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2018-07-16

2018年7月14日 烏來下阿玉山 一日だけ賑わいの不人気山登山

林道から見る下阿玉山
先月苦労した烏來落鳳山登山の際に桶後溪の向こうにみた下阿玉山は、標高は1089mとそこそこあるが、まったく展望もなく人気の山ではない。ネット上の記録も少ない。最近のものもない。落鳳山のようにあまり道の状態が良くないことを想定していったところ、草が刈られていて道筋も一部が草に埋もれていた以外には、かなりはっきりしていた。5月に発生した阿玉山の遭難で、レスキューチームがこの道筋から捜索にあたり、その際に道を整備したのかもしれない。枯れた刺藤などみると時期的にはそのようなものに見えた。

孝義から下阿玉山を往復
往復なので左右対称な歩行高度
阿玉山(標高1420m)は、烏來と宜蘭とを隔てる山塊のうちで主要な山である。桶後溪と南勢溪との間の山々の元締め的な位置にある。実は阿玉と名がつく山は、この下阿玉山だけでなく、中、東、西とそれぞれ頭に抱いているピークが取り巻いている。更に阿玉溪山もある。これをいれると全部で六座の阿玉山があることになる。これらの山々は、けっこう深い。筆者が過去が登ったのは、波露山のみだ。一昨年の台風で烏來は壊滅的な被害を受けた。その後烏來の山には行っていなかった。今後は、この地域の山を登ることがあるだろう。
下阿玉山山頂のメンバー(CT Chenさん撮影)
烏來バスターミナルでタクシーに乗る
烏來へは台北駅近くから849番バスが頻繁に往復している。今回も公館に7時半に集合し、バスで向かう。休日の今日は、MRT新店駅に着く前に満席だ。さらにかなりの乗客が新店駅でのりバスは満員になる。先週の水曜日に通り過ぎた瑪麗亞台風のあと、好天が続いている。谷あいから望む空は青い。8時35分に終点烏來バスターミナルに到着。その少し前で待っているタクシーに分乗する。最初は400元といっていたが、先月は300元だったのでそれを主張し300元となる。台湾のタクシーは台北などの大都市ではメーターで走るが、こうした郊外だと値段交渉が必要である。三台の車で孝義の桶後林道入口へ向かう。

林道入口
はらわたの飛び出た青蛇
乗車20分足らずで、9時前に林道入口前に着く。自家用車でやってきた数名のメンバーと合流する。今日は、19名と不人気山としては予想外の大人数だ。林務局管理下の桶後林道は、以前は申請すれば自家用車で入ることができた。2年前の台風で寸断され現在は復旧工事中で、一般車両は進入制限されている。9時過ぎ歩き始めてすぐ、道端の管理所で名前を登録し進む。道の真ん中に全身緑の青蛇が押しつぶさ内臓が飛び出た状態で横たわっている。まだ死んではいない。生命力がとても強いようだ。道は右に西坑林道を分け、下っていく。大きく左に曲がり、阿玉溪の橋を渡る。

登山口前で撮影、右のピークは大保克山
急坂が続く
橋を渡ってすぐ右の石積のところに、登山口がある。マーカーリボンが取り付けられている。9時20分過ぎ、登り始める。道の状態は不人気の道としては普通だ。沢沿いにトラバースしていき、そのうち山腹を登り始める。登山口から山頂までの高度差は約800ⅿぐらいだが、片道2㎞強なので距離が短いので勾配がきつい。道がジグザグになっていればまだしも、斜面を直線的に登っていくのでこのような勾配である。道筋は、思っていたよりよい。さらに草も刈られている。最近別の登山者が入ってきたようだ。雑木林の間に杉もある。人工的に植えられたものだ。最後にロープが取り付けられている急坂を登り切る。標高400M少しの地点で尾根上にでる。少し休憩をとる。

古い道標
杉林の急坂を登る
狭い岩の尾根を行く
尾根上の道も相変わらず等高線がつまった急坂が続く。杉林と雑木林が交互に現れる。10時48分、1997年と記された古い道標を見る。阿玉山にいくつかのルートから登ってそこで落ち合う活動(會師登山)が行われたようだ。その少し先で、わずかに坂がなだらかになるが、また急坂が続く。11時過ぎ、標高700Mを過ぎるあたりで、尾根が狭まり岩が現れる。下草もあまりなく、すっきりした尾根だ。左に樹木の向こうに落鳳山が見える。尾根がまた広くなり、下草も現れる中を登る。11時20分、標高830Mあたり少し開けた平らな場所に来る。ここで休憩を取る。

開けた場所で休憩を取る
墜落した軽飛行機の残骸
山頂前の杉林、道筋があまりはっきりしない
休憩後、最後の登りを行く。十数分で坂が緩やかになってくる。尾根上に出た後はいままで風があったが、ここまでくるとさらに強く吹いてきて、全身汗まみれのところに気持ちがよい。気温は28度ほどだ。12時4分、左に墜落した軽飛行機の残骸を見る。緩やかになった広い尾根は、杉の倒木をくぐってすぐ左に折れて進む。この辺りは草が道を覆い隠している。杉林の中を過ぎ、12時17分すぐ左に思いがけなく山頂が現れた。三角点が埋められている頂上はそれほど広くない。周囲は樹木で、展望はない。ここで休憩し食事をとる。

下阿玉山山頂
ゆるかな山頂近くの下り
数人がビールを携えてきたので、開けてみんなでいただく。本来はゆっくりするつもりであったが、20分ほどするとスズメバチがやってきた。偵察ハチのようで様子を見ながら飛んでいる。メンバーはじっとしてハチが立ち去るのを待つ。ハチを脅かすようなことはしなかったので、敵意なしと判断したのかもしれないが、安全をとってすぐに頂上を立ちさる。台湾の山々は、夏から秋にかけてスズメバチが多く現れ、襲われることもしばしばだ。

急坂を下る
道筋ははっきりしている
12時52分、往路を下り始める。頂上近くの緩い坂を過ぎると、きつい登りは急な下り坂となる。下から知人の四名ハイカーが登ってきてすれ違う。今日はこの不人気山は、突然にぎやかだ。13時35分、上りで休んだ広場で休憩を長めにとる。休憩後さらに下る。相変わらず坂は急だ。40分ほどで、標高400M強の尾根に上がる部分に着く。ここで全員が下ってくるのを待ち、最後の山腹の下りを行く。沢音が大きくなると、みちは右に山腹をトラバースし、14時57分登山口に降り立つ。橋脇の日陰で最後のビールを開け、全員が降りるのを待つ。15時15分、林道を登り始める。林道からは右に上った下阿玉山がどっしり構えている。15時28分林道終点に着く。車でやってきたメンバーの車に便乗し、帰途についた。

登山口についた
登り約3時間、下り約2時間である。ほとんど展望もない山で、何が楽しいのかと聞かれれば答えにつまる。しかし、山をひとつ登ったことは満足感がある。今回は、一つだけの、それも往復とも同じ道という単純な登山だ。あまり登山者に注目されない、この山は前回落鳳山に行かなければ、筆者のリストにも登らなかったかもしれない。現在の道の状態であれば、困難度はルート、体力ともにクラス3である。

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