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2014-01-29

2014年1月29日 新店小獅山 再度別の道を歩く小登山

小獅山(2013/12撮影 靑潭尖の下り道から)
昨年11月に小獅山を登った。その時は、そこからずっと待老坑山まで縦走したが、今回は単に小獅山だけである。昼前に出発し2時間半の散歩的な山登りだ。旧暦正月大晦日の前日、日本で言えば師走の30日である。とても天気がよいが、山歩きをしている人は稀だ。

新店駅からスタートして、北新路の檳榔路バス停まで
前の晩は、忘年会で少し飲み過ぎた。朝早くからの登山は、さすがにつらい。10時40分ごろに自宅を出発、MRTで新店駅へ向かう。11時20分、新店駅から歩き始める。今回は文中路から登るので、北新路を南に行く。すぐ道を渡り、そこから始まる文中路の坂を登る。右に文山中学校を見て進む。数分の登りで、高速道路から続く能仁路との交差点につく。山が近づいてくる。左に能仁家商学校の赤い門がある。そのわきから登山道が始まる。案内板もある。今回のルートは、この道ではなく、そのまま文中路を進んだ先の竹林禅寺からである。

竹林禅寺、桜の木の下が登山口
小獅子山登山道のモニュメント
文中路の最終点は竹林禅寺である。けっこう規模のあるお寺だ。お寺の左の桜の下に、登山口がある。木製の階段が続いている。桜の花が道端に咲いている。高度が上がるにつれ、南方向の山々が見える。登ること15分、右に木製のテラスが見える。稜線道に着いた。低い山であるので、登りは少ない。左にとり、尾根道を第二峰青年亭へ向かう。しっかりした木製階段が続く。大きな木製テラス展望台を見る。冬休み中の小学生二人がなわとびをしている。地元の子供だろう。その上は、能仁家商学校からの山道との分岐だ。すぐ上に青年亭の二階建展望台がある。11時52分、新店駅から約半時間の歩きだ。

桜の咲く登山道
二峰青年亭の内部、向こうに台北市街の景色が広がる
桜の向こうに鹿鵠崙が見える
前回は大勢のハイカーがいた展望台だが、今日は自分ひとりだ。すぐそばに山桜が咲いている。桜の花越しに、猴洞尖、鹿鵠崙や獅子頭山が見える。風もほとんどなく、展望台の椅子に座りゆっくりと景色を眺める。台北は、街中から簡単に山の景色を楽しめる。20分ほど過ごした後、展望台を降りさきほどの道を下る。竹林禅寺の道の分岐を過ぎ、鞍部にある慈暉亭のあずま屋の中を通る。その先、左に檳榔路へ下る山道を分け、登りが始まる。枕木の道を進み、急坂の木製階段を登れば、愛心園を過ぎ第三峰はすぐだ。頂上の長寿亭は、三階建の展望台である。標高192mで、小獅子山の最高点でもある。

二峰下の展望テラス
三階に登る。ここも前回は人が大勢いたが、今日は一人だけだ。二峰の展望台とは異なる方向の景色が広がる。東側の二格山山系の山々がよく見える。最近登った直潭山の山群も望める。北側は、陽明山山系や南港山も遠くにある。温度が上がり、寒暖計は24度を示している。ここでも20分ぐらいすごし、12時55分に展望台を降りる。

三峰長寿亭から北側を見る
二峰山腹道と分岐
下りは、今やって来た道を竹林禅寺への分岐へ戻る。そこから北側に二峰を巻いていく道が右に始まる。この道も手すりなどが設けられた、とてもよい道である。一部踏み石を並べた場所がある。昔ながらの山道の風情である。二峰から下りてくる尾根の道と合流し、鞍部では左に文中路へ下る道を分ける。また左右に道が分岐する。左の道をとり、一峰獅子祿亭へ登り返す。登ったところの分岐を右に少し行けば、一峰の獅子祿亭である。13時13分、ここで少し休憩する。今日は急ぐ道ではない。気ままに歩く。

下り道と岩に彫られた文字
獅子祿亭を下り、右に中山亭への道をとる。急坂の木製階段道を下る。下りきったところが中山亭だ。中山亭の前は分岐で、右は檳榔路へ、左は前回登った時の中興路一段56号登山口からの道へ連なる。右へ分岐を曲がる。中興路登山口からの道は、石段の立派な道だがあまり歩かれていない感じだった。檳榔路への登山口はよく歩かれているようだ。尾根上の道にもあったが、小獅子山登山道の里程柱が道脇にある。この里程の起点は檳榔路登山口のようだ。こちらが主要登山道、という位置づけなのだろう。山肌の岩に文字が刻まれている。

下り道最後の分岐、右に進む
中山亭から10分の下りを来る。石畳の山道になる。ところどころ、屋根の付いている休憩所が僅かな距離に三ヶ所もある。左に中興路へ下る道を分け、右に檳榔路への道を進む。13時47分、檳榔路に出る。中興路を渡り、北新路へ歩き、檳榔路バス停から643番バスで帰宅した。

今回は、短い山歩きである。休憩込みで2時間半、距離は3kmである。登りは累計で220m、これは期待していたより多い。この山は、地元の人にとってみれば格好の散歩や憩いの場所を提供してくれる。今日のような歩きであれば、難度は低い。山道はクラス1、体力要求度もクラス2だ。

2014-01-28

2014年1月25日 新店中嶺山 - 雷公埤山 山桜花見を兼ねて歩く

大崎尖近くから見る中嶺山
小格頭苗圃の桜、背後は皇帝山、その右には平渓の峰頭尖と中央尖
台北の各地から、桜の便りが聞こえるようになってきた。台湾の桜は、地元種である山桜がいち早く咲く。もちろんその他、八重桜やソメイヨシノもあるが、開花時期は遅い。新北市石碇区に、公共施設などに植える植物や花の栽培をしている小格頭苗圃がある。通常は、一般には開放していない。今年は構内にある桜の花見として、期間限定で開放を始めた。今回は、ここに立ち寄り花見もできるように、以前登山を構想していた雷公埤山を登ることにした。

西の雙坑から東の栳寮へ歩く
中嶺山から一度谷に下り雷公埤山へ登り返す
雷公埤山は、小格頭苗圃の近くにある二格公園から登る事ができる。雷公埤山だけでは少し物足らないので、天気がよいこともあり中嶺山を経て行くことにした。以前、雙坑の雞心尖から尾根伝いに中嶺山を登り、更に直潭山へ縦走した。今回は、同じく雙坑バス停からスタートだが、雙峰路を経て雞心尖の麓を回りこみ、そこから直接中嶺山へ登った。稜線を北へ行き、雞心尖への分岐から東へ秀峰路へ下る。車閂寮古道で一旦谷に下り、そこからまた雷公埤古道を登り返す。更に549峰へ登る山道を経て、雷公埤山頂上へ。登頂後は二格公園へ山道を下った。北宜公路へ出た後は、小格頭苗圃へ花見に行った。

新店付近の登山軌跡
雙峰路から見る雞心尖雙峰
最近三回は、連続して新店駅からスタートだ。同行も同じにZさん、それに奥さんも加わり三名である。8時15分発の緑12番に乗るべく、いつものように並ぶ。ところが今日は様子が少し違う。行列が長いだけでなく、観光バスがしきりにやってくる。これは、小格頭苗圃への無料シャトルバスの行列だった。新北市が、準備したものだ。このバスは、栳寮へいくにはいいが、途中下車はできないので往路には適さない。緑12番バスは、そのわきに行列が並んでいる。こちらのほうは休日なのにとても短い。登山者でもシャトルバスに乗る人が多いのだろう。

台湾高砂犬の飼育所



時間どおり8時15分に発車する。乗客は、平日とほぼ同じぐらいである。十数分の乗車後、雙坑バス停で下車する。少し先で右に谷に降りていく道が雙峰路だ。少し下ると正面に、名前のように双峰が高くそびえている。雞心尖である。沢へ下りきる。橋を越えたすぐわきに標識リボンが付いている。雞心尖への登り口だ。しばらくすると上から犬が吠えながら下ってきた。すぐ上にある廟の飼い犬で、登山者の間では気性があらいことで有名だ。

四十份橋近くの古い道標
雙峰路は登り始める。谷あいの道はまだ陽が差し込まず、薄暗い。十分ほど登る。犬の鳴き声が非常にうるさい。数十匹の犬が一斉に吠えている。どうやら犬の収容所のようで、沢の対岸にかなりの規模の囲いがあり、大勢の犬がいる。その少し上に台湾高砂犬の飼育販売所がある。更に少し登り、9時2分、四十份橋につく。橋のたもとから左に分岐する道を進む。古い登山道標が残っているが、文字がかすれて判読できない。左に福徳宮へ道が折れる。山道はこの土地公の前に右に登っていく。しばらく歩いて来て汗がでてきた。上着を取る。

十份古道の分岐部



山道は、古い石階段も現れる。特に名称は無いが古道である。そのうち尾根に取り付き登る。樹木の間から、谷間の向こうに遠景が見える。林口の台地が朝日に輝いている。9時37分、分岐に来る。左は雞心尖方向へ進み、峠を越えて北宜公路へ下っていく十份古道が別れる。右に山道を更に上る。草やぶの中にまた古い道標があるが、文字も判読できない。道は廃棄産業道路の様相になり、そのうち民家の裏にでた。放し飼いの鶏が逃げていく。

茶畑わきから大崎尖方向を望む
土の産業道路上の登山道入口
民家のわきを通り過ぎ産業道路にでる。しばらく進むと左に畑のわきを石段が登っていく。産業道路の反対側は茶畑で、対面に先週登った大崎尖近くの霊園が見えている。石段を登り、別の民家のわきに来る。ここからまた産業道路を進む。現れた分岐を左にとり登っていく。道が右に大きく曲がっていくところで、土の車道が分かれて直進していく。これを歩いてしばらく、登山道入口がある。先に山道が終了した民家からここまで、産業道路の歩きも含めて約20分である。途中の幾つかの分岐には藍天隊の道標が電柱などに取り付けてあるので、分岐部分で注意していれば迷うことは無いだろう。

稜線上の分岐
山道に入ると、山腹を登っていく。10分ほど登ってくる。急に開けて畑がある。ここまで耕作しているのだ。補助ロープもある坂を登り、10時30分に稜線上の分岐にたどり着く。稜線上の道は、ほんの三分で中嶺山(標高626m)頂上に着いた。雙坑バス停から歩き始め、約2時間である。今日の行程中の最高点であると同時に、最良の展望台だ。前回の登頂に比べ、空気の透明度が高く、台湾北部の山々の多くが望める。東方向には、先日登った粗坑崙はすぐそこだ。その手前の方に、このあと登る予定の雷公埤山がある。そのすぐ右下は翡翠水庫の湖面がある。二格山が大きく近い。その南の麓のあたりが栳寮で最終目的地である。冬の陽射しの中では、遮るもののが無い頂上でも、暑くなく快適だ。ゆっくりと休憩する。

中嶺山頂上、左に二格山、右に粗坑崙。中央の山は雷公埤山、奥に平渓や坪林の山々が見える
台北方向を望む、観音山が遠くに浮かぶ
雞心尖への分岐
30分ほど休憩した後、下り始める。緩やかな尾根道を下る。11時22分、雞心尖との分岐に来る。古い登山道標があるが、これはまだ文字がはっきりしている。右に曲り尾根上を更に下る。途中、右に道を分け11時40分に秀峰路に出る。手前の建物は秀峰茶廠だろう。右に進み、ダム側から来る道を合わせる。そのまま直進して、また土の山道に入る。登っていくと、左に分岐がある。こちらも雷公埤山にいけるが、右に保線路を進む。竹林の中を過ぎ、分岐に来る。左は山腹道を進む道につながる。右は車閂寮古道だ。もともとは、この左の道から山腹路を行くつもりであったが、この分岐には道標がなくそのまま直進した。車閂寮古道に入ってしまったことは、下ってしばらくして気づいたが、こちらも雷公埤山へと続くのでそのまま進む。

車閂寮古道、先に沢沿いに下る
車閂寮古道は始め沢にそって下り、そのあと山腹を進む。尾根上を行くようになり鞍部を過ぎる。その先に送電鉄塔がある。保線路はこの鉄塔まで続いている。鉄塔を過ぎると道は、ガラッと変わり踏跡程度になる。まもなく急坂になり、下りきったところは沢がある。対岸は雷公埤古道である。幸い水量は多くなく、飛び石を渡る。岸には石が積み上げてあり、人が往来していた古道であることを示している。この道は、下って行くと行き止まりになるようだが、1987年にダムが完成する前には谷底に下っていく道だったはずだ。時刻は12時22分、ここでしばらく休憩する。

対岸の雷公埤古道、沢を越す
雷公埤古道の土地公
沢沿いに雷公埤古道を登っていく。数分歩く。左岸に大きな岩が覆いかぶさるようになっている。その下に土地公の祠がある。この道を歩くのは今は登山者だけだろうが、覗いてみると神像は無いが焼香されている。祠自身は、だいぶ年代モノだ。そのすぐ上で、蕃薯寮古道が沢を渡って分かれていく。それからまたわずかで、今度は右に山腹を登っていく道が分岐する。手持ちの地図には示されていないが、雷公埤山へ続く道のようだ。このまま雷公埤古道を最後まで歩いて、そこから雷公埤山を登るよりは近道になるはずだ。そこで、右に曲り進む。道は急坂で涸沢を登りつめ、小尾根に取り付く。山腹を行く時は、石垣になっている場所を通り過ぎる。以前は棚田か何かであったのだろう。549峰で右から竹坑の道と合流して更に尾根上を進む。数分で雷公埤山に着く。13時25分、沢沿いの雷公埤古道分岐から35分の登りである。周囲は樹木で、展望はきかない。持ってきたビールを三人で分けて飲む。とても美味い。

雷公埤山頂上
痩せ尾根の急坂を登る
頂上から北へ下り始める。中腹道から登ってくる山道と合流する。右に折れ更に下る。竹林を過ぎ、13時46分、中腹道と合流する。その先、鞍部で峠越えの古道分岐を越え、尾根上を更に進む。痩せ尾根となり、補助ロープのかかる急坂を登る。登り切ったところは、狭いが展望がよい。二格山がだいぶ近くに見える。北宜公路を走る車やバイクの音が近くに聞こえる。急坂を下り、ステンレスタンクわきを過ぎる。14時5分、二格公園の前で、北宜公路に出た。公園は、出店が多く設けられており、賑やかだ。朝、新店駅でみたシャトルバスはここで乗降しているので、遊楽客が多い。

痩せ尾根上部から望む、二格山が近い
二格公園の登山口近く、出店が多い
二格公園から、坪林方向に北宜公路を数百メートル歩く。花見を終えた多くの観光客とすれ違う。小格頭苗圃入口から中に入る。下って行くと桜の木がある。まだ咲いていない木も多い。下方にある桜は満開だ。桜の木は全部で200株あるそうだが、期待していたほど花は多くない。時期がまだ早いのだろう。遠くに見える二格山の山腹を行く二格産業道路上には、ところどころに赤い塊がある。こちらは桜が咲いている。しばらく鑑賞し、道を引き返して二格公園に戻る。14時43分、ちょうどシャトルバスが発車するところで、それに乗り新店駅へ戻った。

小格頭苗圃
満開の桜
歩行距離は9.8km、累計の登攀高度845mである。休憩込みの行動時間は約5時間半だ。中嶺山から雷公埤山への途中、大きく下りまた登り返したので、思っていたより労力を要した。山腹路を行けば、それほどの上下はなかったはずだ。困難度は、山道は車閂寮古道の一部がクラス4、他はクラス3、体力はクラス3である。

2014-01-26

2014年1月23日 石碇粗坑崙-獵狸尖-坪林烏窟子山 冬晴空の気楽な稜線歩き

縦走の山並、中央の獵狸尖、左に粗坑崙(2013/7撮影)
雪山隧道の貫通により、北宜公路はかつての宜蘭への主要な道路の地位を第五号高速道理に譲ったが、石碇や坪林の山々の間を縫って行く道は、今やバイクやスポーツカーのドライブコースになっている。休日ともなると、爆音を轟かせていくバイクの数はとても多い。お茶の里坪林や、翡翠水庫(ダム)の千島湖は、観光地として賑わっている。北宜公路にそった山は昨年歩いたが、今回で三回目の訪問となる。

西の風嘴口から東の坪林へ縦走する
下りメインの歩き
昨年三月は、風嘴口から歩き始め粗坑崙を越え、大格門から四分子を経て石碇へ歩いた。今回は、大格門までは同じで、そこから更に稜線を追い、獵狸尖を越え烏窟子山を経て坪林へ下った。コースのほぼ中間に位置する獵狸尖までは山道を行くが、獵狸尖を越えると茶畑が現れ、産業道路や茶畑の脇を行く、変化の多い道となる。烏窟子山は、茶畑に囲まれたピークだ。産業道路も続くが、水柳脚歩道をへて坪林区役所の脇へ降りた。快晴のもと、360度の展望台獵狸尖の頂上も含め、歩いている途中変わりゆく景色を眺めならが歩くことができた。

粗坑崙登山口
平日の緑12番バスは、それほど混んでいない。同行するZさんとMRT新店駅で落ち合い8時15分の便で北宜公路を風嘴口まで向かう。もう一人の登山客と自分たちが下車すると、バスは乗客一人となる。バス停の向かいはお店のテラスとなっている。二格山から石碇に向け、段々と下っていく筆架山連峰が屏風のようにつづいている。近くの山腹には、山桜の赤い花が目立つ。春が近い。

陽射しが差し込む雑木林冬の道
粗坑崙頂上
9時少し前、支度をすませて公路を坪林に向け少し行く。まずは粗坑崙を目指す。昨年三月に訪れた時は、左に折れる産業道路から茶畑の中を登っていった。今日は、もう一つの稜線道を行く。産業道路の分岐部分にある尾根付階段が登り口だ。茶屋のようだがすでに営業されていない。小さな茶畑の上から山道が尾根に取り付いて行く。数分急坂を登る。雑木林の尾根上は風が吹き抜けていく。尾根の幅が広くなる。左より茶畑を経て登ってくる、別の登山道と合流する。冬の雑木林は、朝陽が差し込んでくる。夏の緑あふれる山とはまた別の風情だ。汗もそれほど流れず、快適な山登りができる時期でもある。

空気が澄んで、稜線鞍部から筆架山連峰の向こうに陽明山の山群が望める
稜線の道を行く
9時30分、粗坑崙(標高688m)頂上に着く。登山口から標高差は百数十メートルしかなく、楽な登山だ。北側は樹木が切れて展望ができる。下方に翡翠水庫が望める。下りはじめてすぐ、左に道を分岐する。雑木林やシダの下草、ススキの間を道は進んでいく。30分ほどで鞍部にやってくる。北側が開けて、遠くまで展望できる。手前の粗坑崙から月扇湖山へ下っていく尾根の向こうに、筆架山連峰、そしてその更に遠方には、八里の觀音山、そして陽明山の大きな山群が座っている。101ビルが筆架山の右側に頭をのぞかせている。

大格門の峠部分、向こう側が縦走路
ススキの間を進む
緩い登り下りのピークをもうひとつ越し、10時18分、大格門(標高600m)に着く。少し休憩する。前回訪問は、ここから北に杉林の中を下っていった。今日は、そのまま稜線を進む。ここからの道もけっこう歩かれている。10時41分、北宜公路から登ってくる保甲路と交差する。道は、尾根上を追っていく。また左に道を分ける。林の切れ目から見ると、五分山とその右に基隆山の三角ピークまで見える。ひとつ頭を越し下る。そこから道は山腹を横切って行く。道幅の狭いところには、補助ロープなどが付けられている。11時2分、突然目の前が開け、石階段の山道に飛び出る。獵狸尖登山道だ。同じペースで石段を登っていく。数分で、左に土の道がゆく。右に送電鉄塔が立つ。その先はあずま屋もある広い展望台だ。基石が鉄塔側に埋められている。籟狸尖山とも呼ばれる獵狸尖(標高705m)の頂上だ。

獵狸尖展望台から北西方向を望む、皇帝殿山や華梵大學キャンパスが見える、背後は平渓の山々
南方向を望む、翡翠水庫と烏來の山々
北側を望む、獅公髻尾山と左側の人頭面山、左遠くにあるのは五分山
石段歩道を下る
送電鉄塔が邪魔になるが、ここは360度見渡せる絶好の展望台だ。台北の街から、烏來、坪林、平渓などの山々全てが望める。台湾北部の山々がほぼ全部展望できる。北側には獅公尾山が大きな山容を見せ、その左側には人頭面山の切れ落ちた斜面が目立つ。東側を望めば、これから歩く烏窟子山とその向こうに坪林三星の三山、更に奥には胡桶古道のある梳妝樓山などが見える。吹きさらしの展望台から、少し草の茂る道脇へ行き、休憩する。風がない陽射しの中では、温かい。食事をとりしばし休憩する。

茶畑のわきに咲く茶の花
道端に捨てられた車
獵狸尖は、今日の行程のほぼ中間地点だ。ここを分岐点として、道の性格も換わる。これからは産業道路や山道が交互に現れる。鉄塔の基部で、南側の景色を見た後、石畳登山道に下り東側に下っていく。山道は産業道路につながる。茶畑が広がる。茶畑の向こうには、山々が広がる。道端に大きな茶花が咲いている。二、三ヶ所分岐を過ぎ下っていく。右に土の産業道路が分岐する。わきに桜の花がさいている。この土の道を進む。事故車なのだろうか、主要な部品をすべて取りされたた自動車の残骸が道端に打ち捨てられている。産業道路は右に下っていく。そこから左に山道が分岐する。右を行けば、黃櫸皮寮山へつながる。

茶畑のわきを下る
ついて来た野良犬クロ
山道は杉林を過ぎ、茶畑のわきを下る。茶畑がきれるとコンクリ階段道になる。下りきったところは、民家の脇だ。産業道路を大きく曲がって下る。その突き当りには、改修中の民家がある。その奥にコンクリ階段が登っていく。ここが山道の入口だ。改修中の職人は食事中のようで、弁当の黒犬にやっている。黒犬は、我々を見ると吠えてきたが、どうしたことか我々について来た。職人の犬ではなく、野良犬のようだ。

茶畑のわきを行く、クロが先導
コンクリ階段の上は、山腹を急坂で登っていく道と、左に山腹を横切る道が分岐する。左の道を進む。また分岐するが右に取って登っていく。尾根に取り付き下り始める。しばらくすると左から道が合流する。そこにある藍天隊道標を見ると、先ほどの分岐からきた平行する道のようだ。黒犬は、右前足に怪我をしているようでぎこちない歩きだ。山腹を進んでいく。そのうち、路面はコンクリになる。茶畑が現れ開ける。手前には火焔山、その奥に芋園尖と九芎根山が望める。道は回りこんでいく。前方には坪林三星が近くに見えてくる。分岐を右にとり下る。民家が現れまた産業道路に降りる。左に進み、福徳公の祠前で少し休憩する。12時52分、獵狸尖頂上から約1時間10分である。

烏窟子山への分岐
黒犬クロは、まだついて来ている。食べ物を少し分けてやる。十数分休憩し、産業道路を下る。犬が一緒に歩く山道も、また楽しい。前回の粗坑崙からの下りでも、一匹黒犬が一緒について来た。そのときも同じように感じた。左に道標がある。烏窟子山を示している。左に土の道を登る。登ったところは一面の茶畑で、その奥に頂上だけ雑木を残したピークがある。烏窟子山(標高448m)だ。茶畑の間の急坂を登る。頂上には基石と説明板が設けられている。樹木の中で展望は無いが、すぐ下の茶畑からは眺めがよい。時刻は13時16分、今日の活動中の最後のピークだ。

クロと茶畑の間を登る
北側に下っていく道を行き、右に曲がって林の中に入る。林の中の急斜面を下る。茶畑の最上部に出る。ここからも急斜面の茶畑の間を下り、産業道路に降りる。その反対側に道標がある。水柳脚登山歩道の道標だ。歩道と言っても、茶畑のわきを道だ。登り切った場所から、左に急坂が始まる。先に茶畑の上部に登ってみる。ここもとても良い眺めだ。下には高速道路ジャンクションが望める。

烏窟子山から急坂を下る、対面の道は水柳脚歩道、その奥の山は坪林三星
水柳脚歩道から見る烏窟子山
尾根上を行く水柳脚歩道
水柳脚歩道は、急坂には板の階段が設けられている。昨年和尚髻山から下った大湖尾歩道と同じに、最近まであまりメンテされていなかったようだ。今は草が刈られて、再び歩かれているようだ。枝尾根を下る道が切れ、谷あいの湿った場所を通り過ぎる。ぬかった場所には枕木が渡してあるが、ドロドロだ。谷あいからまた、小尾根に取り付き下から上がってくる歩道に合流する。右に展望台側へ登る。14時2分、茶畑の上にあずま屋の設けられている展望台に着く。坪林の街がすぐ下だ。北勢溪を挟んだ真向かいは、坪林三星が控えている。

展望台から坪林三星を望む
坪林の街はすぐ下
次の923番バスが14時30分にある。急いで残りの山道を下る。道の程度は良くなり、立派な木製階段を降る。民家わきに下りてくる。クロはそのうちどこかへ行ってしまった。これ以上は一緒に行動できないことを知っているかのようだ。水柳脚歩道入口表示を見て、坪林区役所を過ぎ北宜公路に出る。左に曲り14時20分、坪林国中バス停に着いた。

歩行距離は9.3kmと、思っていたより少ない。下りがメインの歩きなので、登攀累計は374mだけだ。行動時間は5時間20分である。冬の晴天下の歩きで、実に快適なハイキングであった。暑い時期だと、後半は茶畑のわきなど炎天下の歩きになるので辛いだろう。やはりあまり暑くない時期に行くのがよいと思う。困難度は、コースはクラス3、体力もクラス3である。山道は草深いところもあるが、踏跡がしっかりしているので迷うことはない。道自体よりも、産業道路や山道の分岐に注意することが必要だ。