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2021-03-22

2021年3月19日 三貂嶺頂坑山 登頂一座のみの気楽な登山

修復工事進行中の舊三貂嶺隧道、頂坑山はちょうどこの上

台北付近の低山は、過去十年でだいぶカバーし、未踏の場所は少なくなっている。そうした中で、まだ足跡を残していない山の一つが今回の頂坑山。もともと訪れる登山者が少ない山で、おととし一度登頂を企画したが、実際に行ってみると登山口が草でふさがれ、ほとんど踏跡もないさまを見て諦めた。昨年この山を含む山域がボランティアにより整備され、山頂へのいくつかの道はすっきり歩きやすくなった。ところが、昨年秋に予定した新路尾山からの尾根道は、この整備対象ではなく、ここも草深く諦めた。そんなことで、今回のこの一座だけの登山を企画した。

西の三貂嶺駅から山を越えて牡丹駅へ
歩行高度
瑞芳の奥、基隆河にそって進む山稜の一つである頂坑山は、三貂嶺とも呼ばれる。この山の下を鉄道線路の三貂嶺隧道が貫いている。現在の三貂嶺隧道は複線で1985年からの使用である。日本時代の1919年に台北から侯硐まで鉄道が敷設された。しかし宜蘭へは三貂嶺が立ちはだかる。そこで旧三貂嶺隧道が開かれ1922年9月に使用開始される。その後1985年に新トンネルが開通すると、旧トンネルは廃棄された。同じく日本時代の宜蘭線上の長いトンネル舊草嶺隧道と同様に、サイクリングロードの一部として復活することが決まり、ちょうど修復工事が進行中だ。旧三貂嶺隧道の瑞芳側入口(正確には短い三瓜子隧道とそのすぐ後に続く長い三貂嶺隧道があり、瑞芳側入口は三瓜子隧道の入口になる)上には、明石元二郎総督の筆跡による「至誠動天地」という石碑がはめられている。今回の行動中、修復工事を見た。

頂坑山山頂のメンバー


地下道をくぐって線路を反対側へ
台湾北部は、冬から初春まで東北季節風の影響で、雨が多い。天気も変わりやすい。そんなことで、本来20日に予定していたが、一日早めて19日(金曜日)に変更した。平日であるが、10人のメンバーが出発点の三貂嶺駅に集まった。活動時間も短いので、今日は出発も遅い。9時25分、三貂嶺駅から歩き始める。線路沿いに進む。左に基隆河を挟んで旧三貂嶺隧道の入口が見える。以前は草木に覆われていた入口は、現在修復工事が進行中だ。本来は、鉄橋がトンネル入口へつないでいたが、その橋はもうすでにない。線路下地下道をくぐり、平溪線にそって進む。同じ電車で降りた大勢のパーティは、線路を渡り三貂嶺瀑布へと向かう。我々は、鉄橋を渡り対岸の幼坑古道入口へと進む。入口脇の涼亭で小休憩をとる。

幼坑古道入口近くから見る基隆河対岸と平溪線の橋
幼坑古道の鞍部、ここから左へ尾根を頂坑山へ
草が刈られロープが取り付けられている
9時47分、古道を歩き始める。階段を上ること数分で暗部に着く。今日はここから左に頂坑山へと尾根道をとる。その前に、数名で魚寮山へ往復する。すでに歩いたことのある数名は、鞍部で待っている。10分ほどで、鞍部にもどり予定の尾根道を歩き始める。登り始めて間もなく、古い墓の脇を通り過ぎる。放置されたものもあるし、今でも墓参りがあるものも見かける。墓場を過ぎると、山道は尾根を忠実に追っていく。草もしっかり刈られ、ロープが多くの箇所に取り付けられている。小さな上り下りがあり、ちょっと面倒だ。

前方に尖った燦光寮山,草山、手前は三貂大崙,三貂嶺山
283峰
10時15分、草木が刈られた小ピークに上がる。基隆河対岸の山は、遠くは草山や燦光寮山が見える。その手前は、前回頂坑山へ登ろうとして計画し通過した、三貂嶺山や三貂大崙だ。さらに小さな上り下りが続く。ちょっとした長い急坂を登りきると、10時33分283峰という標識のある小ピークを越す。我々より年長者のグループに追いつく。樹木が邪魔しない場所からは、基隆河の谷間と両側の山々が望める。三貂嶺駅や線路もはっきり見える。その谷には、雲海が入り始めた。おそらく暖かい海からの蒸気が、冷たい風に吹かれ雲が発生しているのだろう。

283峰から谷を見下ろす、その先には雲海

前方に頂坑山山頂が見えた
頂坑山山頂の筆者
尾根道を追っていく。一部は尾根のすぐ下山腹を行く。10時59分、右に新路尾古道への分岐を過ぎる。その先、左に石壁坑產道への道を分け、坂を上って11時5分、小ピークに着く。小休憩をとる。尾根道はまだ続く。11時20分、また新路尾古道への道を分ける。偽ピークが現れ、頂坑山山頂はなかなか辿り着かない。11時32分、山頂が見える。一度下って登り返し、数分で草がしっかり刈り取られた山頂(標高370m)に着く。天気がよい今日は、気温も高くここまでしっかり汗をかいた。昼食休憩をとる。

尾根上を下る
旧トンネルの排気煙突
約50分ほどの昼食休憩後、12時半牡丹駅へと下り始める。尾根から山腹を行き、また尾根へと登り返す。山頂から直接降りてくる尾根上には、おそらく岩場かなにか困難な場所があり、そのために迂回しているだろうか。越嶺保甲路という表示なので、この道は古道の部類だ。尾根から谷間に降りていく。13時、小沢を越す。そのすぐ先にガジュマロ樹に抱かれたレンガの煙突がある。山の中に突如現れた煙突は、実は旧三貂嶺トンネルの通気用トンネルだ。蒸気機関車からの煙などがここから排出されたのだろう。近くには、石積の土留壁もある。以前はこの付近に保守用の施設などがあったのではないか。

石臼が残る廃屋の石壁
泥のぬかるみ
谷間をさらに10数分下ると、石臼が残る旧家屋の石壁を見る。以前はここでの暮らしがあった場所だ。今はだいぶ壊れた壁が残るだけだ。その先はかなり泥が深い道を過ぎ、沢に降りる。沢沿を二、三回渡渉し、13時35分広い道に降りる。少し休憩し、長靴の泥を洗う。さらに下り、左に三貂嶺トンネルの入口を見る。こちら側も修復工事が進行中だ。もと線路だった道をいく。左に新しい建物が建設中だ。トンネルが一般開放された後に使われるビジターセンターのようだ。その先すぐ右に尪仔崙坑の基石を見る。線路だった道は、右に現在を線路わきで終わり、そこからは道路を行く。

沢を下る
舊三貂嶺隧道の南口も修復工事進行中
牡丹老街、ガード下で壁画が描かれている
14時8分、右に川沿いの牡丹老街をみて橋を渡る。次の電車まで20数分時間があるので、コーヒーショップの前でアイスキャンディーを食べる。14時23分、牡丹駅に入る。武漢肺炎のために、ホームに入る前に検温をする。地下道をくぐり、上り線のホームで待つ。14時37分、区間電車がやってきた。休憩込み活動時間4時間50分、累計登坂459m、下降475m、距離6.1㎞、コース定数は15、予定通りの気楽なハイキングであった。


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