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雪見遊憩區ビジターセンター |
台北は気温が体温より高い38,9度などという数字が表れる。日本も軒並み暑い日が続いているようだ。こうしたときには台北付近の郊山(低山)は、沢に近いルートでもない限り暑くて、それだけで体力を消耗してしまう。今回の登山は、標高が1800m以上で涼しい中級山でなおかつ体力的にあまりきつくない山行である。
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北坑山山頂 |
雪霸國家公園は、その名が示すように雪山や大霸尖山がその中心だが、その周囲の山谷も含む。今回の登山は、公園の西端にある雪見遊憩區の司馬限林道と北坑山と東洗水山である。雪見とは日本的な名前だが、まさに日本語の雪見からきている。1923(大正12)年から1925年にかけて開削された北坑溪警備道の雪見駐在所がその由来である。大安溪の支流北坑溪を挟んで望める雪山山脈の主稜が冬に雪を頂くので、雪見である。北坑溪古道は、苗栗の大湖から北坑溪の右岸を行き、今は觀霧と呼ばれるモギリを経て、霞喀羅古道の田村台へと続いている。公園により一度歩道として整備されたが、台風で大きな被害を受け現在は封鎖されている。北坑駐在所は、まだ半壊状態の木造駐在所が残っているということだ。
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遊客中心から往復
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二つのピークを除いて上り下りは少ない
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大湖から苗61線を進む
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今回は比較的楽なルートなので、筆者も含め24名と大きなパーティだ。6時半台北の二カ所から三台の車に分乗し、高速道路経由で大湖に向かう。ここで三台が合流する。約1時間半の乗車だが、まだまだ先は長い。苗61線で谷間に入っていく。この道は、その昔の警備道が拡張されたものだ。大湖は、イチゴの栽培で有名だがこの道わきにもイチゴ畑がある。次第に大湖溪の谷が迫ってくる。この辺りは、100年前はすでに原住民のテリトリーだったろう。川の左岸の山は
馬那邦山だ。普通は反対側から登山する。地図上に酒保という地名がある。酒保は警備道にあった雑貨店のような購買部のことである。当時この地にそうした店があったのだろうか。
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大安溪の谷間を望む
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出発時のメンバー
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道は司馬限林道と名を変え、山に取りつき登り始める。教会の建物を左にみて間もなく、道は二手に分かれる。左は司馬限林道、右は梅興道路で、それぞれ司馬限山の北側と南側の山腹を行き、また合流する。車は左の林道を進む。深い谷を挟んだ対岸は
洗水山の山並みだ。二つの道が合流する辺りは標高も1200mほどあり、二本松と呼ばれる。警備道の二本松駐在所があった。下方には大安溪の谷間が広がる。さらに林道を登っていき、9時40分終点の雪見遊憩區のビジターセンターに到着する。台北から約3時間である。センターの建物にある温度表示は18度、十分に涼しい。
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遊歩道入口や駐車場を過ぎる
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説明板から見る雪山山脈は霧の中 |
支度をして、9時53分林道を歩きはじめる。近くは公園の整備がしっかり行われており、砂利も敷かれている。わきには遊歩道の入口もあり、また車も駐車している。林道は勾配を感じさせない。数分で車止めのゲートを過ぎる。状態がとても良いので車でも通行できるが、一般車両は入れない。このように状態の良い林道は、
觀霧の大鹿林道など数は少ない。10時6分、右が開けている。周辺の景観の説明板がある。天気が良ければ、
雪山西稜の峰々や雪山主峰から大霸尖への
聖稜線が見えるはずだが、殆ど霧にふさがれちょこっと主峰の辺りが見えるか、ぐらいだ。
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泥濘はあるが状態のよい林道 |
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崖崩セクションもしっかり修復 |
10時20分過ぎ、約2㎞ほど歩いてくると、道はほぼ平らに進む。今まで約100数十メートル高度を上げているが、あまり勾配を感じなかった。かなり足早に歩き、ほかの遊楽客を追い抜いていく。人数があるので、行軍のようだ。道はぬかっているところもあるが、コンクリブロックを埋めて表面がぬかり流失するのを防いでいる。かなりの規模のがけ崩れもあるが、しっかり修復されている。今まで多くの林道を歩いたが、廃棄されがけ崩れで路面が流失し、高巻きを余儀なくされるのに比べると、何と良いことか。さらにところどころ、道脇には移動トイレも設けてある。10時45分、小休憩をとる。
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北坑山登山口,右の木馬道を直進 |
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急な階段道を北坑山山頂へ |
休憩場所から少し行くと、東洗水山の登山口がある。ここまでビジターセンターから3.8㎞だ。林道は少し下がりまた登り返していく。かなり太くなっている杉人造林を過ぎていく。11時15分、北坑山登山口に来る。ここまでセンターから6.2㎞である。道は、右に木馬道と左に山道の二つを分ける。木馬道とは、道に材木を敷いて切り倒した木材を運び出すための道である。こちらは道幅も広く傾斜も緩い。こちらを経由して進む。11時37分、霧の間から北坑山の山頂がのぞく。その先5分ほどで、山道と合わさり急な階段道になる。11時53分、落差週十メートルを登り切り、北坑山山頂(標高2163m)に到着する。大勢の登山者が山頂のベンチや下の方にある天候計測機器わきで休憩している。我々もここで1時間の長い休憩をとる。
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多くの登山者がくつろぐ北坑山山頂 |
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東洗水山登山口 |
来る途中時々陽光が森に差し込んできたが、霧が濃く動かないと寒いぐらいだ。13時前に往路を戻り始める。山頂から北に稜線を下っていくと大板根があるが、往復に2時間ほど必要なので今回はあきらめる。先ほどの急階段を下り、分岐で右に山道をとる。こちらは稜線を進み、小さな上り下りが現れる。森の中を抜けていき、道わきには大きな倒木などを見るが、しっかり整備されているので、まったく問題ない。13時44分、登山口に戻る。続いて林道を進む。14時14分、東洗水山登山口に着き、小休憩をとる。
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急坂を東洗水山山頂へ
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東水洗山山頂の筆者
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山頂まで約220mの落差である。道標では0.83㎞とある。かなり急坂で、メンバーの7名は登らず先にビジターセンターに戻るという。14時25分、残り17名で階段を登り始める。すぐに山腹をトラバースして谷間を橋で渡る。そこからずっと上りになる。ところどころ林道を横切るが、基本は階段や急坂だ。14時50分、稜線に上がる。そこは東洗水山南峰だ。稜線を少し進み、14時54分、東洗水山山頂(標高2243m)に到着する。樹木が一部切れているが、霧でまったく展望はない。後続のメンバーが次々と到着する。狭い山頂はいっぱいになる。
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霧の東洗水山南峰 |
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人造林の急坂を下る |
15時15分、下山を始める。往路を下る。急坂は下りは速い。15時40分、登山口に着く。全員がそろったところで、林道をセンターに戻る。歩くにつれ速度も上がる。特に残り2㎞は、下り気味なので、先を行くほかの登山者を追い抜いていく。16時27分、センターに戻りつく。途中雨が少しぱらつきだし、傘を取り出しさす。最近は、午後にわか雨のパターンが多い。車に置いておいた着替えに着替え、17時前に司馬限林道を下り始める。一時間ほどで、大湖に到着、そこの客家料理店で食事をとる。19時過ぎに台北に向け出発、20時半過ぎに台北駅に到着した。
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林道の車止めゲートに戻ってきた
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大湖溪の谷間が広がり大湖もすぐだ |
今回は、歩行距離約16㎞、休憩込みの行動時間6時間半ほどだ。日帰りだと、交通機関にかなり時間を取られる。もし大板根などを見るのであれば、さらに2時間ほど早く出発する必要があるだろう。林道や登山道はとても状態がよい。他の山で遭遇する邪魔な倒木やロープの急坂もない。体力さえ問題なければ、だれでも歩けるルートだ。
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