台北は盆地である。盆地の周りの山を、順次登っていくつもりである。今までは台北市内の自宅からみて東から北に位置する山を登ってきた。これらの山頂からみる台北市の向こうにも山並みが広がっている。奥には台湾の中央山脈に続く山々が控えている。その前に、南港山脈より高い山が連なっている。これが今回登る二格山の山脈である。自宅からは南西の方角になる。
今までと違う台北市の眺めを期待して、二格山に登ることにした( 台北市親山歩道Web)。ここは、台北市と新北市の境界となる。行程中最高地点は678mの二格山である。草湳から南邦寮山に登り、そこから稜線を二格山へ、さらに筆架山 へ続く山脈と分岐して指南宮へ連なる山並みを猴山岳を目指した。猴山岳からは指南宮を経て下山することもできるが、今回はそのまま産業道路を下り、猴山坑バス停から帰った。
朝7時少し前に出発、MRT木柵線で動物園駅へ行く。ここで棕15バスに乗り換える。このバスは猫空を経由し、ぐるりと回っていく。高度が上がってくると、台北の町がみえるようになる。ここはお茶で有名なところである。
大榕樹 |
草湳橋のたもとのバス停で下車する。橋から谷あいのかなたに、ビルが見える。ここから峠を越え深坑へと続く阿柔洋産業道路が分岐する道を行く。しば らくすると大きな榕樹がある。このランドマークの大木からは、南にこれから歩く南枋寮へと続く道、北へ今日の行程二格山から猴山岳への山並みへ上がっていく道が分岐 する。野良犬が数匹たむろしている。木の下には台北市のたてた、指南宮猫空親山歩道という表示板があるが、この位置とは直接関係のない、場違いなものであ る。この周辺の指示板はあまりない。コンクリートの壁に大きくペンキで二格山と書いたものと登山クラブの残した小さな表示はあるが。
歩きはじめは舗装されているが、程なく石がごろごろした道となる。沢に沿った道は、山腹に取り付くようになり、小さな土地公が現れる。この道は車が通れるだけの幅員はあるが、クリアランスの大きな四駆でなければ無理だろう。峠にも土地公がある。峠から右に行くと、中華電信の中継アンテナがある。反対側へ山道を南邦寮山へ進む。
道はそれほどよくないが、迷うことはない。先ほど峠までに行く途中、左に登って行く細い山道があったが、この道が途中合流すると、まもなく南邦寮山(標高587m)についた。登山クラブの残した標識が木に掛けてある。視界はまったくきかない。
二格山はすぐだ |
尾根道の登り下りが2,3回続く。道は広くなったり、石の露出した狭い尾根など出てくる。途中ロープの張ってる急な登りもある。 今までの土の道が、突然石畳の道になると、二格山はすぐだ。
立派な展望台が作られている二格山山頂は、ほぼ360度の展望が可能だ。北側には台北101ビルが南港山脈の向こうに、その後ろには台北市 が広がっている。かすかに観音山の輪郭も見える。本来ならばその右には、大屯山や七星山が見えるはずだが、今日はガスのなかではっきりしない。東方向に は、筆架山の山脈、それと分かれて北西方向には、これから歩く猴山岳の山並みが延びている。反対側には、台北の水がめ、翡翠ダムの水面の一部も見える。時間は9時40分、バス停から歩き始めて1時間半である。ここで休憩、腹ごしらえをする。
二格山展望台から台北を望む |
筆架山山脈 |
翡翠ダム |
二格山第三登山口 |
山頂からは、コンクリート階段の道を下る。二格山のこの部分の山道は、今日の行程中一番よい道だ。10数分で第三登山口に着く。ここを右に 舗装された産業道路を下れば、北宜公路へと続く。左へ行くと、程なく舗装がきれ筆架山と猴山岳とへの分岐点に着く。ここの案内には先ほどの山道とは別に、 二格山へ続く道が示されている。上記台北市Webサイトが提供する地図にも表示がある。ただ、二格山から下るとき、そのような道の入り口は気がつかなかっ た。
観景台から二格山を見る |
ここから、 猴山岳へは3.3km、分岐点に表示がある。途中ロープが張ってある急なのぼり下りも含んだ、山道が続く。ところどころ枕木も敷いてある。右の深坑方向へ 天南宮への分岐を過ぎ、突然草湳からの阿柔洋産業道路に飛び出る。道路の反対側にはまた山道が続いている。急なのぼりを上り詰めると、視界が開けた。ここは地図 上に観景台と表示されているが、木が少ない尾根上の突起である。今日の行程の2番目の視界が利く場所である。しばらく休憩し、先ほどの二格山や、これから の猴山岳への尾根を見る。この尾根道は、朝歩いた尾根道と平行しているような場所にあるので、二格山への上り下りをしながら歩いた尾根の様子がよくわか る。
猴山岳へは、あと半分と少し。草湳大榕樹からの道と深坑からの道と十字に交わる鞍部を過ぎる。視界の利かない尾根道を歩くと、花や蝶が目立つ。途中道端に咲く花の蜜を吸う蝶を多く見た。ここ数日、毎日夕立があるので、道は乾ききらず、ぬかるみもところどころある。
上り坂で、2人の若者とすれ違った。本日この尾根上で猴山岳登山口までの間、出会った唯一の登山者である。道すがら、かなり大きな蛇にであったとのこと。しばらくすると、登山クラブのテープと三角点があることで頂上だとわかる以外、何も特徴のない猴山岳(標高553m)を通り過ぎる。ここからわずかに下ると、突然視界が広がる。ここは猴山岳前峰である。時間は12時、二格山から約2時間だ。
猴山岳前峰から |
木柵の町が足元にある。朝下車したMRTの動物園駅が見える。左には木柵の向こうに新店や中和が広がっている。台北101ビルも二格山からよりはだいぶ近くなった。高速道路が、南港山脈の麓を走っている。深坑の町、高速のインターチェンジも近い。ただ、西の空が暗くなってきた。夕立が来そうな気配だ。長居はしないほうがよさそうだ。
猴山岳前峰の急な山道 |
指南宮への道を下る。いきなり非常に急な下りになる。ロープが張ってあるが、ここはロープなしでは上り下りは無理だ。角度は70度はあるだろう。石にステップが刻んであるが、濡れて苔むした道は注意しないと危ない。踏み外して滑落したら、大怪我だけではすまないだろう。このような道を下ること15分、さらに急な石段を20分下ると、登山道入り口、舗装路に出た。
ここの舗装路を猴山岳土雞城方向の左にとれば、指南宮からの山道へといける。山道での雨は、雨具はあるものと不便だ。ここは舗装路の道を行くことにした。雨が降っても比較的楽である。傘をさして歩くこともできる。下っていけば、バス停留所も現れる。
果たして、しばらくすると道路に雨粒が落ちてきた。程なく雨脚は強まった。いままで数回の山歩きで、今回初めて雨に降られた。途中での雨宿りもいれて、約1時間歩くと、指南宮から下ってくる、新光路の猴山坑バス停に着いた。ここから530番バスで、公館を経て帰った。
530番バスがやって来た |
今回の山歩きは、歩行時間約5時間、距離約11キロ、高度差は約500mである。山道自体は、一部表示が少ない以外は、踏まれている道なので、地図さえ持っていれば迷うことはない。ただし、猴山岳の登山口からの登りはかなり急である。登りももちろんきついが、下り道の場合は気をつけないといけない。ロープがなくなり、傾斜がゆるくなっても、石段は苔むしているので滑りやすい。
夏の山は、午後こうした夕立もあるので、できるだけ早く出発、気温まだ比較的低いうちに歩いてしまうほうがよい。
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