陽明山国家公園のもうひとつの主要な山塊である、大屯山を中心に、先に天面山を登り、また大屯山のあとは、枝尾根上にある中正山を経由して下るコースを歩いた。この山塊は、先週登った七星山の西に位置し、より海に近い。標高は七星山より少し低い900、1000m級だ。
今日の行程は、面天山の麓、清天宮からスタート、向天池、面天山経由で、大屯西峰、それから南峰を登り、大屯坪の鞍部から大屯主峰へ往復、その後南峰の麓を大屯坪経由でまいた後、西峰と南峰の鞍部へ戻り、そこから中正山へと下っていくルートである。陽明山公園のWebサイト
陽明山大屯山系の3つのコースの一部をつなげた形になる。
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清天宮登山道入口 |
端午節の休日でもあるので、今日は登山者が前に比べるとかなり多い。グループもいれば、筆者と同じ単独行動の人も結構いる。年配の人も、かなりのスピードで登っていくのに感心した。日本では山ガールがだいぶはやっているそうだが、台北の山は、自分も含めた山オヤジと山オバンが主流で、山ガールはまだまだ希少である(笑)。
朝は前回より早く6時半に出発、MRTの北投駅から小6バスに乗り、終点の清天宮で下車。7時半に登山口についた。台北の山登りは、交通事情がよく便利だ。自家用車で行くよりも、登山口、下山口の自由度が大きく、なおかつカーボン排出量も少なく、意義があると思っている。
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太子碑 |
登山口から登りは長くずっと続く。はじめから結構の急坂である。石段整備された道を30分ほど行くと、そのまま二子坪へ続く道と向天池への道との分岐点についた。ここから向天池までは、面天山の中腹を横切っていく。途中、昭和天皇が皇太子として台湾を訪問した際、台北の山を登った記念として建立された記念碑(太子碑)がある。脇の説明表示板によると、戦後碑文面が壊され、樹木の中に打ち捨てられていたものを、史跡として整備した、ということである。1925年製の碑は苔むしているが、歴史の証人としてひっそり残っていくのだろう。
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面天池 |
向天池は、もともと火山の火口である。雨水がたまれば池になる、ということだが、目前の池は、乾燥した草原である。
ここから、向天山の登りが始まる。20分足らずで頂上に着き、そこから一度下った後再度登って、面天山である。標高977mの頂上は広々としており、片隅に展望台が作られている。 通信用の大きな施設もある。海に近いこともあり、淡水川の河口、町が広がっている。少しかすんでいるが漁人碼頭の橋も見える。多くの住宅が建てられており、MRT沿線の発展状況は、こうしてみるとよくわかる。
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面天山から淡水方向を見る |
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西峰への登り |
面天山からの急な下り標高差約200mを下がりきると先に分岐した清天宮から二子坪への道と合流する。ここを右に進み、あずま屋のある面天坪の鞍部につく。大屯山西峰へ道が分岐するが、立て札には体力に自信がない者、妊娠者などは危ないから、登るなと書いてある。整備された石畳の道ではなく、土と石、根っこの道が続いている。しばらく行くと斜度はきつくなり、補助のロープが現れる。雨の日は、非常にすべり易いだろう。
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大屯西峰から見る面天山 |
面天坪から標高差200m登った後、大屯西峰についた。振り返ると先ほどの面天山が、また進行方向には南峰がある。その左には大屯主峰が大きく控えている。 標高982mの山頂は、今日の行程中、2番目の高さである。時間は10時、食事をとり一休みとする。
下りはほぼ直線の土の道、かなりの傾斜である。ここも補助ロープが張ってある。幸い100mぐらいの下りで鞍部に着いた。ここから大屯坪への道が分岐するが、右へ大屯南峰へ進む。この道ははじめ山腹をトラバースしていく。約10分で南峰から下がってくる道が合流する。そのまま進めば中正山へ続く。ここは左にとり、また急なロープのある道を登っていく。
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南峰頂上 |
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南峰の下りから見る七星山 |
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南峰と大屯山の分岐 |
先ほどの西峰から見たときは、大屯主峰は少しガスがかかっていたが、南峰頂上からは曇りのない主峰が目前にある。先週歩いた七星山やその先の石绨山の山並みもはっきり見える。また下って登ることになるが、大屯主峰への道を行く気力がわいてくる。大屯坪鞍部への下りは、西峰に比べればずっと傾斜がゆるく、楽である。途中で土の道が終わり、石畳が現れた。
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大屯山から見る七星山 |
下がりきった後、また約200mの登りが始まる。約10分ぐらいの登りで、森林が切れ、草原の道になる。背後には南、西峰が見える。高度を上げるにつれ、この2つの山頂がだんだん下に見えるようになり、鞍部から25分で大屯主峰の展望台についた。天気もよく、台北盆地が眼下に広がっている。山頂に2つの通信アンテナがある面天山の先には、淡水側対岸の観音山がかすんで見える。その右は海が見える。風が吹いている。日差しは強いが、暑さは感じない。
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大屯山から見る西峰と面天山 |
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蝶が多く群がる |
しばらく景観を楽しんだあと、同じ道を下る。南峰への分岐点は右にとり、二子坪へと続く道を歩く。大屯坪の平らな道を行くと、十数匹の蝶がいっせいに飛び立った。じっとして様子を見ていると、また花に群がっていく。2,3種類の異なった蝶が蜜を求めている。
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大屯坪のツツジ |
南峰、西峰への鞍部へ続く道への分岐点についた。先ほど登った南峰の麓をまいた形である。ここからは、石畳でなく土の道である。鞍部へは10分ほど、ここからは、南峰への分岐点までもう一度歩くことになる。
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中正山への下り、道が草で塞がれている |
分岐点を過ぎた後、道の状態はそれまでよりも悪くなった。森林が切れ草原に出たが、刈り込みがされていない道は、左右から草や蔦が絡み、かろうじてわかるぐらいだ。 森林に入ると、急な下りとなる。ここもロープが張ってある。南峰への分岐点から下ること20分、中正山第二登山口からの石畳の道と合流した。ここでまた食事をとり、しばらく休憩した。時間は午後1時である。
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中正山登山道 |
この先の道は楽勝である。整備された石畳の下り坂、気を抜いてはいけないが、体力的には楽だ。中正山は、大屯南峰から派生する尾根にある。木に囲まれたなか、立派な観景楼が建てられいる。この上からのパノラマ景観は、このためだけに登るに値する。標高は646mで大屯山より低いが、背後には面天山から大屯山、そして七星山、眼下には淡水側を挟んで広がる士林、その向こうの蘆州、左には大崙山から剣潭山とそのさらに遠くには101ビルや新光ビルが見える。右には観音山と淡水川河口、港がある。
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中正山から士林方向を見る |
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七星山方向を見る |
景観が見えるはここが最後で、十八份の登山口までは林の中の道を下っていく。約40分で、登山口についた。時間は2時半。ここでしばらく休んだ後、小9バスで北投駅に戻った。
歩いた距離は約13キロ、6時間、歩行数1万9千歩である。標高差は約700m。登り下りが多かったこと、一部の道は歩き難かったなど、今まで数回の山歩きに比べるときつかった。実際心拍計の記録もそれを裏付けている。山歩きの経験のない人には、大屯西、南峰の部分は結構のチャレンジになるだろう。登山靴、軍手などは必須品である。
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