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2021-04-19

2021年4月17日 宜蘭大同鄉香本山 雨の不人気ルートを歩く

台灣檫樹のある香本山山頂

台湾の主要山脈のうち、雪山山脈と中央山脈は多くの高山を有し台湾島の背骨を構成している。宜蘭の蘭陽溪と今は亞口と呼ばれるピアナン峠分水嶺の向こう側大甲溪とがこの二つの山脈の間を分けるように流れる。雪山山脈は、その北端は三貂角で海から立ち上がり、南へ盟主雪山主峰へと続き、南へまた下がっていく。その長い山脈には名も知られない峰が多くある。今回の登山対象は、日本人の苗字香本と冠した香本山(標高1755m)だ。名前の由来がわからないが、主脈上の瑪瑙山近くから東へと延びる支稜上の小ピークである。訪れる登山者も少ない不人気山だ。

山頂を往復
南山村付近の二日の登山ルート
今回の登山対象選定には二つの理由がある。一つは、翌日に行う佐米縱走の前日でその近くで短時間で登れること、二つはいずれ克拉業山から北へと続く主稜線を歩くことがあるかもしれず、その下見的な意義があることだ。山道は、不人気山である所々はっきりしない部分もある。マーカーリボンはそこそこあるが、途中補ったところもある。天気が良くなく、ほとんど雨の中の登山となったので、余計に苦労があった。

宜蘭員林を通過、天気は思わしくない
6時50分に二台の車で台北を出発、今回は全員で9名だ。第5号高速を降り、7時55分途中のコンビニで休憩をとる。雨粒がウィンドシールドに落ち始める。天気はどうも思わしくない。台7線から台7甲線に入り、蘭陽溪沿いに登っていく。広い河川敷にはキャベツが多く栽培されている。川幅が狭まり、両側の山が高くなってくる。9時半前、南山村の前で右に進む道路に入る。両側のキャベツ畑の間を登り、9時45分香本山登山口(標高1090m)に着く。周囲は霧で真っ白だ。

駐車場所から望む、左は工事現場、全面の谷から登る
帆布シートの簡易池の脇を行く
登山口周囲は、土木工事が進行中だ。どうやら沢の砂防ダム工事のようだ。現場脇のスペースに車を駐車し、雨具をつける。気は重いが、仕方がない。10時に出発する。霧が濃く遠くまで見えない。山道は、どうやら工事中の現場を横切り向こう側の畑を回り込んでいくようだ。畑脇の道の突き当りから右に進む。沢を渡る。たいがいは見かける登山口を示すマーカーリボンがない。沢を過ぎると左に沢沿いに道が進む。そのうちにマーカーリボンを見る。周囲の様子もネット上資料と同じ青と白のストライプシートを使った簡易池が現れ、道筋が正しいことを確認する。

急坂にとりつく
急坂を登る
簡易池のすぐ右側から山道は急坂になる。勾配がとてもきつい。GPSの記録では60度あるようだ。頼りないロープがあるのが幸いだ。土は雨で崩れやすく、左右にはつかむことができる樹木がほとんどない。草も頼りないものばかりだ。中にはとげのある草もある。触ると痺れる毒草咬人貓まである。約40分ほど急坂に苦しみ、やっと尾根上に上がったようで勾配が少し緩くなる。広葉樹の間の道は、踏み跡が少しはっきりする。11時38分、道脇に山の字がある基石がある。標高は1500mぐらい。小休憩をとる。先ほどの急坂登坂開始前に折り返した一人に加え、二人が諦めて先に下山する。

尾根にとりつき坂が緩くなる
山の字基石
香本山東南峰
10分ほど進んで高度差を50mほど稼ぐと、右にちょっと頂上らしいところがある。基石もある。ここが香本山東南峰だ。古い山名表示が脇の樹木に取り付けてある。道は少し平らに進み、心持下る。その先から山頂へ向けまた上りが始まる。尾根はかなり細いナイフリッジも現れる。幸いロープが取り付けてある。12時46分、眼前が開けて大きな石が重なる広い尾根になる。石はみな苔で緑だ。標高も1650mぐらいで残り100mほどになった。倒木が道を遮る。道筋を見失う。方向を見定めて探すと、また踏み跡がある。最後の急坂を登り、13時香本山山頂(標高1755m)に着く。雨はまだ霧雨状で降っているが、助かる。

大石のセクション
山頂かの最後の急坂
雨の不人気中級山山頂、自分でも何が面白くて登るのかと思う。ただでさえ、樹木が茂る山頂は展望があまりないが、ましてや霧では何も見えない。ただ、この山には開発や森林伐採で少なくなった台灣檫樹が生えている。台湾の国蝶寬尾鳳蝶はこの樹木の葉しか餌にしない。そのため、国蝶は絶滅危機種になっている。霧雨のなかで食事をとる。

香本山山頂
倒木帯を下る
13時、白いシャクナゲが咲く山頂を去り下り始める。登りで通過した大石セクションは、道筋がわかりにくいので注意が必要だ。倒木部分は、逆方向からだとあまり迷わずに通過できる。14時21分、上りでは気づかなかった2006年8月日付の古ぼけた道しるべを見る。尾根を離れ、右に斜面を下り始める場所は注意が必要だ。雨でぬれている落ち葉の道は踏み跡がはっきりしない。

2006年日付の古い道しるべ
急坂を下り始める
登りで苦労した急坂は、下りも大変だ。わずかにある樹木も枯れていて頼りにならない。最後のセクションでメンバー一人が足を滑らし、少し滑落した。幸い途中で引っ掛かり、ほかのメンバーの手助けで事無く済んだ。15時15分、簡易池の脇に降りる。15時35分、登山口に戻る。泥だらけになった長靴や雨具を、近くにある水桶の水で洗う。歩行距離は4㎞足らず、登坂下降はともに650m、昼食以外はほとんど休んでいないが休憩込みで約5時間半だ。コース定数は18だが、雨と坂で苦しめられたので、感覚的にはそれ以上だ。




民宿で扇風機でぬれた衣服を乾かす


15時50分、南山村の民宿に向けて車で下っていく。5分ほどで台7甲線にでて、右に進む。10分足らずで、予約の民宿に投宿する。民宿は登山者が多く泊まるので、オーナーも登山者の様子がわかっている。雨でぬれたものを扇風機の風にさらし乾かす。シャワーを浴び、17時半隣の牛肉麵店で夕食をとる。民宿に戻り、雑談後21時には就明日の好天を期待して寝する。


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