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2018-05-08

2018年5月7日 新竹縣飛鳳山 小百岳を登る

飛鳳山の山門
台湾の小百岳は、いままで折を見て50座以上登ってきた。離島上の山岳も含め全国に散在するのである100座全部を登ろうとすると、縦走して一度に数座を登ることができる3000m峰の百岳より手間ひまがかかる。今回は、台湾北部新竹県にある小百岳飛鳳山の登山だ。小百岳は、日本の百名山のように、その選定基準が単に標高ではなく、その景観や土地の歴史文化を代表するといったことがある。つまりは、土地を代表する山である。

飛鳳山頂上近く涼亭から西を望む、左に新竹右に竹北の街が見える、左端は台湾のシリコンバレー科学園区
その形が飛ぶ鳳凰を連想させるので、飛鳳山の名称である。標高423mと高くないが、百年古寺名刹を二か所有する、歴史のある山だ。日本統治時代の昭和初期に、地元有力者が山道を自費で築くなど、昔から地元住民に親しまれている山でもある。実際、今回のハイキング中に、平日であるが多くの地元民と思われる登山者とすれ違った。普段登っている、草に埋もれた近郊低山と違い、立派な登山道が飛鳳山とその周辺の山をめぐっている。

時計回りに歩く
歩行高度表
本来、ちょうど油桐花の時期なので、それを期待していったが、今年は開花が例年より早く、訪れた時はすでに散ってしまっていた。一方、かなりの部分を覆う相思樹の黄色い小さな花がちょうど満開であった。その他各種の花も開いており、初夏の趣があった。すでに暑くなりはじめているが、梅雨前線が近づき、そのためかなり強い風が吹いていて、曇りがちの空と相まってそれほど暑さを感じなかった。

新竹縣芎林鄉にある飛鳳山,高い峰々の前哨に位置する
竹24県道から石壁潭山を見る
台北を7時半発の國光客運の竹東行1820番バスで、台北轉運站(台北バスターミナル)を出発する。萬華や板橋で乗客をさらに載せ、中和で第三高速道路に入る。途中龍潭と關西で停車したあと高速道路を降り、9時に芎林バス停に到着する。料金は悠遊卡電子カードで155元である。今日は、短い楽なルートなので、出発と歩き始めも遅めだ。冷房されたバスを降りると、陽ざしが強い。

登山口の案内図

バス停のある富林路を反対側に渡り、飛鳳山の道標を見て、道(竹24県道)へ右折する。登山口まで、2キロ足らずの舗装路歩きだ。道脇の稲田は一面の緑である。緩い登りの道を歩き始めて10分ほどで、右に今回山行最終点石壁潭山が見える。9時20分、左に鳳鳴活動公園と大石に刻まれた小公園を見ると、前面に山門が現れる。山門をくぐってすぐに登山口がある。わきは第一駐車場である。

石段登山道の入り口

登山口には、木製テラスと案内地図、左側には開路紀念碑、感應橋紀念碑とその説明の石板がある。昭和二年の開路紀念碑は、地元人士が単独700円を提供しできたとある。新竹の商人が飛鳳山へお参りしたところ、子宝を授かったことを感謝し橋を寄贈したことの記念にだ。もともと大正九年と刻まれたものを大正の文字の上から民国(国の文字は繁体字ではない)とペンキで書かれている。九年は大正と民国ちょうど同じである。刻まれた大正が削られていないことは、幸いとするべきか。


石段道が続く 


車道を渡って、石段の登山道を登り始める。今日のルートは、メインの登山道を三角点のある飛鳳山へ登り、稜線を觀日亭,中坑山へ向かい、そこから少し戻って觀日坪古道と石壁潭步道で下山する予定だ。石段はかなり急だ。登り始めると汗が流れる。石段の上には黄色い相思樹の小さな花がたくさん落ちている。登山口から十数分、右に筍取りの竹林がある。作業している農夫は、肥料を施しているところだ、とのことだ。その少し先に、枯れた桐花が石段上に落ちている。見上げても白い花はなく、すでに花の時期は終わっているようだ。9時39分、車道とまた合わさり、駐車場になっている。

第二駐車場にでる、左奥に山道が続く
長い階段道が続く
そのまま道を進み、左にまた石段が続いていく。登ると少し開け、大きなクスノキのわきに第一涼亭がある。道を登り、右に涼亭を見ると、また石段道が始まる。上から僧侶が下ってくてすれ違う。ハイカーたちともすれ違う。地元の人が多いようだ。階段を登り切り、少し平らな道を行くと、前方に第二涼亭がある。樹木の切れ目から頭前溪とそれをまたぐ高速道路が望める。9時55分、休みをとる。

第二涼亭で休憩
つづら折れの石段を登る
今日はゆったり登山である。10分の休みのあと石段道をさらに登る。つづら折れの石段が続く。10時15分、前方に涼亭が現れ、右の小高い部分に踏み跡が続く。踏み跡を登ると飛鳳山の頂上(標高423m)だ。樹木に囲まれ展望はない。涼亭に戻る。ここからは、先ほどのの第二涼亭より高度が上がっているので、より遠く竹北や新竹の街が見える。

飛鳳山山頂の筆者



道をさらに相思崖へ向かう。稜線上を小さな上り下りの石畳の道が続く。石畳が切れて土の道になり、その先石段を登り切ると相思崖につく。この名前はまさに相思樹があり、遠くを見渡せる場所なので、命名されたということだ。しかし、手前の樹木が育ちすぎて視界は遮られてしまっている。

稜線上の道を相思崖へ進む
觀日亭とその前の石段
10時35分、稜線が二手に分かれる。右は石壁潭山へつながる觀日坪古道、左には觀日亭方向だ。先に左へ進む。ちょっと下ると、右に地元住民が建てた休憩小屋がある。台北近くの低山にも同じように地元民が建てた小屋があるが、同じ性格のものだ。その先ちょっと小高いところに觀日亭がある。ここからは、遠く桃園から新竹、苗栗の中、高山が望める。丁度北側になるが、特徴ある大溪の金面山復興鄉の那結山などが判別できる。それ以外の高い山は、雲がかぶっていることやこの位置から望むのが初めてなので、判別できない。話によれば、空気が澄んでいるときは台北101ビルが見え、一番最南端の観測可能点だということだ。そういえば、桃園台地の遠く向こうに觀音山が薄くそのスカイラインを現わしている。

觀日亭から北方向を見る、中央には尖った金面山が遠くに見える
左に見えるアンテナの後方ピークが中坑山
中坑山山頂
風が吹き抜け、快適だ。今日はゆっくり歩きの趣旨だ、ここで冷えたビールを開ける。40分ほど休憩し、中坑山へ向かう。はじめ尾根上の道を少し下り、平らな部分を少し行く。右から舗装路が合わさる。左にたくさんアンテナが立つ建物が見える。その左奥のピークが中坑山だ。この位置からは、觀日亭よりさらにはっきりと東から南側の山々が見える。建物わきを少し登り11時23分、中坑山につく。標高462mで今日の最高地点である。往路をもどり、觀日亭を通り過ぎ、分岐を左に石壁潭山へ向か
う。

中坑山への道から東方向を見る、雲に隠れた山々が遠くにある
登山道わきの風情萬景休処
樹木が伐採された山腹
幅の広い觀日坪古道尾根道
稜線上の道は、小さな上り下りがあるが、幅が広く多く歩かれていることがわかる。分岐から3,4分で左に風情萬景という名の休み処がある。休日だけの営業のようで、今日は締まっている。入り口わきの寒暖計は27度を示している。暫く下りが続き、その下で左側の樹木が途切れ、展望できる。この一帯の樹木が谷に向かって切られ、更地になっている。開発現場というところなのだろう。稜線道をさらに追っていく。樹木の間の道は、基本下り気味だが、小さな上下が続く。知らぬ間に石壁潭山頂上わきを通り過ぎ、ちょっと下って12時8分、石壁潭歩道の分岐部のテラスに着く。

石壁潭步道の分岐点テラス
頭前溪と大橋、向こうに高架道路と竹東の街
木製階段道で始まる下り
テラスからは、前頭溪の谷間とそれにかかる橋、さらに対岸の高架道路、手前はあとで降りていく石壁の集落が俯瞰できる。昼食をとる。ここでも冷えたビールを取り出し乾杯だ。時間との競争となる、長距離の歩きとは違い、今日は実に気楽だ。40分のゆっくり休憩の後、下山を始める。石壁潭歩道は、もう少し先に行ったところから下る道もあり、そちらは石壁潭B歩道、こちらはA歩道ということだ。木製手すり階段を少し下り、土の道になる。けっこう急な坂が続き、登ってくると少し骨だろう。25,6分で登山口に着く。集落の間の舗装をさらに下り、福昌街に出る。右に1820番バスのバス停へ歩く。畑の部分からは、今降りてきた山並みが見える。13時17分、バス停についてまもなくバスがやってきた。

1820番バスがやってきた

約4時間、歩行距離8㎞弱の歩きだ。登りは累計450mと、思ったよりはある。今回はお寺などは訪れなかったが、興味のあるひとはハイキングの途中で立ち寄ればよい。困難度は、ルートは最も簡単なレベル1、体力もレベル1といってよいだろう。誰でにでも勧められる。誰にでも親しめられる山、というのも小百岳選定条件の一つでもある。
珍しくなった土壁と香水合歡の花


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