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RSA48 法雲禪寺→十份崠老茶亭セクション表示 |
樟之細路は、桃園市龍潭から台中市東勢までの230㎞に及ぶ長距離トレールである。筆者は、
3年前に全行程を歩き終えている。実は、苗栗縣大湖の前後で樟之細路は二つのルートに別れ、また合わさって一本になっている。筆者は、この二つのルートのうちの老官道を含む
東線を経由して歩いた。もう一つのルートは、大湖の谷間西側の稜線上を行くもので、出關古道や
小百岳關刀山を越えていく。今回の山行は、当西線を歩くものである。西線は、樟之細路のルートセクション番号でいくと、RSA48~51が相当する。この四セクションで合計32㎞になる。32㎞を一日で歩くことは不可能ではないが、台北からの往復交通の時間と、またその出発と終点までの交通機関からのアクセスを考えると、まず無理である。そこで、西線を二つに分け、二度訪れることで歩くことにした。今回は、その前半である。
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北から南へ縦走 |
前半の行程は、
3年前に歩いた出雲古道(RSA47)との分岐である法雲禪寺から、十份崠老茶亭までである。そして、そこまでのアクセスとして台三線公路上の法雲禪寺バス停から歩き、また十份崠からは苗60県道を大湖へと徒歩で下った。それぞれは、当然距離があるので、全体として20.5㎞ほどの行程となった。また、途上かなりの上下があり、登攀も都合で1100mほどとそこそこの登山となっている。樟之細路には含まれないが、ルートの近くにある二座、雞隆山(727m)、黃麻園山(653m)をついでに訪れた。山桜がちょうど開花時期で、満開の桜を多く見た。またスモモ(李子)畑では、白い花が満開であった。寒風が吹く曇りの天気とは裏腹に春の訪れを告げていた。
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樟之細路全行程と大湖東∕西線の位置 |
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法雲禪寺山門(Gさん撮影) |
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5656番バスを下車 |
苗栗縣大湖は、谷あいにある街である。台湾を縦貫する非高速道路幹線である台三線公路を経由すると台北から130数キロである。高速道路経由で行っても2時間以上かかる。つまりは、そこそこ遠い。今回は、公共交通機関でのアクセスで、台北駅を7時発の自強号急行で出発する。苗栗駅で5656番バスに乗り換え、出発点の法雲禪寺バス停には10時少し前に到着した。約3時間である。バスの乗り換えに20分ほど要したので、実質は2時間40分である。
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道路わきは観光イチゴ園、前方に法雲寺山門 |
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彼岸吊橋 |
東北季節風が訪れたので、台北出発時は雨、ここまで南下してもすっきりしない。バスを降りると曇り空。昨晩は雨だったようだ。道脇はイチゴ畑、大湖はイチゴの産地である。法雲寺山門をくぐる。彼岸橋と名付けられた吊橋を渡り、山上のお寺へ坂道を登り始める。九十九折の車道に対し、近道の階段がある。そのあとは、道なりに登っていく。
3年前にくぐった山門を通り、10時半前に法雲寺の境内についた。
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法雲寺へ登る |
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法雲寺下のRSA47と52の接点表示 |
前回訪問時と同じに桜が満開だ。ただ空は曇り空、近くに見える玉女山は少し雲がかかっている。境内を通り過ぎ、山道を進む。その先に分岐がある。案内板には法雲寺古道とあるが、別名出雲古道である。出雲は日本人には「いずも」だが、麓の出礦坑と法雲寺の文字を合わせたものだ。三年前は右の道からやってきた。今日は、左にとって樟之細路RSA48セクションを歩く。
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山門 |
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玉女山は雲をかぶっている |
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桜が満開 |
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出雲古道との分岐 |
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法雲寺 |
道は未舗装だが広い。山腹を進み、少しのぼっていくと10時58分玉女山への登山口に来る。今日は先が長いので、そのまま進む。その先の分岐で左にとりさらに高度を上げていく。先に送電鉄塔がある前に、左に尾根を登っていく細い道がある。樟之細路のプレートとロープが取り付けられている。細くなった道を登る。送電鉄塔脇を過ぎると道は緩やかになり、また別の鉄塔をくぐると道は広くなる。あたりの霧は濃くなった。道も少しぬかるみがある。
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玉女山の分岐部 |
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細い山道に入る |
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鉄塔脇を進む |
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もう一つの鉄塔をくぐる |
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ぬかるみと左の標識 |
この道は送電線の保線路である。ところどころにある樟之細路標識を確認し、最後の鉄塔から歩を進めること約25分で、道は下り始める。11時56分、土の道はコンクリ舗装に換わる。分岐の部分で数本の桜が満開だ。道が平らで乾いているので、食事休憩をとる。
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桜の下で食事休憩 |
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龍潭起点から140㎞の表示 |
約30分の休憩後、先を急ぐ。今日の行程の三分の一もまだ来ていない。急な坂道を下っていく。先ほどはほぼ稜線上を歩いてきたが、谷に下る。稜線はずっと南下するが、稜線上を行く道がないのだ。桜がちょうど満開で、すでに散った花が道を赤く染める。ゲートを通り、さらに下っていく。イチゴ畑や人家が現れ、12時56分銘忠橋と表示の橋で沢を渡り、登り返しが始まる。上部まで標高差250メートルである。
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檳榔園のわきを下る |
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民家とわきのイチゴ畑 |
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橋を渡り上りが始まる |
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ガス田のわきを行く |
ほとんど車の往来のない道を登っていく。谷間を進み、方向を変えると左に天然ガスの採取場所を過ぎる。出礦坑は、台湾で初めての石油ガス田であるが、同じ地層なのでここでもガスが採れるのだろう。道をさらに登り、13時33分峠部分につく。登ってくるメンバー全員を待ち、下っていく。左に大きなスモモ畑の斜面が広がり、白い花が咲き誇っている。その先の分岐で左に大きく曲がり、山腹の道を追っていく。
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スモモの白い花が一面に咲く |
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左の道から鋭角に分岐を曲がる |
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山腹の道を進む |
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分岐とトレール標識 |
霧の境界はおそらく標高530mぐらいのあたりのようだ。割合と平坦な道が終わり、勾配を登り始めると霧が濃くなってきた。2,3の分岐を過ぎ進む。分岐には、樟之細路標識がある。小さいのでちょっと気を付ける必要があるが。14時26分、濃霧の中の福勇祠土地公の前を過ぎる。さらに登って道脇の石頭公を過ぎ、間もなく左に雞隆山への道が分岐する。
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霧の中の福勇祠
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石頭公 |
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作業小屋 |
草や枯れ枝が覆う道を登り、右に作業小屋を見る。その先は、背丈より高いカヤが一面に繁り、道がわからない。今日は鎌を持っていない。ほとんど訪れる人のない不人気山は、道が完全にふさがっている。草をかき分け登ってみる。石積みの段があるので、以前は農地だったのだろうが、放棄されカヤに占領された。20分ほど見当をつけて藪漕ぎするが、地図上では山頂まで数十メートルある。時刻はすでに15時近く、20メートルほどの落差で20分のペースだとかなり時間を要するので、登頂をあきらめ引き返す。
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藪漕ぎ |
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この地点で引き返す |
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登山口に藍腹鷴 |
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道脇の老犬 |
舗装路に戻る。ちょうどオスの藍腹鷴が出口近くで歩いている。近づくと、やはり逃げてしまった。さらに少し登り、ガス田のわきを行く。その先分岐で、一匹年老いた台湾犬が寒空にたたずんでいる。霧の中に赤い寒緋桜が浮かぶ。その先の民家で、樟之細路は右に曲がるようだったが、気づかずそのまま直進する。霧が薄くなり遠くが見える。農夫がショウガ畑で収穫中だ。こうした風景も、実は樟之細路歩きの一コマだ。先ほどの雞隆山が雲をかぶって、向こうに立つ。少しの上り下りを行き、16時樟之細路に再度出る。
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霧中の桜 |
。
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ショウガ畑 |
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雲をかぶる雞隆山 |
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高度が下がり霧のない景色が広がる |
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トレールの分岐に合流 |
分岐を右にとり、坂を登る。イチゴ畑を過ぎ、民家のすぐ先で左に道をとる。地元民がバイクでやってきてその先道はないというが、行ってみると右に黃麻園山への道がづづいている。当座も不人気山である。それでもところどころにマーカーが残っている。道は竹林に入り、水槽を左に見て少し登る。竹林が切れ雑木林に入り、16時20分黃麻園山山頂についた。霧の森の山頂は、そこそこに往路を戻る
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竹林を進む |
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黃麻園山山頂の筆者 |
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分岐へ戻る |
分岐で待っていた4名と合流し、さらに下る。16時50分、樟之細路RSA48の最終点十份崠老茶亭についた。今回の西線前半はこれで終了だ。小休憩のあと、苗60県道を下り始める。残りは4キロほどだ。下って谷が開けると、イチゴ畑が現れる。その先苗60県道7Kの地点で分岐を左にとる。道はまた少し上り坂だ。峠を越え、急な坂を下り、17時35分台三線公路に出る。さすがに主要幹線なので、車両の往来は多い。北に向かって進み、17時47分大湖鄉公所バス停にたどり着いた。
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十份崠老茶亭 |
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大湖へ下り始める |
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苗60県道7K地点の分岐 |
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途上の標識 |
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大湖街の入口、左遠くの稜線を歩いた |
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苗栗駅で19:30発自強號にて帰京 |
待つこと数分で、5656番バスがやってきた。乗車すると間もなく日が暮れ、約55分ほどで苗栗駅に着く。多くのメンバーは少し遅れ気味の自強号急行へと急ぐ。筆者は、そのあとの19時30分発の自強号急行で帰京した。
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スモモの花 |
アクセスが遠いので、歩き始めが10時と遅い。距離は20.5㎞である。RSA48セクションは13.4㎞なので、前後のアクセスで約7㎞ということになる。ただ、道の状態は悪くなく、法雲寺からの3㎞強ぐらいが土の道で、その他は舗装路である。そのため、歩行速度も速く、休憩込みで7時間45分(平均速度2.6㎞)で歩き終えている。普通の山道では頑張っても2㎞なので、距離は稼げる。累計登攀1170m、下降1140m、コース定数は33となる。
西線前半は完了したので、近いうちにまた後半を歩くつもりだ。暑い時期にはこのようなルートは大変だからだ。
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