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2015-04-16

2015年4月15日 陽明山系萬里大尖山 - 富士古道

擎風步道の草原から見る大尖山
富士古道の石碑
陽明山山系の磺嘴山周辺や萬里の山谷は直線距離としては台北から遠くない。しかし、自然保護区であるため入山許可が必要なことや交通の便が良くなく、草原があったり比較的登山者が少ないなど、魅力のある場所ではあるが、実はいままで一度も足を踏み入れていなかった。今回は、保護区以外の部分になる大尖山や富士古道を歩いた。アクセスが簡単な擎天崗からスタートして、萬里に抜けるコースである。萬里から台北へのアクセスが953番バスの運行開始でだいぶ改善されたことが今回山行実行の後押しになっている。

西の擎天崗から東へ崁腳國小まで歩く
下りがメインのルート
この山域は、擎天崗から風櫃嘴へ続くなだらかな尾根の東側に広がる。風櫃嘴は台北市外雙溪と新北市萬里を結ぶ北28号郷道の峠である。擎天崗と風櫃嘴との間には、陽明山公園が管理する石畳登山道が走り登山者も多い。この擎風登山道から磺嘴山への道が分岐する。それ以外には公式登山道はない。しかし、杏林山山頂から瑞泉に向かって東に枝尾根を下る道がある。入口には道標などはない、公園管理以外の道だ。擎天崗から擎風登山道を杏林山へ歩いた後、この道を谷に下り、今度は林市古道を登り返して大尖山の鞍部へ着く。大尖山山頂を往復した後、富士古道に入り草原を越え、さらに尾根を溪底分校(すでに廃校)に下る。そこから北28郷道を歩いて崁腳へでた。帰りの交通は、先に萬里へいきそこから今年年初に運転開始した953番バスで台北市へ直行した。

陽明山山系の東側に位置する
朝7時半にMRT劍潭駅に集まり7時40分発小18番バスで出発する。マイクロバスは満員でスタート、中途通過する冷水坑の温泉に向かう老人が多い。途中で他二名のメンバーが乗車し、今日は5名のパーティである。8時半前に終點擎天崗に到着、乗客は我々五人だけである。快晴の擎天崗は、平日の朝とあってほとんど人がいない。8時40分支度をすませて歩き始める。今日は、杏林山までは石畳の登山道である。金包里古道の入口を過ぎる。擎天崗の草原には牛も見かけない。牛の柵が新しいものに変わっている。左に大尖後山が大きい。青空のもと、軽快な歩きで実に快適だ。
金包里古道の入口、背後は石梯嶺,左に大尖後山が見える
森の中に入り、9時2分磺嘴山への分岐を過ぎる。無許可立入り禁止のための金網交換工事が進行中だ。石梯嶺への登りが始まる。登りが終わると同時に灌木がなくなり、展望が広がる。擎風登山道中、展望がよいセクションである。やって来た方向には七星山が座り、その右には小觀音山から竹子山の連峰が連なる。進行方向左には大尖山の大きな丸い山容がある。今日の行程で訪れる山だ。右側は、台北の町並みが望める。その遠くに白い山峰がある。霞んでいるが雪山である。9時14分、ベンチのある場所で休憩する。穏やかな春の山は、とても気分をよくさせてくれる。
石梯嶺から見る七星山とその右に小觀音山から竹子山の連峰、七星山の手前は擎天崗
金毛杜鵑の花が満開
なだらかな稜線を進んでいく。灌木が低いので周囲の景色の移り変わりを眺めながら進む。9時26分案内板のある石梯嶺頂上を通り過ぎる。下り始めると、正面に北五指山が座っている。最近はしばらく訪れていないが、荷蘭古道など多くの古道を擁する山と谷である。金毛杜鵑の赤い花が道端に満開だ。急坂を下ると草原が広がる。正面には杏林山が、そして左には大尖山がだいぶ近くなっている。草原をくだり、十数名のパーティとすれ違う。今日は平日で人が少ない、この人気ルート上で初めてである。草原が終わり、左に警告板を見る。淡基古道の一部と言われている道がここで交差するが、道標など無くわかっている者のみの道である。
杏林山の草原を登る
杏林山山頂脇の山道入口
次の小さな草原で、左に道が分かれていく。この辺りは牛が歩く獣道も多いので間違いやすいが、杏林山頂上へと続く道である。擎風登山道は杏林山山腹を巻いていき、頂上は通過しない。ここからは、石畳の道とは分かれ土の道となる。森の中に入り、また草原を過ぎてゆるやかに登っていく。9時56分、小さな草原の杏林山頂上(標高760m)に着く。二度目の訪問になる基石がある気持ちのよい頂上だ。前回は道のあることはわかっていたが歩かなかった瑞泉に下る道を進む。瑞泉古道とも言われるこの道は、結構歩かれているようで道筋もはっきりしている。少し下った後、草原を突っ切る。前方には大尖山がどっしりと構え、その左肩鞍部の遠くには磺嘴山が見えている。
瑞泉への下り途中の草原から見る大尖山と磺嘴山(左)
瑞泉へ急坂を下る
道は狭い枝尾根上を進むようになる。坂も急になってくる。しばらく下ったあと左に折れ、石積が現れるとすぐ、産業道路におりて山道が終わりになる。10時28分、杏林山から約30分ほどの下りである。舗装された産業道路は左に取り、谷にむけて下っていく。右には大尖山が高い。下って行き、左に池を見る。道脇の大石には谷神と赤い字が書いてある。右には沢音が大きい。登りが始まり、10時39分沢を橋で越える。道脇には石の机椅子が設けてあり、ここで一休みする。擎天崗を出発して2時間だ。

沢を越える、ここで休憩
土地公のある林市古道入口
数分の休憩後、登り始める。道幅は広いが、ここからは土の道である。数分歩いて広い道は終りとなる。正面には土地公が鎮座している。他で見るような石の祠でなく、木製の屋根が掛けてある。神像の脇には神具もあり、お参りされている事がわかる。林市古道は、直進する道である。右に大きな石垣がある。もともと何かの土台だと思ったが、道を進むとこの石垣の内側は池のようになっているのがわかる。沢沿いに道は進んでいく。数分沢沿いに進んだ後、さらに沢沿いに進む道から分かれ、古道は右に大きく曲がって沢から離れる。勾配がきつくなる。杉林の中を行く。これは人工林だろう。途中長い石垣を乗り越える。沢から離れて十数分で、左に向けて山腹を進む。森が切れて11時32分、富士古道との鞍部に着く。草原の峠は、見晴らしがよい。正面には磺嘴山が近い。右は大尖山が迫っている。

林市古道・富士古道の峠から見る磺嘴山
大尖山山頂
峠からは右にとり、大尖山を登る。茅の中の急坂が始まる。幸いに道筋ははっきりしているが、かなり急である。藪こぎの登り10分ほどで、振り返ると左に先ほどいた石梯嶺やその奥の七星山が見える。この角度からの眺めは初めてで新鮮だ。更に藪こぎを続け11時51分、基石のある大尖山頂上(標高637m)につく。周囲は草で展望がない。基石のある場所から少し上に道が進む。これを行き、そこにある大岩の上によじ登る。すると360度遮るもののない大展望が広がった。大きな山容の磺嘴山の右遠くには大海原が、目を凝らせば野柳の半島が見える。その更に右方向には基隆與が浮かんでる。瑞芳の山々も見える。目を反対側に移せば、五指山から風櫃嘴を越え石梯嶺へ連なる稜線、その右奥には七星山と小觀音山が続く。近くには大尖後山が大きい。

大尖山から見る磺嘴山と萬里の方向のパノラマ、右端遠方は瑞芳の山々
大尖山から杏林山、石梯嶺から七星山方向を見る、帽子の向こうに見える大きな山は大尖後山
大尖山から峠へ戻る、背後は大尖山
大尖山頂上からは、稜線を進む道があるが藪こぎがずっと続くようなので、往路を十数分で下って鞍部に戻る。そこから右に富士古道を歩き始める。富士とは日本的な名前だが、もともと大尖山が富士山の様に見えるとうことから、その近くにある草原などが富士坪と呼ばれるようになったということである。麓からは牛をつれてこうした草原に来ていたそうだ。富士古道は富士坪古道とも言われる。富士古道には、防迷線というロープが地上に張られている。ところどころ土にうまったりして見えないところもあるが、霧の草原で道に迷わないようにするためのものである。森の中の古道を数分進み、12時25分草原に飛び出る。風も吹き抜けていき、日なたでも暑さを感じない。草原で昼食休憩をとる。眼下は鹿堀坪の谷、そして右には大尖山東峰の尾根が下ってい。富士古道はこの峰の向こう側を麓に下っていく。

草原で休憩、左の山は大尖山
草原の道を行く防迷線のロープが路面をはう
13時、やって来た十数名の登山パーティと入れ替わりで古道を下リ始める。森の中をゆるい下りが続く。13時8分、草原に出る。一本の大木のところで、道が別れる。左に行く道は鹿堀坪の谷へ下る道、直進する道は大尖山東峰へ、我々は右の道を進む。ここには道標はないので、自分で地図を確認する必要がある。道を進むと、ところどころ防迷線ロープが現れ、間違っていないことが確認できる。草原の端までやってくる。ここが磺嘴山や大尖山の最後の見納めだ。左に東峰への道をわけ、13時17分、道は谷へ向けて下り始める。沢音が聞こえ始める。沢を渡り急坂を下る。13時30分、土地公のある分岐へ来る。右から瑞泉古道が合流する。ここの土地公は、石板を箱状に組み立てもので、他で見かける廟の形を模した祠に比べると簡素だ。古道上での最後の休憩を取る。

瑞泉古道との分岐部にある土地公
右がもともとの富士古道という説明の分岐部
古道は間もなく左に道を分ける。東峰の山腹を進み鹿堀坪へ続く道だ。幅広な尾根上を進む富士古道は道幅もあり、実に良い道だ。瑞泉古道との分岐から約20分ほどで、右に谷に下っていく道を分岐する。大きな表示板には、こちらが本来の富士古道と記してある。尾根上の道をそのまま進む。確かに、こちらの方は道が狭くなり普通の登山者が歩く道のような感じだ。尾根幅も狭くなる。尾根から右に山腹を下り始め、竹林脇を過ぎるとまもなく、古道も終わりだ。左奥に校舎のような建物が見える。木製の道標が現れ古道は終了だ。道標には富士坪、大尖山まで300mとなっているが、これは誤りだ。

富士古道入口、左に舗装路を進む
個人が財産を投じて整備した石階段
舗装路を左に進む。大坪小学校溪底分校は廃校になって久しいようだ。今は民間に貸し出されている。そのすぐ下で道が分岐する。右はそのまま北28郷道へ下る。左の道を行く。道脇に2003年に建立された富士古道の石碑がある。左の道は今は舗装されているが、進むと行き止まりになる。大きな土地公の祠がある。その脇から石階段の道が下っていく。土地の人が私財を投じて整備したという石の説明板がある。今は草に半分埋もれているが、現在の北28郷道が整備されるまでは、この道が使われていたのだと思う。これも富士古道の一部になるのだろうか。下っていくと郷道と合流する部分に、別の大きな富士古道の石碑が立っている。こちらは1999年と刻まれている。14時33分、残りは車道をバス停まで下るだけである。

北28郷道を歩く



左に北28郷道を歩き始める。初めは少し登り気味に行く。陽明山国家公園の看板を通り過ぎる。日差しは強いが、気持ち良い風が吹いていき、暑さは感じない。交通量も少なく、気が楽だ。つづら折りの道を進む。今では倒されてしまっているところも多い蒋介石の銅像が立っている。15時3分、大坪方向からの道と合流する香員林を通り過ぎる。谷を挟んで右に五指山から連なってくる連峰が近くなる。右から崁腳からの道を合わせ、15時23分崁腳国小のバス停に到着する。15時40分、789番バスがやって来た。数分の乗車後、萬里橋頭バス停で下車。少し歩いて953番バス停へ行く。他のメンバーは、別のバスで帰途につく。16時7分、筆者の953番バスがやって来た。

崁腳國小バス停に着いた
今回の歩行距離は約13.4km、行動時間6時間40分ほどである。歩行距離の内約3.5kmは、車道だ。萬里から基隆を回らず直接高速道路で台北に行くバス路線が出来たので、この地域も思ったほど遠くない。実際、萬里乗車から台北市内下車まで1時間足らずであった。山道の状態は、国家公園管理の道は勿論のこと、古道もしっかり歩かれて状態はよい。レベルはクラス1~3である。一方今回は下りがメインの歩きで、登攀も累計で600m強だ。体力的にもクラス3である。ルートの組合わせを考える必要があるが、草原も通りすぎるよい場所である。

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