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2018-05-19

2018年5月16日~17日 百岳玉山四峰(前峰,西峰,主峰,東峰)を登る

玉山東峰への登山道から見るシャクナゲ(玉山杜鵑)と主峰
台湾の玉山は、説明を必要としないかもしれない。日本では新高山という旧名も親しまれている。ただ、一般的に認識されているのは、おそらく主峰だけのような気がする。日本人登山者は、ほとんど旧称新高主山である主峰を登るだけで、玉山山脈に属する主峰周辺の峰々はなじみが薄いようだ。標高3952mの主峰は、確かにほかを圧倒する存在だ。しかし、主峰から派生する稜線上にある峰も、日本の富士山よりも高いものが複数ある。これらも、実はニイタカなのだ。
西側鹿林山付近から望む玉山山脈全景、東峰は主峰の向こうで、ここからは見えない
東側八通關山付近から望む玉山山脈、西峰や前峰は反対側
玉山山脈は、ほかの二つの主要な山脈、中央山脈や雪山山脈に比べると、ずっと短くこじんまりしている。山脈の端から端まで、側面から見渡せる。つまり短くて高いのだ。台湾の百岳では、玉山山脈のうちの九つのピークを数える。これらは、近いので一回ですべて訪れることもできる。もともと、今回の登山も一回ですべて行くつもりであった。しかし、玉山登山で宿泊する排雲山莊や圓峰山屋は、使用希望が収納数よりはるかに多く抽選である。応募したが、結局排雲山莊一泊だけがOKとなった。少なくとも5日必要な全峰登山(群峰路線)は無理だ。そこで、排雲山莊一泊だけでできるように、前五峰のルートに切り替えた。
玉山主峰上のメンバー全員
前五峰も、一般的には二泊して回る。今回はそれを一泊で試みた。結果的に、時間が足らず北峰は及ばなかった。予定のピークを全部回れなかったのは残念ではあるが、それに余る収穫があった。玉山四峰から下りた翌日、登山口塔塔加鞍部近くの麟趾山と鹿林山を登ったが、この日も入れて三日間、最高の好天に恵まれ、素晴らしい景色を堪能できた。また、筆者が慕う故千々岩助太郎の息子さん壬(あきら)氏に、玉山主峰頂上で偶然出会い面識ができた。北峰は、次に行けば登れる。千々岩さんとは、この場で会わなければ、おそらく出会うこともなかったろう。

玉山主峰近くから見る東峰、背後は馬博拉斯山、秀姑巒山と大水窟山
今回登ったのは、筆者にとって二回目の登頂である主峰以外に、主峰から西に延びる尾根上にある前峰(標高3239m)と西峰(標高3518m)、それに主峰の東にデンと座っている台湾第三の高峰、玉山東峰(標高3869m、第二は次高山と呼ばれた雪山主峰)である。日本時代は新高東山と呼ばれ、鹿野忠雄の『山と雲と蕃人と』のなかでその登山記録がある。曰く、「新高主山の絶巔に立った登山者は、眉に迫る群峰乱岳に快哉を叫ぶ前に、まずその目は、廃墟のような淋しさと幽鬼のような険悪さをもって、東の方間近く、えぐり去れたような断崖の空虚を隔てて、対峙する妖異な岩塊ー東山の化石した山塞の姿に吸い寄せられる」。前峰と西峰は、東峰に比べるとずっとおとなしい。現在の塔塔加鞍部からの山腹を行く登山道が開かれる前は、実は前峰と西峰を越して稜線を進んでいた。

西側の塔塔加鞍部から山域を往復、青線は下山翌日に歩いた鹿林山
二日間の歩行高度表
筆者三回目の玉山訪問になる今回の日程は、前日15日午後台北を台湾国鉄の自強号急行で嘉義に行き、宿泊の東埔山莊のシャトルサービスで東埔山莊へ向かい一泊、翌16日早朝に排雲山莊へ向かう途中で前峰を往復、排雲山莊に到着後西峰を往復、17日は主峰と東峰を訪れたあと下山した。東峰は、上記鹿野の言葉にあるように、目と鼻の先のように近い。しかしその間にはえぐられたような岩のキレットがあり、急な岩壁の登り下りもある。外見よりずっと手こずる相手だ。ちなみに、今の登山道は鹿野が登ったルートとは異なる。

玉山山域の位置、台湾南部の街、嘉義の東、日月潭の南にある

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第一日 5月16日 東埔山莊 - 塔塔加登山口 - 玉山前峰 - 排雲山莊 - 西峰 - 排雲山莊(泊)

東埔山莊から歩き始める、途中前峰を往復し排雲山莊から西峰を往復
歩行高度表、塔塔加鞍部への途中で高所を通る
嘉義駅からシャトルサービスで東埔山莊へ向かう
前日15日、台北を15時発の自強号で出発する。今回のメンバーは都合5名、平日なので列車は空いている。嘉義駅に18時半に到着。到着したプラットフォームのすぐ左は、有名な阿里山森林鐵路である。筆者は、30数年前ここで乗り換えたことがある。今は、北門駅が終点なので、嘉義駅までは列車はやって来ない。駅をでると、予約していた車が待っている。18号阿里山公路を登っていく。途中、雨が降り出し霧が濃くなる。おそらく夕立の名残だろう。標高1500mあたり過ぎると、雨は止んだ。21時15分、東埔山莊に到着。翌朝早いので、早々に就寝する。

東埔山莊の寝室内部(素泊1泊300元)
夜間投函箱に書類を投函(Aさん撮影)
16日は三時に起床する。コンビニで買っておいた握り飯とみそ汁で朝食をすませ、4時過ぎには出発する。入口の寒暖計は14℃を示している。まだ暗い中、東埔山莊脇の山道を上にある18号線に登り、対面の塔塔加鞍部へ続く道を行く。4時18分、警察派出所と玉山公園排雲登山服務中心に来る。派出所はまだ開いていないので、入口わきに設けてある投函箱に許可書類を投函する。朝7時半から夕方17時までは、ここから塔塔加鞍部登山口までシャトルサービスがあるが、まだ早いので歩いていく。排雲山莊までであれば、もっと遅くてもよいが、われわれは途中前峰を登り、排雲山莊に着いた後も西峰に行くので、早く行動開始だ。

塔塔加鞍部登山口、空が明るんできた
鹿林山を背後にジグザグ道で高度を上げる
大鐵杉の分岐を過ぎ、道を登るにつれ空が白んでくる。左に群大山のシルエットが浮かぶ。4時55分、登山口に着く。東埔山莊から約50分である。有名な巨大石碑以外に、玉山の主要山峰の名前が門柱に刻んである。5時に登山道を歩き始める。すでに明るく、ヘッドライトはいらない。歩いて少しいくと、つづれ折れで高度を上げる。深い楠梓仙溪の谷を挟んで玉山小南山から降りてくる尾根の遠く向こうに、三角ピラミッドの山が見える。中央山脈南一段の最高峰關山だ。1.5Kキロポストを過ぎてまもなく5時47分、孟祿亭に着く。小休憩をとる。

前峰が前方に見えてくる
岩がごろごろする登りを行く
トイレの建物を右にみて、道をすすむ。前方に高く前峰が見え始める。6時18分、前峰への分岐に来る。大きなザックは道脇に置いて、6時26分に軽装で取りつきから急な0.8㎞の坂を上り始める。数分登ると、視界が開けて広い景色が望める。6時42分、陽光が当たり始めたニイタカヤタケ(玉山箭竹)の脇に0.4Kの道標を見る。頂上への距離の半分だ。道は勾配を強め、大きな岩がごろごろする道になる。ひたすら登っていく。7時25分、鎖場をすぎ数分で前峰頂上(標高3239m)にひっこり出る。朝陽のさす狭い頂上の向こうには、玉山北峰から主峰、南峰に続く主稜線とその前に大きくなだらかな頂上の西峰が鎮座する。

前峰山頂からヤタケ越しに、北峰(左)、西峰とその奥に主峰が見える
筆者は、玉山山域は以前二度訪れている。一度は主峰の単独登山二度目は野訓旅行社の一泊二日登山だが、雨で登頂はできなかった。前峰山頂からの景色は初めてだ。10分ほど過ごした後、急坂を下り始める。途中、登ってくる登山者とすれ違い、約40分で8時32分に分岐に戻る。前峰の往復は、休憩時間も含めて約2時間である。

前峰の下り途中西側楠梓仙溪の谷を望む、左奥に三角ピークの關山がのぞいている、右奥の山は鹿林山
登山道から前峰を振り返る
台湾ツガ原生林の桟道を行く
ザックを背負い、再び排雲山莊へ残り5.8Kの道を歩き始める。道は桟道や鉄製橋を過ぎていく。岩を切り開いたセクションには、鎖が取り付けられている。9時11分、4Kを過ぎるあたりから、タイワンツガ(鐵杉)の原生林が現れる。道が山襞を回り込むあたりで、振り返ると前峰がちょこんと小さな三角の山頂をのせて朝陽に佇んでいる。山腹には歩いてきた山道が横切っている。9時38分、5Kキロポストを過ぎ、トイレを左にみてすぐ西峰下觀景台の涼亭につく。階段をのぼると大勢の登山者が休憩している。我々も休みとする。展望台からは、主峰から南峰への稜線が高く空を劃している。

展望台から主峰(左)を含む主稜線を見上げる
大峭壁
10時10分、再び歩き始める。陽ざしも強くなり始める。空はあくまでも青い。すぐにジグザグ道で高度を上げる。桟道や岩壁、鐵杉林などを過ぎていく。10時56分、大峭壁を通過する。11時5分、7Kキロポストを過ぎ休憩を取る。残りはわずかだ。11時23分、岩をえぐった角を曲がると、前方に主稜線が広がりニイタカヤタケの山腹を道が進む。途中、ジグザグに高度を稼ぎ、最後に石段を登り切る。12時3分、排雲山莊に着く。途中の前峰への往復を除くと、休憩をいれて8.5Kの道のりを約5時間で歩いてきた。

排雲山莊まであと1㎞たらずだ
午後になると霧がでてきた
1K あたりで草原に出る
山荘管理人に書類を見せ、二階の部屋に案内される。どの位置かは、玉山公園がすでにあてがっている。この時間帯は、山荘はひっそりとしている。しばし横になって休憩し、13時半西峰往復を始める。山の天気は、午後になると霧が発生しやすい。外に出ると主稜線は霧に隠れている。西峰までの道のりは片道2.2Kmだ。前峰に比べると、西峰は平坦な道だが、小さな登り下があり、手足を併用する急坂もある。森の中の山腹道からでて1Kキロポストのあたりで、ヤタケの草原にでる。先ほど排雲山莊への登山道でヤタケの草原を横切ったが、ここはそのちょうど上になるのだろう。晴れていれば主峰などが見えるのだろうが、残念ながらガスってきたので視界は狭い。

ニイタカトドマツ(冷杉)の森を行く
西峰山頂のメンバー全員
少し森の中の道を行き、またヤタケの間を横切る。それが終わり2Kキロポストを過ぎると、最後の急坂を登る。石瀑を横切ってすぐ、14時39分西峰頂上(標高3518m)に到着する。樹木の中の小高い場所で、道標と山名板が山頂であることを示しているだけだ。近くのニイタカトドマツ(冷杉)の幹に、古い碍子がついている。日本時代にここが警備道の一部であり、新高下駐在所(現在の排雲山莊の位置)への電話線などがこの碍子で支えられていたのではないか。少し下っていく。そこには日本の山岳で見かけるのと同じような小さな社がある。新しい神社は、玉山公園が復元したものだ。実は、主峰にも神社があったが、戦後取り壊されている。

幹に取り付けられた碍子
復元された西峰神社
排雲山莊脇の群峰コースの玉山公園説明板、皮肉なこ
とに宿泊の関係で、実際に実行するのは非常に難しい
ここから往路を戻る。少し登り返し西峰山頂を通り過ぎ、草原や森の中を抜けていく。相変わらず霧が展望を遮る。空の一部は青空が見える。天気が変わるのでなく、単に午後霧が発生しただけだ。やってくる登山者とすれ違う。16時21分、排雲山莊に戻る。往復約2時間、思っていたより結構時間を要した。今日の行動はこれで終わりだ。休憩込み行動時間7時間、約16㎞の道のりで登坂累計は1700mである。部屋で待ち、5時半に山荘の食事をとる。宿泊代も含めてすでに支払い済みだが、金額は宿泊代480元、夕食300元である。寝袋は有料で借りることもできるが、自分のものを持って行った。明朝早いので、食事後まもなく部屋に戻り床に就く。
夕食、自分で対応してもよいがコンロ類は使えない。お湯はある

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第二日 5月17日 排雲山莊 -玉山主峰 -東峰 -主峰 -排雲山莊 -塔塔加登山口 -東埔山莊 (泊) 


先に主峰と東峰を登り、排雲山莊にもどって下山
主峰を経て東峰を往復、その後下山の歩行高度表
大勢の登山者が暗い中登っていく、残り0.4K地点
もともと二時に起床を考えていたが、1時半ごろにはすでに騒がしい。早出の登山者がすでに起床し準備している。我々も少し早めに起床、朝食をとる。筆者は、山荘の朝食ではなく自分の持ってきたもので済ます。もちろん夕食と同じに事前に朝食を頼んでおくこともできる。支度をして2時50分過ぎに出発する。満天の星空だ。さすがに寒い。防風ジャケットを着用して歩く。

台湾西岸の街の明かりが遠くに見える、空には明るい星が
頂上はすぐそこだ
ヘッドランプ頼りの歩きだが、道の状態が良く、前後に多くの登山者が歩いているので、まったく問題ない。暗い方が足元だけに注意が行くので、逆に時間が速く過ぎ思ったより簡単に高度を稼げる。約30分ほど歩き、圓峰への分岐近くで服装を調整する。登り一本の歩きは、やはり汗が出る。つづら折れの道が始まる。周囲の樹木の背が低くなり、そのうち森林限界を超える。遠く西に明かりが見える。嘉義など台湾西岸の街の灯だ。4時20分、山頂まで0.4K、排雲山莊から2Kのキロポストを見る。その先少しで、鉄製の落石防止トンネルを過ぎる。左に北峰への分岐(小風口)を過ぎる前、またジャケットをつける。ここから上は風が強くなる。

馬博拉斯山 (左)と秀姑巒山との間から太陽が昇る
頂上には大勢の登山客
最後の鎖場急坂を登る。5時に登頂する。すでに大勢の登山者が頂上で日の出を待っている。5時7分、東側の秀姑巒山と馬博拉斯との間から赤い太陽が昇り始めた。山肌は赤く染まっていく。岩の塊東峰は、あふれる光線の中で燃えている。西側は、玉山の大きな影が落ちる。6年前に初めての台湾3000M峰として玉山主峰を訪れた時は、脈々と連なる大きな台湾高山の山容に感銘したが、これらの山は未知の対象だった。それが今は、ほぼすべて認識でき、すでに自ら登った山もある。未踏の山は、これからと思いをはせる。

朝陽の中の東峰
西側には玉山の大きな影
東峰への分岐点
鎖場を下る
大勢の登山者が写真を写しているうち、われわれは東峰を目指す。南側に少し下り、5時30分主稜線上の分岐を左に下り始める。東峰は、本当に目と鼻の先のように近い。しかし、たどり着くのは決して近くない。鎖場などしっかり整備されているが、岩が露出する下りは足元に注意し慎重に行く。落石注意区と注意板があるザレ場を過ぎる。主峰東側の岩は、鉄分が多いのか、朝陽の中にひときわ赤い。鳳尾岩の右を巻いていく。なかなか最低鞍部に着かない。シャクナゲ(玉山杜鵑)の白やピンクの花がここそこに咲いている。6時30分、最低鞍部から東峰の西岩壁を見上げる。まだ日陰の大岩壁が黒く覆いかぶさる。幸いルートは確保され、鎖が取り付けられているので注意深く登れば問題ない。

鎖場の坂が続く
主峰東側の山腹は赤い岩
シャクナゲのわきを行く
鳳尾岩のわきから大きなカール状谷を見る、左は東峰、右は南峰、遠くに新康山
東峰の岩壁が黒く覆いかぶさる
このルートは、1931年8月に鹿野忠雄が東峰を登るとき考えた一つのルートである。鹿野は、新高駐在所から主峰を経由しなければならないこのルートは選ばず、東峰山頂の更に東側のガレーから稜線にとりつき、西に山頂を極めた。つまりは、現在の登山道の反対側から登っている。すでに登頂を終えた登山者とすれ違い、7時7分に東峰頂上(標高3869m)につく。主稜線の分岐から約1時間半要した。頂上は、平たくそこそこの広さがある。鹿野は六坪ぐらいと記している。

岩壁の登りから主峰を望む、東峰が大きな影を落とす
鎖場が続く
山頂からの展望は360度遮るものがない。すぐ近くの主峰は、大北壁の上にまだ多くの登山者が見える。その右に下って緩やかに登りつめた北峰には、日本統治時代末期に設立しその後も使用されている気象測候所がこちら側に向いている。主峰と北峰の鞍部風口から八通關に下る道が見える。現在は、途中のがけ崩れのため不通となっているが、日本時代の新高山登山は、このルートが主流であった。鹿野忠雄も、実はこの旧警備道上にあった新高駐在所に滞在し、東峰を含む玉山の峰々を登っている。ちなみに八通關という名称は、玉山付近の阿里山に居を構えた原住民鄒族が玉山を呼んだ名前バットンカンに漢字をあてたものである。

東峰山頂、北、東、南方向のパノラマ
東峰山頂のメンバー
東側は谷を挟んで中央山脈が脈々と、南北に連なっている。近いものは北から馬博拉斯山,秀姑巒山や大水窟山がつらなる。大水窟山の手前には八通關山が支稜上に頭をもたげる。南は、大岩壁をかかえた玉山南峰、そこから荖濃溪に向けて下る鹿山への長い尾根がある。さらに南には、三叉山や向陽山、雲峰などの南二段の山々、大きくコブの様な新康山がその左に存在を示す。鹿野忠雄が初登頂した尖山(塔芬尖山)が近い。北側は、遠く雪山山脈や干卓萬,南三段の山々がその遠近に応じて、濃淡をつけ横たわっている。実に広大な眺めだ。

東から南方向を望む、右の南峰の左側に南二段から南一段の山々が連なる
北峰を望む
東峰西壁の鎖場を下る
もともとは北峰へ行く予定であった。時間的には不可能ではないが、この東峰山頂を踏んだだけですぐ引き返すのはもったいない。次にまた来るかはわからないし、このような天気に恵まれるかもわからない。そこで長くとどまることにする。素晴らしい眺めでそれほどいた感覚がないが、都合1時間ほど過ごし8時に往路を戻り始める。先ほどの急な上りは今度は逆に急な下りだ。一か所足場が上から見にくい場所を注意して降りる。道脇のシャクナゲが慰めだ。30分ほどで鞍部に降りる。これから、登りが始まる。すっかりひなたになった山道は、太陽の光を浴びて暑い。服を調整する。シャクナゲを見ながら大きな主峰に向かって進む。最後にザレ場、そして岩の急坂を登り切り、10時に主稜線の分岐に戻る。

主稜線にもどり主峰へ向かう
千々岩さん(右)と筆者@主峰山頂
稜線を主峰に戻る。10時13分、いまは一パーティの登山者がいるだけの主峰山頂は、強い日差しの中だ。風があるので、暑さは感じない。写真を写している間に、一人の日本人登山者がやってきた。少し話をすると、実は筆者が台湾の山岳を登るにあたり、その書物に大いに感銘をうけた千々岩助太郎の息子さん壬(あきら)氏であることがわかり、感激する。壬氏は、筆者よりはるかに多くの台湾百岳や、日本の百名山ほか世界の山々に登られている、登山の大先輩である。

西峰を前方に見ながら下る
北峰分岐(小風口)を過ぎる
東峰からの帰路で、メンバー一人が岩に膝をぶつけた。そんなこともあり、北峰は次回へと最終決定する。10時56分、主峰から下り始める。11時12分、北峰分岐を通過する。朝は暗がりの中の登りであった、ジグザグ道を下っていく。11時44分、圓峰分岐を通過、森の中に入り12時5分、排雲山莊に戻る。荷物を整理し、12時48分ザックを担いで下り始める。シャトルサービスは、17時までだ。8.5Kをそれまでに歩き終える必要がある。

ジグザグ道を下る
排雲山莊に戻る
大きな荷を担いだボッカとすれ違う
基本は下りか、平らな道が多い。道の状態もとてもよい。昨日の登りは5時間であったが、下りはそれより速いので問題はない。下り始めてしばらく、荷担ぎの原住民ボッカとすれ違う。かなり大きな荷物で、3,40キロはあるだろう。筆者も若いころボッカのアルバイトをしたことを思い出す。13時を回ると、霧がでてきた。昨日と同じパターンだ。13時27分、大峭壁の下で休憩する。大きなパーティがやってくる。台中の哇哈山友社の玉山主峰登山隊だそうだ。

下り道を急ぐ
麟趾山下の塔塔加鞍部登山口が見えた
登山口のシャトルカー(接駁車)
途中、日本人登山隊を含む登山者と多くすれ違う。14時15分、西峰下觀景台で休憩する。若い外国人を含む三人の登山者が休んでいる。昨日排雲山莊でも日本人登山者と出会ったが、玉山はやはり外国人登山者も多い。往路では良く見えた景色は、今日は霧の中、かろうじて谷間が時々覗きこめるぐらいだ。15時30分、孟祿亭で小休憩、さらに1.5K強を下り、16時12分、塔塔加登山口に戻る。下りは約3時間半であった。登山口に待っているシャトルサービスで、18号線の分岐まで戻る。費用は一人100元だ。そこから歩いて、16時半東埔山莊についた。距離13㎞、登り約900ⅿ、下り1700ⅿである。行動時間は、休憩込みで約13時間である。

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もともと、玉山山脈の群峰全部をいっぺんで登ろうと企画したが、抽選の結果玉山前五峰に変更、さらにそのうち北峰には登れなかった。しかし、残念とは思わない。それにあまる収穫があった。北峰は、残りの四峰と一緒に訪れればよい。違う季節に訪れるのもいい。
シャクナゲ(玉山杜鵑),背後は玉山南峰
朝陽に染まる白いシャクナゲの花
玉山に登りたいと思う登山者は、台湾一の、あるいは東アジアの最高峰を登りたいという思いで訪れるのだと思う。その中には、本当の山好きも多いだろう。また、普段から自国の山を多く登り、体力や経験のある人もいるだろう。こうした登山者にとって、玉山主峰だけで帰るのは、残念だと思う。確かに、玉山国家公園が設ける排雲山莊外国人枠は、主峰一泊登山だが、一泊でも我々のように前峰や西峰、東峰か北峰を合わせて一泊でも十分可能である。西峰には小神社が、東峰は鹿野忠雄のロマンが、そして北峰は日本時代からの気象台と、日本人登山者にとっては歴史を感じさせる要素がある。主峰だけでなく、ぜひこれらも合わせて登ることをお勧めする。

東埔山莊
今回の訪問は、往路は鉄道と東埔山莊のシャトルサービス、帰路は員林客運で日月潭に下り、そこからまたバスで台北に戻った。シャトルサービスは事前に連絡の必要があるが、それ以外はすべて一般交通手段である。個人で登ることも比較的簡単だ。費用的にも、今回は山岳保険などをいれても台湾ドルで約3500元、現行レートで約13000円である。

6 件のコメント:

  1. いつもお世話になっております
    相変わらずアクティブで何よりでございます。
    2点ほど、気になる記述が、、
    その1、どうでもいいことですが、阿里山鉄路の嘉儀ー北門は運休中でしょうか?
    時刻表には区間列車まで乗っていましたが、、、、
    公式発表の無いままの変更でしょうか?
    まあ、そんな事は「台湾あるある」ではありますが(^_^ゞ
    その2 排雲山莊外国人枠は1泊2日のみ受け付けですか?連泊はダメなんですか?
    その辺の事情がよくわかりません
    北大武の失敗を繰り返したくないので山小屋の予約には敏感になっておりますwww
    よろしくお願いします

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  2. ご回答します。
    一番目のご質問については、当局に訪ねたわけではないですが、嘉義のプラットフォームのレールはさびており、列車が往来している形跡がありません。
    二番目については、外国人枠として設けてあるのは、平日のいわゆる主峰一泊二日ルートだけですので、もし連泊というのであれば外国人枠ではなく、一般の応募抽選になります。圓峰山屋も外国人枠はありません。

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  3. soneさま
    ご回答ありがとうございました。
    嘉義の件、了解しました。
    当方、先の5/12夕方に訪れた所、北門駅で列車の入れ替えなどが全くなかったのでちょっと引っかかっていました。
    排雲山莊は日本語のHPで確認しました。
    確かに1泊2日コースのみになっていました。
    ところで、玉山東峰はランク的に単独行は不許可でしたよね、
    外国人の単独行ではsoneさんの今回のコースで東峰の代わりに北峰にするプランが、外国人枠で単独行で行くフルコースになりそうですね。
    今年の秋に4連休が取れればササッと行ければいいなと思っています。

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  4. あ、もう一点
    登山口のシャトルは予約が必要ですか?
    それとも成り行きでOK?、座席が有る程度埋まったら出発とか、、
    どんな感じでしょうか?

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  5. 山岳難度表による制限は、いまのところ雪霸公園(正確には、玉山公園も長期縦走の場合は、三日以上の3000m峰縦走経験証拠を求められる)なので、公園側の制限はないはずです。ただし、外国人枠とのからみであるかどうかは、確認してみてください。
    警察派出所(玉山登山服務中心)と塔塔加登山口のシャトルサービスは、7時半から17時までは、派出所或いは登山口に待っています。人数が埋まったら出発するようです。それ以外の時間帯は、約50分ぐらいの徒歩になります。

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  6. soneさま、
    ご丁寧にありがとうございます。
    やはり、外国人の単独行だと、この辺りから攻めるのが順当なようですね。
    ちなみに、現地までの足は毎年虎尾詣でで実績のある嘉儀で出租機車しようと思います。

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