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大坪古道峠の道しるべ |
天気はままならない。ここ数年の印象では、台湾北部は11月の天気があまり良くない。冬は東北季節風のために天候が悪いのはわかっているが、まだ冬にならないこの時期でも天気が良くないのは、残念だ。先月一度天候を懸念して中止したこのルート活動は、実行時も結局雨に降られた。今回の活動は、下山後旬の萬里蟹を食べる、ということがありこれ以上遅くなると蟹もなくなってしまうことも、行った理由の一つだ。
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南から北と歩く |
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萬里は陽明山系の北東に位置する |
台北の北側になる萬里は、過去数回訪れ、その領域内の山をかなり登っている。今回の鹿堀坪古道は数年前、歩いてはいるもののその支線となる部分と大坪古道や磺山はまだなかった。今年8,9月に藍天隊が入って道が良くなっているのが、計画の始まりだ。また、週末の混雑を避けて、平日に行うことにした。
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ガスが吹き出ている磺山を背景に |
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台灣大學バス停の1068番バス |
萬里へ行くのに高速道路経由のバスが便利だ。ただ、このバスは基隆地区などから台北への通勤者がメインの乗客なので、台北発のバスは始発があまり早くない。台北市内から萬里を経由し金山まで行くバス路線は三つある。そのうちの一つ台灣大學から第三国道経由で行く基隆客運1068番バスは、始発が7時20分だ。ほかの第一高速経由のバスに比べ、高速を降りてから萬里への経路が短いため、一番速くつけるのも特徴だ。7時10分過ぎに台灣大學に到着したバスは次々と通勤者が下車する。バスは時刻表通り7時20分に発車する。
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萬里橋頭でバスを下車、タクシーに乗る |
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古道入口 |
台北は曇りであったが、北海岸沿いの道に降りると地面が濡れ、今にでも雨が降りそうだ。8時15分、萬里橋頭バス停で下車しほかのメンバーを待つ。今日は都合六名だ。バス停脇のタクシー二台で大坪へ向かう。十数分の乗車で、一日朝夕二便しかないバス停を過ぎる。このタクシーは、登山者を載せたことがあるようで、その先登山口まで運転してくれる。1㎞ほどのアプローチを省略できた。8時52分、登山口に到着する。ここを訪れるのは、
数年ぶりだ。
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鹿堀坪越嶺古道を左に分ける |
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三截彎仔 |
地面はぬれているが、幸い雨は降っていない。今日の降雨確率は40%、どんなものか。入口にはまだ新しい藍天隊の道しるべがつけられ、圳口埔とある。また淡基橫斷古道の一部としてある。古道を進む。用水路沿いのコンクリ道を進み、まもなく橋を左に見る。左は鹿堀坪越嶺古道だ。ここも
数年前に歩いた。右をとり進む。石が多く道に現れ歩きにくい。9時13分、道しるべに三截彎仔と記してある。ここのちょっとした登り部分のことを言っているのだろう。道のどの部分かを示すには、その地点の名前があれば便利だ。
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坂を上る |
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三十六崁 |
少し坂を上り、また勾配が緩くなる。相変わらず大きな石が路面にあり、面倒だ。9時24分、今度は三十六崁という名札のある別の坂になる。ここは近くの石材で作った古道時代の石段が続く。少し平らな道を行き、道しるべをみると左に頭前溪瀑布(石車瀑布)に降りる道が分かれる。滝を見に下る。いわゆる滑滝だが水量が多く、見ごたえがある。古道にもどりほどなく右に鹿堀坪山への道が分岐する。右にとり、急坂を登っていく。整備されて間もなく、新しいロープも取り付けられている。急坂を登ること10分で、坂は緩くなり、10時ちょうど鹿堀坪山山頂(標高645m)に着く。今日の行程中の唯一の山頂だ。周りはすべて樹木だ。樹木がなくても、今日の天気では展望はない。
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頭前溪瀑布 |
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鹿堀坪山への分岐 |
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鹿堀坪山山頂 |
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黄色い落ち葉の分岐 |
休憩後古道を進む。数分で分岐着く。黄色の落ち葉が地面に広がり、秋を感じさせる。分岐は右にとり進む。古道はおおむねまばらな広葉樹の間を進む。黃金萬兩の赤い実が、濡れた緑の背景にひときわ目を引く。一度ススキ原にでるが、草はしっかり刈られていて、まったく問題ない。おそらく動物のぬた場と思われる場所を過ぎる。近くには石積みがあり、以前は住民がここで何らかの仕事をしていたようだ。10時49分、左に磺嘴山への道を分ける。ここは、磺嘴山の南斜面でもある。
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赤い実がひときわ目を引く |
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ぬた場、周辺に獣の足跡 |
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滑りやすい赤土の道 |
道は老寮湖へ向けて下り始める。赤土の道はとても滑りやすい。ちょっとして足をとられて滑る。十数分で、勾配は緩くなる。11時16分、古道は終了し、すぐ右の小高いところに土地公を見る。階段をあがり、廟の屋根の下で休憩する。脇にある流し台の水は流れていない。まだ参拝する人はいるのだろうが、集落人口が減っているので、さびれている感じだ。昼食をとっている間に、雨が降り出した。
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老寮湖の土地公廟 |
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屋根のしたで昼食 |
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大坪古道と保線路との分岐、直進は保線路 |
雨具をつけ、11時56分土地公を後にする。少し下って車道にで、左に折れてすぐ大坪古道の入口を見る。そのまま続く舗装路は翡翠森林とある。古道は、すこし登ったあと山腹を平らに進む。とても良い感じの道だ。天気が良ければ漫歩したい。数分進むと分岐で古道は左だ。直進する道は保線路で、
以前苦労した赤石六山へと続く。道は、しばらく平らに進み、方向が右に曲がると谷間に入り、上りが始まる。左の沢音が聞こえなくなり、細い灌木のあいだを登る。12時28分、霧に包まれた峠(標高約530m)につく。十字路となっており、左は磺嘴山、右は赤石六山へと道が分かれる。
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古道は杉林を登る |
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峠近くの古道 |
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峠、左は磺嘴山、右は赤石六山へ続く |
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小沢を渡る |
直進して下り始める。下っていくと森の中に広く樹木のない部分で、その周辺には石積みがある。何かの用途で造られたものだろう。12時40分、小沢を渡る。その少し先で、急に開け眼前には雨に煙るなか、湯気があちらかこちらから吹き出ている。磺山である。磺嘴山は火山である。そのすそ野にはこのような火山活動の現場がある。急なV字型の坂を下る。密生するススキは、藍天隊によって刈られているので助かる。硫黄の匂いが鼻をつく。降り切ると、そこは硫黄によって植生もない、別の世界だ。分岐を左にとり進む。少し上がると、多くの硫黄のガスが噴き出している。霧とも硫黄ガスとも区別がつかない。警告板もある。分岐へ引き返す。
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眼前に硫黄ガスの谷間が現れる |
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ススキの間を下る |
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分岐近くから谷を覗く、右山腹を道を下る |
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ガス吹出し口と警告板 |
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土地公廟 |
13時5分、分岐から山腹を行く道を進む。この辺りは少し草深い。舗装された路面を見ると、間もなく13時12分右に土地公を見る。雨も小降りになってきた。土地公で少し休憩をとる。すぐ近くには広い駐車場とその上は焿子坪溫泉會館だ。あまりひと気がない。悪天の平日、訪れる人が少なくても当然か。
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土地公下の広い駐車場 |
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とてもよい磺溪路を下る |
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河床が赤い萬里磺溪 |
13時28分、駐車場から下がり、磺溪路を下っていく。全く車の往来がない道は、それに反して実によい、この山に似合わない二車線の道路である。この温泉のためにつくらたのだろうが、もったいない。この周辺は磺嘴山のなだらかなすそ野である。上部はほとんどそのままで、開発途中で資金が途切れたのか、壊れたクレーン車がポツンと雨に濡れている。橋で渡る萬里磺溪は、温泉成分のため河床が赤い。14時25分、二年前に赤石六山に登った時に訪れた觀海步道入口の公園脇にでる。
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対岸ではハイキング歩道を整備中 |
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濱海公路大鵬國小バス停付近から歩いてきた方向を振り返る |
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龜吼漁港の海鮮料理店 |
萬里磺溪脇のT字を左に曲がり、員潭路を進む。十八羅漢像が並ぶ韋駄寺を左にみて、その先を員潭溪ぞいに歩き、濱海公路に合流する。すぐ右に橋を渡り、14時45分大鵬國小バス停に着く。まもなくやってきた790番バスに乗車、龜吼漁港バス停で下車する。集落の中を海沿いの道にでて、以前食事をした緑トタン壁の海鮮料理店で食事をする。もちろん萬里蟹が目的だ。肝っ玉母さんのような女将に、予算を伝えると、適切にアレンジしてくれた。食事もビールもうまい。旬の蟹は、やはり良いものだ。16時過ぎバス停に戻り、10数分待つとやってきた953番バスで台北に帰った。
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萬里蟹 |
今回山行は、11.7㎞、休憩込みで5時間50分の所要時間だった。舗装路歩きのほうが、山道より多い。累計の登降は、それぞれ389m、794mで、コース定数は18となる。
雨に煙る山は、水墨画の世界だ。このような低山は、雨もまた一興か。ただ、磺嘴山のような草の山は、雨では全く景色もなく面白くない。天気の良い時に、今回は分岐だけを通過した磺嘴山を訪れることにしよう。
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