このブログを検索:山名などキーワードを入れてください

2011-06-30

6月30日 更寮古道から土庫岳を登る

ここ数日、台北は午後になると夕立が来る。2,3日前は降雨量が排水能力を上まり、浸水したところもある。山での大雨は避けたいので、今回は朝だけですべて歩き終わるような、短い行程を対象として選んだ。台北から見て南港山系の後ろにある、土庫岳を舊莊から更寮古道を経て登り、反対側の深坑へ下った。果たして、8時半から登り始め、11時半には反対側の深坑の土庫バス亭に着いた。台北市親山步道 土庫山 ページ 参照

この山は、4月末に台北近郊の山登りを始めた第1の場所、南港山のすぐ東にある。展望台である拇指山からも、この山が見えていた。ただ、そのときは、正直言って台北近郊の山の名前をほとんど知らず、土庫岳という認識はなかった。
土庫岳は南港山系の東側
ルート図

親山歩道スタンプには見晴台が
標高389mで位置的には、広く見渡せる場所にあるため、清朝・日本統治の時代、この山は治安軍事上の要所として、見晴台が建てられていたということである。名前も望高寮といわれていたそうだ。現在はセメントのあずま屋と一等三角点があるだけだ。周辺には木があるため、頂上からの視界はほとんどなく、実際の見晴らしは想像するしかない。

登りはじめ、案内がある
自宅からMRTで昆陽駅へ、10分ほど待ったあと、212番バスで終点の舊莊についた。時間は8時半。バス停から少し行くと、台北市が管理している更寮古道の案内板がある。道も一本なので迷うことはない。500mほど行くと、更寮古道の入口に着いた。


高速道路が見える

よく整備されている石段の道である。過去数日の午後の雨のため、道には多くの枯葉などが落ちている。高速道路五号のトンネル入口が見えると、すぐ民家がある舗装路に出る。犬がほえている。今回は数箇所で番犬にであったが、みな勢いよく吠えたてる。番犬としては有能ということだ。
誇らしげな番犬、遠くには陽明山

視界がひらけて遠くに陽明山やその前の劍潭山の山なみが見える。道案内にしたがって、歩道を少し行くと、左に金属フェンスの門があり、そこからまた山道が始まる。同じく石段である。道の脇には、昆虫や植物の写真付説明文がそこ、ここにおかれている。15分ぐらいの登りのあと、石段がきれて平らな砂利道になる。


近くに九天宮のお寺が見えると、下からの舗装路に合流。舗装路はここで終わり、登山道が続く。しばらくの登りのあと、更寮古道は土庫岳の頂上へ2つのルートに分かれる。右は土豬窟尖のそばを経由していくが、こちらの道をとる。

スタンプ台付近から見る、遠くに観音山も見える
椿萱農場と番犬
土の道となる。途中、親山歩道スタンプ台を過ぎ、椿萱農場に着いた。ここは付近の自然物の説明看板や、いす机がたくさんある。ひとは一人もいないが、番犬がけたたましい。売り場もあるようだが、これでは客を追い払ってしまうだろう。

土豬窟尖頂上
そのまま通り過ぎ、また現れた石段を行く。椿萱農場から10分ほど登ると、尾根に到着し土豬窟尖へと続く道の分岐がある。ここにはあずま屋がある。そのあずま屋から、土の細い道が土豬窟尖に向けて延びている。ちょっと土豬窟尖の頂上へ行ってみよう。

送電線の塔の下ちょっと入ったところに、三角点がある。これが土豬窟尖の頂上だが、視界はまったくない。そこそこに今来た道を戻り、分岐を土庫岳に向かって進む。比較的平らな道を行く。ちょっとした下りになると、その鞍部には深坑から登ってくる道が合流する。こちらの道は、台北県(現在は新北市)の管轄である。枕木が敷いてある。枕木の道を登っていくと、もうひとつの更寮古道からの道と合流、その先少しで土庫岳の頂上だ。時間は9時50分。舊莊から1時間半である。

土庫岳頂上
先にも書いたように、もし展望ができれば非常の広範囲の山や台北の街が俯瞰できるのだろうが、残念ながら周囲の木々が邪魔をしてほとんど見えない。一部北側に切れ間があるが、それだけだ。

あずま屋に入ると、微風を感じる。おかげで快適だ。食事をしていると、蝶が近くのいすの上に降りてきて、羽を閉じたり開いたりしている。外には別の数匹の蝶が舞っている。誰一人といない、静かな頂上だ。

草に隠れた枕木の道
30分ほどゆっくり休んだあと、同じ道を土豬窟尖への分岐点まで下がり、さらに深坑にむけて進む。枕木であるので、一部腐ったり、草にかくているような部分もあるが、歩きにくいわけではない。苔むした石段に比べれば、歩きやすいだろう。コスト的には台北市の石畳に比べれば安いのだと思う。
太平・土庫岳と書かれた分岐案内




下がってまもなく、行き先が太平と書いてあるが、土豬窟尖方向だと思う細い道が分岐していく。さらに下ること15分で、山道が終わり人里の舗装路にでた。ここは廃品回収品がたくさん散在している、下から登ってくると、登山道の入り口がこれらに隠れて見えないので、少し戸惑うかもしれない。

舗装道から道案内に従い、また枕木の道に入り、土庫尖路にでる。福徳宮の脇から向かい側の山が見える。2週間前に歩いた二格山から猴山岳への山なみ、二格山から筆架山へさらに石碇へとつながる山なみがそこにある。二格山の頂上の展望台もかすかにわかる。逆にいえば、2週間前には、今いるところを見ていたことになる。
二格山と猴山岳の山なみ

土庫尖路を下っていくと、また山道への案内板がある。今度はコンクリートでできた道である。途中尾根上にあずま屋、智慧亭がある。ここの直下で、今日はじめての登山者とすれ違う。

深北路と土庫バス停
土庫岳頂上から下ること1時間、元鴻宮の脇で山道が終わり、紅葉街12巷を経て、紅葉山荘の入り口、北深路の土庫バス停に着いた。時間は11時半。付近には、登山案内がないので、はじめてここから登る場合は少し迷うかもしれない。660番のバスで公館経由で帰宅した。



昼過ぎには自宅にたどり着いたが、結局午後も夕立はなかった。歩いた距離は6km、標高差約370mであった。

土庫岳は、台北市と新北市にまたがるので、山道の整備度に差がある。台北市のほうが圧倒的によいが、新北市側が不足かというと、基本はカバーできていると思う。ただ、頂上からも展望がなく、また近くに魅力的な山が他にあるわけではないので、また行く可能性はあまりないと思う。

2011-06-25

6月23日 土城 火焔山 - 天上山 - 五城山 を歩く

土城は、台北市内からは、南西の位置にある。この土城の後ろには標高430mの天上山を最高峰に、西は長寿山から東は南勢角山まで山並みが南西から北東に掛けて走っている。台北盆地を俯瞰する一番近い山のうち、今回はこの山を歩いた。これで台北からぐるりと見渡したときに見える山なみの各方面をカバーしたことになる。もちろん、今後も季節を換えて、ルートや同じ山塊の別の山などを歩いていくつもだが。
  
今回のルートは、この山並みのうちちょうど真ん中のあたりを、土城のMTR永寧駅から火焔山経由で登り、山脈を天上山、五城山と歩き、途中文筆山のすぐ下の山腹に開発されている、ニュータウンまで行く行程だ。わかりやすいように、スマートフォンのGPSを利用したログをもとにした、歩行ルートを紹介していきます。(図をクリックすると拡大表示)
台北の南西にある山並み
歩いた部分の拡大
自宅からMRT板南線で終点永寧駅へ行く。約30分弱の乗車である。7時半ごろ永寧駅から山の方向に向かって承天路を歩いていく。第3高速道路下をくぐり舗装路をさらに行く。少しずつ高度が上がり始めている。忠義路との交差点からは、歩行者専用の桟道が造られている。これを行くと、多くの店ができている登山道の入り口に着いた。春には桐の花が多く咲くこの地は、桐花公園とされている。この先には承天禅寺があり、この入り口の近くにはお経を念じている僧侶もいた。
桟道
登山口 桐花公園の表示
地元の人も多く登っているのだろう、登山者はとても多い。道端で野菜などを売っている露天商も多い。登ること10分ぐらいで、火焔山への分岐点についた。標識には火焔山の先にある善息寺となっている。

火焔山頂上下の広場、こうした場所が多くある
ここからは、登山者数は少し減るが、それでもかなりの人数とすれ違う。ジグザグの道で高度を稼いだあと、尾根に取り付く。道は石段や石畳のとても整備された道である。35分で火焔山頂上下の広場についた。ここでは、若い尼さんが運動をしていた。

火焔山頂上
火焔山は標高373m、時間は8時45分、MRTの駅から1時間と15分ぐらい。あずま屋があるが樹木に囲われて、視界はあまり利かない。唯一、木々の切れ目から、陽明山と台北の一部が見える。今日は天気はいいが、風がなく汗が噴出す。

火焔山頂上から下り、途中2箇所ほど分岐を経た後、鞍部につく。車道の龍泉路に飛び出た。今日は休業のようだが、売店もある。道路の反対側に善息寺への標識があり、急な階段を登って行く。しばらくすると、休憩所があり、長寿山から上がってくる尾根が見える。反対側の山は十八羅漢岩だろう。長寿山の向こうの三峡にはビルがたくさん建っている。三峡の町もベッドタウンとして、だいぶ発展した。

長寿山と三峡
さらに進むと、途中茶畑も出てくる。分岐の表示には天上山が現れてきた。休憩用のいすやテーブルなど、非常の多い。それだけここを通る登山客が多いのだろう。今まで登った山に比べると、休憩所や売店が非常に多い。 

十八羅漢岩と天上山への分岐、ここは左にとる

十八羅漢岩へ向かう道との分岐と思われるが、天上山方面への表記しかない。ここをこの表記にしたがって下ると、また舗装された車道に飛び出た。ここには天上山への道しるべがないが、よくよく見てみると道路工事している先から、山道へ続く細い道がある。これを行くと、果たして天上山の道に出た。標高は約320m、天上山には、また標高差100mの登りとなる。
休憩所のある三粒半を過ぎると、尾根幅が狭くなる。岩に石段が掘り込まれている部分もある。途中一箇所、岩場では樹木がきれて視界が開けた。土城の街や、登ってきた火焔山からの尾根が見える。小さな登り下りを何回か 繰り返すと、天上山直前の鞍部に着いた。ここはよく整備されており、望月亭というあずま屋が造られている。

望月亭から数十メートルの標高差を登ると、天上山頂上だ。時間は10時。山頂には温度計がある。気温は30度。標高が高くないので当然だが、風もあまりないので、暑い。シャツは絞ると汗が滴る。しかし、この展望はその苦労に値する。ここは二等三角点もある山頂だ。過去数回登った山がすべて、台北の街並みも含めて俯瞰できる。陽明山はもちろん、観音山、二格山、南港山、すべてが見える。直下にはこれから歩く五城山とその先の山並みが、振り返れば火焔山がある。東側には、まだ登ったことのない、竹坑山や獅子頭山と思われる山並みが、谷の対面にある。
  
天上山頂上から五城山方面を望む、その先は台北101と南港山
観音山、台北市、陽明山を望む
ここでしばらく休憩、食事のあと、縦走を続行。下っていくと狭い尾根を歩くが、しばらくすると今度は非常に広く、上下も比較的すくない、快適な尾根道となる。石畳もあるが、脇の土の部分が広く平坦であるので、滑りやすい石畳は誰も歩かないのだろう。すっかり緑に苔むしている。途中には、草の中に埋もれている石畳もある。

五城山の頂上は展望はないが広く、売店(と思われる)やいす、テーブルがある。時間は11時、天上山からは30分の歩きであった。ここから土城方面に太極嶺を経て続く道が分岐する。文筆山に向けてさらに歩く。石畳はなくなり、道は土の道となるが、さらに下っていき翡翠湖への分岐点の少し前からは、今度はコンクリートの板を敷き詰めた道になる。これはコケも生えずに歩きやすい。 

右に非常に大規模な山腹のニュータウンが見えて来た。ここは将軍嶺と呼ばれるところ、広場になっており、滑り台やシーソーなど子供の遊戯施設もある。将軍嶺から、さらに尾根を縦走し、南勢角山を越えていくこともできるが、今日はここから山腹を右に下り、住宅の脇の階段を下りていく。下がりきると、コンビにもある町並みに出た。時間は12時。近くの造鎮バス停から、橙9番のバスで、景安MRT駅経由で帰宅した。

今回の走行距離は約9.5km、標高差400mぐらいである。歩行時間は、3時間。暑いこともあって今日は疲れた。道そのものは、区間によって差はあるものの、しっかりしている。登山者も平日にもかかわらず、非常に多い。それだけ、よく歩かれているということだ。桐花が満開の時期は、さぞかし多くの登山者が訪れることだろう。

2011-06-20

6月17日 觀音山 凌雲禪寺 - 八里渡船頭を歩く

観音山は、淡水川河口にそびえる単独の山なので、どこからみても目立つ。特に陽明山脈からは、淡水川の対岸にどっしり控えている。標高は616mの硬漢嶺が一番高く、それ以外に数個のピークがある。観音山の名前の由来に、これらピークの連なりが山全体で観音様の横顔のように見えるからだ、というものがある。

凌雲禪寺のバス停
この山は、実は個人的に思い出のある山でもある。その昔、30数年前筆者が始めて台湾に来て、右も左もまだわからないころ、登ったことがある。YMCA日語班の学生が(といっても、筆者よりみな年上だった)、登山に誘ってくれた。日曜日に台北駅から台鉄淡水線(MTR淡水線の前身)に乗って、淡水にいき、渡舟で八里に、そこから歩いたことを、断片的に覚えている。

今回の登山は、2度目ということになる。ルートは、裏側の凌雲禪寺から硬漢嶺に登り、下りは八里の渡舟乗場まで、という山越えルートである。30数年前の逆方向を歩くことになる。

硬漢嶺登山口、登山者が多いので露天商も多い
台北の交通システムの進歩のおかげで、今日はMTR蘆洲駅から橘20番バスに乗り、1時間足らずで8時半前に凌雲禪寺の硬漢嶺歩道登山口に着いた。蘆洲駅での乗り換えも10分ぐらいでバスが来た。この硬漢嶺歩道は観音山登山のメインルートなので、道は石段でしっかり整備され、登山者も多い。山越マラソンの訓練で走るように登って行く人、サンダル履きで気軽に登る人、さまざまな登山スタイルである。

 
尾根道、右に硬漢嶺頂上が

登山口の標高は約300m、頂上616mと標高差約300mの登りである。はじめはずっと登りが続く、30分ほどで休憩のあずま屋につく。ここは残念ながら展望はない。それから程なく、尖山へ続く尾根上になり、緩やかな道が続く。距離は凌雲禪寺バス停から山頂までの半分ぐらいである。硬漢嶺頂上が見えるころ、左から風櫃斗湖登山步道が合流する。ただし、今月から9月末まで整備工事中で、封鎖されている。

小さな観音像が建っている水飲み場が見えたら、頂上はあとわずかだ。ここから10分ほどで頂上に着いた。登りはじめから、約1時間の歩きであった。時間は9時半過ぎ、食事を取りしばし休憩する。

硬漢嶺頂上から、向かいは面天山、大屯山
頂上からは、南側に通信施設と樹木が邪魔をしてはいるが、雄大な眺めがある。淡水川の対岸には天面山から大屯山、その右奥に七星山の山並みが連なる。足元は麓の果樹園の向こうに八里の渡舟乗場がある。その対岸は淡水の町である。30年前の写真は遺失してないが、もしあれば淡水の街がいかに発展したかの証になっただろう。台北の街も、淡水川と基隆側の合流点、その右には蘆洲がある。遠くには台北101ビルや新光高層ビルがかすんで見える。

台北方向を眺める、淡水川 基隆川とその向こうに台北の街
八里の渡舟乗り場と対岸の淡水
 30分ほど休憩した後、八里に下り始める。頂上から同じ道を少し分岐まで下がるが、その際硬漢嶺頂上からは見えなかった、南側の林口の町が遠くに広がっている。林口の街造りもだいぶ進んで、多くの建物が建っている。

渡舟乗場方面登山道入り口
分岐付近にはトイレやあずま屋など、多くの施設が建てられている。この脇から下りが始まる。渡舟乗場までは産業道路など一般道を含め4.6kmである。道は石段でよく整備されている。ただし登山客は少なく、1Km下の登山口までの間ですれ違ったのは、2組だけだ。

登山口

10分ほど下ると、象牙石についた。案内板には対岸の山や町の説明があるが、木がだいぶ生い茂っており、説明のような視界はない。さらに下ること20分、登山口についた。 ここの標高も300mぐらい、凌雲禪寺とほぼ同じ高さである。ここまで車で来れば、硬漢嶺歩道よりも短い距離で頂上までいけるが、駐車場やその他施設があるわけでなく、不便なのがあまり登られていない理由なのだろう。

果樹園の道を行く、向かいは面天山
寺院の脇をいく、左奥の山が観音山硬漢嶺
登山口から渡舟乗り場までは、舗装された道を3.5kmぐらい歩く。土地の人の生活範囲なので、道はいろいろと取れるが、要所要所には道案内がある。ところどころハイビスカスの花が咲いている。果樹園、集落、墓地や寺院の脇などを通り過ぎ、台15号省道に着いた。ここは登山案内板はないが、距離的に一番近い道の入口となる。住所は龍米路2段161巷だ、土地公の祠がわきに建っている。



 この近くにバス停があり、蘆洲や關渡橋を渡って対岸に行くバスなどが通っている。ただ、ここでは乗らず渡舟乗場まで歩いた。時間は11時半、歩行時間2時間40分、距離7.2kmである。


今回は、一番楽な道であった。次の機会には別の道や占山までの縦走などをしてみよう。時間はもっとかかりそうだが、観音山登山の別の一面を見れるだろう。
省道15号

2011-06-14

2011年6月13日 草湳 - 二格山 - 猴山岳 縦走


台北は盆地である。盆地の周りの山を、順次登っていくつもりである。今までは台北市内の自宅からみて東から北に位置する山を登ってきた。これらの山頂からみる台北市の向こうにも山並みが広がっている。奥には台湾の中央山脈に続く山々が控えている。その前に、南港山脈より高い山が連なっている。これが今回登る二格山の山脈である。自宅からは南西の方角になる。

今までと違う台北市の眺めを期待して、二格山に登ることにした( 台北市親山歩道Web)。ここは、台北市と新北市の境界となる。行程中最高地点は678mの二格山である。草湳から南邦寮山に登り、そこから稜線を二格山へ、さらに筆架山 へ続く山脈と分岐して指南宮へ連なる山並みを猴山岳を目指した。猴山岳からは指南宮を経て下山することもできるが、今回はそのまま産業道路を下り、猴山坑バス停から帰った。


7時少し前に出発、MRT木柵線で動物園駅へ行く。ここで棕15バスに乗り換える。このバスは猫空を経由し、ぐるりと回っていく。高度が上がってくると、台北の町がみえるようになる。ここはお茶で有名なところである。


大榕樹



草湳橋のたもとのバス停で下車する。橋から谷あいのかなたに、ビルが見える。ここから峠を越え深坑へと続く阿柔洋産業道路が分岐する道を行く。しば らくすると大きな榕樹がある。このランドマークの大木からは、南にこれから歩く南枋寮へと続く道、北へ今日の行程二格山から猴山岳への山並みへ上がっていく道が分岐 する。野良犬が数匹たむろしている。木の下には台北市のたてた、指南宮猫空親山歩道という表示板があるが、この位置とは直接関係のない、場違いなものであ る。この周辺の指示板はあまりない。コンクリートの壁に大きくペンキで二格山と書いたものと登山クラブの残した小さな表示はあるが。


歩きはじめは舗装されているが、程なく石がごろごろした道となる。沢に沿った道は、山腹に取り付くようになり、小さな土地公が現れる。この道は車が通れるだけの幅員はあるが、クリアランスの大きな四駆でなければ無理だろう。峠にも土地公がある。峠から右に行くと、中華電信の中継アンテナがある。反対側へ山道を南邦寮山へ進む。


道はそれほどよくないが、迷うことはない。先ほど峠までに行く途中、左に登って行く細い山道があったが、この道が途中合流すると、まもなく南邦寮山(標高587m)についた。登山クラブの残した標識が木に掛けてある。視界はまったくきかない。



二格山はすぐだ
尾根道の登り下りが23回続く。道は広くなったり、石の露出した狭い尾根など出てくる。途中ロープの張ってる急な登りもある。 今までの土の道が、突然石畳の道になると、二格山はすぐだ。

立派な展望台が作られている二格山山頂は、ほぼ360度の展望が可能だ。北側には台北101ビルが南港山脈の向こうに、その後ろには台北市 が広がっている。かすかに観音山の輪郭も見える。本来ならばその右には、大屯山や七星山が見えるはずだが、今日はガスのなかではっきりしない。東方向に は、筆架山の山脈、それと分かれて北西方向には、これから歩く猴山岳の山並みが延びている。反対側には、台北の水がめ、翡翠ダムの水面の一部も見える。時間は940分、バス停から歩き始めて1時間半である。ここで休憩、腹ごしらえをする。


二格山展望台から台北を望む

筆架山山脈
  
翡翠ダム


二格山第三登山口
山頂からは、コンクリート階段の道を下る。二格山のこの部分の山道は、今日の行程中一番よい道だ。10数分で第三登山口に着く。ここを右に 舗装された産業道路を下れば、北宜公路へと続く。左へ行くと、程なく舗装がきれ筆架山と猴山岳とへの分岐点に着く。ここの案内には先ほどの山道とは別に、 二格山へ続く道が示されている。上記台北市Webサイトが提供する地図にも表示がある。ただ、二格山から下るとき、そのような道の入り口は気がつかなかっ た。


観景台から二格山を見る
ここから、 猴山岳へは3.3km、分岐点に表示がある。途中ロープが張ってある急なのぼり下りも含んだ、山道が続く。ところどころ枕木も敷いてある。右の深坑方向へ 天南宮への分岐を過ぎ、突然草湳からの阿柔洋産業道路に飛び出る。道路の反対側にはまた山道が続いている。急なのぼりを上り詰めると、視界が開けた。ここは地図 上に観景台と表示されているが、木が少ない尾根上の突起である。今日の行程の2番目の視界が利く場所である。しばらく休憩し、先ほどの二格山や、これから の猴山岳への尾根を見る。この尾根道は、朝歩いた尾根道と平行しているような場所にあるので、二格山への上り下りをしながら歩いた尾根の様子がよくわか る。


猴山岳へは、あと半分と少し。草湳大榕樹からの道と深坑からの道と十字に交わる鞍部を過ぎる。視界の利かない尾根道を歩くと、花や蝶が目立つ。途中道端に咲く花の蜜を吸う蝶を多く見た。ここ数日、毎日夕立があるので、道は乾ききらず、ぬかるみもところどころある。

上り坂で、2人の若者とすれ違った。本日この尾根上で猴山岳登山口までの間、出会った唯一の登山者である。道すがら、かなり大きな蛇にであったとのこと。しばらくすると、登山クラブのテープと三角点があることで頂上だとわかる以外、何も特徴のない猴山岳(標高553m)を通り過ぎる。ここからわずかに下ると、突然視界が広がる。ここは猴山岳前峰である。時間は12時、二格山から約2時間だ。

猴山岳前峰から
木柵の町が足元にある。朝下車したMRTの動物園駅が見える。左には木柵の向こうに新店や中和が広がっている。台北101ビルも二格山からよりはだいぶ近くなった。高速道路が、南港山脈の麓を走っている。深坑の町、高速のインターチェンジも近い。ただ、西の空が暗くなってきた。夕立が来そうな気配だ。長居はしないほうがよさそうだ。

猴山岳前峰の急な山道
指南宮への道を下る。いきなり非常に急な下りになる。ロープが張ってあるが、ここはロープなしでは上り下りは無理だ。角度は70度はあるだろう。石にステップが刻んであるが、濡れて苔むした道は注意しないと危ない。踏み外して滑落したら、大怪我だけではすまないだろう。このような道を下ること15分、さらに急な石段を20分下ると、登山道入り口、舗装路に出た。


ここの舗装路を猴山岳土雞城方向の左にとれば、指南宮からの山道へといける。山道での雨は、雨具はあるものと不便だ。ここは舗装路の道を行くことにした。雨が降っても比較的楽である。傘をさして歩くこともできる。下っていけば、バス停留所も現れる。

果たして、しばらくすると道路に雨粒が落ちてきた。程なく雨脚は強まった。いままで数回の山歩きで、今回初めて雨に降られた。途中での雨宿りもいれて、約1時間歩くと、指南宮から下ってくる、新光路の猴山坑バス停に着いた。ここから530番バスで、公館を経て帰った。

530番バスがやって来た
今回の山歩きは、歩行時間約5時間、距離約11キロ、高度差は約500mである。山道自体は、一部表示が少ない以外は、踏まれている道なので、地図さえ持っていれば迷うことはない。ただし、猴山岳の登山口からの登りはかなり急である。登りももちろんきついが、下り道の場合は気をつけないといけない。ロープがなくなり、傾斜がゆるくなっても、石段は苔むしているので滑りやすい。

夏の山は、午後こうした夕立もあるので、できるだけ早く出発、気温まだ比較的低いうちに歩いてしまうほうがよい。