。右に瑞慈宮を見て峠部分に着く。
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瑞芳橋を渡る、奥には三爪子坑山が頭を見せている |
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産業道路を行く、正面に三爪子坑山 |
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凍ったパイナップルが冷たく美味しい |
天気が良いので、木陰のない車道歩きは辛い。鶏やアヒルの放し飼い農場のわきをゆき、左に道を分けると登りはキツくなる。9時20分、そこそこの木陰のある場所で休憩する。歩き初めて約30分ぐらいだ。微風があり、汗をかいた肌にやさしい。大勢のパーティの場合、休みは頻繁にとる必要がある。休憩後、残り少しの産業道路を登り、民家を過ぎると山道になる。山道の状態はそれほど悪くないが、やはり産業道路とは違い後部では少し遅れ始めているようだ。これだけの大勢のパーティでは、休憩場所も大きさが必要だ。山道の途中では休むのに適した場所がないので、30分間休まず終点の蛇子形産業道路まで歩き休憩とする。ちょうど陽射しも強くなく、多くのメンバーは車の往来もない路面に座って休んでいる。果物など、多くの人がすすめてくれる。冷凍のパイナップルが冷たく美味しい。
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産業道路わきの三爪子坑山登山口 |
15分ぐらいの休憩後、出発する。産業道路を東へ少し進む。右に三爪子坑山への登山道入口がある。谷沿いに登っていく。補助ロープもある急な登りで、道は左に大きく曲がる。十数分の登りで、稜線の山道に合流する。後部の状況を確認し、再び登り始める。30分ほど登り、登り坂途中だが少し休める場所で休憩を取る。これだけの人数が、こうした山道を歩くと、やはりどうしても時間がかかる。特に補助ロープを使って登るような場所では、前のメンバーが登り切るまでの待ち時間も発生するので、トータルの時間がかかる。このへんは少人数の行動とは違うので、今後道案内をする場合は、注意が必要だ。
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森の中の急坂を登る |
また登り始める。次のセクションは、長い岩登りもあるので皆に注意をうながす。11時32分、三爪子坑山頂上(標高536m)に到着する。頂上は360度の展望台には変わりはないが、今日は光線の影響もあり、それほど遠くまでは見渡せない。先頭の数名と一緒に記念写真を写したあと、先に下り始める。頂上は全員が休めるほど広くない。木陰もないので休むには適していない。11時50分ごろに、頂上から下りきりった空き地に着く。ここで後のメンバーがやってっくるのを待つ。そこでリーダーのWさんと相談し、食事にする。また、今までのグループの行動状況をみて、予定の八分寮頂砲台遺跡や、八分寮古道へ行くと、一部のメンバーにとって体力的にキツく、かなりの時間を要することが懸念されるので、このまま稜線を下り八分寮山へ行くことに決める。主要メンバーが担いできた、昼食の材料やコンロなどの準備が始まる。30名からの団体には、この空き地はちょっと狭いかようだが、それぞれ思い思いに腰掛けて食事をする。山の上で、こうした温かい食事を取るのも、良い物だ。風も少し吹いているし、虫もあまりいないのでゆっくりと休み体力を回復する。
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頂上直下の長い岩登り |
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三爪子坑山頂上から五分山を見る |
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昼食の様子 |
1時間15分ほどの食事休憩を終え、出発する。稜線上には山林投などが密生している場所もあり、一筋縄ではいかない。登り下りもそこそこあり、苦労する。数分で尾根上の分岐にやってくる。左へ行けば、初期予定の砲台遺跡へつながる。予定変更後は右へ下る。この分岐部も大勢を待つことが出来るだけの広さが無いので、下り始める。補助ロープを使った急峻な下りである。メンバーの中には、苦労した人もいるようだ。14時少し過ぎ、坂を下りきり鞍部の十字路に着く。途中、何回か後部メンバーの歩き具合を確認し、立ち止まって待つ。全員が下り切るまで10分ほどを要した。ここはそこそこの広さがあるので、大勢で待つにも問題ない。
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十字路鞍部で待つ |
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岩の急坂登り |
この山塊はヤマビルがいる。メンバーで血を吸われた人もいるが、自分もズボンの裾をまくると、靴下が赤く染まりやられている。稜線を八分寮山へ向けて歩く。基本は下りだが、途中登り下りがある。15時に八分寮山(標高322m)に到着する。後部のメンバーが到着し、各人の写真や三角点を入れて集合写真を写す。残りは瑞芳への下りだけだ。稜線を進むと、岩のある急な登りを越す。頂上から20分足らずで、右に瑞慈宮へ左に萬壽山への分岐に来る。ここは右に折れ進む。緩やかな下り道を10分ほど進むと、左下には基隆河の谷間が望める展望スポットがある。ここからは急な下りが始まる。15時40分、右へ瑞慈宮へ左は徳和宮への分岐に来る。
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下り道でみる基隆河の谷間 |
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竹林の下り道 |
左の徳和宮への道を下りるつもりであったが、竹林の道の入口には竹が十字に渡してあり、入るなというように見える。大勢の団体で下って行って不通だと問題なので、急遽右の道を下り始める。歩き始めて数分、後方から悲鳴などが聞こえる。どうやら蜂に刺されたようだ。しばらく待っていても、誰もやってこない。そこで自分とすぐ後を歩いていた夫婦のメンバーとで戻ってみる。分岐には、すでに全員が到着して休んでいた。戻る途中自分たちは蜂に出会わなかったが、刺されたメンバーはこの道に拒絶反応があるようだ。そこで、もともとの予定通り左の分岐を下って見ることにする。道はずっと竹林の中を下っていく。ところどころ急な部分もあるが、概ね問題なく下れた。入口の十字は、メンバーの一人が言うように、竹林でタケノコを盗まれることを防ぐため、地主がわざと造ったものかもしれない。16時23分、山道が終わり徳和宮に到着した。山道歩きはこれで終わりだ。ズボンの下半分を取り外す。左の足に加え、右のスネに蛭が付いている。剥がすが生命力が強く、踏まれても簡単に死なない。はやり塩が一番のようだ。
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徳和宮に着いた |
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血をたらふくすったヤマヒル |
広い境内では、メンバー思い思いに腰掛けたり、お湯を沸かしてお茶を飲んだりしてくつろいでいる。後は舗装路を少し下り、瑞芳駅へ歩くだけだ。17時に東和路を下り始める。介壽橋を渡り17時20分前に駅に到着した。17時25分発の区間電車で台北に帰る。帰途台北市内で食事に招かれ数名のメンバーと一緒に食事をした。当然ビールで乾杯だ!
当初の予定通りには歩けなかったが、かなり疲れた人もいるものの全員無事に完歩できたことは、道案内としては嬉しいことだ。休憩が多いが、所要時間は8時間25分である。歩行距離は8.3km、登攀累計661mである。この数字は、自分ひとりで登った5月初旬の山行とほぼ同じ距離と登攀累計である。時間は3時間ほど多いので、人数の多い団体登山は、時間的に余裕を多くとることが必要と判る。
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