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2012-07-28

2012年7月27日 木柵猴山岳から茶山古道を経て深坑へ

茶山古道の林家草厝、茶葉の天日乾し作業
木柵の猴山岳は、ズバンと切れた斜面を前面に持つので、遠くからみても判別しやすい。平溪や石碇への行き返りに車窓から見ることもしばしばだ。去年、まだ台北周辺の山登り経験が浅い頃、二格山からの縦走で猴山岳を通り、猴山岳前峰の急な岩壁を下って猴山坑へ出た。その時は、この急な下りはかなり大変という印象だった。それから一年、こうした岩壁登り下りの経験を重ねてきて、今回は逆に登ってみた。慣れてきた、ということのなのだろう、前回のような困難は感じなかった。猴山岳からは、茶山古道を下り、時間が早いので途中炮子崙瀑布に立ち寄り、深坑へ出た。
木柵の山々(以前の山行も表示、クリックで拡大)
西の指南宮から出発、深坑へ茶山古道を下る
今回は、故障したカメラの代わりに新たに入手したカメラのチェックの意味も含めて行った。猴山岳前峰は展望台、台北の街や周辺の山々がよく眺められる。どこまで写るかを確かめるには、好都合の場所だ。猴山岳の稜線や茶山古道は、風が吹いていて思ったほど暑くなく、快適だった。茶山古道の途中には林家草厝がある。茅葺きの農家だが、時がここだけ何十年も止まったままの感じだ。近くの段々畑では、収穫をまつ稲穂が頭を垂れていた。平日だが、何人もの登山者に出会い、やはり人里近い山であることを改めて感じた。


指南宮陵霄寶殿
陵霄寶殿から台北方向を眺める
指南宮駅近くから見る、背後は猫空の山々
猴山岳の登山は二度目だ。今回は、指南宮からスタートした。530番バスは、公館から指南宮まで乗り換えなしでいける。猫空ケーブルカーはちょうどメンテ中で運転していないので、公共交通手段としてはこれだけだ。7時半に台大バス停で乗車したバスは、木柵でほとんどの乗客をおろし、山道を登っていく。去年猴山岳から下ってきて乗車した猴山坑のバス停を過ぎてすぐ、終点指南宮バス停に着いた。40分のバス乗車だった。ケーブルカーが出来る前は、ここが指南宮詣の出発点だったので、参道の両側にはお店が軒を並べている。指南宮まではあと、標高差100mぐらいの登りがある。


猴山岳步道の入口
支度をして8時10分過ぎ出発、お店のアーケードを過ぎ、すぐ左に台北市親山歩道の道標がある。それに従い階段を登っていく。登るに従い、台北の街が見えてくる。獅子亭の脇には親山歩道のスタンプ台がある。ここからは、観音山や陽明山、南港山なども見え始める。更に進むと指南宮の山門をくぐる。十数年前にやって来た記憶がある。さすが台北を代表する廟である、境内の規模が大きい。陵霄寶殿の前からも、更に広い範囲の景観が望める。


土の登山道
陵霄寶殿を通り過ぎ、ケーブルカー駅へ進む。駅の改札口は、シャッターが半分閉じられ、営業していない。ただ、整備目的なのだろう、ケーブルカーは動いたり、止まったりしている。駅わきの展望台からは、猫空側の山が見える。3月に登った猫空尖や三玄宮山などの山並みが谷の向こうに連なっている。駅から道なりに行き、山門をくぐると左に猴山岳歩道の入口がある。階段の道は高度を上げていき、尾根に取り付く。ここまでくると、猫空の山々の向こう側に、先週登った獅仔頭山の山並みが見える。昨日の午後雨が降ったので、コンクリート階段の道はまだ濡れている。森の中を行くと、人家が左に現れこの歩道は終わり、車道に出る。道の真中に犬が二匹堂々と寝そべっている。


猴山岳前峰直下の岩壁登り
車道からは、前面に猴山岳前峰の急斜面が見える。道なりに下がっていくと、去年6月に猴山岳から下ってきた登山道の入口に着く。ここからは土の登山道だ。はじめから急坂だ。登って十数分、例の岩壁登りの場所に着いた。しっかりとした補助ロープが張られている。木の根やロープを掴んで登れば、問題ない。他の岩壁登りに比べて特に危険や困難は無い。土の登山道を登ること25分、10時少し前に猴山岳前峰(標高514m)に到着した。大勢の人声が聞こえると思ったら、十数名の年配登山客の団体が休んでいた。そのうち団体は出発し、頂上はまた静かになった。
猴山月前峰(背後に獅仔頭山)
前峰から台北方向を見る(クリックで拡大)
南港山と背後の陽明山山系
石碇、平渓方向を見る
二格山方面へ縦走路を歩く
前回来た時は、夕立がやってくる少し前だったので、遠くまで見えなかった。今日は昨日の雨のせいも有るのだろう、遠くまで展望できる。南側は熊空山や獅仔頭山、その右奥に白雞山の山塊、更に右に目を移せば天上山系がある。台北の街の向こうには観音山と陽明山、さらに東を見ていくと汐止や平溪の山々が見える。薯榔尖峰頭尖それに皇帝殿山の鋸歯稜線が目立つ。皇帝殿山の右側は今月上旬に行った獅公髻尾山がある。それにしても、多くの山の裾野や斜面に住宅群が造られているものだ。写真を写していると、登山者が一人やって来た。彼もいろいろな場所を歩いているようで、皇帝殿山では日本人の登山者と出会ったといっていた。

茶山古道との分岐鞍部
今日は先を急がないので、ゆっくり30分ほど食事も含めて休んだ後、茶山古道の分岐へ向け尾根道を歩く。左に深坑へ下る道を分け、稜線道を登って行くと、基石のある猴山岳頂上(標高551m)だ。ここは景観も無い林の中なので通過する。今回行程の最高点でもある。この稜線道はよく歩かれている。ところどころ枕木階段もある。茶畑が左に現れ、下って行くと茶山古道の峠となる鞍部に11時についた。ベンチが設けられている。右に行けば草楠へ下っていく。直進すれば二格山へ続く。ここは左にとり、深坑へ下る。


苔むした廃屋の脇を行く


はじめは枕木階段の急な下り、苔むした岩の部分も現れる。上から登山者が下りてきた。足が速く道を譲る。下ること10分ほど、斜面が緩くなりコケに覆われた廃屋があらわれた。屋根もなく、壁だけが残っているが、以前はここまで人が住んでいたのだろう。更に10分ほどで茶畑が現れた、林家草厝だ。ここはまだ通常に生活している。ちょうどお茶の葉を天日で干す作業をしていた。草葺の農家の脇を下ると、段々畑だ。収穫を前にした黄金の稲穂が一面に広がる。台北の大都会からそれほど離れていないが、ここは時間がゆっくり流れるかのようだ。車では来れないので、古道が唯一の交通手段だ。数名の登山客が登ってきてすれ違う。


草葺屋根の林家草厝
刈り取りを待つ稲穂
古道の石段
斜面がまた急になる。道に置かれた階段の石は、コケも少なくよく歩かれていることを示している。この古道は、まだ生活用に日々使われている、生きている山道だ。小沢の脇に新北市の道標がある。よく見ると、表示はないが細い道が草の中に伸びている、これが阿柔洋産道へ続く Jenifer Road だろう。この先で左に指南宮へ続く道を分ける。雑木林の中の道は広く、木漏れ日のまだらを踏んでいく。右に王軍寮への道を分岐する。素朴は古道は、コンクリートで手すりのある道に変わるとまもなく、人家が現れる。このあたりから炮子崙瀑布へ行く道があるはずだが、分岐がわからずそのまま下った。12時10分に炮子崙産道に出た。ここは深坑社区バスのバス停がある。他には道標はない。


滝への道
産道を少し下ると、電柱の脇に細い道がのびている。炮子崙瀑布へ続く道だ。時間も早いので、立ち寄ることにする。この道はおそらく行政単位ではなく、有志が行なっているのだろうが、肥料などの空袋にセメントを詰めたもので、道を整備している。このおかげで、本来ならば湿って滑りやすい道が、歩きやすくなっている。沢沿いに道は進み、入口から約10分ほどで滝に着いた。落差十数メートルの滝は、後ろの山がそれほど深くないので、水量は多くないが、それなりに見応えがある。脇に休憩小屋が造られ、中には更衣室や炊飯所もある。ちょうど十名ぐらいの人たちが中で休んでいた。滝に打たれたり、水遊びもできるようだ。土地の人達がよく訪れるのだろう。


炮子崙瀑布
深坑の野良猫
やって来た道を戻る。舗装路を深坑へ下っていく。炮子崙歩道へ続く産道の支線と合流し、沢の脇を下る。ここからは、振り返ると猴山岳が見える。交通量の多い106乙バイパス路を横ぎり、中正橋をわたって、深坑に1時25分に着いた。中正橋の袂にあるあずま屋で休んでいると、野良猫が一匹やって来た。腹をすかしているようだ。猫もいろいろな顔があるようで、この猫は餌をねだるにしては、偉そうな鳴き方をする。残っていた握り飯を分け与えた。シャツを着替え、106公路のバス停に行く。やって来た660番のバスでMRT木柵駅を経て帰宅した。


今回の行程、歩行距離9.3km、歩行時間は5時間10分、合計登攀高度637mだ。急がず、ゆっくりと写真なども撮りながら歩いたので、あまり疲れを感じなかった。一人の登山も、人里近い木柵などの山では、とても気楽だ。

高度プロフィル


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使用しているカメラの話

自分は、山行記録として要所だけでなく、山道を歩いている際もどんどん写真を撮っている。そのため、カメラをリュックなどに入れず常に首から下げたり、ポーチからすぐ取り出せるようにしている。こうしたカメラは、一眼ではなく、ズーム範囲の広いレンズ沈胴式のコンデジのほうが適している。画質の点も考慮して、以前はCanonのG9そしてG12を使ってきたが、G12は使ってちょうど一年、撮影枚数19000枚ぐらいで故障した。保証期限がちょうど切れ、修理代もかさむのでNikonのP7100に切り替えた。G12も性能的には問題なかったが、比較する意味でかなり安くなったP7100にした。今回は、CanonのS90とこのP7100で写している。慣れたらP7100一台を使用するつもりだ。

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