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2015-04-27

2015年4月26日 新竹尖石鄉西丘斯山-雪白山 無数の巨木大原生林の中を登る

雪白山(右)と 西丘斯山(2015年2月、低陸山登山道から望む)
新竹県との境界を分かつ標高2444mの雪白山(泰矢生山)は桃園県の最高峰になる。そのすぐとなりに、ゆったりとした山容の雪白山とは対称的な三角ピークが連なる。それが西丘斯山である。今年二月の低陸山登山の時に初めてその山容を望み、いずれは行こうと思っていた山である。考えていたより早く実現した。今回のルートは、谷間の神木エリアを経由して雪白山と西丘斯山との鞍部に登り、西丘斯山を往復。その後雪白山を越えたあと、尾根道を下ってキャンプ場に戻る回遊コースである。

司馬庫斯キャンプ場から反時計回りに回遊する
2ピークの登山高度プロファイル
朝のキャンプ場から対岸の山を望む
竹林を過ぎていく
昨日は6時間あまりの基那吉山登山であった。比較的楽な行程であったが、今日は10時間が予定される山行である。道の状態も必ずしも良くない。5時前に起床、他のメンバーも次々に起床してくる。キャンプ場の対岸は、馬洋山の山塊だ。白んできた空に峰々が重なっている。お湯を沸かし朝食を済ませる。6時過ぎに出発する。キャンプ場の位置は民宿などのある司馬庫斯の集落より神木側に近い。宿泊したキャンプ場は、最下段のものだがそこから道を下っていく。大石が転がる崖崩れ部分を通り過ぎ、数分で木橋を越える。沢沿いに少し下ると右から別の橋で道が合流する。この道が司馬庫斯からの神木エリアへの遊歩道となっている司馬庫斯古道である。

谷側が開放されているお手洗い

道はとてもよい。竹林を過ぎていく。道脇には竹製のベンチがある。崖側の危険なところは竹製の手すりが設けてある。司馬庫斯古道は、東は鴛鴦湖をへて宜蘭へ続く。もともとは、泰雅族の狩猟や物資輸送などで歩かれていた道だそうだ。神木エリアへの部分は、遊歩道として整備されている。6時36分、右にお手洗いを見る。このお手洗い、谷側は壁がなく雄大な谷や山を見ながら用をたすことができる。緩やかな道は、歩みが進む。その少し先は、崖崩れが現れる。樹木が無いので、泰崗溪の深い谷や対岸の山がよく見える。山は馬洋山など雪山から続く山で、昨日の基那吉山へと連なっていく。右奥に基那吉山の峰が見える。スクーターが道脇に打ち捨てられている。この道なら十分スクーターでやってこれる。6時46分、樹木が取り除かれ果樹園が現れる。谷の奥深く同じく雪山から連なる邊吉岩山が望める。椎茸栽培を過ぎ6時53分、楓香亭あずま屋に着く。少し休憩する。

崖崩れ部分を過ぎる
崖崩れ部分から対岸の馬洋山方向を望む
陽が差し込む道
この辺りから道は方向を変える。泰崗溪の支流の上部を山のひだを縫って進む。7時19分、別のお手洗いの前を過ぎる。お手洗いテラスからは、雄大な景色が広がる。谷の間に陽が差し込んでくる。7時35分、神木エリア入口に着く。輪切りの原木に神木の位置と遊歩道が記してある。沢を挟んで左右に道が進む。橋で沢を越え右の道を進む。歩き始めてほどなく、神木が現れる。周囲は柵が設けられている。次々と現れる神木の先に、ひときわ大きな巨木が両腕を持ち上げているような姿でそびえている。老爺神木と名付けられているこの檜は、台湾の知られている神木では二番目に大きなものだ。樹齢千年をこえる樹木を前にすると、自然に対して畏敬の念を感じる。

神木エリアの入口、前方に左側の道、右に進む
神木エリアはじめの神木
老爺神木
自然の森の中を進む
神木の前でしばし過ごし、8時10分山を登り始める。遊歩道は沢を越えていく方向だが、登山道は老爺神木の後ろから始まる。山道は、それまでの遊歩道に比べるとはるかに自然に近い道である。落ち葉が重なり、標識リボンが無いとはっきりしないところもある。地表は至るところ緑の苔が覆い、自然林の中を登っていく。ピンクのツツジが緑の森に色を添えている。倒れ朽ちかけている巨木を乗り越えまたくぐっていく。自然の営みが進行している。8時54分、沢に下りる。ここでしばし休憩する。

沢を渡り進む
二老爺神木
森の中の急登
沢を渡り枝沢にそって少し登ったあと、右に尾根に取り付く。登りがきつくなり、沢から離れる。登るに連れ巨木が現れる。神木エリアとは違い、柵などはない。ここまで来る遊楽客は少ない。9時19分、二老爺神木と記されいる神木につく。更に20分ほど急登を続ける。道は、少しゆるやかになり山腹を進んでいく。檜の巨木が、道脇に次々と現れる。9時54分、小休憩を取る。鞍部まで、あと標高差100m強である。

崖崩れ部分を急登



崖崩れが現れる。露出した岩に補助ロープが掛けてある。ザレを越えて岩を登る。道脇には谷側に倒れ、中が空洞になっている巨大な倒木がある。10時41分小休止をとったあと更に進む。道がゆるやかになり、10時50分平らな場所にでる。雪白露営地である。露営地といっても全くの自然環境であり、水場も遠いので露営するにはそれなりの荷物を持ってこなければならない。道はここから鞍部への道と鴛鴦湖へ西丘斯山の山腹を進む道とに別れる。後者は司馬庫斯古道である。左に鞍部へ向かって急登を行く。11時すこし過ぎ鞍部に到着する。

巨大な倒木の根の脇を進む
巨木が次々と現れる
雪白営地
根を頼りに西丘斯山頂上へ急登する
小休憩のあと先に右へ西丘斯山の頂上を目指す。初めは緩やかだった道は、数分進むと連続急登になる。霧の中、熊笹の間を進む。笹の葉の露でズボンは濡れる。稜線上には、檜の巨木はない。木の根や笹などを助けに急坂を登っていく。12時西丘斯山山頂(標高2421m)に到着、約45分ほどの登りである。狭い頂上は北側が開けているが、霧で展望はきかない。尾根をたどっていけば、唐穂山へ続くが長い道のりである。食事休憩をとる。

狭い西丘斯山頂上
雪白山へツガの巨木森を登る
12時45分、往路を戻る。急坂は慎重に下る。13時25分、鞍部から雪白山へ登り始める。西丘斯山とは対称的に、こちらはゆるやかな登りである。ツガの巨木が現れる。細長い針状の枯葉が地表に落ちている。登るにつれ霧が濃くなる。14時13分、三角点基石の植わる雪白山頂上(標高2444m)に着く。基石は取り替えられたようで、まだ新しい。山頂から嘎拉賀へ尾根を下る道があるが、これもとても長い。また稜線を低陸山へ縦走できる。14時30分、下山を始める。司馬庫斯まではまだ遠い。

雪白山頂上
倒木の森を過ぎる
急坂を司馬庫斯へ下る
倒木が重なる窪み状地形を過ぎ、そのうちに尾根の形状がはっきりしてくる。概ねゆるやかな稜線道を40分ほど進む。急坂が現れ慎重に下っていく。15時30分小休憩をとる。更に下り、15時39分東泰野寒山への道を右に分ける。左に進みすぐまた分岐を過ぎる。ここを右に行っても東泰野寒山へ通じる。広いカール状の道を下る。落ち葉が重なり滑りやすい。16時、前方に煙が上がっている。標高は約2000m近在で人里までは距離がある。近づいて見ると、巨木が倒れ地表に出た根が黒く焦げている。その向こうに煙が上がっている。幹は縦に裂けている。どうやら雷が落ちて倒れ、火が着いたようだ。裂けた幹も新しく、煙がくすぶっているというのは、最近発生したと思える。このような自然の営みを目撃するのは初めてだ。更に数分下ると、水管材料を使った補助ロープの急坂を下る。その下で16時25分最後の小休憩を取る。

落雷し倒れた大木、まだくすぶっている
落雷で裂けた幹
急坂は更に続く。ザレを下り緩やかな尾根上に道がはっきりしてくる。そろそろ登山口が近い。17時6分、一本橋が現れる。3,4メートルの谷に、太い幹が渡してあり、竹の手すりが設けてある。慎重にわたってさらに進む。17時12分、土の産業道路が現れる。登山口に到着した。左に進み、キャンプ場へ下る。17時25分、11時間20分の山行が終了した。約15kmの道のりである。テントを撤収し、18時過ぎ帰途に着く。台北までは遠い。4時間半を費やし、22時半台北に戻った。

一本橋を渡る






二日の山行は、縦走ではなくそれぞれ独立した登山である。自分の山行は、一歩一歩確実にできることを確認し、易しいものから困難なチャレンジに挑んでいくこと基本としている。いずれは二日以上の縦走なども行うだろうが、経験や年齢の異なるメンバーが一緒に体験をして学習し、自信をつけながら山行を行うことが前提である。今回は、その意味で第一歩を成功裏に踏み出したことになる。

キャップ場へ下る
司馬庫斯は、20年前まで自動車道もなかった。それが幸いしているのだろう、今回は多すぎて途中から注意を払わなくなってしまったほどの巨木が残っている。神木エリアとして、比較的アクセスが簡単な場所でも、台北から約4時間の車、そして約2時間の徒歩が必要である。この状態が続き、巨木がその生命を全うできることを望むものである。もし巨木を見たいのであれば、時間と登山の労力を惜しまないことが必要だ。

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