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2020-08-12

2020年8月8日~10日 塔魔巴棲松縱走 森林美と山中池を巡る山旅

巨木ヒノキの原生林を行く(塔曼山-玫瑰西魔山)
山中の棲蘭池
台湾の山は、標高3000m以上の高山、1000m以下の郊山、その間の山を中級山と呼んでいる。かなり大雑把な分類だが、中級山はそれ自身の魅力がある。それは、森林の美しさであり、山中のひっそりした池であったりする。今回の縦走は、通過する山や湖の名前の一字をとってつけた名前で、塔曼山,玫瑰西魔山,巴博庫魯山,棲蘭山(池),松羅湖を指す。いずれも標高1300mから2100mぐらいに位置する。前者三者は、 塔魔巴縦走として多くの登山者が歩く。後者巴棲松縦走は、一日では歩ききれないので、それほど歩かれていない。ともに筆者は未踏だったが、今回は一回で歩き終えた。ちなみに松羅湖の松羅とはサルオガセのことである。

三日間の歩行ルート、西から東へ縦走
三日間の歩行高度表
新北市、桃園市、宜蘭縣にまたがる縦走路
標高2101mの巴博庫魯山は山頂からの展望があるが、その他は森の中で展望はない。では何が登山者をひきつけるのか。それは、まさに森林だ。苔がびっしりと地面だけでなく、樹木にも生え、倒木がそこかしこに現れて行く手を遮る。霧が出的来ると、一層魔幻の森を彷徨するかのようだ。巨大なヒノキも次々と現れる。そして、蛙が途切れることなく鳴きわたる、深山の澄んだ水を貯える池、千変万化の自然に入り込むということが、ひしひしと感じられる。それがこの縦走の魅力だ。先月歩いた太加縱走も、同じような森を行く行程だ。それと比較すると、こちらは前半部分林業が入っていないので、ヒノキなどの原生林があるので、さらに魅力的だ。

巴博庫魯山山頂のメンバー
三泊二日の山旅は、全行程で22.5Kmに対しては、時間的な余裕があった。勿論途切れることのない倒木越えや小さな上り下りで、進捗は遅々としているが、それでもキャンプ地には早めにつき、また途中で水遊びなどができたのは良かったと思う。前晩に塔曼山登山口に宿泊し、二日で歩き終える人もいるが、かなりきつく自然を満喫するのは困難だろう。一日目は塔曼山と玫瑰西魔山を越えて玫瑰池營地まで、二日目は巴博庫魯山,棲蘭山を越えて棲蘭池へ、三日目は南勢溪の源流へ下り少し登って松羅湖を訪れ、人気ルートである松羅湖登山道を登山口へ下った。

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第一日 8月8日(土) 台北 - 巴陵塔曼山登山口 - 塔曼山 - 玫瑰西魔山 - 玫瑰池營地

登山口から塔曼山,玫瑰西魔山を越えて玫瑰池キャンプ地へ
二つの山峰を越える
北橫公路巴陵橋
今日は、台湾(及び華人社会)の父の日だ。八八は中国語の発音でお父さんと同じ(爸爸)だからだ。日本での6月とは異なる。朝6時半に台北駅の近くに集合、10人乗りのシャトルサービス車で出発する。今回は満車10名のパーティだ。第三高速道路の三峽で降り、台七甲、台七線(北横公路)と今まで何度も通った道を進む。8時45分、約2時間の乗車で巴陵橋を見る。橋を渡り左に上巴陵へ登っていく。9時、上巴陵で小休憩をとる。以前はここの派出所で入山許可をとったが、桃園市管内はすでに入山許可の申請がいらなくなっている。

上巴陵展望台からの山景、最左に巴博庫魯山、左の谷は塔曼溪,右は大漢溪
前方塔曼山の登山口へ最後の登り
脇の展望台から、大漢溪の深い谷とその周辺の山々がはっきり望める。左はしにはこれから登る塔曼山が、塔曼溪の奥に明日登頂予定の巴博庫魯山から復興尖山、大漢溪の対岸は稜山,唐穗山西丘斯山そして近くには低陸山が連なっている。数年前に初めて訪れたときには、未知だったこれらの峰々はすでに歩き、身近なものとして感じられる。

塔曼山登山口のメンバー
多くの登山者が登る
さらに車で塔曼山登山口に登っていく。9時37分登山口につく。登山口の前には何台もの車が駐車している。多くの登山者が訪れているようだ。9時55分、三日間縦走の歩みを始める。塔曼山までは一年前に歩いているので、様子が分かっている。状態のよい山道が尾根上を登っていく。周囲は雑木林だ。路面に現れる樹根が面倒だ。10時半、シャクナゲの林に入ったところで休憩をとる。標高は約1900m、約250mほど登ってきた。

樹根の多い道
倒木の丸木橋
歩きはじめてすぐに900mの標識を見る。塔曼山まで約3Kmだから、約1/3の地点だ。この登山道は、おおむね緩やかな坂だが、一部ロープがある急坂もある。10時57分、倒木一本橋を渡る。このルート上のランドマークだ。2Kを過ぎる辺りから、ちょっとした下り部分や、ぬかった場所も現れる。少し長めの階段道を登りきると、2900mの表示を見る。12時10分、山頂下の太陽電池や計測機器のある場所のすぐ下の木陰で食事休憩をとる。山頂は狭いので、ここで先に休憩だ。今日は、前回の軽装でなく各人10数キロの重装備だが、思っていたより短い時間でやってきた。

2900mサイン、頂上は目の前だ
山頂の筆者、左後ろに縦走路の道標
20数分の休憩後、塔曼山山頂(標高2130m)へ進む。これで三度目の登頂となる。誰が残したのか、木製の立派な山頂プレートがある。12時50分、玫瑰西魔山へ向け縦走開始だ。6年前初訪の際に、この道はどこへ続くのかと思ったことを思い出す。先ほど登ってきた道と比べると、通う登山者の数が少ないので状態は落ちるが、それでも道筋ははっきりしまったく問題ない。矢竹の間の道を下っていく。そのうちヒノキの巨木が現れてくる。倒木を越え、またくぐり進む。午前の道とはだいぶ違い、時間がかかる。13時45分、標高300mほど下ったところで休憩をとる。ちっと平らな場所のすぐに、大きなヒノキの三兄弟があるのに気づく。

矢竹が森の底にはえる、前方にヒノキ
ヒノキの三兄弟
ヒノキの前で写真を写したり約20分ほどの休憩後、引き続き下っていく。こちらもヒノキん大木が現れ、足を止める。根こそぎ倒れている大木もある。樹木にこけがきびっしり生えている。泥濘もある。14時48分、標高約1670mの最低鞍部にたどり着き、休憩をとる。休憩後、標高1882mの玫瑰西魔山まで登り返しが始まる。小ピークを越え、また登りが続く。坂はけっこう急だ。15時41分、山頂に登りつく。山頂はシャクナゲの樹木が茂り、展望はない。山頂には、茶墾山方向の道標がある。道筋不明ないので、注意するようにとある。


玫瑰西魔山へ登り返す

台湾中華民国の国旗がある玫瑰西魔山山頂
20分ほどの休憩後、玫瑰池營地へ下る。こちらも同じく倒木や樹根に悩まされるが、30分ほどで降りきり鞍部のキャンプ地に着く。朝10時から歩きはじめ、休憩込みで6時間半、約6.5kmの道のりだった。累計で760mの登坂だ。初日としては、まずまずの進行だ。

玫瑰池營地へ下る
キャンプ地の脇に巨木
すぐわきには大きなヒノキがある。今日は土曜日なので、我々と同じようにここで宿泊するパーティがあるかと心配していたが、我々だけだ。ここはスペースがそれほど大きくないので、テントが多いと張り切れない。水はここから少し下がったところにある玫瑰池の水を濾し煮沸して使う。食事をすませ、20時までには就寝する。

鞍部のキャンプ地
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第ニ日 8月9日(日)玫瑰池營地 - 巴博庫魯山 - 棲蘭山 - 棲蘭池營地

巴博庫魯山と棲蘭山を越えて棲蘭池へ
歩行高度表
ヒノキの原生林が続く
4時半に起床、6時過ぎに出発する。すでに周囲は明るい。標高差約100mほどの急坂が終わると、しばらく小さな上り下りが続く。朝陽が森の中の木々を浮かび上がらせ、今日の天気を知らせる。午後はにわか雨の可能性もあるが、少なくとも午前中は問題ないようだ。7時12分、昨日見たものよりさらに大きな根こそぎ倒れた倒木の根がある。もともとの根が張っていた場所は平らになっている。枯草が敷いてあるので、最近ここでキャンプしたパーティがあるようだ。休憩をとる。

朝霧の上には青空
根こそぎ倒れた巨木
シダの生える森を行く
稜線の端から遠方を望む
登りが続く。広い尾根は、広葉樹の中に大きなヒノキや台湾ツガが現れる。森の底は、矢竹やシダ類だ。台湾龍膽の青い花が咲いている。8時45分、道は尾根の左脇になり、森からでて左に遠景が見える。すぐ近くには大きな崩壊面を持つ尾根が下がり、その向こうに特徴のあるピークが見える。拳頭母山だろうか。その遠くは、桶後溪上流の山々と思われる。標高は約2000m近く、巴博庫魯山まで残り少しだ。9時19分、稜線上の分岐に着く。右は巴博庫魯山山頂、右は棲蘭山方向だ。ザックをデポし、山頂へ向かう。ほんの2,3分で山頂に着く。

稜線上の分岐部、ここから山頂を往復
巴博庫魯山山頂から展望
青空のもとの南湖大山
山頂(標高2101m)は、東と南方向が開け、展望ができる。左下には、蘭陽溪の谷が蘭陽平野に開けていく場所や、対岸に大平山の山々が長く南に続く。そのうちの一番高いピークは、三星山のようだ。その右方向には、先月歩いた多門山や加羅山がある。さらに南を望めば、南湖大山が堂々とその翼を広げて座っている。実に雄大な眺めだ。巴博庫魯山の巴博はバボ、タイヤル語で山の意味である。つまりはクル山ということだ。

右に明池第二登山口への道が分岐する
鞍部へ下る
山頂から分岐に戻り、10時棲蘭山へ歩きはじめる。ここから明池第二登山口へ下る道と重なる部分なので、道筋ははっきりし林務局のマーカーも取り付けられている。約20分で、右に下る道を分岐する。左への道には、棲蘭山へは道筋がはっきりせず遠いので、それなりの準備がなければ入らないように、との表示がある。進み始めると、確かに程度は落ちるが、マーカーリボンもあり迷うほどのことはない。稜線上は風が吹き抜けていき、気持ちが良い。

小情池

樹幹にも苔が生える
約300mほど下り、11時10分小情池を見る。水は少ないが、強い日差しのもと蛙の鳴き声が大きい。池から登り返し、11時40分少し開けたところで休憩をとる。森の樹幹は、苔がびっしり生えている。また下り、12時17分大情池が現れる。池とあるが、水はほとんどなく草で埋まっている。ただ蛙の鳴き声は大きい。池の脇を進み、登り返していく。道は、広い尾根の森をぬって進む。途中、赤い林務局の道標を見る。12時57分、登って風が吹き抜ける場所で休憩をとる。

水が見えない大情池
比較的緩やかな稜線の森を行く
最後に急な坂を登り、13時47分棲蘭山山頂(標高1910m)に着く。林務局の表示は別名馬告山となっている。ただ、玫瑰西魔山がこの名前であるという資料もある。本来タイヤル族のテリトリーで、彼らの名付けた山が、そのまま今まで引用されているかどうかは不確定だ。山頂は狭く、樹木があるので展望もない。

棲蘭山山頂

棲蘭池はもうすぐだ
今日の宿泊地棲蘭池は、すぐ下だ。気持ちは楽だ。地図上では標高差100mちょっとにすぎないが、下り始めると急な坂や崖崩れ部分などがあり、思ったより時間がかかる。急坂を過ぎ、右に回り込む。14時40分、周囲を山に囲まれた池が現れる。その周囲は草地で、キャンプ地には事欠かない。今日の歩きは6㎞、累計登坂760mだ。休憩込みで約8時間半、急ぐこともなく歩いた。

棲蘭池
透明な池の水
テントを張り、池の水をくむ。水は透明だ。オタマジャクシが泳ぎ、驚いた蛙が池に飛び込む。勿論、水は濾過や煮沸して使う。我々以外にだれもいない。自然に囲まれ、時間はゆっくり過ぎていく。これこそ今回の縦走の醍醐味だ。そのうち霧が出てきて、神秘的な様子を醸し出す。池の脇で食事をとる。18時過ぎに暗くなりはじめ、19時過ぎにさらに大きくなった蛙の鳴き声を聞きながら就寝する。夕方に遠くに雷音が聞こえていたが、いよいよパラパラテントに雨音が聞こえる。にわか雨だとよいが。
池には霧がでてきた
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第三日 8月10日(月)棲蘭池營地 - 南勢溪源頭 - 松羅湖 - 松羅湖步道登山口 - 台北

一度大きく下って南勢溪源頭へ、その後松露湖へ
歩行高度表
テントの中にいた蛙(Yさん撮影)
4時に起床、外は暗いが月や星が輝いている。台風が接近し天気は下り坂という情報だ。まだ霧がかかる棲蘭池を囲う山壁の上には、ピンクの空が広がる。テントを撤収する際、テントの中に蛙一匹を見つける。5時40分、歩きはじめる。棲蘭池から南勢溪源頭へ下る道は、稜線を進む道と南に110林道(廃棄)へ下りこれを進むルートがある。昨日中にそれぞれの入口を確認し、マーカーなどがはっきりしている稜線道を進むことに決めていた。

夜明けの棲蘭池
撤収し出発する
原生林に朝陽が差し込む
昨日の雨で草むらは濡れている。出発前に防水ズボンをはき進む。池の周りを囲む山壁は約数十メートルの高さだ。登りきると、比較的緩やかな森の中を進む。勿論小さな上り下りは続くので、めんどうだ。6時を回り森の中に黄金の日差しが差し込む。休憩をとり、防水ズボンを脱ぐ。森の中は高い草もなく、濡れる心配が少ない。倒木や樹根に苦労しながら進むこと約40分、模故山へ続く尾根の分岐に来る。この稜線を進めば、模故山や利茂岸山を越えて福巴越嶺古道に降り、烏來福山へ出る。ただ、殆ど歩く登山者はいないので相当苦労が必要だろう。


稜線上の分岐点、ザックの脇にある道標は文字が薄れて判読不能
急坂が始まる
休憩のあと、いよいよ下り始める。少し緩やかな坂を過ぎると、急坂が落差約550mをもって現れる。急坂は神経を使うが、降りるのが速い。しかし、この道は倒木などがあり思うように高度が下がらない。約30分ほど下り、標高約1700mぐらいにくると、崩壊部分の上にでて右側の展望が広がる。昨日巴博庫魯山でみた山々が、範囲は狭いが、盆盆山へと続く尾根の向こうに望める。

崖際から遠望ができる、遠く中央に三星山

110林道分岐部、左に下る
シャクナゲ林、カヤの草むら、杉林などの中を下っていく。8時5分、110林道に降りる。右に林道を少し進み、分岐に来る。正面からの道は、昨日検討した別のルートになる。ただ、入口には赤いテープが渡してあり、こちらは入るなという意味か。ここの道標も文字がかすれて判読不能だ。メンバーがマジックインキを取り出し、書き入れる。


盆盆山への分岐部、左に進む
左にとり、また急坂を下る。この周辺は、かつての林場で伐採があった場所だ。切り株も残っている。8時47分、盆盆山へと続く道との分岐に来る。これで急坂の下りは終了だ。左にとり、下っていく。すぐに涸沢の様相を呈する。道は沢の脇を行き、または石のごろごろする沢底を進む。水たまりはあるが、水は流れていない。水が現れたらそこで休憩をとるつもりだが、20数分下っても涸沢のままだ。9時20分さきに小休憩をとる。

涸沢に降りる

狭まった谷の右岸を行く
沢沿いにさらに10分ほど行くと、伏流が終わり水が流れている。そこで水を補給する。道はずっと左岸を行く。9時54分、左に枝沢が小型の滝で流れ込む。この辺りは谷が狭まりまた深く、渓谷の様相だ。10時2分、谷は広がり左にちょっとした平らな場所がある。ここでテント設営できそうだ。水場もすぐだ。道は、沢の左岸から右岸、右岸から左岸へと渡渉を繰り返す。水量は多くなく、長靴で沢渡も簡単だ。10時半、大きく広がった沢底は、また伏流になる。その場所で長めの休憩をとる。

沢を数回渡渉する
沢がまた伏流になる前の場所で休憩
右岸にある松羅湖への登り口
松羅湖への登り道
水遊びを終え、残りの沢沿い道を行く。10分ほどで右岸に松羅湖へ登っていく入り口を見る。これで南勢溪の源頭とはお別れだ。この水が滔々と流れ、最後は淡水河で台湾海峡に注いでいるのだ。谷間の道は、涸沢状でこちらも石がごろごろしている。勾配は緩い。落差50mほどを10数分で登り、鞍部を越える。反対側は急坂だ。11時25分、松羅湖に着くが、水がほとんどなく草原状だ。中心辺りに、すこし深い部分があり、そこにかろうじて水がある。17歳少女の湖といった形容もあるが、この状態ではあたらない。協作のテントがある、松羅湖步道入口方向へ歩き、広々した湖畔で休みを取る。

松羅湖で休憩、空には青空も見える。水はとても少ない
ここから松羅湖步道が始まる、林務局の標識は距離5.4㎞とある
峠部分、左に拳頭母山への道が分岐する
天気予報では、昼頃から雨になるというが、青空ものぞく。約50分ほどの休憩でゆっくりくつろいだ後、松羅湖を囲む山壁を登る。湖から登山口までは5.4㎞だ。林務局の道標がそれを示す。10数分で登りきる。峠部分で左に拳頭母山への道が分かれる。峠付近からは、厚くなってきた雲の下遠く、蘭陽平野が見える。はじめはかなり急な坂が続く。多く歩かれている道なので、赤土が深くほり込まれている場所もある。坂が緩くなっても、樹根や石が多く、歩きやすいとは言えない。

遠く宜蘭方向が見える

歩道脇には切り株も残る、4.4k地点
この道は、以前は造林用の道だ。杉人造林の間を進んでいく。4.4k地点で、登ってくる十数名のパーティとすれ違う。天候が下り気味で、殆ど水のない松羅湖を訪れるのは、残念だろう思う。雨がポツポツ降り出す。湖では、太陽も出ていたので大丈夫かと思っていたが、台風の影響が現れ始めたようだ。後日知ったのだが、この時点で台湾の西部は大雨が降っていたようだ。宜蘭あたりは、その雨雲のへりになっていた。

下ってきた山並みを振り返る
蛇口のある水龍頭營地
樹木の下なので、そのまま下っていく。13時55分、3Kを過ぎる。雨は止む。標高も950m近くまで下がった。峠が1300mぐらいなので、約700mの登山口までの落差の半分だ。基調は下りだが、ところどころ現れる登りが面倒だ。樹木の少ない場所から振り返ると、下ってきた山並みがすでに遠く高い。14時24分、2.4Kの水龍頭營地に着く。水龍頭とは水道蛇口のことで、本当に沢から引いた水の蛇口がある。ここで休憩をとり、水で顔を洗う。太陽が顔を出し、暑い。


登山口にたどり着いた
残りの道を急ぐ。ところどころ泥濘があるが、道には樹根も石も少なく歩きやすい。また雨が降り出す。傘を取り出しさす。15時半前、登山口に着く。待つこと5分ほどでシャトルサービスの車がやってくる。雨でぬれているが、そのまま乗り込み麓玉蘭にあるレストランへ下る。そこで着替え食事をとる。10人で15本のビールを開ける。実に愉快だ。メンバーも3日の歩きに満足の様子だ。慢性的なノロノロ運転になっている雪山隧道を抜け、21時半前に出発点の台北駅に戻った。最終日は、約10㎞の道のり、登り約510m、下り約1650mだ。休憩込みで約10時間である。

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オタマジャクシが泳ぐ棲蘭池のキャンプサイト
三日の山歩きは、数日間の高山縦走のような苦労がなく、時間的に余裕があったので十分に自然の美しさを堪能できた。玉山などと違い、台湾に来て初めて訪れるような山ではないが、台湾山岳の奥深さを知るには、とてもよいルートである。今回は人数が10名となったので、利便性を求め車を雇ったが、このルートは近くまでバスがあるので、ちょっと多めに歩く必要はあるが、交通公共機関でのアクセスも可能だ。シャトルサービスは、13000元である。女性隊員が、いろいろと食べ物持ってきてシェアしてくれたのも、とても感激だ。

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