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@姜子寮山山頂 |
去年12月から三カ月ほどイギリスに滞在していた。今回は、台湾に戻って初めての登山である。場所は、以前良く訪れていた平溪から汐止への山だ。姜子寮山は
1 1年前に初めて訪れて以来、何回か登頂している。今回は、
五年ぶりの登頂だ。この山を選んだのは、その南に伸びる稜線上にある姜南山-柴橋坑山の稜線道と、それへのアプローチの山道が、ボランティアによって整備され、再び歩けるようになったからだ。下山は、
一度登りにとった姜子寮古道を下り、途中から姜子寮絕壁へと下る道を歩いた。久しぶりに訪れた台北郊外の山は、やはり自分にとってホームグランドであり、自分はTaipei Hikerであることを、再認識した。
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姜子寮山主稜付近から姜南山(手前)と柴橋坑山を望む |
台湾はちょうど土日を入れて五連休である。多くの人が海外を含め遠出をしている。その連休の二日目で、参加者は少ないとふんでいたが、直前に多くのメンバーが参加を確認し、当日出発時には20名を超えた。久しぶりの山行なので、しばらくぶりの再会という意味もあり、集まってきたのだと思う。ルートそのものは、整備されているが柴橋坑山の登りからロープの急坂が始まり、稜線上の小ピークはかなり急坂なので、これもロープが張めぐされたようなルートであった。人数が多いこともあり、さらに以前一度登った姜子寮山直前の急登も、しばらくの雨で路面の土は滑りやすく、当初考えていたより時間を要した。朝はまだ霧がかかっていた天気は、昼にはすっかり晴れて展望することができた。
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南から北へ山越え |
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満員の795番バス車内 |
7時半、木柵から795番バスで平溪慈航宮バス停へ向かう。台北から平溪へ向かうこのバス路線は、平溪観光が人気を増すにつれ、10年前の田舎のバス路線から観光路線へと性格が変わってきている。登山人気も高まり、登山者の利用も増えている。主要なMRTとの乗り換え地点である捷運木柵站バス停で乗客が大勢乗り、車内は立席も含め満員である。
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慈航宮バス停で下車 |
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嶺腳駅 |
雙溪公路を進み、分水嶺を越えると平溪の谷間である。谷の両側の山は、まだその上部は霧のなかだ。菁桐や平溪のバス停を通り過ぎ、8時半慈航宮バス停で下車する。途中で乗車してきた仲間も下車し、谷間の嶺腳集落へと下る。基隆河を渡り、平溪線嶺腳駅に着く。ここでも汽車でやってきた仲間が数人合流する。今日は、都合21名となった。
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滴水觀音への歩道入口 |
8時45分、歩き始める。石炭産業が盛んな頃炭鉱の街として発展した嶺腳の集落は、十分などに比べると観光産業の恩恵はあまり受けていないようだ。近くに当時の富豪の家などがあるが、全体的には寂れた感じだ。集落を抜け、今は舗装道路となっている台車道を行く。台車とはトロッコのことで石炭運搬に使われた。もちろん、とうの昔に軌道は取り除かれている。橋を渡り、少し登り気味に進む。
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新しいコンクリ製橋 |
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五年前の同一地点 |
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砂防ダムの対面から登山道 |
9時3分、右に滴水觀音靈巖寺への歩道入口を通り過ぎる。その先数分で、第二歩道入口を通過。五年前はここからは舗装が切れた土の道だったが、今は舗装されている。9時12分、枝沢を越える場所に来る。驚いたことに、立派なコンクリートの橋ができている。
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土地公祠 |
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窪んだ場所の急坂 |
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稜線へあとひと登り |
柴橋坑山への登山口は橋を渡りすぐに左に砂防ダムのところから始まる。砂防ダム上を越えてすぐに、道の左に土地公祠がある。前回沢沿いの古道を歩いたときには気づかなった。祠の中には神像はなく、香炉が置いてある。参拝はほとんどされていないようだ。早速急坂が始まる。雨で湿った路面は滑りやすい。急な坂には、多くのまだ新しいロープが取り付けられている。道は窪んだ谷間的な場所を登っていく。
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稜線上の分岐 |
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柴橋坑山山頂 |
登ること20数分で、稜線上の鞍部分岐に着く。柴橋坑山山頂は、左に稜線を登ったところだ。多くのロープが取り付けられた狭い急坂尾根を登る。9時48分、山頂に登りつく。山頂は狭く全員がやっと集合写真を撮れるぐらいだ。北側は樹木の間から姜子寮山の主稜線がまだ雲に隠れているのが見える。往路を鞍部へ戻る。人数が多く、こうした難所では時間がかかる。
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鞍部で全員を待つ |
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急な上り下りが続く |
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稜線道から姜南山の岩壁を望む |
全員がおり切ったところで、10時15分過ぎ稜線を北へ向かう。小さなピークはその前後ともに急坂で、取り付けられたロープがありがたい。姜南山への登りの前に、三か所ほど小ピークうがあり、その一つの下りは丸太の踏み台が取り付けられている。
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姜南山山頂(右)への分岐 |
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姜南山山頂 |
11時15分、姜南山山頂への分岐に着く。山頂は右に登っていく。3,4分で山頂に着く。その南東側に大きな岩壁を呈する姜南山の山頂はとても狭い。全員が同時に立つだけの広さはない。南には、山頂から南を望むと、歩いてきた稜線とその突端に柴橋坑山が頭をもたげる。北側は、取りついてた雲はとれ、主稜線が望める。まだ高く遠い。
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稜線突端に柴橋坑山のピーク |
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姜子寮山主稜線 |
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鞍部十字路に向けて山腹を下る |
分岐から山頂西側を巻いて下り、最低部からまた登り返す。小ピークを越えて11時49分、やっと鞍部十字路に降り立つ。メンバーのうちの一人は、沢沿いの古道経由で登り、ここで待っていたが、かなり待ったようだ。人数が多く難所を通り過ぎるのに予定より時間を費やした。かなりの急な上り下りで来たので、主稜線前の急登の前に食事休憩をとり体力を回復する。
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鞍部で食事休憩 |
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滑りやすい急坂を登る |
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急坂はもうすぐ終わりだ |
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振り返ると展望が広がる |
12時20分過ぎ、稜線までの落差約200mの登りにとりかかる。すぐに勾配が急になり、ロープのセクションが続く。この部分もボランティアにより新しいロープが追加されている。水分を含んだ路面は滑りやすく苦労する。12時55分、やっと勾配が緩くなると同時に林からでてカヤの草原になる。山道のカヤは広く刈り取られ、助かる。後ろを振り向くと、広い展望が開ける。難儀してやってきた稜線と登った二つのピークが瞭然だ。少し進み主稜線の縦走路に合流する。
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起伏の少ない縦走路 |
全員が登ってきたのを待ち、姜子寮山山頂へ向かう。このセクションはもうキツイ上り下りはない。13時25分、山頂に着く。東西南北各方向への四カ所展望台は同じだが、山頂真ん中の三角点基石の脇には、立派な山名板が建てられ、小百岳山名プレートもある。高曇りの空の下、台北から基隆への谷間、南側には平溪の谷間が望める。景色は依然同じだ。
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山頂の筆者 |
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緑のカヤの中に赤のツツジが目立つ |
15分ほど過ごした山頂を後に、下山を始める。山頂から見えていた汐止から姜子寮へと続く目的地谷間は、まだ遠い。主稜線縦走路を西に行く。カヤの間を進む道も、急坂は滑りやすい。緑の中に目立つ鮮紅のツツジの脇を通り過ぎて林の中に入り、間もなく姜子寮古道の分岐に来る。右に折れて、下り始める。すぐ左に石を積んだ低い塀がある。
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姜子寮古道に入ってすぐ左に石積みの塀 |
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古道を下る |
姜子寮古道は、縦走路に比べると歩行頻度が少ないので、道の状態は落ちるが道筋ははっきりし、迷う恐れはない。勾配は結構急で、ロープセクションも多い。14時32分、幅広の未舗装道路に出る。ちょうど一台の車がやってきて停める。対面には門があり、車を降りた女性はここは私有地だから入るな、とのこと。地図上には、この場所から直接姜子寮絕壁への道があるので、登山者が入ったことがあるのだろう。
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山腹の幅広道にでて休憩する |
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右は姜子寮山へ |
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小學池 |
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姜子寮絕壁へ下る |
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大石の歩きにくいセクション |
しばしの休憩後、幅広道を進む。少し登り気味に山腹を行き、数分で右に姜子寮山方向への道を分ける。左の山腹道をさらに進み、15時小學池という表示のある貯水池の脇から、山道が始まる。このセクションも、かなり急な坂があるが、補助ロープなどは少ない。樹木の枝などを利用し注意して下る。下ること約20分、沢音が大きくなり水際に降りる。沢沿いの道は、大石がゴロゴロする場所で歩きにくい。湿った石の表面は滑りやすい。15時35分、沢を渡渉する。後方のメンバーがやってくるのを待つ。
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更に渡渉 |
15時50分、残り僅かな沢沿い道を行く。さらに二度渡渉する。先ほどの場所も含め、幸い水量もそれほど多くなく、ロープも取り付けられているので長靴でないメンバーも足を濡らさずに渡れる。16時、飲用水源という看板を過ぎ、絕壁脇の展望台が現れる。ここは観光地だ。数名の遊楽客が休憩している。我々も、ほっと一息、休憩する。初心者がこうしたルートに不慣れなこと、また人数が多いの、予定より1時間ほど多く時間を要した。帰りを急ぐ数名が休憩ととらずに先に下っていく。
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姜子寮路を徒歩で進む、背後に歩いた稜線が高い |
残ったメンバーは、20分ほど休憩し、石畳の歩道を下り始める。石畳道が終り車道にでる。駐車場を通り過ぎ、16時34分姜子寮に着く。ほぼ10年前に、新北市新巴士で汐止からここまでやってきた。当時は、姜子寮まで来るバスは少なかった。そこでそのまま汐平路の姜子寮口バス停まで歩くことにする。下り始めてしばらく、F905バスが登ってきてすれ違う。
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F920バスに乗る |
17時3分、姜子寮口バス停に着き、しばらくバスを待つことにする。10数分待ったが来ないので、あきらめてさらに歩き始めて間もなく、後方よりF920がやってきた。しかもそのすぐ後ろにもう一台が来ている。全員乗車し、17時40分には、汐止駅に到着した。
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縦走路に咲くツツジ |
GPSの記録では、距離約10㎞、累計登坂600m、下降750mとなっている。要した時間は約8時間半だ。コース定数は約25である。汐止と平溪とを往復する新巴士は、特に休日の便数を増加し、さらにF905とF920の二系統になっていた。数年前に比べてこの地区を訪れるのは、便利になったようだ。
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