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2014-06-27

2014年6月18日 イギリス・スノードン山を登る Hiking up to Snowdon of Wales UK

羊の親子の向こうにスノードン山が控えている
スノードン登山鉄道の列車が登っていく
イギリスを訪問した際、北ウェールズの最高峰スノードンを登った。イギリスは、もともと高い山は無いが、イギリス本島北部のスコットランドにはNo.1、2の山々があるが標高1085mのこの峰はウェールズの最高峰である。北海道よりも緯度が高く、植生が日本や台湾の山とは大きく違う。台湾では3500mぐらいにある森林限界以上の草原が、ここでは登り初めてすぐ出現する。高い樹木はまったくなく、山道からはずっと周囲が望める。羊が放牧されていたり、登山道に平行して登山鉄道が走り、東アジアでは見られない風景を呈している。登山道は各方面からあるが、今回は一番長いが坂が緩いLlanberisルートからの登山である。最も多く歩かれているようだ。


ウェールズの北にあるスノードン山
北側のLlanberisから山頂を往復する
単一ピークの登り降り高度プロファイル
登山鉄道麓駅、出発点である
前日にロンドンからレンターカーを数時間運転し、大学の街Bangorで一泊する。翌朝8時過ぎに出発、A4086号線をLlanberisへ向かう。8時20分過ぎに、登山鉄道の駅前にある駐車場に駐車する。一日駐車で7ポンド、少し高いか。駅に向かう。奥の機関庫では蒸機が煙を上げている。登山姿の日本人客が数名やってきた。聴くところによれば、列車で登り頂上から下ってくるとのこと。同じく歩かずこの鉄道で登る予定の家族二人を残し、一人で登山道に向かう。
車道わきの道標
登りはじめ、左の標識はウェールズ語と英語併記に注意
説明看板がある
説明板、これもウェールズ語、英語併記である
車道を少し行くと、右に道が分岐する。道標がある。住宅の前を通り過ぎ、いよいよ登山開始だ。入口に登山路の説明がある。女性登山客が説明を見ている。挨拶をすると、4時間ほど車を駆って登りに来たそうだ。今は晴れているが、頂上でガスが発生しないか心配していた。前にも登山したことがあるそうだ。ウェールズ(Wales)は英語の他にウェールズ語(Welsh)が公用語である。英語とはずいぶんと異なり、スペルも全く違うので英語の併記がなければ判らない。土地名もウェールズ語なので(Snowdonはウェールズ語ではYr Wyddfaである)、チョット勝手が違う。
道脇の花 foxglove

舗装されているが、道は勾配がきつくなる。そのうち小さなカフェをすぎる。1780年ごろの建物だそうだ。出発点近くにあるLlyn Padom湖が下方に見えるようになる。なおも進む。両側は草原で、樹木は少ない。紫色の花がさいている。台湾にも同じ花(毛地黃)があるが、高山に登って初めて見れる。緯度が高いことがここでも明らかだ。遮るものがなく、周囲全体が望める。空は晴れて、とても気分がよい。スノードンは前衛の山に遮られて、まだ見えない。
登山口、左の柵の門を開けて進む
広く歩きやすい道だ
農家の納屋わきを過ぎ、歩き始めて約30分、土の登山道入口に着いた。左に登山道をとり登る。入口には柵がある。これは放牧している羊が外に出て行かないようにするためだ。門を開けて通り過ぎる。道は巾も広く、とてもよい道だ。湿ったところが多い、台湾の山道とはずいぶん違う。我々が普段履いている登山靴は、こうした道を歩くために造られているのでは、と思う。9時過ぎ、下方からディーゼル機関車の音が聞こえてきた。ほとんど人工の音がないので、特に響く。今日の一番登山列車だ。
一番列車が登っていく、背後の山中腹のカールに注目
アプト式のスイス製蒸気機関車(軸配置0-4-2)
スノードン登山鉄道は、1896年に開通したアプト式の登山鉄道である。アプト式とは、レールの間に機関車の歯車が噛み合う歯状レールが設置され、これを用いて急勾配を登る方法である。日本ではその昔信越線の碓井峠に設置されたことがある。ここでは、今も蒸気機関車を含む機関車が一台の客車を押して急坂を登っていく。線路は、今日のLlanberisルートと並行しているので、列車が登ったり下ったりしていくさまを眺めることができる。筆者は古い鉄道にも興味があるので、このルートの登山は山を楽しむだけでなく、登山鉄道の列車も見ることができて、実に一石二鳥である。
別の柵を通り過ぎる、背後の山はスノードン

ゆっくりと列車は登っていく。眼前の列車は十分ぐらいで視界から外れて見えなくなり、また鳥の鳴き声だけの静けさが戻ってくる。上からは、登山を終えた登山者が降りてきてすれ違う。すれ違いざまに挨拶していくのは、ここも同じだ。道の奥に、スノードンの山が見え始めた。頂上はまだ晴れている。9時20分、別の柵を通り過ぎる。周辺には石の塀が残っている。ゆったりとした谷が眼前に展開する。対岸の山の中腹は大きく剔られ、カール状になっている。その昔氷河で覆われていた跡だ。日本の山北や南アルプスの高山に見られるのと同じような形状である。

道から望むパノラマ
Hafway Cafe
緩い坂を登っていく。途中水が流れていく細い沢もある。羊が今年生まれた子羊をともなって、道端で草を食んでいる。このような光景はヨーロッパならではだ。9時38分、鉄道に下をくぐる。スノードンの頂上には霧がかかり始めた。軽装でマラソンして登っていく人や、軽装の登山者が筆者を追い抜いていく。10時8分、Halfway Cafeにやってきた。ここは頂上までの中間地点でこの名前である。石造りの小屋の中で経営している。すこし休憩する。

急坂から霧に隠れたスノードン山頂を方向を望む、下に池が見える
道は同じく山腹をゆっくりと登っていく。右側は鉄線の柵が一部ある。保護のためだろうか。Halfway Cafeから十数分やってくる。坂がきつくなる。ここで高度を上げていく。右下に池(Llyn Du'l Arddu)が見える。見上げると、スノードンの頂上付近はすっかり霧に包まれてしまった。急坂は10分ほどで終え、また鉄道の下をくぐる。ここで反対の谷が望めるようになる。対岸の山々は、その谷底を行くA4086号線、その道脇の家などが手に取るように見える。まるで箱庭のようだ。
反対側の谷を望む
出会った日本人登山客
上から列車が下ってきた。下方からも登り列車がやってくる。先ほどくぐった橋の近くに列車交換所があり、そこで上下列車が行き違う。そのうち、上り列車がやってきて道わきの線路を登っていく。道は稜線の近くを急坂でのぼり始める。11時、朝方登山鉄道の麓駅で出会った数名の登山客と行き違う。下山後は、スコットランドの山を登るとのこと。年配者が中心で、退職後の海外登山旅行のようだ。

坂を登って行く登山列車、背後に登ってきた道筋がはっきり見える
登っていく列車
下方から、蒸機のドラフト排気音が聞こえてきた。どうやら蒸機の上り列車が来るようだ。道脇に腰をおろして、この一大スペクタクルを眺めることにする。場所は、ちょうど列車交換所の近くからずっとカーブして登っていくところまで、広く眺めることができるバンテージ・ポイントだ。遠く山の向こうに見え始めてから列車交換所を過ぎ、眼前のカーブを過ぎて山のカゲに隠れて見えなくなるまで10分間の眺めである。見えなくなってからも、しばらくドラフト音が聞こえていた。

別ルートの合流点
左のピークが山頂、右に鉄道山頂駅
山頂の方向表示板
頂上を目指して道を登る。霧が濃くなり、周囲の景色は見えない。11時半、左と右から別ルートが合流する。ここからは、尾根上を進んでいく。別ルートからの登山者も加え、登山道は賑やかだ。時々霧が薄なって、前方の頂上が見え隠れする。登山道の整備が行われている。鉄道で運んできた整備用の機械が動いている。11時40分、鉄道頂上駅が見え、そのすぐ左上に頂上がある。11時45分、頂上に着く。列車でやってきた人も多く、狭い頂上は人でいっぱいだ。時々、霧の間から下の湖が望める。今回は、頂上からの眺めは残念ながら見ることはできなかった。

一瞬霧の間から垣間見えた南方向の山頂からの眺め
山頂の筆車
列車乗車に予約を入れていなかったので午前中の列車に乗れず、13時過ぎの列車で家族二人はやってきた。頂上で一緒に写真を写したあと、またひとりで下山する。霧の間から、眼下に湖が二つ青色に光っている。GlaslynとLlyn Llydaw湖である。登ってきた時と同じように、左右に道が分岐したあとしばらく下って行くと、霧が晴れて下方が見えるようになる。鉄道と登山道が交差する少し前で、頂上から二人を載せた列車が下っていった。

下り道で見えた下方の湖
下り道を急ぐ
下り道を急ぐ。まだまだ登ってくる登山客が多い。日中が一番長いこの頃は、夜8時を回ってもまだ明るい。15時ぐらいでは、まだまだ十分登って日のあるうちに下ることが可能だ。15時35分、Halfway Cafeを過ぎる。15時50分過ぎ、また蒸機の列車が登ってくるのが聞こえる。ゆっくりと現れた列車は、リズミカルに登っていく。少しスピードが遅くなったと思ったら、線路に羊がいてそれを避けるためだった(見出しの写真)。数分続いた眺めは、列車がカーブの向こうに消えて終わった。その後下り始めた後も、だいぶ高度があがったところからドラフト音が聞こえる。振り返れば、山を必至に登っていく蒸機の煙が見える。背後のスノードン山は、相変わらず頂上が霧の中だ。

急坂を下っていく、まだ登ってくる登山者が多い
湖が見えた、残り僅かだ
湖が近く見えるようになる。16時30分登山道入口に戻ってくる。自転車で登ってくる三人チームとすれ違う。この道であれば、自転車でも十分登れるだろう。14時47分、登山鉄道の麓駅に戻ってきた。下りは約2時間であった。

1780年頃に建てられた建物のカフェわきを通り過ぎる
今回は往復で約16km歩いている。標高差900mぐらいの登り降りである。登りに3時間、下りに2時間をかけた。道が良いので、特に下りは結構早く歩ける。イギリス、それもウェールズに近いところに住んでいなければ、簡単に登れるわけではないが、また訪れてみたい山である。イギリスは、近代登山発祥地、海を渡りヨーロッパ大陸のアルプスの登山も多いが、こうしたところでスポーツ登山が始まったわけで、その地を歩くことができたことは、実に感慨深い。

二日後(6/20)の帰路でみた、西側から望むスノードン山

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