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二等三角点のある那結山頂上 |
新年の初山行は好天のもと標高1520mの中級山登山、桃園県復興郷の那結山で始まった。地図上では那是山とも呼ばれる。こちらの山名は日本語読みでは「なぜ」山となるが、中国語では「あれは山」といった意味になる。元々は原住民泰雅族の山名から来ているのだと思う。桃園県は県境近く高い山々で他県とを境界を分つが、那是山は平地に近い山で、その尖った山容で復興郷の他の二つの尖峰、夫婦山と復興尖の二座と合わせ復興三尖と呼ばれる。
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北横公路大湾から登り、復路は栄華山を経て下山 |
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単一ピーク登山、下りは栄華山まで小ピークを越えて縦走 |
台北近郊の登山を始めて今年で5年目、登山活動を通じて様々な人と知り合い一緒に登るようになってきた。自分の年令と体力を考え、これから数年間は台湾のより高い山を登っていくことを考えている。行動範囲も、友人のサポートにより広がっている。今年の初登山は、台北から車で約1時間半の位置にある那是山から始まったことも、今後の登山方向を示している。勿論、台北に近い山にも登って行くが、遠くまた高い山も積極的に登るつもりだ。
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復興郷の中でも平地に近い位置にある |
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登山口へ向かう途中北横公路から前方に那結山を望む |
今回はVさんの車で他に同行者三名、自分も入れて五名パーティである。日の出前6時過ぎに自宅を出かけ、6時半MRT古亭から出発する。空は次第に白んで来る。第三高速道路を三峡で降り、第七乙省道から復興を経て第七省道、所謂北横公路を進む。大漢溪を橋で越え、羅浮の集落を過ぎる。左岸を進み28kキロポストの大湾に7時40分過ぎに到着する。Vさんは車を近くに駐車、準備をして8時前に出発する。空は晴れて、今日は格好の登山日和である。ただ、さすがに山の中なので気温は低い。
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大湾の登山口 |
道路脇に鉄の門があるが、そこから入る。左に道なりに登って行くと、山道が右側に始まる。はじめは左に網の仕切り沿いに少し進み、すぐ桂竹林の中を登っていく。約十数分歩くと、体が温まってくる。小沢を越える前で、ヤッケを脱いで服装を調整する。長袖のスウェットシャツと重ね着のTシャツだけで十分だ。竹林の中の急登が続く。歩き始めて約40分ぐらいで道は、緩やかな登りとなる。8時55分、少し休憩を取る。
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桂竹林の間を登る |
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道は後半杉林の中を登り、鞍部を目指す |
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稜線の鞍部に着く、帰路はここを直進し栄華山へ |
枝尾根を回りこみ緩やかな登りが続く。9時10分、涸沢を越すと急登が始まる。そのうち杉林の中を行く。中級山には杉林が多い。高度を上げていき9時40分、尾根上の鞍部に到着する。登山口から約1時間半である。足並みが揃い、よいペースである。小休憩のあと、尾根を那結山に向けて登る。すぐに竹林の中を過ぎる。竹林を抜けると、杉林が続く。勾配がきつくなる。10時24分、左から內奎輝部落からの道を合わせる。稜線上に岩が現れる。更に5分ほどで、少しくぼんだ場所に着く。右から拉號山(良羽鳥山)の稜線道が合流する。赤地に白の道標には、長い距離なので単独行はするなと記してある。ここでまた休憩する。稜線に出てからは、風が吹き抜け立ち止まると少し寒い。ここは凹んでいるので、風が当たりにくい。
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拉號山への分岐部、ここで休憩 |
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急坂を登る |
稜線道はすぐに急坂で始まる。倒木を越えて下ると、10時44分今度は嘎色鬧部落からの山道が合流する。ここから先は、道の状態が良くなる。那結山は、いくつかの登山道があるが、多くの登山者はこの最短ルートになる嘎色鬧登山口から登るようだ。登攀時間も当然短い。補助ロープのある岩場も現れる。急な登りが続く。尖峰といわれるぐらいなので、最後の部分は勾配がきつい。途中、下山中の二人とすれ違う。嘎色鬧登山口から往復登山だそうだ。11時11分、ニセピークにたどり着く。狭いフカフカした地面になっている。少し休憩を取る。那結山頂上は、樹木の間からすぐ向こうにそびえている。
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那結山頂上が眼前に現れた(ニセピークから) |
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頂上直下の岩場 |
一度下りまた登り返す。岩場や急斜面が次から次と現れる。最後のほぼ垂直な坂を登り切る。11時41分、展望のよい頂上に着く。三角点のある場所は、その少し先だ。すぐ左に先に烏嘴山方面への道を分け、三角点基石で登頂記念写真を写す。ここからは、西側に少し展望ができる。眼下には石門水庫(ダム)の青い湖面一部が望める。その向こうには桃園の大渓や八徳の街が望める。この山は、平地に近いピークである。展望のよい場所にもどり食事を取りながらゆっくり休憩する。冬の陽があたり、少しも寒くない。
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頂上からの雄大な眺め、正面は南挿天山、すぐ右隣りに拉拉山と夫婦山 |
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頂上の筆者 |
ここからは南側を除いてとてもよい展望がある。谷を挟んだ対面には南插天山の大きな山容がずっしり構えている。上部は雲が掛かってその隣に見えるはずの北插天山は、判別できない。右隣には拉拉山から夫婦山が上部に雲をかぶり座っている。すぐ手前の拉號山の向こうは金平山が、そしてその奥には
白雞三山、その左には
五寮尖連峰が連なっている。東に目を向ければ、烏嘴尖から防列區山への稜線の上に
李棟山の丸い山頂がのぞいている。実に雄大な眺めだ。そのうち人声が聞こえ始め、三角点の方角から登山パーティがやって来た。
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西方向を望む、桃園方向の街や五寮山連山、金平山などが望める |
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頂上直下から下っていく稜線を望む |
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岩場を慎重に下る |
12時半下山を始める。登りは手足を使った登りだが、下りも当然同じように手足を使い下る。登り以上に慎重に足場を確認して下る。12時56分、登りの際に小休憩したニセピークを通り過ぎる。坂が緩くなり13時15分、嘎色鬧登山道分岐を通過する。道の程度はここから落ちる。歩行量が少ないようだ。そのまま進み13時22分、拉號山分岐に着く。休憩をとる。內奎輝への分岐を過ぎると、杉林の中の急坂が始まる。13時58分、大湾への分岐鞍部にたどり着く。
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杉林の稜線を下る |
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草に覆われた栄華山への稜線道 |
事前の予定では、時間が早ければ榮華山を経由して下ることにしていた。冬の早い日暮れまでまだ3時間以上ある。全員に体調を確認し、榮華山への稜線を経由して下ることにする。稜線上なので当然小ピークがあり、上り下りが現れる。鞍部からは、落差数十メートルの登りが始まる。道の状態は、それまでにまして良くない。幸いこの高度たと茅藪は無いので、藪こぎはあまり無いが、踏跡がはっきりしない場所も多い。幸いに標識リボンは古ぼけたものも含めて、適宜現れる。
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稜線を忠実に追っていく |
登ること十数分、1131峰を通り過ぎる。次のピークへ下りまた登る。道は草がかぶさった部分もあるが、雑木林の稜線を追っていくのでわかりやすい。どういうことか道沿いにはビニールの網が埋めてある。もともと、この山道を整理する目的なのか。更に上り下りを繰り返し小ピークを越えていく。そのうち、左側に直径数ミリのワイヤーが平行に走っているのに気づく。この辺りは、以前何か作業が行われていたのだろう。ワイヤー脇の樹木が、幹が育って太くなりその中にワイヤーを取り込んでいる。結構前に設置されたワイヤーのようだ。
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ワイヤーを飲み込んだ樹木 |
15時3分、1071峰を通り過ぎると急坂が始まる。15時15分、稜線上に突然トタン板の二階建て小屋が現れる。窓はすでに壊れてなく、廃棄されて大分時間が過ぎている。小屋には電気が引かれていたようで、周囲には絶縁碍子のかけらなどもある。先ほどのワイヤーもこの小屋と関係が有るのだろう。大湾からの登山道でも太いワイヤーがあったので、この一帯は森林作業が行われていたものと思う。小屋のすぐわきは草薮で、道は見当たらない。稜線方向に斜面を少し行くと、ひっこり山の字の基石がある榮華山頂上(標高1015m)が現れる。この辺りは、今は微塵も「栄華」は感じられないが。
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忽然と現れた廃棄トタン小屋 |
下り始めて道のすぐ左に、変圧器の内部部品と思われるものが転がっている。メンバーの一人が持ちあげるがとても重い。銅線コイルのようだ。碍子なども転がり、電柱があったようだ。すぐに竹林が始まる。びっしり生えている桂竹は、狭いところだとすり抜けて通らなければならない。更に枯れた竹が無数に倒れて、行く手を塞ぐ。時間がかかる下り道だ。数分で竹林を抜け、雑木林を進む。大きな木塊が転がっている。その昔ここには巨木があり伐採されてその一部だったものだろうか。数分の雑木林の下りのあと、また密生した竹林の道となる。20数分下ってくると、竹林の道は少し歩きやすくなり、夕陽が差し込んでくるようになる。夕陽の中の竹林は、美しい。
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倒れた古竹が行くてを遮る |
16時13分、前方にステンレスの水タンクが現れすぐに果樹園のわきに出る。登山道はここで終了だ。開けた果樹園から前方に夫婦山と拉拉山が高くそびえている。思わず足を停めて、しばし見とれる。陽は傾き始め山には長い影が広がっているが、頂上はまだ夕陽に輝いている。舗装された道を下り始める。ここは桃の果樹園のようだ。少し下ると、放し飼いの鶏囲いを過ぎる。10分ほどで洞口部落の民家前に下りる。数匹の犬が吠えている。家の前の住人と言葉を交わす。そのわきからすぐ下の北横公路に下りる。降りたところは、榮華分班のバス停だ。バス停名が示すように、はやりこの辺りは林業が行われていたようだ。
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登山口の果樹園から望む夫婦山と左奥の拉拉山 |
北横公路を約2km先の大湾に向けて歩き始める。榮華隧道をくぐる。その先道脇で、最後の休憩をとり、残っていた果物などを食べる。陽が傾き、気温もさがってきたようで、少し寒さを感じるが、歩いている間はOKだ。右の深い谷は、大きく迂回し流れている。普段は車で通りすぎてしまう道だが、こうしてゆっくり歩くと景色を満喫できる。北横公路を歩いて行くのも悪くない。そのうちVさんはやって来た一台の地元の人の車に便乗させてもらい、先に大湾へ車を取りに行き、17時に車でもどって来た。ちょうど大湾への中間あたりの地点である。北横公路は約1km歩いたわけだ。帰路上大湾の道脇にある小料理屋で地元の材料を使った食事をとり、ビールで祝杯を上げる。運転するVさんには申し訳ないが。愉快な食事のあと、気さくな原住民の女将に見送られ、18時過ぎ台湾に向けて帰途に着いた。
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北横公路から望む大漢溪の渓谷 |
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大湾道脇の小料理屋で食事をする |
今回は約11kmを9時間で歩いた。登攀累計は約1180mである。ほぼ山道の歩きで、竹林の中や岩登りなど時間を要する場所も多くあった。実は、年末年始は海外旅行などで十数日山登りをしていなかった。その間にジムで運動したり旅行先で歩いているが、このような山登りではなく運動量が少なかったようだ。山登りから二日目の今日、久しぶりの筋肉痛で歩くのが辛い。いかに途切れなく山歩きをしていることが大切が、改めて思い知らされている。
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