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ともにMRT駅からアクセスできる |
去年の秋に、台北近郊の
登山ルートガイドを数編記した。この記事も、同様に登山ルートガイドとして記述する。台北盆地の南西に位置する新北市土城區は、その南に標高430mの天上山を最高峰とする峰々が長く山脈を構成している。麓にはかなり奥まで工場や農地が入り込み、登山ルートも整備されて、地元民をはじめとする多くのハイカーが訪れる。高さもそれほどでなく、比較的気楽なハイキングができる。さらに、4月中旬から5月初旬にかけて、山肌には多くの油桐花が白い花を開き、たくさん落ちた花びらは雪のように白一色に地面を覆う。ほかの台北近郊登山と同じく、夏はちょっと暑いがその他の時季であれば、交通アクセスもよく手頃な歩きを楽しめる。昨年秋のガイドの中で、
新北市中和區のルートを紹介した。今回の場所は、それの西南に位置し、同じ山塊に属する。健脚であれば、その二つをつないで主稜線を縦走することも可能だ。
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台北盆地の南西端 |
登山対象:ルート 捷運永寧站第二出口(承天路)→(30分) →永和街登山口→(30分) →雷公岩入口→(雷公岩往返20分)→雷公岩入口→(12分)→火焰山山頂→(25分)→鞍部十字路分岐→(20分)→龍泉路分岐→(15分)→大暖尖山山頂→(10分)→休憩所→(2分)→稜線分岐→(12分)→休憩所分岐→(12分)→土地公登山口→(10分)→頂埔站第二出口 休憩無しで約3時間半 距離7.3km 上昇405m 下降385m コース定数13
雷公岩 火焰山山頂北西斜面上に盛り上がった岩。雷公とは、雷さまという意味だ。樹木に覆われているので、それほど顕著ではないが、ちょっと立ち寄ってみるのも面白い。登山口からここまでの間に、登山道わきに露出した岩もあり、それの一番上にあるような感じだ。石階段の道が鞍部に登りそこから左に土の道を追っていき、最後にちょと大きな岩の脇をよじ登ると岩の最上部につく。途中通り過ぎた鞍部の反対側には太子嶺が盛り上がる。こちらも立ち寄れる。
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雷公岩上部、樹木に囲まれ展望はない |
火燄山 標高379m。炎の山という意味だが、山頂の説明板によれば油気を含んでおり火をつければ炎がたつ、のでこの名前という。ただ、その油気とは何なのか説明はない。別名青源山という。この山が属する天上山山脈は、その山肌に多くの油桐があり、例年4月半ばから5月初旬ごろまでたくさん白い花をつける。山頂の展望台から、土城方向や天上山脈の峰々を展望できる。天気が良ければ101ビルも望める。また山頂の西側斜面には、土地のボランティアが造った多くの休憩涼亭があり、そこでくつろぐことができる。多くの登山者は、もう一つの
承天寺側の道から登る。永和街からの道はそれに比べると、登山者はずっと少なく、静かである。
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火燄山山頂 |
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山頂からの展望、手前の枝尾根の向こうに101ビルが見える |
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山頂下の道脇には涼亭がならぶ |
大暖尖山 標高288m,別名媽祖山。媽祖とは台湾で大衆に信仰されている道教神である。中国福建省に実在した女性で、特に海に関連している。この名前の由来は、大暖尖は土地の名前大暖坑、媽祖山は山稜を挟んだ反対側の媽祖坑による。清朝時代に、土地を開墾した有力者が媽祖廟のため土地を献上した。
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永寧駅出口付近から望む火焰山-大暖尖の稜線、最右が大暖尖山 |
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ハイカーがくつろぐ山頂 |
承暖步道 上記ルート上の説明では特に記していないが、承天寺から火焰山をへて大暖尖山と続く縦走路である。かなりの部分は石畳が敷かれている。途中にはいくつかの無名のピークを越えていく。また岩が露出した部分もある。油桐花のころには、多くの花が路面上を覆う。
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石畳の承暖步道 |
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油桐花が散乱する承暖步道 |
油桐樹 登山対象ではないが追加説明。桐という文字があるが、高級家具に使用される桐とは別物である。油という文字は、その実から油がとれるためである。この油は、傘などの防水用或いは機械の潤滑油として使われた。本来中国南部やベトナムなどに生え、台湾もその生息地である。日本統治時代に、高級樹桐と混同され、里山で多く植えられたため、今日のように広まったという説もある。繁殖力が強いといわれる。
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油桐花 |
コース概要:MRT永寧駅の第二出口からでると、そこは承天路である。大部分の登山者は、そこから承天路を進み承天寺方向に行くが、それとは離れて承天路四巷の路地を進む。住宅や町工場を過ぎると、前方に第三高速道路があり、その下をトンネルでくぐる。前方には山並みが見える。さらに進むとまた町工場などを過ぎ、永和路に合わさる。永和路を進んで行くと、町工場や住宅がなくなり、畑がでてくる。それととも道も勾配が増してくる。左前方には、火燄山から下がる尾根が見える。道なりに進み、上方にある寺院の山門をくぐる。その先数分で、右側に登山口を見る。近くにトイレブースがある。
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永寧站第二出口前広場 |
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前方の高速道路をくぐり進む |
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永和街の町工場群を過ぎていく |
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工場を過ぎ畑が広がる |
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山門をくぐる |
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登山口 |
簡単な概略地図のある登山口は、石段で始まる。苔が生えた石畳の道をずっと追っていく。苔の石段は滑りやすいので、特に濡れているときは足元に注意が必要だ。そこそこ急な石段の坂を登っていく。約20分ほどで、右に祭壇反対側に樹脂波板の屋根がある簡易涼亭にくる。椅子に腰かけて休憩もできる。周囲は岩が露出したところもある。さらに10分足らずのぼると、左に雷公岩への道が分岐する。道を外れてちょっと登ってみるのも一興だ。
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苔の生えた石段道 |
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途中の涼亭 |
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祭壇 |
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道脇の大岩が目立つ |
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雷公岩へ登る |
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分岐へ戻る |
分岐へもどり、少し行って分岐を左にとる。つづら折れの急坂をのぼること約10分足らずで、多くの涼亭がある場所に着く。いくつかある涼亭で休憩できる。これらは地元民が造ったもので、空いていればいつでもだれでも使える。ちょっとした庭園もある。これらの簡易建物を過ぎて分岐の左に火焰山山頂がある。
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この分岐は左 |
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つづら折れ道を登る |
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小庭園 |
展望台で風景を満喫した後、承暖歩道の縦走を始める。山頂直下の分岐は左に進む。まもなく石段道は下りになり、右からの道を合わせる。稜線上を行く道は、小さな上り下りは普通だ。石段は、所々そのわきの踏み跡のほうが明瞭で、使われていない場所もある。滑りやすいので、敬遠されている場所だ。下って鞍部の十字路を過ぎる。道しるべがあるので、迷うことはない。
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休憩地区の前で左に進む |
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石畳が敬遠されて脇に踏み跡 |
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十字路鞍部 |
麓の住居が近い里山的なこの場所は、稜線脇に菜園もある。また涼亭もある。ちょっと長い登りでピークを越え進むと、左に龍泉路へ下る分岐を過ぎる。数分進むと尾根が狭まり、岩の脇を過ぎる。さらに手すりのある急坂を過ぎて間もなく大暖尖山山頂につく。ちょっと広めの山頂には、三角点がある。北側の樹木が刈られて展望ができる。
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稜線道脇の涼亭 |
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長めの上り坂 |
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道脇の菜園 |
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左へ龍泉路へ下る道を分ける |
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大岩脇の道 |
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狭い尾根を行く |
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山頂からの台北方向展望 |
大暖尖山山頂からは、左に猴洞をへて下る道がある。右の広い道を下る。そのうちに急な坂を下る。ベンチやテーブルが設けられた休憩所がある。この道を登りにとった時は、山頂前での一休みにはよい。休憩所からすぐ下に分岐がある。そのまま
稜線を追って下山もできる。右の道のほうが短い。階段道をどんどん下り、10分ほどで左に椅子のある涼亭を見る。そのわきには分岐があり、左にとれば稜線に登り返す。
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山頂からの下り道 |
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公園脇の道から高速道路下のトンネルをくぐる |
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頂埔駅入口 |
アクセス:
台北捷運(MRT)青ラインの永寧駅と頂埔駅から歩ける。逆方向に歩いても同じだ。
装備:
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永和街火焰山登山口近くのトイレブース |
天気が良ければ、時間も短いので十分な水や行動食で十分である。木陰を行く部分が多いが、5月から10月ごろまでの熱い時期の好天下では、昼間は結構暑い。午前早くか午後遅くがよい。トイレは、MRT駅と簡易トイレブースである。
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