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六分山から望む大香山と待老坑山(右のピーク、2013年10月撮影) |
新店はそのすぐ背後に小獅山が迫っている。この山は、尾根を追っていくと大香山を越え、
待老坑山から鵝角格山、十六分山を経て二格山からの尾根に出会う。そこで先月訪れた、
四面頭山や六分山などの連山と合流する。今回の歩きで、石碇から登る
筆架連山からずっと新店まで続く稜線をすべて歩いたことになる。
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西の新店から歩き始める |
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小獅山の歩行高度プロファイル、三つのピークが顕著 |
小獅山は三つのピークがある。その全てに展望台がある。新店から登る場合の二番目と三番目のピークには、高台の展望台が造られていて、その上からは周囲の樹木に邪魔されず景観を眺めることができる。小獅山は、台北盆地の周囲を囲む山々を眺めるとてもよい展望台でもある。この山の後ろの山には、住宅が開発され尾根上を車道が行く。車道を進んでいくと、右に大香山が、その先左には員潭坑山が現れる。一旦峠に下り、土地公のある鞍部を越えていく道を横切り、登り返す。その先は待老坑山へと登っていく。
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小獅山から筆架連山へ連なる山々と歩行軌跡 |
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中興路登山口 |
乾いた寒気団が訪れ、台湾は寒さに震える週末だ。空は青く晴れ上がり、絶好の登山日和である。こうした冬の日は、遠くまで見渡せることが多い。家を8時に出発、MRTで新店へ向かう。古亭での乗り換えがスムースで、30分足らずで新店駅に着いた。
前回碧潭へ行った時もそうだが、今日も新店駅からスタートだ。登山口はいくつかあるが、山の麓を行く中興路一段56号わきから登る。駅から高速道路の下を中興路に渡り、左に折れて進む。わずかの歩きで、車洗浄サービス店のわきに階段の登山口がある。入口には、登山口案内板があるが、相当時間が経っているようで、文字が薄れてしまっていて、あまり目立たない。
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石段登山道 |
石段を登っていく。草もけっこう生えていて、青苔も生えている。利用はされているが、それほど整備されているようでもない。道脇の木々の幹には、説明板が取り付けられているのは、親切だ。つづら折りの石段坂を登ること十数分、展望台のある天籟亭あずま屋がある。この山は、他の住宅に近い山と同じように、付近住人の運動や憩いの場所であるので、多くのあずま屋が設けられている。枕木になった山道を梅花獅子亭を右にみて登る。道標も完備されていて、道が多く入り組んでいるが、迷うことはない。登山口から20分と少しで、一番目のピーク(一峰)の獅子壽亭に着く。標高は約100mだが、台北盆地のヘリにあたるこの場所は、遠くまで展望できる。高速道路の橋が、新店溪を越えていく。その向こうは、
中和の山々が望める。新店溪沿いに高層マンションがたくさん建てられている。ずいぶんと発展したものだと思う。
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梅花獅子亭と枕木登山道 |
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一峰展望台から望む新店方向の風景、遠くは中和の山並み |
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木製階段道を登る |
一度少し下り、次のピーク(二峰)へ登り返す。急な斜面を木製階段で登る。登り切ったところは、第二ピークで2階建ての展望台が造られている。ここで標高約150mだ。第一ピークより広い範囲が望める。塗潭山から始まり、先程も見えていた中和の山、更には八里の
觀音山、そしてその更に右には
陽明山連山の山々が大台北をぐるっと取り囲んでいる様が判る。数名の中年登山客が、賑やかに談笑している。
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二峰展望台新店から中和の広い範囲が望める。高層マンションが目立つ |
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烏來方向の風景、手前対岸は湾潭山と和美山 |
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三峰の長寿亭 |
また、一度下り登り返す。下り坂の途中、右側に展望台がある。ここは新店や烏來の山々を望む絶好点だ。下の新店溪の対岸に和美山と湾潭山、その奥の左には直潭山,右に鹿鵠崙-猴洞尖、そして
獅仔頭山、粽串尖がある。その間の谷間には、
大桶山,
大保克山,
拔刀爾山が、その背後には
逐鹿山などの烏來と三峽の山々が望める。下りきり慈暉亭のあずま屋を過ぎる。緩やかな枕木階段の坂が続く。上から寒さに負けず上半身ハダカのランナーが下りてくる。登りつめたところは、長壽亭のある第三ピーク、小獅山の標高192m最高点である。時刻は10時10分、中興路の登山口から約1時間10分の道のりだ。三段造りの長壽亭展望台に上がる。犬を連れた家族連れが休憩している。ここからは、台北101ビルや陽明山連山から、
南港山や木柵の山々が望める。これから歩いて行く大香山やその奥の待老坑山の向こうは、鵝角格山や六分山、その奥に
二格山や
猴山岳も頭を突き出している。新店の
中嶺山から直潭山への連山が谷を挟んで控えている。一峰から三峰まで、角度や高度は換わるが、台北盆地周辺の山々が全部望めた。
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長寿亭三階から見る木柵、新店の山々 |
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三峰からの下り道 |
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長春路の登山口、緑9番バス停がわきにある |
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大香山バス停と9番バス |
長壽亭から降り、長春路に向けて下る。登山道には街灯もあり、夜でも登ってくるのが楽だ。小獅山からの台北夜景も悪く無いだろう。長春路登山口には、緑9番バス亭もあり登るのは簡単だ。長春路19巷を進む。ゆっくりとした登りの車道を行く。両わきには、住宅が続く。住宅街をすぎ、山腹を進む。緑9番の終點大香山バス停は、慈音巖の寺院分岐のところにある。バス停で休んでいた老夫婦の婦人が近づいてきて、尋ねてきた。ひと目で日本人だとわかったようで、こんな場所に一人でやって来たので、道を教えてくれた。自分は、このへんの地理はわかっているが、とても親切だ。ここから大香山へ登ることができるが、そのまま車道を進む。
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長春路19巷から見る101ビルと背後の陽明山連山(小観音山、七星山) |
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峠の土地公と待老坑山步道 |
更にゆっくりとした登りが続く。木柵に近づいてきたので、101ビルが近くなってきた。車道が終わりになり、待老坑山登山道が始まる。長い枕木階段を下っていく。犬をつれた老人が登ってきてすれ違う。下り切ったところは、木柵から新店側へ抜ける峠道だ。鞍部には土地公の神像が祭ってある小さい祠が設けられ、神前にはお供え物もある。信心深い人が常に焼香しているようだ。もともと、ここから木柵側へ下ることを考えていたが、時間も11時20分過ぎでまだ早く、もう一つ山を登って帰ることにした。
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優人神鼓 |
急な枕木階段坂を数分登る。道は小さなピークを越して畑を過ぎ、玉山路に合流する。途中にはサクラが植わっている。春先にはサクラが咲く、良い道だろう。玉山路を左に進み、有應公の少し先の道を右に折れる。これは優人神鼓への道だ。登って行くと左には檳榔林がある。檳榔樹の間からは、大香山などやって来た尾根筋が見える。優人神鼓のわきを過ぎ、枕木階段道を登る。三人のハイカーに、猫空ロープウェイ駅に行けるかどうか道を尋ねられた。稜線へでて右へ行けば、OKと答える。12時に待老坑山(標高382m)に到着する。今日の最高点だ。これで四度目の登頂となる。食事をとり、休憩する。
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待老坑山頂上 |
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老泉街から見る木柵方向の風景 |
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恒光橋から待老坑山を振返る |
10分と少し休憩し、基石の向こうに続く土の細い道を下る。この道は、反対側の整備された登山道に比べて、山腹にある杏林の上部への近道だ。杏林へ下る道にヒョッコリ出て、そのまま下る。2月に杏の花開くころは、とても賑わうこの場所は、冬の今はひっそりとしている。老泉街45巷の車道から、救千宮歩道を下る。
前回は雨の中で、景色はほとんど見えなかったが、今日は遠く木柵の街並み、政治大学キャンパスなどがよく見える。高速道路の下をくぐり、恒光橋をわたる。振り返れば待老坑山が控えている。13時12分に木柵路に着くと、ちょうど251番バスがやって来た。これに乗りMRT木柵駅を経由して帰宅した。
今回の山行は、距離11.3km、累計登攀高度636mである。所要時間は、休憩も含め4時間半弱というところだ。途中には舗装路も長く、けっこう速く歩いている。小獅山は、初めて訪れたが台北を眺めるのにとてもよい展望台の山だ。この山だけであれば、2時間もあれば十分だろう。来春、夜景を見るために夕方から行くのもいいかもしれない。この部分だけを取れば、困難度は、コース、体力要求度ともにクラス2である。今回のルートを追っても、体力要求度はクラス3だ。
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