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主稜線上の岩尾根 |
新北市石碇区の皇帝殿山は、稜線上に岩が露出した部分が多く現れる山として知られている。今まで三回登っている。今回は、三月に予定している登山クラブの活動の前に、一年以上行っていないこの山のルートを再度確認することも含めて登った。一部は、まだ歩いていない山道部分も含めての山行である。
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地図左上の文山煤礦から登り、縦走後永定煤礦へ下る |
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縦走の歩行高度記録 |
台北からそう遠くないこの山は、主要な稜線登山道にはしっかりとした補助のロープや手すり、鎖や金属梯子が取り付けられている。また、稜線へは、石段のよい道が続いている。そこは、気軽な服装で登ってくるハイカーも多い。手軽にスリルを味わえるコースである。その部分を外れると、登山者は少なくなり、また道も難しい急な岩壁コースが現れる。こちらは、それなりの経験者向けルートになる。今回は、山の北側ふもとを行く106公路から中央坑産業道路を経て仏光寺へ登り、そこから稜線に上がる。天王峰から東峰までの主要稜線を歩いたあと、石覇尖(北峰)を越え、更に連峰の端に位置する烏嘴尖まで縦走し106公路(106号線県道)へ下った。
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皇帝殿山の過去登山ルート |
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文山煤礦バス停と795番バス |
今回は、以前同行したことのあるKさん、Lさん以外にHさんも加えた4名の山行である。みな登山経験豊富なので、足並みも揃っている。MRT木柵駅のバス停を7時20分過ぎに795番バスで出発する。35分ほどの乗車の後、7時48分に文山煤礦バス停で下車する。すでに閉業して久しいが、ここはもともと炭鉱のあった場所である。106号線は、平渓側も含め旧炭鉱を通り過ぎて行く。下山する予定の場所も永定煤礦である。
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中央坑産業道路を登る |
106公路を東に少し歩き、右に中央坑産業道路へ曲がる。この産業道路は主に山の上にある住民が利用するだけなので、ほとんど車両が通らない。行くてには目的の稜線が霧に見え隠れしている。勾配がキツくなってくる。106公路から約20分ほど来る。現れた分岐は右に登っていく道を取る。食物屋が谷側の見晴らしができる道脇に建っている。この時期は、営業はしていない感じだ。その先、佛光寺の表示板に従い、左に曲がる。先に少し登り、民家脇を過ぎたあと、道はつづら折りに下る。あまり往来のないと思われる道が右に分岐する。表示は何も無いが、これが佛光寺への道だろう。舗装はされているが、緑の苔が路面に生えている。進むと木々の向こうに、佛光寺が稜線のすぐ下に斜面にへばりついているのが見える。8時45分、文山煤礦バス停から約1時間、佛光寺の駐車場に着く。車が一台泊まっている。
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仏光寺への参道階段 |
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仏光寺の入口 |
車道はここで終わる。その先階段の参道になる。これもかなり年月が経っている。急階段を登ること数分、お寺の入口に着く。山の斜面に建てられているので、前庭などはない。入口を入ると、中にはお寺の住職さんがいる。我々を見ると、お茶をもてなしてくれた。床はコンクリが削られ鉄筋が見えている。住職によると、その昔この場所は土地を買ったあと登記をしておらず、それが原因で不法建築とされて取り壊しを命じられている、と話していた。参拝者もあまり多いようには見えないので、やっていくのは大変だろう。
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主稜線の分岐部、左の岩壁を登る |
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霧中の岩尾根を行く |
十数分休み、お寺の左門から山道を登る。補助ロープや岩に刻まれた階段を登り、10分ぐらいで主稜線の山道に着く。右にとれば西峰へ、反対側は天王廟へ下る。左に主稜線の道を歩く。すぐに岩の道が始まる。ここから東峰へののぼり坂直下鞍部までの区間が、皇帝殿山岩尾根の主要部分である。下がっている補助ロープを頼りに、岩に刻まれた足がかりを登る。両わきにロープ手すりが取り付けられた岩尾根を行く。晴れていれば周囲の山々が望める。今日は、霧の中で景色は望めない。また、そたため高さも感じない。10年ぐらい前の岩尾根の写真を見ると、手すりはない。その頃はもっと危ない道だったろう。
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両側に手すりが設けられた岩尾根 |
岩尾根と樹木の中を行く部分が交互に現れる。もともとは、かなり尖っていたと思われる砂岩の尾根は、削られたり坂には段々が彫られ、歩きやすくなっている。最後は手すりもないセクションが現れるが、割合と幅があるので心配はない。それを乗り越えると、右に駐車場へ続く道を分け、9時50分そのすぐ上の休憩場所に着く。尾根道は、休憩できる場所が少ない。ここで少し休憩する。休憩中には、他のハイカーが通り過ぎて行く。
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大岩を下っていく登山グループ |
休憩場所のすぐ上は、天王峰頂上(標高562m)だ。ただ小さい藍天隊の表示があるだけで、注意しないと気づかないで通りすぎてしまう。下って行くと、大きな岩壁が待っている。左には鉄の鎖、右にはロープが掛かっている。30名ぐらいと思われるグループがちょうど下っている。右側のロープ側を登り通り越す。10時24分、右から駐車場よりの石段道が合流する鞍部に着く。ここからは、
朝天洞や崩山大崙、
華梵大學へも行ける。分岐から登ること10分、10時35分東峰(標高593m)に着く。真新しい道標があるが、距離表示が正しくない。左に
京王山への道を分岐する。初めて皇帝殿山へ来た時は、京王山経由で下った。
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東峰から主稜線を望む |
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小覇尖への分岐点(左の道が小覇尖へ続く) |
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石覇尖頂上 |
東峰頂上は大きな一枚岩で平な場所がなく、四人が休憩するには適さない。大覇尖(北峰)へ向けて下る。この道は、
1年半以上前に逆方向から登ってきた。約20分ほど下る。鞍部には、右へ蝙蝠洞への道が分岐する。登り返すこと約20分、左へ小覇尖への道が別れる。これを経て、106公路へ下ることもできるが、かなり急坂となる。新しい道標には、蚯蚓坑山も記されているが、これまた大変な下り坂経由となる。この分岐から平な道を数分進む。11時25分、石覇尖頂上(標高540m)に着く。昼も近いので食事休憩を取る。東側は、樹木の間から景色が望める。曇りがちの天気で遠くははっきりしないが、106公路が姑娘廟の建物の脇をゆくのが見える。そのすぐ上は
石底觀音山だ。20数分休憩し出発しようとした時に、進行方向から小パーティが登ってきた。蚯蚓坑山経由で登った来たようだが、垂直の道で大変だったと話した。
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石段道の鞍部、新道標は距離が正しくない、石覇尖へは280mが正しい |
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烏嘴尖への山道 |
11時50分、石覇尖から下り始める。少し行くと、左に細い切れ間がある。注意しないと気づかないだろう。これが蚯蚓坑山へ続く道で、ほぼ崖のような道だ。12時に鞍部に到着する。永定煤礦から上がってくる石畳登山道がここで終わっている。直進し烏嘴尖へ向かう。数分下り分岐に着く。直進する道は、そのまま玉桂嶺1號橋へ下る。左に、ほぼ反対方向に下る道が、烏嘴尖への道だ。下りきり谷間から、左側の尾根に取り付く。途中、反対方向からの二人パーティとすれ違う。東峰までは多くのハイカーと出会ったが、こちらはやはり少ない。道も相対して程度が落ちる。補助ロープの急坂を登ると、そのまま進む道と、右に行く道が分岐する。右は烏嘴尖頂上への道だ。ほんのわずか回りこみ、12時25分頂上(標高510m)につく。
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烏嘴尖頂上から東側を見る、石覇尖とそのすぐ右に小覇尖、背後は東峰と京王山 |
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烏嘴尖頂上への分岐点 |
頂上から西側が望める。遠くははっきりしないが、やって来た石覇尖とその右に東峰が見える。石覇尖のすぐ右隣には小覇尖が尖っている。今日最後のピークなので、ゆっくり休憩し、14時45分に下り始める。先ほどの分岐へ戻り、右におれて進む。10分ほどで、大きく下る岩場が現れる。慎重に下る。更に下っていく。右に大きな岩が望める。鳥の頭のような形の大岩だ。烏嘴尖の山名は、この大岩に由来しているということだ。送電鉄塔の脇を通り過ぎる。左に補助ロープが付いている下り道がある。しかし、草に埋もれてほとんど歩かれていなようだ。
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烏嘴尖の山名由来の大岩 |
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岩壁道を下る |
再び大きな落差の岩壁が現れる。その後は補助ロープのある急坂はあるものの、岩場はない。14時10分、左に道が下っていく鞍部に着く。尾根道の先には永定坑山があるので、行ってみる。尾根道上から見る、右に
峰頭尖が高い。数分で基石のある永定坑山(標高248m)につく。そこから、尾根上に道が続いている。先ほどの分岐に戻り下り始めるが、ほとんど踏跡が判別できない。標識テープがあり手持ちの地図でも道が示されているが、草に埋もれてしまっている。そこで、また永定坑山にもどり更に尾根道を下る。峠道が現れる。左にとり下る。もともと先ほどの分岐からこの峠道に下れたのだろうが、永定坑山経由で登る登山者ばかりで、また草に埋もれてしまったようだ。竹林から谷底の道を進み、集落が見えるようになる。106公路はもう眼と鼻の先だ。滑りやすい赤土の道を下り、14時43分、106公路の登山口に飛び出る。交通量の多い車道を西側に数分進み、永定煤礦バス停に着く。十数分待つと、795番バスがやって来た。
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基石のある永定坑山山頂 |
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永定の村落が近い |
約7時間の行動時間である。歩行距離9.8km,登攀累計782mだ。歩行距離や登攀高度にくらべ時間を要している。少人数で、難所通過の待ち時間も少ないはずだが、それはこのルートが難度が高いことを示している。特に石覇尖から烏嘴尖への部分は、困難度が他の部分より高い。山道の難度レベルは、上記部分はクラス4、それ以外は3である。体力的にはクラス3だ。かなりの高度差のある岩壁が現れる、烏嘴尖は経験者向けのルートである。
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