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2013-12-06

2013年12月4日 平溪一坑古道-耳空龜山-汐止四分尾山縱走 初冬の尾根道歩き

ススキの向こうに歩いた稜線、中央の山は耳空龜山(四分尾山から望む)
晩秋以降は、台北近郊の山からかなり遠くまで望むことができる。天気が良ければ気温も十数度で、山登りには最適な時期だ。乾いた寒気団が訪れて気温は低いが、天気のよい日が続いている。12月半ばに登山クラブの活動で道案内をする予定がある。予定コースは以前歩いているが、だいぶ時間が過ぎている部分もあるので、確認の意味も含めて耳空龜山から四分尾山、さらに大尖山を縦走した。

南の一坑口から汐止へ歩く(汐止市街部分は表示外)
出発点の高度が高い、鋸形状の稜線歩き
出発点は、平渓区菁桐一坑口だ。石炭産業が盛んなころは、ここも炭鉱があった。それから数十年の年月が過ぎ、当時のにぎわいはない。一坑口からは、盤石嶺から耳空龜山へ続く尾根を摸乳巷鞍部で越え、汐止側に続く古道がある。また、石底觀音山から581峰へ続く尾根を越えていく古道もある。後者は一坑古道と呼ばれている。前者の摸乳巷鞍部を越えていく古道は、峠から先汐止側は、作埤內古道の支線とされている。この峠越道は、それまでは忘れさられ、ほんの数年前に手入れされ歩き始めている。盤石嶺から耳空龜山を経て、四分尾山へ続く主稜線上の道は耳空龜山登山道として、新北市の管理対象になっている。けっこう歩かれている道だ。四分尾山から先大尖山へは、更によい道だ。今回は、大尖山から天秀宮へ、さらに汐止駅へ歩いた。

最近の登山軌跡と付近の山々
一坑口の住居群、背後は石底観音山と右にこれから歩く一坑古道の谷間
日なたで暖をとる猫
木柵を6時50分発の795番バスは、MRT木柵駅へは7時少し前にやってくる。約40分の乗車で一坑口バス的に着く。ここは通り過ぎることはしばしばだが、下車するのは2年前に薯榔尖に登りに来て以来だ。朝陽がまだ射さず日陰になっている谷あいは、肌寒い。古い住宅が並ぶ前を歩く。猫が三匹朝陽を浴びてひなたぼっこしている。猫も寒いのだ。住宅が切れるところから、沢沿いにコンクリ製欄干の道がつづく。沢から引いている水管が何本も走っている。案内板がある。ここは、薯榔尖への登山口だ。更に二、三分で良い欄干道は終わる。わきに土の道が沢沿いに雑木林の中に入っていく。古道の入口だ。

福徳宮土地公の祠
数分歩くと、石壁だけが残る廃屋がある。炭鉱時代のものだろう。トロッコレールがある。道脇の草が深くなる。8時10分、福徳宮土地公の祠にきた。バス停から約20分だ。祠の中は神像も残り、お参りされている。生活のために古道を歩く地元住人は、もういないだろう。登山者が残したのか、缶コーヒーがお供えされている。沢は細くなり、一度沢に降りて対岸に渡る。ここから道は二つに別れるが、どちらもまた合流する。右の沢沿いの道を進む。8時23分、左に一坑古道が分岐してゆく。右に摸乳巷鞍部への道を取る。水量の少ない沢を二、三度越し、高度が上がっていく。まだ、陽がささず、周囲は薄暗い。途中、左に石造廃屋への道が分岐する。この道もあとで合流するようだ。沢を離れ、大岩が見える急斜面の道を登る。登り切ったところで、もうひとつの道に合流する。朝日も差し込んできた。山腹を行く道を登りきり、9時7分に摸乳巷鞍部に着く。一坑口から約1時間20分の登りである。

沢をこえて古道は進む
雑木林の中の尾根道
この鞍部は、ちょっと凹んだ形でそのくぼみが狭い。そのために摸乳巷と呼ばれている。すれ違うときに胸が触ってしまうとう意味である。倒木をくぐって、作埤內古道が谷へ下っていく。ここからは、主稜線上の登山道を進む。新北市管理の登山道でもあるので、谷からやってくる古道より程度はだいぶ良い。風が峠を吹き抜けていくのを感じる。主稜線道を登っていく。急坂部分には補助ロープが張ってある。稜線上には、小ピークが現れるので、登り下りが続く。左の石底観音山からの稜線が近くづいてくると、581峰はすぐだ。9時35分に石底観音山への分岐になる581峰に到着、しばし休憩する。歩きはじめて約2時間だ。頂上の樹木の枝には、これでもかというほど山岳クラブの標識リボンが結んである。踏み跡のかすかな道ではありがたい標識リボンも、これだけあると美観を損ねる。

581峰の説明板
双石塔への道
10分ほどの休憩後、下り始める。坂道を10分くだる。左から、石底観音山と581峰の支稜を峠で越してきた、草深い一坑古道(というべきだろう)が合流する。分岐から山腹を進む。露出した岩に階段が刻んである。古道の頃からのものだろう。10時9分、鞍部に降りる。作埤內古道支線が右に下っていく。その少し上は双石塔だ。左(西)側の塔の壁に、この塔の説明が取り付けられている。以前来た時は、なかった。この説明文には小学生が文字を習うときに発音を表すための注音符号がふってあるが、小学校低学年の子供がここへやってくることを想定しているのか。

説明プレートの着いた双石塔
耳空龜山頂上
姑娘廟への分岐
耳空龜山(標高588m)へは、急坂で始まる。補助ロープが長く張ってある坂を登っていく。登ること約10分、10時21分頂上に到着する。基石のわきに、上部分を切り取った青いポリタンクが三つ置いてあり、尚且つ基石にロープで結んである。何の目的なのかわからない。頂上は樹木中で展望がないが、少し休憩する。ここから、山容は幅の広い尾根が続く。緩やかな下り道を数分歩く。左に姑娘廟への道が分岐する。更に行くこと3,4分、右に展望峰への道が別れる。こちらはそれほど歩かれていないようで、草が深い。雑木林のなかの道は、ゆるやかな登り下りが続く。

稜線縦走路から望む平渓方向の山、正面は刀石崙(左)と石底觀音山、背後は鋸状の峰頭尖
ススキの中を行く稜線縦走路
四分尾山へあと1kmぐらいのところから、枕木階段とロープ手すりが現れ始める。二、三年前に整備された部分だ。耳空龜山登山道は都合5.7kmあるが、こうした良い部分は両入口の夫々1km
ぐらいまでのところだ。途中は、せいぜい樹木の幹に張り渡したロープだけだ。森がきれてススキの草原が現れる。ちょっとした登り下りのピークを越していく。右に四分尾山が見える。振り返れば、姜子寮山、主稜線の右側、ススキの穂の向こうに石底観音山や刀石崙、谷の対岸は峰頭尖の青い山々が望める。上鹿窟崙への分岐をすぎ、まもなく四分尾山産業道路に出る。対面の道を少し登りかえし、11時43分、四分尾山頂上(標高641m)に到着する。

四分尾山頂上、遠くに南港山と台北101ビル
頂上からみる基隆方向の大パノラマ、左に陽明山山系、右には姜子寮山。正面の山は四分尾山枝支稜上の槓尾山
基隆嶼が海に浮かぶ
頂上の説明板には、「東西南北観山海-四分尾山」というタイトルがある。これで五回目の登頂だが、今回初めてこの文字通りの景色を眺めることができた。春や夏は、晴れていても遠くは霞んで見えない。ススキの向こうに遠く海に浮かぶ基隆嶼や五分山、その後ろに基隆山の三角ピークまではっきり見える。西側は台北101ビル、そのわきの南港山、台北市街を挟んで陽明山の山塊がある。歩いてきた方向には、薯榔尖のピークからずっとこちらに耳空龜山を越えてやってくる稜線が続いている。休んでいると、登山者が大尖山方向から登ってきた。今日出会う初めての登山者だ。

枕木の良い道が大尖山へ続く
大尖山へは、幅の広いよく歩かれている登山道である。概ね下りの道だが、ところどころ小ピークへの登り返しもある。茄苳古道和尚頭山への分岐をそれぞれ通り過ぎる。枕木階段を下って行く時、前方に景色が広がる。国旗の掲揚されている、大尖山頂上のあずま屋も見える。以前は、遠くまで見えない天気であったこともあり、気付かなかった。左に天道清修院への分岐を見ると、大尖山はすぐだ。現れた石段道を登り返すと、小広場を過ぎあずま屋のある頂上へ12時53分に着く。四分尾山から40数分である。ここも今日は、いままで数回の訪問のうち一番の展望ができる。やはり空気の透明度が高いのだ。春にはサクラが見れるが、この時期はこの風景を見るだけでも、やってくる価値がある。あずま屋の柱に取り付けられている寒暖計は18度を示している。のこりは、下るだけなので食事をとりゆっくりと休憩する。

大尖山からのパノラマ
大尖山頂上
20分ほどの休憩後、石段を下り始める。大尖山もこれで四回目だが、この道を下るのは初めてだ。下りだと、前下方の景色を見て歩くので、また違った感じである。10数分で天秀宮へ着く。新北市無料バスサービスがあるが、次の便まで時間もあるので、今日はそのまま歩く。14時5分、汐止駅に到着、区間電車にて台北に帰った。

天秀宮へ下る





歩行距離約11.7km、所要時間は6時間20分(休憩込み)である。登攀累計高度は711mと、割合に少ない。稜線上での上下はあるが、一坑口の高度が高いので、はじめの登りも多くない。山道のレベルは全体で見た場合はクラス3、一坑古道はクラス4だ。体力的にはクラス3~4というところだろう。少し山慣れた登山者の稜線歩きとしては、最適なコースである。

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