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2012-07-22

2012年7月21日 新店獅仔頭山-三峽熊空山縱走

天上山から望む獅仔頭山-熊空山の山並み(2012/5撮影)
去年11月に獅仔頭山を訪れたとき、防番古碑から更に尾根上を行く道があった。道標に行く先は三峽熊空山となっている。この獅仔頭山から熊空山へ連なる山並みは、土城天上山から見た時、安坑の谷の反対側に長く続いている山だ。天上山から見ると、枝尾根の竹崙山が竹坑山から手前に伸びているので、かなり大きな山塊の印象だ。いずれは歩くことを考えていた。
天上山系の南にある縦走の山並み(マウスクリックで拡大)
北の獅子頭山から南へ歩く
実際の山行をするについては、歩行距離と帰路熊空からの交通機関の絡みで不安があったので、ずっと実行には移さなかった。その後、三峡の山々を登るようになり、他の山での長距離縦走も重ねてきたので、将来熊空や滿月圓の山を登る事前チェックの意味も含めて、行ってきた。


出発点獅仔頭山登山口
歩いてみると、獅仔頭山隘勇線登山口からスタートしたので、出発点の標高が高く、縦走路上の登り下りもそれほどでなく、思ったより苦労なく熊空山に着いた。ただ、下りに熊空山から山猴洞経由の沢道を取ったが、これは急坂とコケむした石がゴロゴロする道で、かなり神経を使う下りだった。獅仔頭山と熊空山の下りを除いて景観はほとんどなく、森の中を行く道だったが、尾根上ではずっと風が吹いていたので、快適だった。


最近の三回は友人との登山であったが、今回は単独行だ。新店区公所から6時40分発の獅仔頭山線無料バスに乗る。乗客は三名だけだ。登山客は自分以外に一人、去年11月の時に比べて少ない。この次の8時20分発のバスは乗客が多いと、運転手が言っていた。先月の集中豪雨で流され修復工事中の道を過ぎる。ここからは、浄水場の向こうに直潭山とその右に大桶山が見える。バスは、新店渓を離れ谷あいを登り、ジグザクの登りを繰り返すと登山口に着いた。新店区公所から約30分だ。去年11月も同じバスでやって来た。その時は、まだ太陽もそれほど上がっておらず、台北101ビルが雲の上に頭を出していて感動した。夏は光線も異なり、もうひとつだ。
觀獅坪からみる獅仔頭山、梯子が見える
防番古碑わきの道標、縦走開始点
支度を済ませ7時20分に出発する。バイクでやって来た二人の若い登山客が先を行く。よく整備された枕木道は20分ほどで觀獅坪に着く。觀獅坪から見る獅仔頭山は、まさに眼前に聳え立つ。先に登っていった二人が、梯子登りに取り掛かっている。梯子は新しいものに交換されている。彼らを追越し更にのぼると、今度は外人の登山客が下りてきた。結構早くから登山に来ているものだ。二ヶ所の梯子登りと急坂を登りきり、最高点(標高864m)の展望台に着く。犬が一匹休んでいる。昨日から風が強く吹いているので、夏山にしては台北方面がはっきり見える。
一つ目の鹿母潭への分岐点
杉林の中の道
尾根道を行くとまもなく、直進して三角点に行く道と防番古碑への分岐がある。三角点は前回すでに行っているので、ここは左に折れ防番古碑へ向かう。このあたりはツツジで有名だそうだ。花の時期にまた来たいものだ。防番古碑を過ぎ、縦走路が始まる。ここからは、初めて歩く山道だ。縦走路は、最近の坪林獅公髻尾山平溪峰頭尖などに比べてはるかに状態がよい。汐止耳空龜山の縦走路程度か。分岐後すぐの道は、尾根幅も広くあまり高くない雑木林の中を行く。暫く行くと、道が途切れてしまった。どうもおかしい、右に谷あいに降りていくような感じだが、踏み跡が無い。戻ってみると、先ほど気が付かなかったが、右に道が折れていくところにたくさんの標識リボンと藍天の道標があった。どうやら、この部分で気づかずに直進してしまう登山者が多く、このような誤った踏み跡ができてしまったのか。帰宅後軌跡を見ると、そのまま直進では谷に下りてしまう。


尾根脇の杉
明るい雑木林の道を行く。基調は下り、左側の谷から風が吹いおり、快適な道だ。右に鹿母潭への道を分岐する。さらに下って行くと、雑木林が杉林に変わる。まだ若い杉だ。樹齢は20年ぐらいか。シダの下草が道の両脇にびっしり茂っている。雑木林と杉が入り交じる中を更に進んでいく。谷側に近い杉は風の影響で、幹が根本で曲がっている。途中、南獅仔頭山を気づかないうちに通りすぎた。このあたりの道は下草が多く、注意して道筋を確認する必要がある。
鞍部から少し道を登ると、歩き始めて2時間、9時20分に右に鹿母潭へ左に平廣へ下りていく分岐についた。特に平廣への道は広い。ここから竹坑山北峰までは、20分とあるのでそのまま進み竹坑山北峰を目指す。それまでの縦走路に比べると、ここはまた広く良い道だ。登りの途中で木々が切れ、送電線塔の下をくぐる。道がよいのはこの送電線塔の保線路だからだろうか。木々の切れ目から、観音山が見える。また雑木林に入り、登って行くと分岐がある。直進すると竹坑山、右に取ると竹坑山北峰である。右の道を行き少し登ると9時41分、北峰頂上(標高803m)に着いた。


竹坑山北峰への登り
頂上は周囲樹木があるが、北側は開けている。縦走路上で唯一の展望点だ。そこから台北の街、その右奥に陽明山系、左奥にに觀音山が見える。近くには天上山系が走っている。文筆山やそのすぐ麓の綠野香坡の住宅群がある。獅仔頭山と今歩いてきた尾根筋も見える。三角点基石に座って食事をとり、しばし休憩する。ここで今日の行程の三分の一強だ。
竹坑山北峰頂上
北峰から見る台北の街、手前には天上山系
獅子頭山とそれから続く尾根
竹坑山頂上
先ほどの分岐に戻り、竹坑山へ進む。道はまた幅が狭くなり、両脇は草で覆われるようになる。一旦下り、登り返す。左に加九嶺山への道を分岐すると、すぐ竹坑山山頂に着いた。竹坑山(標高935m)も雑木林の中の山頂で、展望はない。広いので、大勢が休憩するには適している。時刻は10時30分、出発して3時間強、距離的に全行程の半分だ。ここでは休憩せず、そのまま進む。話し声が聞こえたかと思うと、三人のパーティに出会った。熊空から山猴洞経由で登ってきて、加九嶺山を目指すそうだ。
熊空山へ岩壁の登り
杉林の中を登る
少し先で、右に竹崙山への道を分岐する。更に下り鞍部に着いた後、行程最後になる、熊空山へ約100mの登りが始まる。杉も混じる林の中を登ると、急な坂が現れる。その上には岩壁の登りがある。補助ロープを使い岩壁を登る。この登りのあと、ゆるやかな坂が続き、11時36分、竹坑山から約1時間で熊空山(標高972m)についた。三角点のある広い頂上は、やはり木々に囲まれ展望はない。今日の縦走行程も、あと僅かだ。


右に紅龜面山への道を分ける。直進するとすぐ自動車が通れる、広い道にでる。もう麓に着いたか、の感覚だが、熊空の集落まではまだ600mぐらいの標高差がある。この幅広道を進むと、果樹園の上にでる。ここは木々がなく、眼前に熊空の山々が見える。谷を西側に見ていくと、先月登った五寮尖がある。台北付近の山に比べると、懐が深い。ここからは一つ上のクラスの山が始まる。道なりに果樹園を下って行くと、作業小屋がある。犬が二匹勢いよく吠え出した。犬の主人がなだめるが、いうことを聞かず吠え掛かる。そのうちの一匹は、後をつけてきて更に吠える。もし、果物泥棒などがくれば、この犬はよい忠犬として活躍するだろうが、ただ通過するだけの登山客にとっては迷惑千万だ。

熊空山頂上
熊空の山々、谷のつきあたりに五寮尖が見える、その右側は桃園
果樹園からの下り
山猴洞
車道を下って行くと、鉄製の門がある。そのすぐ先で左に山猴洞への道が別れる。さらに少し行くと、蚋仔尖と火燒寮山を経由していく尾根道がある。今回は、山猴洞への道を取った。道は山の斜面を急な角度で下っていく。補助ロープも現れ、コケの生えた滑りやすい岩も出てくる。分岐から15分ぐらいで、12時27分大岩の山猴洞についた。ここは大岩がオーバーハングして、その下が雨をしのげる洞となっている。登山者が二人、ここで休憩している。ここの標高はまだ850mぐらいあり、下り道はまだ長い。

コケ岩の下り道
薄暗い谷あいの道は、風もなく汗が滴り落ちる。道は急坂なだけでなく、涸沢の中を行ったり、倒木を乗り越えたりで、一筋縄ではいかない。道の程度も今日の全行程中一番低い。幸いにして、ヒルはいないようだが、湿っている道はコケもあるのでとても滑りやすく、神経を使う。沢を3度ほど越す。沢を越す度に、水量がだんだん多くなってくる。かなり下って来た時、人の話し声が聞こえてきた。最後の沢越えの時、そこでくつろいでいた六人のパーティに出会った。自分が一人で獅仔頭山からやってきたことを知ると、健脚だと感心した。沢を越え、山腹を横切っていく道を進むと、人家が現れた。時刻は13時42分、山道もこれで終わりだ。
下草がびっしり茂る登山道
熊空溪にかかる猴洞橋を渡る。沢には多くの老若男女が水遊びをしている。夏の熊空は、水遊びによいところだ。ここからは、舗装された産業道路を下るだけだ。午後の太陽のもと、産業道路を下ること30分、14時10分過ぎに熊空のバス停に着いた。この沢の周囲は、たくさんの観光客が来ている。次のバスは15時40分過ぎなので、まだかなり時間がある。角の雑貨屋でビールを買い飲む。実にうまい。
猴洞橋

熊空バス停
熊空からは、烏來方向や逐鹿山などの山々へ登れる。こうした山々へまた来ることが有るだろう。15時45分発バスは、滿月圓へ立ち寄る。途中乗車する乗客も多く、満員のバスは16時30分過ぎに三峡に到着した。ここから永寧を経由し帰宅した。

今回の行程は、距離13.7km、休憩を含む所要時間7時間、登攀高度合計620mだ。最後の2kmぐらいは舗装路なので、山道は11kmぐらいだ。距離としては、耳空龜山の時と同じぐらいだ。一部わかりにくいところもあるが、リボンもたくさん付けられているので、それを忠実に追っていけば迷うことは無い。道そのものも、山猴洞の沢筋道以外は、歩きやすいよい道だ。

高度プロファイル

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