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南大龜山西斜面の杉人造林 |
小百岳に指定されている向天湖山は、
一度訪れたことがある。同名の麓にある向天湖側から光田高山を経由し、ぐるっと北へ伸びる稜線を回って向天湖へ降りた。今回は、同じく向天湖山を訪れたが、その南に伸びる稜線へ小東河山や大龍山を経由して登り、向天湖山から光天高山を経て、出発点へ回遊縦走した。向天湖山や光田高山は、人気ルートであり多くの登山者が訪れる。今回のルートは、それに比べると道の程度は落ちるが、道筋ははっきりしている。昇降高度も距離も、前回より高くまた長い。
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反時計回りに回遊 |
冬の台湾北部は、東北季節風の冷たい風が南の湿った空気にあたり、雨が多い。気温も低く、場所によっては風も強い。台北を離れ南に向かうと天気は良くなる。ここ何年かは、冬になると中南部の山を訪れることが多い。当山行の場所は、苗栗で台北からしばらく南下した場所で、台北やその周辺に比べると天気はよいことが多い。ところが、今回は雨こそ降らなかったものの、霧が立ち込め稜線上では冷たい風が吹いて、日照の期待は実現しなかった。
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南大龜山にて |
今回は、一部自家用車で参加したメンバーもいるが、
前週の鳶嘴山と同じシャトルカーを利用し往復した。費用は前回と同様一台6500元であった。南庄春谷の登山口から、反時計回りに、小東河山、大龍山、南大龜山、向天湖山そして光天高山を越え同じ登山口に降りた。この山並みは、加里山から北へ伸びる稜線上に南大龜山と向天湖山が立ち上がる。そして西側は比較的緩やかな傾斜だが、東側はストンと断崖で谷底に落ちる、典型的な所謂單面山である。小東河山と大龍山、向天湖山と光天高山は、この主稜線から西に延びる支稜上にあり、それぞれ谷を挟んで対峙する。
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春谷養鱒場停車場 |
朝五時に台北を出発する。第一高速道路を一路南へ、頭份インターチェンジで降りる。車上でウトウトしている間に、約一時間で着いた。さらに一般道路を南庄へ向け進む。途中コンビニに立ち寄る。白んだ空は残念ながらどんよりとしている。山の上のほうは雲に包まれている。6時45分に春谷養鱒場の駐車場(標高428m)に到着する。今日はここから歩きはじめ、戻ってくる。別の自家用車でやってくるメンバーを待つ。
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小東河步道口 |
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小東河山北峰登山口 |
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杉林の急坂を登る |
7時8分、舗装路を登る。かなりの規模の春谷養鱒場とその上の食堂を見て、7時15分右に小東河步道の入口が現れる。この道は、山腹を横切っていく散策道だ。階段を登り、平らになった道を進む。入口から7,8分で小東河山北峰への道の分岐を見る。歩道とは対照的にいきなり急な坂が始まる。雑木林から杉林、また雑木林と林相が換わる。急な部分にはロープも取り付けられている。登ること10分で稜線に上がる。
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黃藤は刈り取られている |
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草は濡れている |
トゲトゲの黃藤があるが、幸いしっかり人が通るだけの幅が刈り取られている。道はおそらく定期的に整備されているのだろう。7時46分、救助連絡札2番を見る。1番は気づかなかった。少し進むと、いままでは下草がなかったが森が少し切れた場所で草が道にかぶっている。前日や霧のためにしっかり湿っている。ズボンが濡れるのを防ぐため、前掛けを取り出し着ける。さらに10分ほど登ると、平らな小東河山北峰山頂(標高717m)が現れる。
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小東河山北峰 |
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岩の間を登る |
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小東河山 |
登りは続く。北峰から10分ほど行くと、大岩が稜線上に出てくる。霧も濃くなる。高度が上がり、雲の中に入ってきたようだ。8時35分、救助札5番が取り付けられている小東河山山頂(標高846m)につく。狭い頂上は樹木に囲まれている。樹木がなくても今日は霧で展望はない。あまり起伏の大きくない稜線を行き、造林基石のある分岐に来る。休憩をとる。
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[造林]基石の分岐 |
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露岩の目立つ尾根を登る |
休憩後、道は広い杉人造林の急斜面を登っていく。森の下草もしっかり濡れている。霧がさらに濃くなってきたようだ。9時33分、道は尾根上に上がり、そのすぐ先で救助札7番がある。大きな岩が多く現れ始め、最後に急坂を登ると9時43分、大龍山山頂(標高1103m)に着く。地図上でもわかるように、このピークは尖っているので山頂も狭い。
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大龍山山頂 |
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岩場を下る |
下り道も、上りと同じように急な坂だ。下り始めてすぐに、右に展望できる高台があるが、今日は霧で真っ白だ。坂にはロープが取りつく岩のセクションが現れる。20分ほど下でりが終わると、また登りが始まる。下りは地形が急峻なので人造林はないが、登り道の周囲一面はまた杉林だ。登るにつれて勾配がきつくなる。11時、勾配が緩くなった場所で、少し早いが食事休憩をとる。歩みを止めると、寒さに気づく。
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杉林をの登る |
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霧の中の昼食休憩 |
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山腹道分岐点 |
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主稜線の分岐 |
半時間ほどの食事休憩を終え、主稜線に向け緩くなった登りを行く。11時50分、南大龜山腹トラバース道の分岐にくる。狩猟者のキャンプ用と思われるシートが平らな場所に散らかり、救助札13番が取り付けられている。分岐から数分で主稜線の分岐に着く。右に行けば大坪山を経て
加里山へと続く。左にとり、北へ進む。稜線の右側はスッパリ切り落ちる崖だ。登り下りがあるが、全体として高度を上げていく。最高点を過ぎてさらに進み、12時半南大龜山(標高1330m)に着く。救助札は10となっており、今までの小東河山歩道の番号とは異なる。
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南大龜山山頂 |
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杉林を下る |
南大龜山は、今回山行中ほぼ中間点である。これから基本は下りになるが、向天湖山へは大きく下った後、また登り返さなければならない。15分ほどの休憩後、下り始める。しばらく雑木林を下り、また大きな面積の杉林に入る。整然と植林された森は、すくっとまっすぐに伸びる杉が、雑木林とは対照的に整然とした美を感じさせる。13時12分、道は下りきり大岩が忽然と森の中に鎮座する脇で分岐になる。左は山腹を光天高山方向へトラバースしていく。おそらく以前の造林道だろう。
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大岩の分岐点 |
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苔の着いた大岩をよじ登る |
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露岩の急坂を登る |
分岐は右にとり登り始める。すぐに苔に包まれた大石を乗り越え、急坂に取りつく。道脇には露岩が目立つ。13時56分、向天湖山救助札8番を見ると、道は緩やかになり稜線上を進む。14時5分、向天湖山山頂(標高1220m)につく。人気のある山なので、雰囲気が違う。訪問二度目の山頂は、霧に包まれている。
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稜線上を行く |
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霧の向天湖山山頂 |
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良好な道を下る |
この先は下りとはいえ、まだ距離があるのでまだゆっくりはできない。良好な登山道を下っていく。まもなく右に向天湖へと下る道を分ける。霧は霧雨に換わりはじめ、雨具を取り付ける。杉林の中を行く道も水たまり多く現れる。14時47分十字路分岐を過ぎ、少し登り返せば光天高山山頂(標高1123m)だ。最後のピークも湿った霧の中だ。霧雨は大降りにならずに済んだ。
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光天高山山頂 |
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霧の中の牛糞岩 |
春谷へと下る登山道は、あまり歩かれていない道だ。道の程度は落ちるが、道筋は悪くない。少し下ると光天高山‐春谷救助札4番がある。さらに5分ほど下ると、大きな岩の脇を過ぎる。この岩は吉普塞(牛糞岩)という名札が脇にある。確かに下から見上げると牛の糞のような形状だ。15時20分、救助札12番を過ぎると、尾根が狭まり坂が急になる。この辺りは、左側が切れ落ちている。15時47分、表面に小さなくぼみがたくさんある大岩を通り過ぎる。蜂窩岩というそうだ。その少し先で7番札を過ぎ、最後の休憩をとる。
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南庄で夕食 |
休憩後少し行くと、道に石段らしきものがある。勾配が強い場所を降りると、稜線から離れ方向が大きく右に曲がる。山腹をしばらく緩い坂を行く。16時27分、最後の急坂を下り始める。沢の反対側に、駐車場が見える。下り切り沢の音を左に聞いて橋にでる。橋を渡るとすぐに駐車場に着く。16時45分、これで今日の歩きは終わりだ。遊楽客であふれる南庄で客家飯館で食事をとり、帰途に着く。20時15分、台北にたどり着いた。
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歩行時間約9時間40分(休憩時間を含む)、距離は11.8㎞である。累計登坂1158m、下降1201m、コース定数は33となる。ちょうど寒波の襲来があり、気温が低く霧の中では風が冷たかった。雨が降らなかったのは幸いというべきだろう。全く展望がなかったのは残念だが。西の海側から高山へと続く山地の中で、苗栗縣のこの辺りは南北に何條から山脈がつらなる。今回山行の山脈の西側には、神仙縱走の峰々、また東側には五峰天際線の峰々が南北に連なっている。これらの山々の展望を期待していたが、それはかなわなかった。
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