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2020-09-05

2020年9月1日 宜蘭大溪川古道 長らく課題だった古道を歩く

大溪川を渡渉し古道を進む
宜蘭の北部から始まる雪山尾稜は、灣坑頭山睏牛山を過ぎ、三分二山で方向を変え、大溪の脇から立ち上がる七兄弟山、窖寮山、叢雲山の山並みに合わさる。蕃薯寮山-睏牛山-三方向山-橫山-三分二山と七兄弟山-窖寮山との山並みに囲まれた谷に大溪川が流れる。大溪川古道は、三分二山近くの山稜鞍部から下り、大溪川にそって大溪へと出る道である。大溪川の右岸高く七兄弟山-窖寮山の山腹には宜1号県道が走り、今は大溪と雙溪灣潭などとの間はこの道が利用され、本来同じ役割を果たしていた大溪川古道は、すっかり忘却の彼方の存在であった。古道ブームで、ボランティアが草刈道整備をするが、半年もたつと草が生え木々が伸びて道を塞ぐ。2016年のボランティア整備後、訪れるチャンスを逃していた。今年8月に、再び藍天隊が二度にわたり入り、道整備を行った。今まで課題として抱えていたこの古道のハイキング、やっと果たすことができた。

西側の峠から下る

下りメインの歩き
大溪川古道の位置
大溪から途中の簡易ダムまでは、車道がある。去年11月、大溪からこの車道を歩き、その終点から始まる台湾電力の保線路を歩いた。しかし、大溪川古道を歩くことはなかった。その先がどのようなのか、とても興味があった。また、四年前に烏山古道を下り石盤寮瀑布をへて大溪川に下ったとき、本来はさらに大溪川古道をへて大溪へと考えていた。ところが長雨で烏山古道は道が流されたところもあり、大溪川古道で同じような問題の懸念で、宜1号県道へと上がり、古道を歩くことがなかった。そうしたことが、この古道を歩くことの気持ちを強くした。

石盤谷小瀑布前のメンバー

宜1号道路の登山口
今年の台湾の夏は、前半7月まで全く台風がなかった。8月は半ばを過ぎると、今度は次々と台風が発生している。直撃はないが、近くを通過すると影響を受ける。梅莎颱風は、台湾の東を通過し北上した。そのため、その南に位置する雲が雨をもたらし、前日は強い雨も降った。朝になっても、まだ雨模様だ。天気予報では午後から回復とあるが、不安はある。台北駅6時23分発の自強号で出発する。侯硐をすぎ、左下に流れる基隆河は水量が少し多めだが、それほどでもない。7時17分に雙溪駅に到着、改札口をでて参加メンバーと合流する。今日は筆者も含め8名だ。本来この倍の人数が参加希望だったが、多くは天気を見て取りやめた。

霧が晴れていき、対面の山峰が望める
金鳳宮と背後の山並み
2016年の道標を見て下る
登山口まで二台のタクシーに分乗して向かう。途上雨が降り始める。約30分の乗車で8時に宜1号県道の登山口に着く。車から降り、メンバーは傘や雨具を取り出しつける。入口にはすぐ左に三分二山への道がある。8時14分、こちらはとらず鞍部に向けて少し進む。すぐに左に道がまた分かれる。これも三分二山への道だ。山頂に向かうべく歩くが、すぐに草木に邪魔をされる。傘を差しながらだと、やっかいだ。強引に行けばいけないことはないが、今日の主目的でないので引き返す。分岐からすぐに鞍部を越え、下りが始まる。道幅が広く、途中には農耕用車が停まっている。間もなく雨もやみ、前方の谷の向こうには山並みが薄れていく霧から現れてくる。8時32分、幅広道は終わる。左には金鳳宮の赤い屋根が見える。

沢際に降りる
少し源流の流れを歩く


新しいロープが架けてある
2016年4月の藍天隊の道標を見て、急坂を下り始める。本来の大溪川古道の始まりだ。ジグザグに高度をドンドン下げる。沢音が次第に大きくなり8時45分沢に降り立つ。ここは標高約320m、鞍部から約150mほど下った。これからは、ずっと沢沿いに下っていく。まだ水量が少ない源頭の流れを歩く。約3分ほどで、今年8月の真新しい藍天隊道標を見る。左へ石劍峰瀑布へ15分とある。道は沢から離れ左岸の山腹を進む。道が崩れているところには、新しい補助ロープが架けてある。8時58分、ちょっと平らな場所にまた道標がある。右に土地公へと記している。右に少し行くと、果たして土地公石祠がある。まだ、参拝されているようだ。土地公は、古道を歩く古人が旅の安全を祈願した心のよりどころだった。

土地公石祠
新しいマーカーリボンの急坂
古道に戻り、下っていく。また急坂を10分ほど進み、沢を渡渉する。この後何度も沢を渡る、最初の渡渉点だ。道を進み左岸から右岸、右岸から左岸、だいぶ幅が広くなってきた沢を渡渉する。9時26分、右岸にまた渡ったところは少し広くなっている。一部が欠けた古い壺が道にある。藍天隊が草刈の時に見つけておいたものだろうが、この場所に昔は人が生活をしていたのだろうか。さらに渡渉を繰り返す。水量もだいぶ増えてきて、浅い長靴のメンバーは水が入ってしまう。左岸の広い岸辺の道をすすむ。さらに渡渉をするが、その場所からは、今までのような草刈がなくなる。マーカーリボンもない。どうしたものかと道を探す。同行メンバーの一人が、藍天隊の道整理はここからしばらく行わずに引き返したという。彼は、道整理の山行に同行していたそうだ。



道には古い壺
ここで引き返すわけにはいかない。そこで、GPSと照らし合わせ古いマーカーリボンを探しながら進む。草木が茂り、道筋を隠す。しばらく行き、2015年の古ぼけた道標を見る。おそらく長い間誰も歩いていないようだ。10時23分、真新し道標を見る。このセクションは道を探しながらだったので、約30分ほどを要した。藍天隊は二回に分けて道整理をしたが、下方から登ってきたときは、この分岐から上にある宜1号県道へ登っていった。その後に上部から下ってきた二回目は、先ほどの地点で時間が遅くなったため引き返し、この未整理部分ができたようだ。


道なき道を進む
真新しい道標、ここから左に宜1号道路に行ける
帆布の残る広場
滝の上部を高巻く
道の状態は、またよくなる。少し進み、古い帆布が残る平らな場所に来る。ここは4年前に昼食をとった場所だ。その時は、今しがたの分岐から宜1号県道へ登った。左に急坂を下り沢際に降りる。10時40分、沢岸で休憩をとる。天気は回復し、風も時々谷間を吹き抜ける。まだ夏だがここでは暑さを感じない。20分ほどの休憩後沢を渡り、またその先右岸へ渡渉する。水はだいぶ深く、飛び石上になっている岩を伝い渡る。道は登っていき山腹を進む。かなり下に石盤谷小瀑布が見える。その先で滝の脇に下る道がある。それを伝い沢際に降り、滝を見物する。滝からまた古道へ登り返し沢沿いに下る。

渡渉点
棚田の土留壁脇を行く
四回ほどまた渡渉を繰り返し、右岸の山腹へ登り返す。古道は沢からかなり上部を進んでいく。棚田跡も現れる。過去にはこの辺りも人が常に往来していた。古道は山腹を進んでいくが、道標は右の山の方へ登る。こちらを進んでいくと間もなく建物が現れた。トイレのようだ。そのすぐ先に內大溪分校が現れた。まだかなりしっかりした建物が残っており、草刈された広い校庭が前にある。時間は12時半、ここで食事休憩をとる。対岸に三方向山と睏牛山が高くそびえる。ここから仰ぎ見る睏牛山は、尖った三角ピークでその名前のイメージとは全く異なる。

內大溪川分校(廃校)

睏牛山(右)と三方向山を仰ぎ見る
有應公の祠
山腹を横切って進む
沢へ向けて下る
分校は教室二室、教務員事務所一室でかなり大きな分校である。これだけの規模があるということは、今では想像できないが、この山谷にはそれだけ大きな人口があったといくことだ。13時7分、かつて下校した小学生と同じように校門を出る。道はすぐに二手に分かれる。ともに先で一緒になるので、左に道を進む。13時15分、有應公の祠がある。そこから左に折れ、その先で左に尪仔嶺へ登り返す道を分ける。道はしばらく沢からかなり上の山腹を横切っていく。13時34分道は沢に向かって下り始め、数分で沢際に降りる。最後の渡渉点だ。ここまで来ると水量はかなりある。沢を渡り小休憩をとる。まだ時間は早い、急ぐことはない。空はすっかり晴れて、日差しが強い。やはり今は夏だ。ちょうど氷が解けたビールがうまい。

最後のセクションは沢際を進む
簡易ダムから下流方向を望む
ゲートを抜けるて対面の土地公で休憩
左岸を進み、最後に沢水ぎりぎりの岩を伝い、14時19分古道の終点にでる。右に防砂ダムがある。ここはまた水道の取り入れ口のようだ。左に、去年歩いた保線路の分岐を見る。自分の課題だった大溪川古道はこれで歩き終えた。舗装された道を行き、橋を渡る。源流からずっと追ってきた大溪川は、ここではもう立派な川である。道なりに進み、14時45分ゲートにくる。その近くにある土地公廟で休憩をとる。廟の階段に座り、谷の向こうに連なる山並みを望む。橫山のあたりだろうか。

龜山島
大溪漁港
舗装路の最後のセクションを進むと谷が開け、海上には龜山島が浮かんでる。台風の影響で、海は波が高い。宜1号道路に合流し、大溪に向けて下る。水道局の施設を左に見て、集落の中を行く。鉄道踏切を渡り右に濱海公路を歩く。途中の雑貨店で飲料を求め、15時32分大溪駅に着く。駅前の海岸はうねりがある。15時55分、やってきた区間電車で台北に帰京した。



工事中の大溪駅プラットフォーム
休憩込みで約7時間半、下りがほとんどの道で、道の状態も良く気楽な山歩きができた。正直思っていたより楽だった。一部未整理の部分があるが、そこさえ通過すれば、あとは問題がない。雨の後の沢だったので、水量は少し大目だったがそれはそれで経験だ。距離約8.2km、登り累計220m、下り670mだった。道の状態が良いうちに、大溪川から尪仔嶺に登るのも良いだろう。




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