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2019-09-24

2019年9月23日 三星山 見晴古道 日本時代三大林場太平山の山と道を歩く

三星山への登り道
太平山を訪れるのは、数年ぶりだ。前回は翠峰湖とその周囲の遊歩道を歩いた。それから、太平山のふもとを何度も通り過ぎているが、足をふみいれていなかった。太平山は、単一の山を指すのではなく地域全体をさしている。ちょうど台北の陽明山が単一の山を指すのでなく、山系全体をさしているのと同じだ。今回は、その中の三星山を登り、過日の森林鉄道の一部を歩道にした、見晴古道を訪れた。

見晴古道の朽ちかけた森林鉄道軌条
太平山を語るとき、日本時代に始まった林業は切ってもきれない。この太平という名も、1915年から始まった、この山域の森林伐採事業に伴って名付けられたものである。台湾の中央山脈北端に位置し、南に進めばいわゆる北一段の南湖大山方面へと続く。標高は三星山の2352mや見晴山の2492mなど、2500m以下である。太平洋からも近く、海から水分を含んだ風がこの山にあたって、霧が発生する。晴天の日数は少なく、常に霧におおわれている。この霧と高度が、ヒノキなどの生育に有利に働き、日本時代に阿里山、八仙山とともに三大林業地の一つになった。

東の三星山を登り、その後西の見晴古道を歩く
左は三星山、右は見晴古道
林業は1980年代に終了し、今はそれに伴う作業はすでにない。現在は、ほかの林場がそうであるように、自然環境を生かし太平山國家森林遊樂區となっている。この遊樂區の管理のもとで、遊歩道の整備やふもと多望溪の脇にある鳩澤溫泉などがある。この温泉は日本時代からあり、今もその源泉を利用して温泉が運営されている。


赤で囲まれた地域が太平山

太平山ビジターセンター
今回は、Zさんが車を運転し、それに便乗しての訪問である。朝5時半過ぎに出発する。台北を離れる前に、もう一人の参加者を出迎え都合三人の山行である。時間が早いので、高速道路はまだすいている。7時、7号省道のコンビニに立ち寄る。太平山への道を登り、8時20分に太平山のビジターセンターに到着する。三時間ほどで到着した。
ビジターセンター内に展示された樹齢705年のヒノキ
三星山登山口
少し休憩した後、翠峰湖への平元林道に入り進む。9時に三星山登山口の近くに車を駐車し、歩き始める。メンバーの一人Gさんは、これで三度目の三星山だそうだ。登山口は標高約2000m、頂上までの落差は約350mだ。大きなヒノキの切り株が目立つ斜面は、多くの若いヒノキが生えている。道は急な斜面を登っていく。小百岳に指定されているので、そこそこの登山者が歩いているようだ。


樹木は細くなる
また藪漕ぎ
急斜面を登ること約20分、森からでてカヤの藪漕ぎをする。草は露で濡れており、衣服は濡れてくる。霧が濃く、周囲の展望はない。また森に入るが、まだ樹木は細い。その後もまたカヤの藪漕ぎを二、三回行い、最後の登りを行くと10時15分、三星山山頂(標高2352m)につく。周囲はカヤで、晴れていたとしても展望はないだろう。

三星山山頂の筆者
往路を下る
持ってきたストーブで紅茶を沸かし、ゆっくりと過ごす。雨は幸いふっていない。30分ほど山頂で過ごし、往路を下る。今日は長靴ではなく、久しぶりの登山靴なので、ちょっと滑りやすく勝手が違う。11時35分、道路わきの登山口に着く。往復で約4㎞の道のりだ。登り約1時間、下り約45分である。

その後、林道に戻り翠峰湖方向へさらに行く。二人は三星池へ行くが、筆者は車に残り帰りを待つ。約一時間ほどで戻り、太平山ビジターセンターに戻る。ここで食事をとる。

次は見晴古道へ向けて、下っていく。15時に古道入口につく。この古道は観光遊歩道的な性格で、登山者だけでなく一般の遊楽客も歩く。入口の駐車場には大型バスも停まっている。入口から入ると、すぐに線路が現れる。この古道は、もともとの木材搬出に使われた森林鉄道を歩道としたものだ。

見晴古道入り口の説明板
太平山は、その豊富な材木を伐採した後、森林鉄道や大きな高度差の部分をロープウェイで運搬した。当時は、まだ林道とトラックは存在していない。搬出された材木は、土場からまた軽便鉄道で羅東へ運ばれていた。

濃霧の中を歩く
流された軌道は、橋が架かる
軌道は、まだけっこうしっかりしている。もちろん線路としてメンテされていないので、一部は曲がったり、木製の橋は苔が生え腐ってきて危ない場所もある。途中路床がながされている場所は、鉄製橋や吊橋がかかって、がけ崩れの前後をつないでいる。見晴という名だが、今日は濃霧でちょっと長い吊橋の対岸が見えない。

濃い霧で対岸が見えない
晴れていれば見えるであろう景色
吊橋を渡って線路を少し行くと、そこで歩道は終点だ。入口から約1㎞、ゆっくりと来たので30分ほどかかっている。終点は、柵が設けられている。その先も行くことができないわけではないが、公園管理外の登山道としての扱いだ。往路をもどり、16時少し前に入口に帰る。入口には、そこから晴れていれば望める風景の説明がある。大霸尖山から雪山主峰への聖稜線も見えるそうだ。天気がよければ、確かに見晴だ。

鳩之澤溫泉(温泉卵の広場)
これで今日の歩きは終わりだ。帰りは鳩之澤温泉に立ち寄る。鳩之澤温泉で入浴後帰途に就いた。時間が割と遅いこともあり、雪山トンネルも全く混雑することなく、22時前に台北に帰り着いた。

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