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2019-01-20

2019年1月15日 UK Thames Path イギリス テームズ(河)歩道を歩く

テームズ歩道(Thames Path National Trail)の標識
今年は年頭からロンドンに来ている。今回の訪問は少し長い。イギリスは緯度が高いので、夏は日照時間が長い分、冬は短い。朝八時になってやっと明るくなり、夕方四時には日が暮れる。もちろん日に日に長くなってはいくが、一月の今はこんな状態だ。山歩きとして、以前訪れたイギリス北部ウェールズ或いはスコットランドがあるが、これらは冬山であり、それなりの装備や準備が必要である。そこで今回は、登山ではなくロンドン近くのハイキングコースを中心に訪れることにした。

テームズ歩道から河を望む
ロンドンは、平らな場所である。もちろん丘や谷があるが、それは高いものではない。東京近くの多摩丘陵のようなものだ。そうしたところに住宅地が広がっている。残された緑地をつないで歩く道、或いはテームズ河に沿って歩く道がある。まず初めに、ロンドン市のネット情報を参考に、市中心の西側郊外にあるRichmondから東に河沿いのThames Pathを20KmほどBattersea Parkへ歩いた。山登りが本ブログの中心だが、今回は平地のハイキングの記録である。

西のRichimond から東のBattersea公園までテームズ河沿いに歩く
テームズ歩道(Thames Path National Trail)は、川の両岸沿いに続く道である。テームズ河は、イギリスにとって重要な河川である。首都ロンドンはこの川の下流に発展した。産業発展にも寄与した。テームズ歩道は、その源流からロンドンの東まで約300㎞が指定されている。もともとあった船を馬や人力或いは機械で引っ張るための岸にそった道Towpath などをつなげてできたものだ。National Trailとされているので、政府部門が管理する歩道である。イギリスは学校で習った囲い込み運動があったように、私有地に対する考え方が強い。私有地には勝手に入ってはならない。そこで誰でもが歩ける公共歩道(public path)が存在する。テームズ歩道もこうした公共歩道の一つでもあり、誰でもが歩ける。

Waterloo駅からReading行電車に乗る
ロンドン近くの宿泊場所から出発し、市中心のWaterloo駅でSouthwestern Railwayの電車に乗る。Waterlooは、イギリス西部方面への長距離列車も含め多くの通勤電車が発着する。プラットフォームは最近完成した部分も含め全部で24もある。ただ、入口が同じではないので注意が必要だ。筆者は、一番左側の一桁台の改札から入ったところ、乗るべき電車がある22番には行けない。そこで係員に話して一度改札を出て、22番に向かった。しかし予定の電車はすでに発車しており、次の電車を待つ。10時20分発の電車がやってくる。大勢の通勤客が下りる。乗り込む乗客は少ない。

Richmond駅
日本でいえば通勤急行になるのか、途中一駅だけ停まりほかは通過、10時36分にRichmond駅に到着する。駅舎を出て左に進む。商店がならぶ通りを行き、右に河岸に下る。河の上流側に石造りの橋が見える。結構多くの車両が行き来している。Richmondという名は、実は懐かしい。筆者が学生のころ交換留学生として過ごしたアメリカ、インディアナ州の町がRichmondであった。トウモロコシや麦畑に囲まれた小さな町であった。もちろんこのイギリスの町とは違うが、アメリカの多くの地名は、移民たちの故郷の町を名乗るものも多い。

Richmond橋の上をバスや車が行く
Southwestern 鉄道の橋
Richmond水門橋、上空にはヒースローに着陸する航空機
河沿いに歩道が続く。10時53分、右に折れて下流に向け歩き始める。空は曇りで、どんよりとしている。典型的なロンドンの冬景色である。幸い今日はそれほど温度が低くなく、風もあまりない。乳母車を推している母親や、老夫婦に交じり、ジョギングしていく人も多い。サイクリストも結構いる。この道は冬でも多くの人が往来している。

Richmond水門橋の上から下流方向を見る
水門が閉じているときは、船はこのドッグを通過する
水門説明板
ヒースロー空港に着陸する航空機が、上空を飛んでいく。かなり頻繁にジェットエンジン音が聞こえてくる。ヒースロー空港は、とても忙しい空港である。先ほど乗ってきたSouthwestern鉄道の橋の下をくぐり、歩き始めて10数分でRichmond Lock & Weirに来る。テームズ河は、季節によりその流量が変わる。船の航行に影響する。それをコントロールするための施設が、このLock & Weir(水門)である。水門の上には歩道が設けられ、歩行者は橋としてわたることができる。

テームズ歩道を行くサイクリスト
溝を挟んで右はOld Deer Park
散歩やジョギングで多くの人が利用している
橋の上に行き、流れる河を望む。水は川幅いっぱいに流れている。平らな土地が広がり、近くには丘なども見えない。歩道にもどり、川下にむかって進んでいく。右側は、溝を挟んでOld deer parkそしてKew Gardenと緑の地帯が続く。歩道わきの樹木が多い。ところどころ樹木がきれて、左側の川面が望める。11時48分、Kew Garden入口の駐車場わきを通り過ぎる。さらに10分ほど進み、石造りのKew橋の下をくぐる。

右にKew Gardenをみて歩く
石造りのKew橋
Kew船着き場
橋をくぐってすぐ、テームズ河を上下に航行する観光船乗り場がある。冬のこの時期は営業していない。しばらく住宅地が歩道わきに続く。対岸も同様に住宅地だ。雲間から差し込む冬の陽光が、対岸の白壁の家を照らし出し川面に反射している。その先10分ほどで、鉄道橋の下をくぐる。住宅地が切れ、緑が多くなる。樹木の奥は、National ArchivesやKew Riverside Parkだが間の樹木が多いので、建物はあまり見えない。Putney Town Rowling Clubの青い建物が見えると、前方に橋を見る。この橋も下をくぐって進む。
冬の陽光が対岸の白壁家を川面に映し出す
鉄道橋を列車が行く
Puntey Town Rowling Clubの建物が現れた
石畳の歩道を行く
河沿いの車道を少し進み、道しるべに従いまた石畳の歩道に入る。右わきはレンガ造りの高い建物で、以前は工場か倉庫だったように見える。アーチ型の優雅なBarnes橋が近づいてくる。この橋は鉄道と歩道用である。12時43分、橋の下をくぐると、車の往来が多いLonsdale Roadをしばらく歩く。この辺りで今日の行程の約3分の1を歩いた。まだ先は長い。河岸にはカモがたくさん戯れている。

Barnes橋が遠くに見える
Banes橋からしばらく車道を行く
多くのカモがいる
背もたれに名前の刻まれたベンチ
車道からはなれ歩道に入る部分にあるベンチには、テームズ歩道の成立に寄与した人の名前が背もたれの部分に彫り込まれている。イギリスの公園にあるベンチには、その椅子を寄付した人の名前などを見かけることが多い。対岸は民家が続いているが、こちら側は家がなく樹木が続く。練習中のレガッタ船が河を遡っていく。伝統あるケンブリッジ・オックスフォードのボートレースはここで行われる。13時17分、優美なビクトリア調のHammersmith橋の下をくぐる。

レガッタの訓練中
Hammersmith橋
Harrods Village
幅の広い土の歩道は、右にHarrods Villageの高級住宅をみて進む。有名なハロッズ百貨店が、そのお店におけないような大きな商品をここに置いておいたが、その後リノベーションで住宅になった。イギリスは建物の外観はそのままに、内部を住宅に改造したものが結構ある。

Steve Fairbairnの石碑、ここからテームズ河が一望だ
ボートを陸に上げている、遠くにPutney橋が見える
河べりのベンチで休憩
13時半、右に白い石碑がある。立ち止まって見ると、Steve Fairbairnのレリーフが取り付けてある。ケンブリッジでボートレースに参加、その後トレーナーとして尽くしたということだ。毎年春に行われるボートレースを今でもここから見守っている。その先でSouth Bank Rowling Clubの建物とボート収納所を見る。練習を終えてボートを収納している。前方に、Putney橋が見えてくる。13時41分、河岸のベンチで休憩をとり、持ってきた昼飯を食べる。3時間弱歩いてきた。

Putney High School Boathouse
ボートハウス前の河岸、スロープ状になっている
Putney橋を渡った後の河岸
休憩後Putney橋方向にすすむ。Putney High School boat houseわきを行く。ここは岸辺の広い部分がスロープになっており、河へ船のおろし上げがしやすくなっている。Putney橋は下をくぐれない。橋へ続く道へ上がり、対面へ道を渡る。周囲は住宅や商店が多くなり、今までの自然が多い道とは様子を劃す。道しるべに従い高級住宅街を抜けると、広いWandsworth公園が広がる。説明によると河岸の湿地帯は様々な生物の生息地だそうだ。覆いかぶさるような大きな樹木の下を進み、公園から出る。出たところは開発建設中の住宅地だ。河岸から離れ、支流を橋で渡り進む。リサイクルセンターやセメント工場を過ぎる。その後また河岸に戻る。

河岸から離れ住宅街の間を行く
Wandsworth公園に入る
建設中の高層住宅
セメント工場もフル稼働のようだ
下流方向Wandsworth橋への対岸も住宅開発が進んでいる。もともと2階建やせいぜい4、5階建の建物が多いロンドンも、新しい住宅は高層集合住宅である。オイルマネーや、ロシア、チャイナマネーなどでロンドンの不動産価格も大幅にあがり、一般市民はその影響を受けているという。住宅開発も、そうした流れを受けているのだろう。

対岸の建設中新住宅群、右はWondsworth橋
Wandsworth橋の下をくぐる
河岸のオフィス、住宅ビル
聖マリー教会
14時43分、Wandsworth橋の下をくぐり、今日の歩きのラストセクションに入る。鉄道橋の下をくぐり、新開発のオフィス、住宅区のわきを進む。ますます都市の様子になってくる。前方には、高層ビルも見えてくる。聖マリー教会のわきを進み、数分でBattersea橋のたもとにつく。道を渡り、河沿いに数分進んでクリーム色と淡い緑のパステルカラーに塗られたAlbert橋へ歩く。対面のBattersea公園に入る。1858年にオープンされた大きな公園だ。約20分ほどで公園を抜け、Battersea Park駅に着く。15時55分、駅のすぐ近くにあるバス停から市バスに乗り戻った。

Albert橋
Battersea公園内
ほとんど平らな道であるが、テームズ歩道へのアクセス部分も含め、約23㎞の道のりである。休憩は食事の時だけであったが、約5時間かけて歩いた。普段の山歩きとは異なるが、このような歩道歩きもまた面白いものだ。今までロンドンはしばしば訪れているが、時間の制約もあり、こんな歩いてみるようなことは少なかった。自分の足で歩くと、街の様子がわかる。過去の歴史、そして今を身近に接することができる。まだ、しばらく滞在するので、引き続きテームズ歩道やその他の歩道を歩いてみることにする。

2 件のコメント:

  1. テムズ河歩道を、写真とGPSによる地図上の歩行ルートと説明とで、分かり易く案内して頂き有難う御座います。ロンドン市街の町中の案内とは相違して、河沿いの案内は非常に新鮮に感じました。外国の旅先で、自ら計画し初めてのルートを一人で歩かれる、好奇心と冒険心には感服致しました。(K.S)

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    1. 駄文をご覧いただき、ありがとうございます。コメントをいただき恐縮です。
      家にじっとしていられない性質なので、どこか行くところがないか調べて、こうして歩いています。台湾に戻った後も、いろいろと山歩きをするつもりで、体がなまらないようにという意味もあります。

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