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| 奇萊山登山口,壁の上に虎杖(イタドリ)の花 |
今年の台湾は台風の影響がとても大きい。3,4年ほど前はほとんど台風がなく、水不足に悩まされたのがうそのようだ。台湾へ直接上陸がなくても、その影響は現れ、特に山では大きい。本来、二泊三日で奇萊山主北峰の予定であった。第一日の8月30日は登山口である松雪樓近くまで着いた時には、太陽が照りすがすがしい高原の様子であった。登山道を歩き始め、途中で雨が降り始めたが、それほど大きな問題はなく成功山屋に着いた。しかし、当初見ていた天気予報は悪い方向になり、翌日は早朝に起きて稜線を目指そうとしたが、下ってくる太魯閣公園ボランティアや登山者から、かなり風雨が強いとのことで、安全を考量して撤退を決めた。同行の日本から訪れた二名は、先に参加した
國家公園署の登山活動でも雨模様であったので、さらに残念だったと思う。
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| 登山口から成功山屋の往復 |
今回の予定ルートは、筆者がちょうど
10年前に訪れた時と同じである。二泊目の予定は稜線上の奇萊山屋であり、この山小屋は改修されちょうど一般に公開されたばかりで、結局泊まることができなかったのは、残念である。しかし、山を甘く見ることを避け、二人も同意し撤退を決めた。筆者は、高山縦走で撤退を迫られたことは、他にもあるが、全体では天気に恵まれたことが多かった。それはいかに幸運なことなのかを、再認識させられた。山はいつでもあるのは確かだが、年齢を重ねる筆者にとっては、再度訪れるのは体力的にきつくなっていく。しかし、それも運命だと思う。
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| 8/30出発前に撮影 |
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8月30日(日)台北→埔里→松雪樓→登山口→黑水潭山屋→成功山屋(宿)
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| 台北轉運站で切符を購入 |
今回は、日本からの二名との合計3名である。以前は、台北から登山用送迎サービスを使用したが、三人ではコストが大きい(8人乗客車で15000元)。また、公共交通機関も以前より便利になっているので、台北からバスで向かう。台北轉運站6時40分発の國光客運1833番バスで、一路埔里に向かう。このバスは、終点が日月潭なので玉山方面へも利用できる。ただし日月潭から阿里山へ通う6739番バスは、日月潭を8時と9時半発車なので、接続は難しく日月潭などに一泊が必要であるが。我々のバスは台中を過ぎ、第6号高速道路で埔里へと進む。一路天気がよく、山々も見える。9時25分、埔里轉運站に到着した。
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| 埔里轉運站 |
埔里から登山口までは、台灣好行(6664番)バスと6658A番バスを乗り継ぎ、松雪樓で下車すれば近くまで行ける。ただし、1833番バスでは、埔里8:35発への乗り換えは間に合わず、12:35発のバスで行き、途中6658A番バスに乗り換え、松雪樓は15時20分である。それから歩き始めると、成功山屋は暗くなってからの到着となるので不便だ。台北駅6:30発の新幹線で台中へ行き、そこから7:35発の6670Hバスで埔里にいけば、8:35発の清竟農場方面への台湾好バスに間に合い、6658Aに乗り換えて、昼には到着できる。いずれにしても、一般交通機関で登山口に行けるようになったのは、少人数のパーティにとっては歓迎だ。
我々は、事前の天気や筆者自身の都合もあり当山行に行くことを直前に最終的に決めたため、予約が必要な
6658Aバスの予約締切(四日前)に間に合わず、埔里から送迎サービスを利用した。利用したサービスはTripoolというものだが、予約前に見積が出るものの曜日やちょっとした変更などが割高で、あまりお勧めしない。それならば、余裕をみて観光をかねて埔里に前泊し、翌朝バスで出発するのもよいだろう。
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| 武陵展望台に立ち寄る、背後は合歡山東峰 |
9時半前に到着し、近くに待っていた送迎サービスの車に乗車する。1時間40分ほどで、武陵の峠に到着する。ちょっと立ち寄り、これから登る奇萊連峰を望む。目的の奇萊北峰や奇萊主峰の稜線は、雲の中で見えない。ただ、太陽が燦燦と輝き、高原の清涼さを感じる。その後松雪樓への道の分岐点で下車する。以前は、ここからさらに滑雪山莊へと車で行けたが、今は一般車両進入禁止となっている。
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| 武陵から奇萊山連峰を望む、稜線は雲の中 |
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松雪樓と背後の奇萊山
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支度をして11時52分、歩き始める。滑雪山莊わきの登山口から山道に入る。約10㎏のザックは久しぶりだ。近くには虎杖(イタドリ)の群生がピンクや白の花をつけている。緩やかに下る道を追っていくと、黃苑(キオン)や一枝黃花(アキノキリンソウ)などの黄色い花が咲いている。0.6Kキロポストを見ると道は森に入り、しばらく上りが続く。左の草藪に、小鳥が飛んできた。金翼白眉だ。高山でよく見かける鳥だが、この一羽は逃げるどころか近づいてくる。いかにも餌を求めているかのようだ。人間が危害を加えないどころか、餌をくれるものと学習してしまったのだろう。
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| 道端に黃苑(キオン)の花 |
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| 梯子を超えていく |
三カ所の梯子をすぎ、12時48分峠部分を越すと、小奇萊の草原が広がる。前方の屏風山~奇萊山の稜線は下の方まで雲が下がっている。天気予報は、午後は雨になるという。残りはまだ3.5Kmほど。これから先は黑水潭山屋まで、ずっと下りである。先を急ぐ。2.1Kキロポストを過ぎると、草原は終わり山腹をトラバースしていく。13時半、2.5Kを過ぎたあたりで小雨が降り出した。傘をだしてさらに下る。ヤタケが密生する部分では、濡れた葉がズボンをぬらす。小雨はそのうち止み、14時半黑水潭山屋についた。中に入り休憩する。
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| 小奇萊の草原 |
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| 草原を下る |
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| 山腹を下り気味に巻いていく |
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| 黑水潭山屋 |
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| 急坂にとりつく |
鞍部である小屋からは、約百数十メートルの上りである。小屋からちょっと下って坂に取り付く。かなり急な坂が続く。梯子をいくつか登り、約1時間ほどで最高点を過ぎる。少し下って15時半、成功山屋に到着した。小屋には、途中で追い越していった単独の若者が一人であった。荷物を降ろし、小休憩のあと、4時半ごろから食事準備をする。できるだけ軽量を求め、今回はドライフードがメインである。そのうち雨が降り出し、雨脚が強まる。天気予報は、悪い方向に向かっている。当初は、明日午前中は晴れもあるような予報だったが、今は一日雨である。
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| アルミ梯子 |
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| 急坂がづづく |
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| 沢脇の成功山屋 |
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| 小屋で食事 |
食事をしていると、10名ほどのパーティーが雨の中下ってきて、小屋に入ってきた。ここ成功山屋から奇萊主峰と北峰を往復してきたという。彼らに聞くと天気は、昼間合歡山側から見ていたように、稜線付近は雲の中で、不安定だったようだ。明日はどうなるのか、天気が良ければ4時ごろ出発という方針で、19時頃までに就寝した。
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8月30日(月)成功山屋→黑水潭→松雪樓→公車接駁處→埔里→台北
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| 3時過ぎに起床 |
昨晩、夜中に目が覚めると屋根を打つ雨音が大きかった。予定通り3時ごろに起床する。昨日のパーティーは、同じ頃起床し、朝食もそこそこに下山していった。大勢がいなくなると、小屋は単独者を入れて四人だけがガランとした中に残された。とりあえず朝食をとり、今日の予定を考える。もし、稜線の風雨が強く北峰や主峰への登頂ができなくても、新しい奇萊山屋までいってみようと、明るくなった6時過ぎに歩き始める。
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| 4時半頃に朝食 |
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| 6時過ぎに一度稜線に向けて出発 |
歩き始めてすぐに、一人登山者が下山してくる。稜線は風雨が強いという。さらに昨日は奇萊山屋に泊まったが、15時半までには小屋に入れず、長い時間外で待たされたという。小屋には管理人がこのように対応しているようだ。避難小屋的な性格があるのに、外で待たされるとは、ちょっと意外だ。今出発して3時間ほどで着いたとしても、風雨の中待つのでは大変だ。小屋に引き返し様子を見る。そのうち、太魯閣公園のボランティアが奇萊山屋から降りてきた。やはり、15時半までは入れず、風雨はかなり強く登ることを勧めない、という。
天気予報は、非情にも降雨確率はとても高い。台北への帰途は、明日の15:55発の6658Aバスを予約している。もし、今日下山したとして、最初の足をどう確保するのか、悩んだ。すぐに追って下ってきたもう一人のボランティアがいうには、予約がなくてもわけを話せば乗れるだろうという。特に天気が悪いので、利用客が少ないはずだ。
そうしたことから、残念ながら一日予定を切り上げ、下山することに決めた。7時半ごろに、雨具に身を固め、帰路に就く。途中、黑水潭山屋で休憩し、約420mほどの高度差を登っていく。気持ちは沈んでいるが、ひたすら歩を進める。途中電波が良いところで、6658Aバスを運航している南投客運に電話を入れ事情を話す。すると、現場で運転手に話せば乗れるという。10時半ごろ、1.8K地点ほど登ってくると、一瞬青空が見えた。しかし、すぐにまた霧に隠れた。今日の天気は望めない。
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| 登山口に戻りついた、背後は滑雪山莊 |
10時42分、小奇萊を過ぎ少し下る。その後は、まただらだらとした登りが続き、11時半に登山口を見る。滑雪山莊わきから松雪樓へと登る。11時45分、松雪樓の入口に着き、歩き終えた。濡れた衣服を着替え、12時20分ごろ14甲公路上にある、バス停へと向かう。吹きさらしのバス停近くで待ち、しばらくしてバスがやって来た。事情説明する必要もなく、そのまま乗車できた。
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| 松雪樓入口 |
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| 吹きさらしのバス停 |
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| バス乗り換え場所、背後は6658Aバス |
バスが下っていくと、雲の中から抜け出て陽光を見る。清竟農場に着く頃は、天気は良くなっていた。ただ、振り返ると山は雲の中だ。後ろ髪をひかれる思いだが、仕方がない。13時30分、6658Aバスの終点である公車接駁處に到着。待つこと10分と少しで、埔里へ下るバスに乗り換え、14時40分過ぎに埔里轉運站に到着した。轉運站近くの食事処で簡単に昼食をとり、15時10分過ぎの1833番バスで帰京した。
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| 埔里行台灣好行(6664番)バスがやって来た |
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| 帰路上小奇萊の筆者 |
筆者は、今まで二度奇萊山を訪れている。一度目は上記に述べた奇萊主峰と北峰の二泊三日の時、二度目は
奇萊東稜縦走の時である。ともに天気は良好で、雄大な山景を楽しむことができた。今回初めて訪れた日本からの山友達は、このように撤退で終了することになり、残念である。これに懲りずに台湾の高山に来るときは、良い天気で登ることができることを祈る。
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