審馬陣の草原から見る南湖大山、下方に審馬陣避難小屋 |
南湖東峰山頂のメンバー |
六日の全行程 |
六日間の歩行高度プロファイル |
南湖大山は中央山脈の北部に位置する |
朝の玉山圓柏(ニイタカビャクシン) |
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第一日 4月26日(水)南山村 - 思源啞口 - 710林道 - 6.8K登山口 - 松風嶺 - 多加屯山 - 雲稜山莊
思源啞口から雲稜山莊へ登る |
一日目の歩行高度、前半の林道は緩やかな登り |
朝の南山村民宿前、青空が見える |
登山口にて |
当時は原住民の部落であったピヤナンは、いまでは周囲はすべてキャベツ畑になり、また武陵農場観光の途中休憩地として賑やかになっている。昨年暮れにはコンビニもできた。筆者がここを初めて通り過ぎたのはもう20年近く前になる。最近も武陵四秀の帰路に立ち寄った。民宿は、登山者用に数人の部屋があり朝5時から対応できる朝食も含めて一泊500元だ。もちろん、個室のある民宿もある。
打ち捨てられたパワーシャベル |
五時に起床、支度をして民宿一階の店舗前で食事をする。チマキを食べる。ちょうど同じ民宿に宿泊し、今日から七日の予定で北一段の山々をめぐるツアーに参加するTさんが小型バスで先に出発するのを見送り、我々も6時前に出発する。青空も少しのぞいている。つづら折りの道で高度を上げ、6時24分思源啞口に到着する。空は曇り、遠くもまだ見えているが天気は下り坂で先が心配される。
路面が大水で流された林道を行く |
6時37分、コンクリブロックで車進入を禁止している710林道を歩き始める。710林道は、廃棄されて久しい。たびたびの台風で道は崩れた場所も多い。そのため、今は思源啞口より少し先の勝光から勝光山を越えて710林道4.8kの部分で合流する新道を利用する登山客の方が多い。我々は六日間の食料など各人15~19kgの荷物を背負っているので、初日は体慣らしの意味も含め、勾配の少ない710林道をあえて選んだ。
沢を離れ山腹を歩き始める、1.2K地点 |
林道は、すぐに大水で路面を流された場所を通り過ぎる。廃棄されたパワーシャベルカーが道端に打ち捨てられている。沢沿いに進んできた道は、0.9Kあたりで右に大きく曲がり山腹を進み始める。幅の広い林道の中央部分に踏み跡が続く。1.2Kをすぎてまもなく、路肩が崩れた場所を通過、またそのさきで高巻き部分を越える。道は整備されているので、問題はない。林道に下ると1.6Kのキロポストがある。時刻は7時半、小休憩をとる。
路肩が崩れた部分を行く |
林道から望む、雲が厚い |
4.8K分岐についた |
松の花が咲いている |
丸木橋が渡してある |
6.8K登山口、左に投函箱 |
ジグザグ道を登る、キロポストにある黄色いマーカは携帯通話可能 |
松風嶺 |
多加屯避難小屋 |
霧が濃くなってきた |
本来の登山道に戻り、稜線を行く。霧が濃くなってきている。8.6Kを過ぎてまもなく、12時4分、基石の埋まっている多加屯西北峰につく。背後にある案内板は、文字が判読できない。少し下り、登り返していく。また雨がぱらつき始めた。道はここ数日の雨で、ドロドロの部分も多く現れる。今回は長靴にして正解だった。背の高い矢竹の間を進み、12時35分、9.3Kのキロポストを過ぎ、左に多加屯山への入口がある。荷物を置いて矢竹をくぐり多加屯山頂上(標高2795m)へ立ち寄る。登山道に戻り昼食をとる。
多加屯山のメンバー |
急坂を下る |
南山村を俯瞰する |
木杆鞍部、右は中央尖山へ続く |
雲稜山莊 |
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第二日 4月27日(木)雲稜山莊 - 審馬陣山 - 審馬陣山屋 - 五岩峰 - 南湖北峰 - 南湖山莊
雲稜山莊から南湖山荘へ |
約1000ⅿの登りを行く |
上下の雨具を着け出発の前小屋の脇で |
鉄杉(台湾ツガ)と玉山箭竹(ニイタカヤタケ)の森を登る |
痩せ尾根の急坂を登る |
草原でも霧が濃く何も見えない |
審馬陣山で |
審馬陣小屋への分岐 |
霧の中に審馬陣小屋が現れた |
南湖北山への分岐 |
雨の風の岩場を登る |
霧の中にたたずむ南湖山荘 |
南湖山荘の建っている場所は、現在下圈谷と呼ばれている氷河カールである。小屋のすぐ近くには沢があり、清流がいつでもある。千々石助太郎の南湖大山の紹介文では、この地は原住民語でブナツケイ(砂原という意味)と呼ばれ、一緒に登ったシキクンの原住民もこの清流を知らなかったという。原住民はこの水をオツトフ·クッシャ(神の水)と呼んだ。今日は霧で何も見えないが、帰る前にぜひともこの素晴らしい楽園の全景を見たいものだ。
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第三日 4月28日(金)南湖山莊 - 南湖大山主峰 - 南湖山莊
南湖山莊から主峰を往復 |
主峰往復のみ |
小屋の内部、気温8度、湿度100% |
22Kキロポスト部分 |
東峰への分岐、右に進む |
頂上に向けて登る |
南湖主峰にて(Vさん撮影) |
慎重に岩場を下る |
今日は、残りは小屋の中で過ごす。登山者はほとんど外出しているので、小屋はガランとしている。そのうち昼食時間になった。ほかのパーティの協助が、朝に残ったご飯などを温め、おかゆにして我々にごちそうしてくれる。残飯にしても処理しなければいけないので、こうしてすべて食べてしまえば彼らも助かるのは事実だが、ありがたい。午後の時間は、外の風の音を聞いているうちに過ぎていく。
南峰の分岐へ戻る |
ガランとした午後の山荘内部 |
そのうち、別の東峰と馬比杉山へ行ったパーティも帰ってくる。このパーティは、尾根道を行ったようだが、そのうちの一人は大変な疲労と低温で、山荘に着くや否や倒れてしまった。19時半過ぎ、ウトウトしているとメンバーに起こされる。外は星空だという。小屋の外に出る。果たして満天の星だ。風もおさまっている。明日は実に期待できる。
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第四日 4月29日(土) 南湖山莊 - 南湖東峰 - 陶塞峰 - 南湖東南峰 - 馬比杉山 - 石洞獵寮叉路 - 陶塞山屋遺址 - 南湖山莊
先に稜線を馬比杉山へ、帰りは濁水南溪沿いに登り返す |
先に東峰へ登り、その後馬比杉山へは下り、また登り返す |
気温0度以下の朝に南湖山荘を出発 |
氷河カールの底に山荘、左には南湖主峰、遠くに雪山山脈も見える |
上圏谷と北峰を望む |
主峰に朝日があたり、赤く染まる |
東峰と谷道経由馬比杉山との分岐 |
スレート状の岩の道を東峰へトラバースする |
朝日に染まる南湖主峰をバックに登る |
稜線に上がる、東側は一面の雲海だ |
東峰の筆者 |
東から南方向のパノラマ |
西方向のパノラマ、遠くに雪山山脈 |
左の稜線を進む、前方に南湖東南峰が見える |
稜線道からふりかえる、左に主峰、右に東峰 |
南湖杜鵑(石楠花) |
下方に午後復路で歩く谷間が見える |
陶塞峰 |
`岩場を登る |
陶塞峰を背後に岩壁を登る |
稜線上の石楠花 |
大岩セクションを進む |
東南峰頂上へあとわずか |
石が累々と重なる東南峰頂上 |
東南峰からの眺め、中央尖山、南湖主峰、東峰を望む |
岩場から森の中に入り下る |
東南峰の下りから馬比杉山と分岐部を望む |
分岐部から馬比杉山を望む |
古い倒れ掛かった道標(二か所目) |
馬比杉山頂上のメンバー |
広い馬比杉山頂上の向こうに奇萊北峰東稜が長く連なっている |
ガスが掛かってきた、東南峰は霧の向こう |
大岩を回り込むと池が見えた |
河床を進む、右の稜線上に陶塞峰 |
狭い渓谷の下に水 |
重なる倒木を乗り越え登っていく |
沢はここから幅が狭まり渓谷となる。道はこの部分を高巻いていく。水場の少し下方左岸の岩を登り、高巻きが始まる。かなりの勾配の上、これでもかというほど倒木が現れる。軽装だとはいえ、とても疲れる。登るにつれ、周囲の山は低くなってくる。振り返れば東南峰が同じぐらいの高さに見えるようになってきた。途中休憩し、15時31分陶塞山屋跡を通過する。トタンなどが転がっているが、もう小屋としては使えない。
また涸沢を遡っていく |
水たまりのある沢底を行く |
東峰が見えてきた |
谷間のオアシス |
最後の詰めを登る |
鞍部の道標が見えた、登りは終わりだ |
やっと山荘に戻ってきた |
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第五日 4月30日 (日) 南湖山莊 - 南湖主峰 - 南湖山莊 - 南湖北峰 - 五岩峰 - 南湖北山 - 雲稜山莊
先に南湖主峰を往復、その後雲稜山莊へ向かう |
主峰の後は、基本下りの歩行高度 |
朝出発前の南湖山荘 |
カールの間を登る、右は主峰 |
霧の中の様子とは、だいぶ異なる。氷河カールの様子も十分わかる。U字型谷の底を登っていく。22Kキロポストのところは、一昨日かなり水が流れていたが今日は乾いている。この辺りは樹木も少なく保水力はなく、雨が降ってはじめて水が流れるようだ。6時47分、東峰への分岐に来る。右に主峰を目指す。主峰の山腹を登っていく。振り返れば、今日は東峰が朝日の中にたたずんでいる。その前は平らな台地が広がる。7時4分、南峰への分岐に来る。今日は南峰やその先の巴巴山がはっきりわかる。その背後は中央尖山どっしりと座っている。
南峰への分岐から中央尖山方向を望む |
東峰とその右に昨日歩いた稜線が見える |
乾いた岩を登る、背後に稜線上の道 |
岩場付近から眺め、上下圈谷と北峰、東峰や歩いてきた山道が見える |
頂上にて中央尖山から白姑大山、雪山山脈を見る |
審馬陣山、南湖北山、五岩峰、北峰を望む、左下の草原には墜落したヘリコプターの残骸が残る |
主峰頂上の筆者、背後は聖稜線 |
南湖山荘へ下る |
氷河によって削られた硬砂岩 |
雲稜山莊へ向けて出発 |
北峰へ登る |
戻ったあと荷造りをし、10時過ぎに三泊した山荘を後に下山を開始する。霧の中下ってきた北峰は、快晴のもと山道がはっきりわかる。振り向けば主峰の下に広がるカールと山荘が見える。今度来るのはいつの日か。標高差200mの登りだが、重荷を担いでの登りはきつい。4日分の食料が減ったはずだが、あまり差を感じない。ひたすら滑らないよう、足元に注意して登っていく。ロープが伸びている最後のセクションをつめ、10時52分北峰の肩につく。左に少し歩き、北峰の頂上に再びのる。足元の山荘を中心に、右は主峰、左は東峰がくっきり見える。カールの状態も手に取るようにわかる。
北峰から東峰(左)と主峰を望む、上下のカールもよくわかる |
圓柏(ビャクシン)の道 |
五岩峰を通過中 |
往路は寒さに震えた場所も、陽光のもとゆっくり休憩 |
引き続き岩場を進む |
南湖北山山頂にて |
南湖北山からの展望、左から五岩峰、主峰、中央尖山 |
雪山山脈を正面にみて草原の道を下る |
南湖主峰、南峰(中央の突起)そして中央尖山 |
鉄杉森の中、急な痩せ尾根を下る |
雲稜山莊についた |
連休とあって、山荘は満員だ。小屋手前にもテントが数個張られている。関西地区からやってきた日本人登山グループや単独の日本人青年もいる。夕飯を用意しようとしたところ、他のパーティの協助が余ったので、食事を提供してくれた。またお世話になってしまった。我々は、残りは明日下るのみ。気持ちも軽い。
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第六日 5月1日(月)雲稜山莊 - 多加屯山 - 松風嶺 - 6.8K登山口 - 4.8K叉路 - 勝光山 - 勝光
雲稜山小屋から勝光へ下山 |
多加屯山の登りのあとは一本調子の下り |
小屋の後ろから望む中央尖山 |
登山者が出払ったあとの山荘内部 |
雪山山脈が見える |
倒木の上から中央尖山の見納め |
再び南山村を望む、今日は背後のやまも望める |
三日の晴天後でもまだぬかっている |
さわやかな松風嶺 |
松林を下る |
足取りも軽快に平らな林道を行く、5.7K地点 |
@勝光山 |
杉林の急坂を下る |
果樹園の上部から勝光の谷を望む |
7甲公路の登山口に着いた |
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南湖杜鵑(南湖特有の石楠花) |
今回は、長靴を履いて登った。日本では長靴などを履いて高山を登ることは、想像できないかもしれない。台湾では結構多い。それは、山道がぬかってドロドロであったり、沢を渡ることが結構あるからだ。一方、長靴に慣れていればそれほど困らない。出発前に登山靴にするか、長靴にするか迷ったが、結局長靴で正解だった。
今年は、これからもまだ高山に登っていく。体力のあるうちに百岳全部を登れるかどうかは、わからない。いずれにしても、美しい展望を山仲間たちと分かち合うことができることが、まずの目標だ。
南湖大山東南峰にて、左に主峰、右に東峰を望む |
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