ここ数日、台北は午後になると夕立が来る。2,3日前は降雨量が排水能力を上まり、浸水したところもある。山での大雨は避けたいので、今回は朝だけですべて歩き終わるような、短い行程を対象として選んだ。台北から見て南港山系の後ろにある、土庫岳を舊莊から更寮古道を経て登り、反対側の深坑へ下った。果たして、8時半から登り始め、11時半には反対側の深坑の土庫バス亭に着いた。
台北市親山步道 土庫山 ページ 参照
この山は、4月末に台北近郊の山登りを始めた第1の場所、南港山のすぐ東にある。展望台である拇指山からも、この山が見えていた。ただ、そのときは、正直言って台北近郊の山の名前をほとんど知らず、土庫岳という認識はなかった。
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土庫岳は南港山系の東側 |
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ルート図 |
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親山歩道スタンプには見晴台が |
標高389mで位置的には、広く見渡せる場所にあるため、清朝・日本統治の時代、この山は治安軍事上の要所として、見晴台が建てられていたということである。名前も望高寮といわれていたそうだ。現在はセメントのあずま屋と一等三角点があるだけだ。周辺には木があるため、頂上からの視界はほとんどなく、実際の見晴らしは想像するしかない。
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登りはじめ、案内がある |
自宅からMRTで昆陽駅へ、10分ほど待ったあと、212番バスで終点の舊莊についた。時間は8時半。バス停から少し行くと、台北市が管理している更寮古道の案内板がある。道も一本なので迷うことはない。500mほど行くと、更寮古道の入口に着いた。
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高速道路が見える |
よく整備されている石段の道である。過去数日の午後の雨のため、道には多くの枯葉などが落ちている。高速道路五号のトンネル入口が見えると、すぐ民家がある舗装路に出る。犬がほえている。今回は数箇所で番犬にであったが、みな勢いよく吠えたてる。番犬としては有能ということだ。
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誇らしげな番犬、遠くには陽明山 |
視界がひらけて遠くに陽明山やその前の劍潭山の山なみが見える。道案内にしたがって、歩道を少し行くと、左に金属フェンスの門があり、そこからまた山道が始まる。同じく石段である。道の脇には、昆虫や植物の写真付説明文がそこ、ここにおかれている。15分ぐらいの登りのあと、石段がきれて平らな砂利道になる。
近くに九天宮のお寺が見えると、下からの舗装路に合流。舗装路はここで終わり、登山道が続く。しばらくの登りのあと、更寮古道は土庫岳の頂上へ2つのルートに分かれる。右は土豬窟尖のそばを経由していくが、こちらの道をとる。
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スタンプ台付近から見る、遠くに観音山も見える |
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椿萱農場と番犬 |
土の道となる。途中、親山歩道スタンプ台を過ぎ、椿萱農場に着いた。ここは付近の自然物の説明看板や、いす机がたくさんある。ひとは一人もいないが、番犬がけたたましい。売り場もあるようだが、これでは客を追い払ってしまうだろう。
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土豬窟尖頂上 |
そのまま通り過ぎ、また現れた石段を行く。椿萱農場から10分ほど登ると、尾根に到着し土豬窟尖へと続く道の分岐がある。ここにはあずま屋がある。そのあずま屋から、土の細い道が土豬窟尖に向けて延びている。ちょっと土豬窟尖の頂上へ行ってみよう。
送電線の塔の下ちょっと入ったところに、三角点がある。これが土豬窟尖の頂上だが、視界はまったくない。そこそこに今来た道を戻り、分岐を土庫岳に向かって進む。比較的平らな道を行く。ちょっとした下りになると、その鞍部には深坑から登ってくる道が合流する。こちらの道は、台北県(現在は新北市)の管轄である。枕木が敷いてある。枕木の道を登っていくと、もうひとつの更寮古道からの道と合流、その先少しで土庫岳の頂上だ。時間は9時50分。舊莊から1時間半である。
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土庫岳頂上 |
先にも書いたように、もし展望ができれば非常の広範囲の山や台北の街が俯瞰できるのだろうが、残念ながら周囲の木々が邪魔をしてほとんど見えない。一部北側に切れ間があるが、それだけだ。
あずま屋に入ると、微風を感じる。おかげで快適だ。食事をしていると、蝶が近くのいすの上に降りてきて、羽を閉じたり開いたりしている。外には別の数匹の蝶が舞っている。誰一人といない、静かな頂上だ。
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草に隠れた枕木の道 |
30分ほどゆっくり休んだあと、同じ道を土豬窟尖への分岐点まで下がり、さらに深坑にむけて進む。枕木であるので、一部腐ったり、草にかくているような部分もあるが、歩きにくいわけではない。苔むした石段に比べれば、歩きやすいだろう。コスト的には台北市の石畳に比べれば安いのだと思う。
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太平・土庫岳と書かれた分岐案内 |
下がってまもなく、行き先が太平と書いてあるが、土豬窟尖方向だと思う細い道が分岐していく。さらに下ること15分で、山道が終わり人里の舗装路にでた。ここは廃品回収品がたくさん散在している、下から登ってくると、登山道の入り口がこれらに隠れて見えないので、少し戸惑うかもしれない。
舗装道から道案内に従い、また枕木の道に入り、土庫尖路にでる。福徳宮の脇から向かい側の山が見える。2週間前に歩いた二格山から猴山岳への山なみ、二格山から筆架山へさらに石碇へとつながる山なみがそこにある。二格山の頂上の展望台もかすかにわかる。逆にいえば、2週間前には、今いるところを見ていたことになる。
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二格山と猴山岳の山なみ |
土庫尖路を下っていくと、また山道への案内板がある。今度はコンクリートでできた道である。途中尾根上にあずま屋、智慧亭がある。ここの直下で、今日はじめての登山者とすれ違う。
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深北路と土庫バス停 |
土庫岳頂上から下ること1時間、元鴻宮の脇で山道が終わり、紅葉街12巷を経て、紅葉山荘の入り口、北深路の土庫バス停に着いた。時間は11時半。付近には、登山案内がないので、はじめてここから登る場合は少し迷うかもしれない。660番のバスで公館経由で帰宅した。
昼過ぎには自宅にたどり着いたが、結局午後も夕立はなかった。歩いた距離は6km、標高差約370mであった。
土庫岳は、台北市と新北市にまたがるので、山道の整備度に差がある。台北市のほうが圧倒的によいが、新北市側が不足かというと、基本はカバーできていると思う。ただ、頂上からも展望がなく、また近くに魅力的な山が他にあるわけではないので、また行く可能性はあまりないと思う。
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