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三員縱走道標 |
今回の山行は、寒くて雨の多い台北を離れ、2時間半の汽車の旅で訪れた苗栗縣の登山である。,苗栗縣でもすぐ南に台中と接するこの三義鄉は、近くにその独特な地形で
小百岳火炎山が有名だ。第一高速道路で台中から北に向かうと、大安溪を越すときに左側に赤い崩壊面が特徴の火炎山を見逃すことはない。坂を登りつめ、インターチェンジを越えて下り始めるとき、右に山並みが続く。今回の目的地は、この山並みである。高速道路から見るこの山並みは、特徴があるような山ではない。しかし、登ってみると思わぬ展望が得られた。稜線道は切り立った場所もあり、山道もかなりの部分に手すりなどが設けられ、大衆登山を想定した整備がされている。
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南から北へ縦走 |
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歩行高度表 |
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縦走路の位置、東側には多くの山がある |
この縦走路は、標高567mの三角山から339mの員屯山まで基本下りの歩きだ。しかし途中には高度差は大きくないが上り下りがけっこうあり、それなりに時間がかかる。南北にずっと伸びる一本の稜線なので両側の展望が望める。特に東側は、空気が良くないのかかすみ気味だが、かなり高い中級山も確認できる。いままで、脇をただ通り過ぎりだけの山も実際に歩いてみると、その価値に気づく。今回は三義駅から歩きはじめ、稜線をおりて銅鑼駅へと、行きかえりとも汽車の旅である。各駅停車(區間車)だけが停まる駅なので、台北から片道二時間半と交通機関の時間が長い。急行で行き乗り換えも考えたが、時間的にうまく合わない。ゆっくりと各停で行くのも、またそれは面白いものだ。
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員屯山山頂のメンバー |
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各駅停車で三義駅に到着 |
台北7時4分発の區間車で出発する。ホームで同行のメンバー三名と出会う。今日はこの電車か目的地の三義駅で集合の約束だ。平日の通勤通学時間帯なので、桃園や新竹近くでは満員になるが、その間はかなり空席がある。銅鑼駅を過ぎて、電車は勾配を登っていく。左に目的の山並みが見え始める。9時40分、三義駅に着く。地下道をくぐり駅舎に行く。三義は、木材彫刻が有名で、地下道などには作品が飾ってある。駅舎で今日のメンバー全員がそろう。今日は全部で九名だ。
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中央の鉄塔のある山頂が三角山 |
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駐車場わきの登山道案内 |
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石段の乾いた登山道 |
支度をして9時52分、駅から歩きはじめる。右に進み鐵路英雄地下道と名付けられた地下道で線路をくぐり反対側へ行く。駅の脇から離れ、高速道路方向に進む。三角山への道標が曲がり角に取り付けられている。前方に目的の三角山が見える曲がり角に三角山登山道の看板がある。その道を進み、高速道路をくぐる。いままでこの上をどれだけの回数通過したことか。高速道路の下を抜け、左におれて坂道を登っていく。10時9分、駐車場につく。その奥から登山道が始まる。桐花步道導覽と記した道案内図がある。4月には油桐花が多く咲くそうだ。
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A線とB線の分岐点 |
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三義を見下ろす、駅も見える |
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プロパンガスタンクが木につるしてある |
あまり雨が降らないので、北部の山と違い道は乾いている。今日は登山靴できたがまったく問題ない。石段の道を登っていく。数分で分岐に来る。A線B線と二つの道があるが、ともに頂上前で合流する。左B線は緩やかな道、右A線は急坂の道とある。右にとり進む。確かに少し急な場所もある。10時28分、右側の樹木がきれて右下に三義駅や街並み、そして高速道路が望める。その少し先で、小休をとる。古いプロパンガスタンクが木につるしてある。
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ロープの急坂 |
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三角山頂上下の石碑と涼亭 |
道は枝尾根に取りつき高度を上げる。ちょっと補助ロープがかかる急坂を登り、10時46分麓から見えていた大きな送電鉄塔の下に着く。そのわきには涼亭があり、三角山と記された石碑もある。山頂(標高567m)はそのすぐ上だ。天気が良く汗が流れる。ただ、風があり気持ちが良い。冬の低山登山は実に快適だ。山頂はそこそこ広いが、展望はない。10分ほど山頂で過ごし、縦走路を進む。
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三角山山頂 |
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狭い尾根の部分は両側に手すり |
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木製キロポスト |
すぐに急な坂になるが、長くなくまた登りになる。その間には少し平らな森を抜けていく場所もある。土の道は、黒い布で階段状に造ってある。初めて見る対応方法だ。木製ベンチがあるが、もう壊れて座れない。メンテがされていない。尾根が狭いところは、手すりが取り付けてある。広葉樹がほとんどで葉が落ちているいる場所もあり、縦走路は明るい。11時23分、樹木が倒れて道を塞ぐ。まだ切り取られていなので、そう古いものではないようだ。木製キロポストがあるが、手書きで追記しているがよく見ないと文字が判読できない。
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小さな登り下りが続く |
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樹木の切れ目から左に三義の谷と対岸の台地が見える |
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三角山北峰を越え後ろに三角山を見て進む |
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雙峰山前の急坂 |
11時43分、樹木が切れた小ピーク上からみると、谷を挟んだ台地の上には、いくつかの大きな建物が見える。さらに10分ほど進むと、三角山北峰(標高560m)につく。山頂には十数名からの登山者がちょうど昼食をとっている。山頂の角から左前方に慈惠宮の黄色建物の一部が見える。朝の電車車窓から見えた建物はこれだ。我々はさらに道を進み、雙峰山を目指す。近いようでなかなかつかない。12時13分、前方がまた開け右奥には広い街並みが山際まで広がっている。苗栗公館の街だ。前方の鉄塔がたっているピークが雙峰山だ。さらに10数分進み、最後に急な坂を登りきると雙峰山(標高538m)だ。ここも十数名からの登山者がそれほど広くない山頂で食事をしている。
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慈惠堂 |
もともとここで昼食をとるつもりだったが、スペースがない。そこで、縦走路から離れ西に慈惠宮へ向かう。一度鞍部にくだりまた登り返す。雙峰山西峰(標高538m)を越えてすぐ慈惠宮に12時38分に着く。山頂のすぐ下に大きく造られたこの廟は、黄色に塗られてとても目立つ。建物から広い展望が広がる。北には高速道路がカーブを描き、その向こうに銅鑼の街がある。銅鑼駅もわかる。廟の大きな屋根の下で食事をとる。先ほどの雙峰山山頂で食事をとるよりずっとよい。塞翁失馬というところか。ここには水道やトイレもある。
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慈惠堂から見る広いパノラマ |
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銅鑼方向の拡大 |
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先ほど大勢の登山者がいた雙峰山山頂 |
50分ほどの食事休憩のあと、13時半雙峰山へもどる。先ほど山頂で食事をしていたグループとすれ違う。この登山グループメンバーは、年齢が70代の人が多いようで、リーダーと思われる人のベストには老爺登山隊というネームが入っている。往路では、一度下るので厄介だと思った坂は、それほどの苦労なく10分ほどで戻る。通信塔の下から、縦走を続ける。今までのセクションは、三角山步道としての位置づけだが、ここからは慈惠宮步道となる。地図もキロポストも異なる。行政単位としては、すでに三義鄉を離れ銅鑼鄉だ。
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遠く前方には員屯山 |
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石製キロポストとベンチ |
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冬の低山歩きは快適だ |
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雙峰山北峰 |
いままでほぼ同じような高度の山が続いたが、これからは下りが大きくなる。前方に最終のピーク員屯山が下方に盛り上がり、その先には盆地が広がっている。慈惠宮步道も多くの場所に手すりが設けられている。14時4分道の真ん中に三角点がある雙峰山北峰(標高451m)を通過する。道わきの休憩所の木製ベンチは、壊れている。キロポストは、そうしたメンテのない施設に比べて不似合いな花崗岩の立派なものだ。そしてそのキロ表示が整数でなく、 1.495㎞などという端数のへんてこなものである。14時18分、少し壊れている休憩デッキで休憩する。
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990mキロポスト |
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72快速道路が谷間へ入っていく |
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員屯山山頂下の涼亭 |
14時50分、495mの花崗岩キロポストを見る。そのすぐ先右に、泰安方向へ72快速道路の高架橋が谷へ入っていく。その谷の奥の方に霞んでいるが高い山がある。おそらく
樂山だろう。その手前の尖った山は
東洗水山か。さらに下り、前方には銅鑼がだいぶ近くなってきた。最後に少し登り返し、15時員屯山山頂(標高339m)に着く。山頂すぐ下の大きな涼亭で休憩をとる。持ってきた冷えたビールを取り出しみんなで飲む。今日は天気が良く、汗を流した後のビールはうまい。
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壊れた木桟道、右の山道があるので必要がない |
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銅鑼駅に着いた |
涼亭からしばらく続く石段道を下り、さらに幅広の土の道を進む。壊れた木製桟道が残る。もともと良い道にこのようなものが必要なのか。メンテもせずにこのような設備を造るのは、税金の無駄遣いというべきだろう。15時32分、送電鉄塔脇の分岐は左にとり登山口に降りる。住宅地の中を通り過ぎ、銅鑼工業區の中を進む。15時52分、拘束道路銅鑼インターチェンジからの道を渡る。ここは山の上から見えていた場所だ。ここから雙峰山の通信塔や慈惠宮の建物が見える。直進し中正路を右折、街中を通り16時2分銅鑼駅に到着。16時27分の區間車で台北へ帰った。距離11.6㎞、登坂888m、下降1007m、休憩込みの活動時間6時間10分であった。コース定数は23だ。
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銅鑼駅から雙峰山が望める |
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三義駅地下通路の木彫刻展示 |
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